リアルではスネ夫が師匠でジャイアンが弟子!? 関智一さん&木村昴さんコンビに聞く『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』
「春はドラえもん!」ということで、2016年も『映画ドラえもん』の時期がやって来ました! 2015年に35周年を迎え、36年目となる最新作は、原作者の藤子・F・不二雄さんが製作総指揮として初めて参加した、記念碑的作品であり、シリーズ歴代1位の動員数420万人を誇る人気作『のび太の日本誕生』が『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』として生まれ変わります! そんな期待作が、3月5日(土)より全国ロードショーとなります。
今回の記事ではメインキャストのうち男性陣、スネ夫役の関智一さんと、ジャイアン役の木村昴さんにインタビューを実施! 同じ事務所に所属し、同じ作品で10年以上にわたって演じてきたおふたりに、映画の見どころや『ドラえもん』への思い入れ、そして普段のおふたりについてなどもうかがいました。あの「ジャイアン映画版現象」の謎も……解き明かされる!?
■ 映画版では 「視聴者のみなさまになり代わって冒険しています!」
――映画最新作が『新・のび太の日本誕生』だと決まった時はどう思われましたか?
スネ夫役・関智一さん(以下、関)&ジャイアン役・木村昴さん(以下、木村):へ~~~~~!!
――息の合ったリアクション、ありがとうございます(笑)
関:僕は第1作の『のび太の恐竜』の頃がちょうど小学1~2年生で、そこから毎年、ドラえもんの映画は観ていたんです。ただ、『のび太の日本誕生』の頃は高校生くらいだったので、そろそろいったん卒業かな……というタイミングで。ギガゾンビとかキャラクターがギリギリわかるくらいで、細かい内容まで憶えていなかったんですよ。
だから今回の映画で、その空白をまたひとつ埋められると いうか、またドラえもんに詳しくなれる! という、うれしさはありました。
あと、藤子先生が結構気に入られてたお話だとうかがっていたので、それがどう生まれ変わるのかなと楽しみでしたね。
――『のび太の日本誕生』は89年公開でしたが、木村さんはギリギリ生まれていらっしゃらないですよね。
木村:そうですね、その翌年生まれです!
関:昴(すばる)誕生だ!(笑)
木村:翌年昴誕生、ですね!(笑)。 でも小学校の遠足のバスで『日本誕生』のビデオを流していただいたことがあって、その時に観ていたんです。
関:僕も一度はなれた後、スネ夫の声優として関わる前にまたドラえもんが好きになって、劇場版のDVD-BOXを買って観たりしていました。
――関わる前からそうだったんですね!
関:テレビのドラえもんは毎週観るわけではなかったんですけど、映画のドラえもんって、やっぱりちょっと特別な感じなんですよね。
木村:そうですね、映画は絶対観ます!
関:子どもの頃、ドラえもんと冒険をしている少年たちっていうのが、すごくうらやましかったんです。素敵なドラマの中でこう、いろいろ冒険してていいなぁ……、僕にもドラえもんがいたらいいなぁ……って。みんなそうだったと思うんですけれど。
だから今、役者としてですけど毎年ドラえもんと冒険をさせてもらえるというのは、なんとも言えないありがたさがあるんです。「いま、視聴者のみなさまになり代わって、代表して冒険しています!」みたいな。劇場版は年に一度のお楽しみでもありますね。
木村:今年はどこに行って、どんなことが待ってるんだろう!? スネ夫と何をするんだろう、ジャイアンはどんなかっこいいことが言えるんだろう!? とか、毎年すごい楽しみですね。
関:仕事として関わっているというより、子供の頃の感覚でドラえもんと遊べる……みたいなところがあります。やっぱり、とてもワクワクしますね。
■ ジャイアン映画版現象の立役者は……スネ夫!
――実際にアフレコをする時も、映画版とテレビでは違いますか?
関:そりゃあもう~、作画のクオリティから何から! キャラクターたちがいっぱい動いているので、表情が読み取りやすいんですよね。だから映画版のほうがアドリブ入れたりもしやすいんです。テレビよりも表情豊かなキャラクター造形ができるかなと思ってます。
――「ジャイアン映画版現象」という言葉があるほど、ジャイアンも役の幅が広がりますよね。
木村:そこに関しては、ジャイアン役として今日までずっと……「ありがとうございます!」って思ってました。よしきた! 俺の時間がきた! みたいな。
一同:(笑)
木村:でも実は今日、スネ夫がいるからこそあれは成立するんだ! って、ようやく気付いたんです。ジャイアンが映画版で“いいヤツ”になる、影の立役者はスネ夫で。スネ夫のネガティブさが増すからこそなんだと思ったんです。
関:そう! スネ夫がアンチテーゼになることを言うから、それに対してジャイアンが「お前なに言ってんだ! 助けに行くぞ!」ってなるんですよね。例えば僕が、「嫌だ!」じゃなくて「行こう!」とか言っちゃうと……。
木村:みんなが「よし行こう!」「先に行こう!」って、ただのすっごい仲良い子たちみたいになっちゃう(笑)
関:なのでパスをみんなで回して、ジャイアンだったり、のび太くんがシュートを打つイメージなんです。スネ夫は中継ぎというか、「良いパス回すよ!」っていうポジションですね。
木村:そうです。スネ夫のパスあっての、「ジャイアン・タイム」ですから!
関:ジャイアン・タイム(笑)。
――映画版のスネ夫も、もっと話題になるべき! という気がしてきました。
関:たぶんスネ夫って、観ている人の感覚に一番近いんじゃないかなと思うんです。
木村:リアルなリアクションですよね。
関:今回の映画にしても、あんな犯罪者の本拠地に、子どもだけで乗り込めないですから!(笑) あと、みんなが「行こう!」って言っている状況で「行かない」って言える強さというのもあると思うんですよ。「みんなちょっと考えてみてよ! おかしいよこれ! 死んじゃうかもしれないんだよ!」って。なかなか言えないですよね。スネ夫って臆病者だと言われてますけど、意外と普通だし、意見を言える強さというのはある気がしますね。
■ ふたりは師弟でもあり、友達でもある?
――メインキャラクター5人の中でも、スネ夫とジャイアンは特に強い結びつきがありますが、演じる関さんと木村さんも仲が良いのでしょうか?
木村:私はもう、勝手に関さんを師匠だと思っています。プライベートでは師匠! 『ドラえもん』の中では……
関:弟子(笑)。
一同:(笑)
木村:いつも、関さんの後を追いたい! って思っています。
――関さんが、木村さんから見て自分はそういう存在なのかなと思うタイミングなどありますか?
関:全然、気にしたことないです。ちゃんと教えなくちゃとも思ってないですし、普段の自分のまま接しています。だらしないところもいっぱい見せてますし(笑)。
木村:(笑)
関:良いと思ってもらえるところがあれば参考になれればと思うし、良くないところは反面教師にして、自分で正してくれればと思っています。個性が違うわけですからね。これから苦労することも絶対にあると思うけれど、それをおじさんである自分がどうやって乗り越えていくのか……なんかも見ていれば、そのうち参考になるのかなと思っています。
あと、僕が刺激をもらっている部分もあるんです。(木村さんが)バイタリティーを持って色々と自分の好きなことをやっている姿とか。疲れちゃったり、めんどくさいな~って時に、頑張っている後輩を見ると、もうちょっと頑張ろうかなと思えるというか。木村くんは「友達」くらいに思ってます。
木村:うおお! ありがとうございます!
――木村さんはジャイアン役に起用されたとき14歳でしたが、当時の印象はいかがでしたか?
関:今と全然変わらないですよ、当時からすごくしっかりしていて。たまに訛っちゃったりとか技術的にやりなれていない部分はありましたけど、(木村さんは)腐らない人で、ポジティブにどんどん自分でスタイルを作っていってましたね。偉ぶってもいないし、印象は当時から変わってないです。
木村:うれしい……。
――こういうふうに言ってもらったことはありましたか?
木村:うーん……。稀に(笑)
一同:(笑)
木村:去年いちど関さんの劇団に出させていただいた時、なんでもない休憩中に、「なんか、いい役者さんになったね」っていう一言をくださって。「うわ~やっば~! 沁みるぜ!」と、飛び上がりそうなほどうれしかったですね。
でも後日のイベントで、それを最近うれしかった出来事としてしゃべったら、関さんが「いや~、思ってなくてもそういうこと徐々に言っていかないといけないなと思っててさ」って言うんです(笑)。ふたりきりの時にすごい良いこと言ってくれたのに!
関:(笑)
木村:俺のあの気持ちを返してくれと思いました(笑)。
関:まぁ、あんまり「いいよいいよ~」みたいに言い合っても気持ち悪いじゃないですか。照れくさいしね。
■ 「ドラえもんと冒険したいなぁ……と思っていた、その時の気持ちのままですね」
――スネ夫とジャイアンの声がおふたりになってから10年が経ちました。関さん、木村さんとって今、『ドラえもん』はどういう存在ですか?
関:ドラえもんはドラえもんなんですよね、やっぱり。この気持ちはうまく伝わらないかもしれないんですけど、大山のぶ代さんが歌う『のび太の恐竜』の主題歌「ポケットの中に」を聴くと、なんか泣いちゃうんですよ。「ボクはここにいる 君のポケットに 君といっしょに 旅するために まっていたんだよ 気づいてくれるまで」っていう歌い出しなんですけど、妙に郷愁を誘われて……。僕は一人っ子なんですけど、家で留守番するのがさびしい夕方に、よくドラえもんを観ていて。「ドラえもんいいなぁ……、ドラえもんと冒険したいなぁ……」と思っていた、小さい頃の気持ちがそのままあるんです。
だから出演者という形でそれが叶って、単純に「ドラえもんに会えた!」みたいな、得も言われぬ充足感があるんですよね。一緒に遊んでくれる友達でもあり、母でもある……そんなドラえもんと会えた! やった! このポジションゲットした! って(笑)。
一同:(笑)
関:本当に申し訳ないんですけど、「特権」を得てしまったな……っていう。だからその分、観ているみなさんにも楽しんでもらえるように、頑張らないといけないなと思っています。
木村:僕にとってドラえもんは「道」……なのかなと思っています。「ドラえもん道」というか。14歳の頃から、思春期のあいだずっとドラえもんに携わらせていただいているので、何を「良しとするのか」「ダメなのか」っていう価値観が全て、ドラえもんから始まっているんです。もしドラえもんがなかったら……というのは考えられないですね。例えばなにか道をそれそうになったとしても、僕はドラえもんに携わっている人だから、ちゃんとしなきゃいけないって思えるというか。ドラえもんは、自分をちゃんと元の道に戻してくれる力であり、頑張ろうと思わせてくれる力でもあるんです。ひとりの人間としてちゃんと立つための大切な存在なんですよね。
F先生が作ってくださった『ドラえもん』の持つ素敵なものが、僕にそう思わせてくれるんです。だから僕から観てくださる人たちに向けても、その素敵なものをしっかり表現していけたらいいなと思っています。
――「ドラえもん道」を突き進んでいらっしゃる後輩を、「師匠」の関さんから見てみていかがですか?
関:もうね、信じた道をそのまま突き進んでほしい。たとえその先が……崖になっていても。
木村:(笑)
関:もうその時には、木村くんは自分の力で飛べるはずですから。
木村:……飛びます!!(笑)
――最後に、映画を楽しみにされている方にメッセージをいただければと思います。
関:今年もみんなの大好きなドラえもんが映画になりました。観てね!!
木村:はい! えっと、新しい『のび太の誕生』が……
関:『日本誕生』(笑)
木村:日本誕生です!(笑) 新たな日本誕生が……
関:(小声で)誕生しました。
木村:誕生しました!
一同:(笑)
木村:僕自身、すごく楽しんで演じることができましたので、観てくださる方にもぜひ楽しんでいただけたらいいなと思っています。観て良かったって思える映画になっていますので!
関:映画を観たみんなの心の中にも、新たな気持ちが「誕生」するよね。
木村:それ、もらっていいですか?(笑) みなさんの中にも、新たな気持ちが誕生する映画ですので、『新・のび太の日本誕生』、ぜひ観てください!
――ありがとうございました!(笑)
[取材&文・小林真之輔]
■ 公開情報
映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生
2016年3月5日(土)公開
原作:藤子・F・不二雄
監督・脚本:八鍬新之介(『映画ドラえもん 新・のび太の大魔境』)
<CAST>
ドラえもん:水田 わさび
のび太:大原 めぐみ
しずか:かかず ゆみ
ジャイアン:木村 昴
スネ夫:関 智一
ドラミ:千秋
<STORY>
「決心したぞ!僕は家出する!!」
家でも学校でも叱られてばかりののび太は、家出をしようと思い立つが、どこに行っても持ち主のいない土地はないことを知る。そして、ドラえもん、しずか、ジャイアン、スネ夫もそれぞれの理由で家出を決心。みんなで行くところがなく途方に暮れていた。それならばいっそのことまだ誰も住んでいない太古の日本へ行こうと思い立ち、史上最大の家出へと出発することに! 7万年前の日本を舞台に大冒険が始まる!!
>>『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』公式サイト
>>ドラえもんチャンネル 公式Twitter
この記事が気に入ったら「いいね!」しよう!
■ここでしか読めない!編集部プロデュースのオススメ記事はこちら!
『アイ★チュウ』イラストレーター陣総勢5名の座談会♪【後編】
爽快ポリスバトルアクション『アクティヴレイド』がかっこよすぎる
『あおかな』独自の競技“フライングサーカス”ってどんなスポーツ?
歌姫May’nがライブについて想いを語る、独占インタビュー
セブンスシスターズ「SEVENTH HAVEN」ついに発売!