TVアニメ『双星の陰陽師』EDテーマ「宿り星」を歌うアーティスト、イトヲカシに注目!2人が見据える夢とは?
『双星の陰陽師』のエンディングテーマ「宿り星」を歌うのは、今もっとも注目されている2人組ユニット、イトヲカシ。2012年に結成してから、ネットでの音楽投稿や路上ライブ、そしてアーティストへの楽曲提供、サポートミュージシャンなど、幅広く活動してきた彼らが、9月21日にリリースするシングル「スターダスト / 宿り星」で、ついにメジャーデビューを果たします。
そんなイトヲカシの伊東歌詞太郎さん(Vo)と宮田“レフティ”リョウさん(Bass/Guitar/Key) に、シングルのこと、そしてイトヲカシの今後について、たっぷりと語ってもらいました。
僕たちがティーンエイジャーのときに夢見ていた舞台だから
がむしゃらにそこを目指すしかないんです
――この夏は『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016』に出演されましたが、感想を伺ってもよろしいでしょうか?
伊東歌詞太郎さん((以下、伊東):WING TENTのトップバッターだったんですけど、僕らバンドを10代からやっていて、やっぱり『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』って夢のステージなんですよ。なので出られると決まった時は、ものすごく嬉しかったです。でもそれと同時に、WING TENTで朝11時からで、お客さんがいないかもしれないと覚悟もしていたんです。
他のフェスでなんですけど、タイムテーブルのめぐり合わせもあって、自分たちのお客さんが50人くらいしかいなかったことがあったので。そこでは、まだまだいろんなところに広めていかなければいけないんだなって思ったんですけど、今回の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』では、曲が続いていくうちにどんどん人が集まってきて、テントから溢れたんですよね。それを見て、僕は心の底から嬉しくて…。
――それは嬉しいですよね!
伊東:バンドマンのすべてが出られるわけではないステージだし、そんなひと握りの人しか出られないところに、何で出ることができたのかというと、今まで自分たちのライブに来てくれた人、CDを買ってくれた人、路上ライブに来てくれた人が話題を作ってくれたからだと思うんです。このステージに導いてくれたんだなっていうのを、あらためて感じて、それがすごく嬉しかったというのがありますね。だからすごく楽しめました。
宮田“レフティ”リョウさん(以下、宮田):本当にその通りで。立たせてもらっていることは全然当たり前なことではないと感じましたし、ステージから見た光景というのは一生忘れないと思うんですけど、それと同時に、終わった後にGRASS STAGEを見たんですよ。もう、ちょっと想像の斜め上を行っていて(笑)。
キャパシティで言ったら100倍くらいの感覚なんですよ(※実際は20倍程度)。それを見てしまった瞬間に、僕はここを目指さないといけないなと思ったし、WING TENTに来てくれたお客さんを引き連れて一緒に昇って行きたいなって思いましたね。そうやって景色を更新していきたいです。
伊東:夢が叶った日でもあるんですけど、新しい、さらに難しい夢を見ることができた日でもあるなと思いました。いろんなアーティストを見て、そこでお客さんが喜んでいるのを見ると、新しい目標って際限ないなと思いました。
――そして、「スターダスト/宿り星」でメジャーデビューを果たすことになります。昔ほどメジャーというものに憧れがなくなってきているのかなとも思うのですが、イトヲカシにとってメジャーとはどういうものでしょう?
伊東:わかります。僕らがバンドをやっていた頃、たとえば「武道館でライブがやりたい」っていうのは、憧れなんですよね。だから、「メジャーデビュー」というのも憧れとしてあったんです。ただ、昔に比べて、「メジャーデビューです」と言って次のステージに行く感じってなくなってきているというのもわかるんです。でも、メジャーデビューって、関わってくれる人が増えることだと思うし、だからこそ、その期待に応えたいっていう気持ちがまずあったんですね。
それに、メジャーデビューすることをライブで発表したんですよ。そしたら、想定の3倍くらいの反応があって、逆に驚いちゃったんです。あれ? 今メジャーに関してのリアクション? 後ろに誰か出てきたのか?って思ったんですよ(笑)。でも泣いている子もいたから、そんなに喜んでくれるんだ!って。それもファンの人の期待だと思うので、その期待に応えていくことができたら、それこそ夢が叶ったって実感する瞬間なんじゃないかなと思いましたね。
宮田:メジャーに対してのイメージで言うと、僕らの音楽のテーマとして「王道の音楽をやりたい」っていうのがあるんです。その王道の音楽をやることを踏まえた上で、どういうフィールドでやっていくのがいいのかと考えると、自ずとメジャーというものを意識せざるを得ないんですよね。『NHK紅白歌合戦』にも出たいですし『Mステ』にも出たいですし。僕たちがティーンエイジャーのときに夢見ていた舞台に憧れを持ってしまっているのは事実だから、がむしゃらにそこを目指すしかないんですよね。(メジャーデビューは)そのために必要なプロセスだし、もう軌道修正もできないんですよね(笑)。
――活躍する場所は確実に広がりますからね! 一方で、あまり知られたくないファンの方もいるかもしれませんが……
宮田:メジャーに行くというのは僕らの中で大きな転換期かもしれないですけど、僕らがやってきた路上ライブとか、音楽に対してのスタンスっていうのは一切変わる必要はないと思っているので、そこをわかってもらえたら受け入れてくれるのかなって思います。
伊東:路上ライブだって、時代遅れだって周りから100回くらい言われてるんですよ(笑)。でもお客さんをつかむためには路上でしょ!ってなっちゃっているから。でも、やっていると、それが何かに確実につながっているし、イトヲカシの活動が大きくなったコアだと思っているので、そこもやっぱり軌道修正できないんですよね(笑)。
宮田:やりたくてやってるところもあるからね。
伊東:うん。なので、このまま行きます!
■イトヲカシらしさと『双星の陰陽師』の世界観
その2つの柱が両立しているところって絶対にあると思った
――シングルのお話をすると、「スターダスト」は、王道サウンドの中にも、独特な視点というか、すごく歌詞太郎さんっぽい歌詞があって、すごくイトヲカシらしい曲だと思いました。これはデビュー作ということを意識して作られたのでしょうか?
伊東:全曲シングルカットされても恥ずかしくないように曲を作っているし、全曲100万枚売るつもりで作っているので、1stのために作ったという感覚は、実は全然ないんです。今回は「宿り星」というバラードがまずあったので、僕らの音楽性ってバラードもあれば疾走感のある曲もあって、レンジが広いものだと思っているので、シングルに2曲入れるのだったら、疾走感のある曲を入れてもいいんじゃないかなって。そういうバランス面では意識したんですけど、メジャーデビューシングルっていうことを意識した楽曲ではまったくないんです。
――そうなんですね。でも歌詞に〈いとをかし〉というのも入っていたので。
伊東:そうなんですよ(笑)。これは偶然だと思うんですよね。僕は作り込むタイプではなく、心にある言葉を紐解いて出していくタイプなので、〈いとをかし〉が、このメロディーにハマったっていうのは単なる偶然でしかないんですよね。なので、これが1枚目になっちゃったな、みたいな感じは確かにありますね(笑)、言われて気付いたんですけど。
――歌詞には、〈夢を未来に変えられるのは 誰かじゃなくていまの自分〉など、伊東さんがいつも思っていることが色濃く出ているのかなと思いました。
伊東:僕は、こういう感じのストーリーで、こういう感じでやったら売れるんじゃないかなっていう歌詞の書き方が、まだできないんです。自分が思っていること、自分の中にある言葉だけでしか歌詞を書くことができない。だから「スターダスト」という曲は、僕が思っていること100%かなって思います。
――あと、この曲は何と言ってもイントロですよね。
宮田:ありがとうございます。
――宮田さんがアレンジをするのがイトヲカシのスタイルだそうですが、曲はシンプルな形で渡すのでしょうか?
伊東:まず僕がギターで曲を作るんですけど、コードは3つか4つ、多くても5つくらいで作るんです。それをメロディーと共に渡して、毎回12個くらいのコードになって戻ってくるという(笑)。
宮田:メロディーのベーシックなところを持ってきてもらって、僕がギターを弾きながら広げていく作業をして、全体の構成を作ったあとに、彼は歌詞を書くためにスタジオを出るんですよ。そこから僕がベーシックなラフスケッチに肉付けをしていく作業をしていて、彼が歌詞を書いて帰ってくるときに、僕もラフアレンジができあがっていて、さぁ仮歌を録ろうかっていう感じで作るパターンが多いですね。
――イントロのピアノのフレーズは、どうやって生まれたのでしょう?
宮田:この曲はサビのメロディーができた瞬間に、頭で鳴ったので、このフレーズならピアノかなっていう感じで落とし込んだんですけど、印象的なイントロのテーマ、いわゆるリフものはずっと欲しいなと思っていたので、なかなかキャッチーなものができたなと思って、僕の中でも達成感があるイントロです。
――「宿り星」のほうは、『双星の陰陽師』のために書き下ろした曲ですね。
伊東:エンディングテーマに抜擢していただいたんですけど、アニメのエンディングということは、アニメに華を添えるべきものでありたいし、華を添えたいと思ったので、まず原作を読んだんです。これがとても面白くて、好きな作品になったので、ラッキーでした。たとえばここで、自分と合わない作品だったら、無理をして作品の世界に入らないといけなかったかもしれないんですけど、パッと作品に入り込めて。
それで、自分の中に作品の世界観を一旦取り込んで出すべきだと思ったんですけど、やっぱりイトヲカシらしさと『双星の陰陽師』の世界観ってあると思うんですよ。でも、その真ん中を取るっていう選択肢は、一番やっちゃいけないなと思ったんです。それは作者にも失礼だし、ファンの人にも失礼だし、自分たちの曲にも失礼かもしれない。だったらどちらかに寄せるというパターンもあるんですけど、それだとどちらかが立たないなと思ったんです。でも、その2本の柱が両立しているところって絶対にあると思ったので、そこを自分の言葉やメロディーの海の中から探し当てることには、ちょっとだけ神経は使ったかもしれません。
――好きな作品だったということは、その2つが重なる部分もきっと見つかりやすいですよね。
伊東:そうですね。さっき言った通り、歌詞は自分の言葉の中からしか出てこないので、この曲の歌詞も、無理して書いたものではまったくないので、これこそが両方の柱が両立しているところなんじゃないかなと思っています。
――歌詞的に、ウェディングソングでもいいなと思ってしまいました。
宮田:あぁ。そういう捉え方をしてくれても非常に嬉しいですけどね!
伊東:僕が結婚するときには、多分これが流れますね(笑)。
宮田:でも絶対紋付きだよね(笑)。
伊東:確かに、神前式じゃないとダメかもね(笑)。
――アレンジでは、ピアノとストリングスが何といっても印象的ですが。
宮田:そうですね。壮大さというか奥行き感のあるアレンジを心がけたのと、作品の持っている性質……印象として、儚さと力強さが同居しているなと思ったんです。背景にある主人公が背負っているものとかを鑑みて、あとはメロディーと歌詞の世界観を考えたときに、ストリングスとピアノっていう繊細で叙情的なものと、力強いギターのサウンド、ドラムの音色みたいなものを、寄り添うのではなく対比するような感じで合わせたいなと思いました。それで、いろいろ試行錯誤したんですけど。
――バンドサウンドとストリングスとの融合っていうのは、難しいんですか?
宮田:寄り添わせようとするとすごく楽なんですけど、対比させるとなると結構難しいかなと。今回は生ストリングスだったので、やっぱり生はいいなって思いました。
――生のストリングスだと、人が演奏するので、自分の思っていなかったようなフレーズが出てきたりするっていうのはよく聞きますよね。
宮田:そうですね、そういう発想はやはりあって。ラインに関してはレコーディング前にいろいろとやり取りをしていたので、レコーディングで落とし込むだけだったんですけど、それでも自分にない発想はありましたね。ストリングソロのところとかは、僕の考えていたメロディーと全然違うので、人とやることの良さっていうのを、すごく体感できたと思います。
――歌に関しては、こういう曲だから、こういう録り方をしようとかは考えてのことでしょうか?
伊東:レコーディングの時にこういう録り方をしようっていうこだわりは、全然ないんです。ただ、楽しむレコーディングと戦うレコーディングがあると思っていて、この曲に関しては楽しむほうで、没入する感じだったんですよね。歌の海があるとしたら、そこに深く深く入り込んで、歌いながら浮遊しているというか。自分では歌っている感覚はないし、歌詞がこうだからこういう気持ちを込めようとかも一切考えず、ゆらり海の中にたゆたうままというか。で、気がついた時にはレコーディングが終わっている感じではありましたね。
――アニメのエンディング映像を見てどう思いましたか?
宮田:あの映像すごく良いですよね!
伊東:考えてなかったよね。作画がエンディングならではの作画になっていて、こうくるんだ!って。見た?
宮田:もちろん見た。
伊東:あれを見たとき、これか!みたいな。『双星の陰陽師』の世界観も壊さず、エンディングらしくもあってすごく良かった。
宮田:楽曲にも寄り添ってくれていたので、愛を感じました。
――今後もアニメの主題歌はやっていきたいですか?
伊東:それはもう、諸手を挙げてやっていきたいです。
――最後に、イトヲカシとしてのこれからの目標というと?
伊東:夢を持って音楽活動をやっていきたいんですよ。音楽業界に夢なんてないって、周りにめちゃめちゃ言われたんですけど、はっきり言って、すげー夢があるんじゃないかと僕は思っているし。実際にこうやってちょっとずつ夢を叶えていくことは楽しいことだから、まだ叶えてない夢はいくつもあるので、それを叶えていきたいです。やっぱり日本武道館でのライブはしたいですね。あとは音楽人の親孝行は『NHK紅白歌合戦』に出る。でも、メチャメチャ簡単なことを言えば、もっと多くの人に、一生懸命作った曲を聴いてもらいたいです。それが大きな夢だなと思います。
宮田:音楽を聴いたり、ライブを見たりして、夢をもらって音楽をやっている感覚があるんです。高校の時に、フェスに行ったり、先輩のライブを見て、音楽って楽しい、こんな夢があるんだ!って思ったんです。今、業界的に、なかなか大きな夢を持てないっていう印象は確かにあるんですけど、ちゃんと僕がもらった夢のバトンみたいなものを、次の世代に受け継いでいくために、僕らがしっかり夢のある活動はしたいなって思っています。
[インタビュー&文・塚越淳一]
■イトヲカシとは
2012年に結成し、路上ライブ総動員数3万人以上、Twitterのフォロワー数55万人以上と、DIYで様々な現象を捲き起こして来た2人組ユニット「イトヲカシ」のデビューシングル。2016年5月11日にリリースしたインディーズ盤ミニアルバム「捲土重来」がオリコン総合チャートで5位(インディーズチャート1位)を記録、「捲土重来」を引っ提げて行われた全国ツアーは全会場SOLD OUT、さらに8月14日にはROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016に初出場も決定。
そしていよいよステージをメジャーへ移す第1弾となる今作は、イトヲカシらしいアップテンポな楽曲「スターダスト」と「宿り星」(テレビ東京系アニメ「双星の陰陽師」エンディングテーマ)の2曲を収録した両A面シングル!
■スターダスト / 宿り星
発売日:2016年9月21日(水)
【CD+DVD】価格: 1,574円+税
[CD]
01 スターダスト
02 宿り星
03 スターダスト(instrumental)
04 宿り星(instrumental)
[DVD]
01 「スターダスト」Music Video
02 「宿り星」Anime Music Video
※初回封入特典:「双星の陰陽師スペシャルステッカー」
【CDシングル】926円+税
[CD]
01 スターダスト
02 宿り星
03 スターダスト(instrumental)
04 宿り星(instrumental)
※初回封入特典:「双星の陰陽師スペシャルステッカー」
≪初回封入特典「双星の陰陽師スペシャルステッカー」絵柄※2形態共通≫
<ライブ出演情報>
10月9日(日) MINAMI WHEEL 2016
10月28日(金) ミソッカス「ミソパニッククーデター 最後の聖戦」@仙台enn 2nd
10月30日(日) Brian the Sun TOUR 2016 「Maybe」 @大阪BIG CAT
and more…!!
詳しくはHPをチェック!
>>TVアニメ『双星の陰陽師』公式サイト
>> TVアニメ『双星の陰陽師』公式Twitter
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