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TVアニメ『アイドルマスター SideM』監督対談!映像に込められた“アイドルマスター愛”とは

TVアニメ『アイドルマスター SideM』原田孝宏×黒木美幸 監督対談!Jupiter視点で描かれた前日譚『Episode of Jupiter』、そしてこれから描かれる本編に込められた“アイドルマスター愛”とは

2017年10月7日より、いよいよ放送となるTVアニメ『アイドルマスター SideM』。本編に先駆け、9月30日に放送された前日譚『THE IDOLM@STER Prologue SideM Episode of Jupiter」はご覧になったでしょうか。(※まだご覧になっていない方はネタバレを含みますのでご注意ください!)

作中に登場するアイドルユニット、Jupiter(ジュピター)は、ゲーム『アイドルマスター2』シリーズや、2011年に放送されたTVアニメ『アイドルマスター』に、765プロの強大なライバルユニットとして登場しました。

その彼らJupiterが『アイドルマスター SideM』のアイドルたちの所属する315プロに“理由(ワケ)あって”所属するまでの物語をつなぐのが、『THE IDOLM@STER Prologue SideM -Episode of Jupiter-』です。

今回はTVアニメ『アイドルマスター SideM』の監督である原田孝宏さん、黒木美幸さんに、放送されたばかりの『THE IDOLM@STER Prologue SideM -Episode of Jupiter-』を中心にお話を伺いました。

 

『THE IDOLM@STER Prologue SideM -Episode of Jupiter-』は765プロのアニメの続きというニュアンスが強い作品

──『THE IDOLM@STER Prologue SideM -Episode of Jupiter-』が無事放送されました。アニメの前日譚にあたるJupiterのエピソードの制作の経緯を教えてください。

原田孝宏監督(以下、原田):企画の発端はアニプレックスの鳥羽洋典プロデューサーですね。

黒木美幸監督(以下、黒木):鳥羽さんが、アイドルマスター(TVアニメ『アイドルマスター』[2011]及び劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』[2014])と、315プロをつなぐ架け橋になるエピソードは必要だってずっと言っていたんです。

目的としては『アイドルマスター SideM』も同じ世界のできごとなんだよ、という地続き感を表現したかったことがひとつ。もうひとつは昔から『アイドルマスター』を見てくれているファンの人たちにも受け入れてもらえる作品にするために、ですね。だから『THE IDOLM@STER Prologue SideM -Episode of Jupiter-』はTVアニメ『アイドルマスター SideM』の前日譚という位置づけではあるのですが、感覚的にはTVアニメ『アイドルマスター』の続きというニュアンスが強いです。

原田:TVアニメ『アイドルマスター』のJupiterは、出番がかなり限られてましたけどね。

黒木:ですね。でも765プロのアニメに出てくるJupiter…好きですよ(笑)。女子アイドルたちの中にいるJupiter。

原田:TVアニメ『アイドルマスター』のTV最終話にちょっと登場する、小さな箱でライブを行なうJupiterは、黒木さんが原画を描いていたんですよ。作品のリンクという意味では、TVアニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ』では、765プロオールスターズの看板やポスターがかなり作品内に登場してますよね。

ただ『アイドルマスター SideM』TVシリーズの中で、女の子のアイドルが多数登場するのは少し違和感を感じましたので、前日譚でそのあたりの絡みをしっかりやって、『アイドルマスター』の世界の時系列を整理したい目的もあったんです。


監督が二人、作品作りに活かされている部分とは

──本作の監督は原田監督、黒木監督の連名になっています。実作業的にはどういう分業と協力をしているのか伺えますか?

原田:まず本読みとかはもちろん2人で出ています。

黒木:私としては、画面の絵作り、演出的なことを主にやってほしいと言われていたので、コンテやキャラクターの動かし方、見せ方を担当しています。

原田:役割分担としては黒木さんが見せ方のウェイトが大きいのは間違いないです。あとは監督チェックを偶数話、奇数話で分けたり、作業ごとに分担ですね。

黒木:私はこれが初監督なので、単独監督の時との違いはよくわからないんですが(笑)。原田さんはTVアニメ『アイドルマスター』の初期から継続して参加している形なので、昔から大事にしている『アイドルマスター』らしさとかは原田さんがチェックしてくれています。私は最初のTVアニメ『アイドルマスター』の頃は原画としての参加でしたので。

──TVアニメ『アイドルマスター』との継続性という意味では、前日譚でJupiterが善澤記者にインタビューを受けていた場所は、TVアニメ『アイドルマスター』で876プロの日高愛、水谷絵理、秋月涼がインタビューされた場所と同じに見えます。

原田:そうですね、場所は合わせています。

黒木:連続性というか、なんだか見たことあるな、と感じてもらえたらいいなと思っています。

──『THE IDOLM@STER Prologue SideM -Episode of Jupiter-』に、2012年開業の東京スカイツリーが登場するのが、2011年のTVアニメ『アイドルマスター』以後でありながら今と連続性がある感じがしてすごく良かったです。

黒木:そんな深い意味合いをつけて頂いてありがとうございます(笑)。

原田:スカイツリーはどちらかというと場所、ですね。事務所のあたりのモデルのひとつがスカイツリーの近くなんですよ。

──Jupiterがライブを行なう会場も、中を見ればどこがモデルかピンとくる人が多いと思います。

原田:名前もそのまんまな感じですからね(笑)。場所は特に指定などはなかったのですが、ほどほどの規模で、それでいて辺鄙すぎない会場で。にぎやかな街の中で、ある意味ひっそりやっている感じがほしかったんです。


これまでのJupiter、これからのJupiter――

──女の子のアイドルがメインの作品にライバルとして登場するJupiter、315プロの物語の主人公の一組でもあるJupiterでは描き方も違うと思います。

黒木:765プロがメインの時はわかりやすいライバル感を大事にしていました。Jupiterが登場する時に流れる音楽が、本当にわかりやすくライバルキャラなんですよ(笑)。

──裏表のない冬馬に比べると、北斗なんかは女の子にチャオって言っている時と、『THE IDOLM@STER Prologue SideM -Episode of Jupiter-』で手間のかかる事務仕事を引き受ける頼りになる年上な姿はだいぶイメージが違います。

黒木:そうですね、北斗が一番イメージが違うかもしれません。TVアニメ『アイドルマスター』ではちょっと面白いキザなお兄さんって感じでしたからね。実は裏でしっかりサポートしているんです。

原田:実務をやる人がいないですからね。315プロに入ってからはする必要がなくなるので、前日譚での姿はちょっと貴重かもしれません。

──劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』でJupiterの3人と765プロの天海春香がぶつかりそうになるシーンもJupiter側の視点で描かれました。

黒木:絵としては全く別の構図になっています。ここは見せ方を変える意図とかはそんなにないんですが。あの前後では実はこんなやりとりがあったんだよ、という感じで、そこが見られたのは個人的にも嬉しかったです。

──演出といえば、315プロの齋藤孝司社長の顔を見せない演出は、古典的ですが徹底していて面白いです。

原田:裸を隠していたビールの缶を動かしたら、奥に小さい缶があって大丈夫、みたいなのは基本ですよね。765プロの高木社長も基本は一緒で、何かで隠しているか顔は見切っているんですが。

黒木:齋藤社長がオリジナルなのは、発光するんですよね。神戸守さんが描いてくれたコンテに入っていたんですけど、冬馬がうわぁーって物理的に圧倒されるのがすごく面白くてそのまま採用になりました。


ダイナミックな表現に――ライブシーンでのこだわり

──ライブシーンでの男性アイドルならではのかっこよさの表現の工夫などはあるんでしょうか。

黒木:ノリは全然違いますね、特に前日譚のエンディングのライブシーンとかは。最初の「Alice or Guilty」のライブは、ライブハウスのステージをある程度リアル志向表現しています。エンディングの315プロ加入後のライブはもうちょっとイメージ映像っぽく派手に作っています。エンディングみたいなイメージ映像的な表現は今までの『アイドルマスター』シリーズのライブではあまりやっていないと思います。

原田:ライブハウスだとそんなに派手には動けないし、カメラもちょっと振ると天井を突き抜けてしまう中、ダイナミックな表現になっていると思います。

──現実でもDRAMATIC STARSの最初のリリースイベントでは、小さな箱での仲村宗悟さんの肉体の分厚さに圧倒されました。

黒木:やっぱり身体的な違いって大事なんですね。ゲームのデザインだと下半身が結構シュッとした感じで細身なんですよ。でもアニメサイドのキャラクターデザインは結構足大きくとか、男性的に指定していて、ダイナミックに見えればなと思っています。

原田:手も大きいんですよね。

黒木:先端を大きく見せるとパースを拾ったりした時に収まりやすくて見栄えがよくなるんですよ。

原田:よりダイナミックに見せることは考えていて、「Alice or Guilty」のライブも、厳密に言えば、本番中のステージは現実よりも広くしているんですよ。ライブ後に観客がはけて、ステージ上で打ち上げをやっている時がリアルなサイズです。そのあたりは、演出としての見せ方ですね。

──『THE IDOLM@STER Prologue SideM -Episode of Jupiter-』のアフレコでの声優陣の様子についても伺えるでしょうか。

原田:ゲーム関連での収録がどんな感じかは分からないのですが、Jupiterの3人が勢揃いして一緒にアフレコをすること自体はかなりレアですよね。アニメとしてはこれまで、掛け合いの機会は多くなかったと思うんですが、やはりチーム感を出すのがうまいというか、3人揃うとJupiter感があるんですよ。

黒木:3人が絶対同じ日に揃って、一緒に収録できることを最優先でスケジュールを組みました。

──齋藤孝司社長役の立木文彦さんも一緒に収録されたんですか?

黒木:そうですね。冬馬と掛け合いをするシーンがあるんですが、あそこは立木さんと寺島拓篤さんのテンションがどんどん上がっていって、想定より盛り盛りの演技になっていると思います。見ていて笑ってしまいました。


『アイドルマスター』である以上、外せないポイントは――

──DRAMATIC STARSの仲村宗悟さん、内田雄馬さん、八代拓さんがDRAMATIC STARSとしてTVアニメの収録に参加するのは初めてだったと思います。


黒木:DRAMATIC STARSの3人はまだ初々しさがありますよね(笑)。でもそれは、これから関係性を深めていくアニメの彼らにハマってるんじゃないかと思うんですよ。

原田:作品でも、事務所で出会ってユニットを組むことになってという状況ですからね。

──収録も進んでいると思うんですが、DRAMATIC STARSを演じる3人の空気感に変化のきざしはありますか?

黒木:ありますあります。とあるエピソード以降、段々なじんできている感じがはっきりあります。なので演じるキャストの皆さんのチーム感の変化とかも含めて、TVアニメを追いかけていってもらえたらなと思います。

──最後に、お二人がTVアニメ『アイドルマスター SideM』でこだわりたいポイント、見てほしいポイントを教えてください。

黒木:「理由(ワケ)あってアイドル」がコンセプトなので、その理由あって、の部分をしっかり描いていきたいです。ただアイドルの中には、結構重たい過去を持っている人もいるんですね。明るく描く人とシリアスな人のバランスをとりながら描いていきたいですね。

原田:アイドルの年齢にも幅がありますからね。僕はそうですね……なるべく明るく。重たい話も描きながらも、全体のカラーは明るく保ちたいと思っています。あとは、地道に、というか、いきなり大きなスタジアムでやる話ではなく、小さなところからだんだんステップアップしていく物語にしています。その積み重ねは、『アイドルマスター』シリーズである以上、外せないポイントだと思っています。

──ありがとうございました!

『THE IDOLM@STER Prologue SideM -Episode of Jupiter-』からつながる先の315プロの物語、TVアニメ『アイドルマスター SideM』は2017年10月7日よりTOKYO MX、ABC朝日放送、メ~テレ(名古屋テレビ)、BS11他にて放送、バンダイチャンネル、アニメイトチャンネル、ニコニコ動画ほかにて配信予定です!

[取材・文/中里キリ]

 
作品情報
■TVアニメ『アイドルマスター SideM』

【ON AIR】
TOKYO MX 2017年10月7日 土 23:30~
BS11 2017年10月7日 土 23:30~
群馬テレビ 2017年10月7日 土 23:30~
とちぎテレビ 2017年10月7日 土 23:30~
ABC朝日放送 2017年10月7日 土 26:29~
メ~テレ(名古屋テレビ) 2017年10月7日 土 26:39~
※放送開始日・放送日時は編成の都合等により変更となる場合がございます。予めご了承ください。

[INTRODUCTION]
できたばかりの小さな芸能事務所「315 プロダクション」。
そこにスカウトされて集まってきた男性アイドルたち。
元弁護士、元外科医、元パイロット──様々な前職を持ち、それぞれの想いを
胸にアイドルに転身した彼らが、トップアイドルを目指し、夢に向かって紡ぐ
新たな物語。理由あって、アイドル!

[STAFF]
原作:バンダイナムコエンターテインメント
監督:原田孝宏・黒木美幸
シリーズ構成:綾奈ゆにこ・菅原雪絵
キャラクターデザイン:田中裕介・飯塚晴子
総作画監督:田中裕介・吉川真帆
色彩設計:横田明日香
美術設定:藤井一志
美術監督:薄井久代
3D ディレクター:福田 陽
撮影監督:長瀬由起子
編集:三嶋章紀
音楽:EFFY
音響監督:濱野高年
制作:A-1 Pictures

[CAST]
・DRAMATIC STARS
天道輝:仲村宗悟
桜庭薫:内田雄馬
柏木翼:八代拓

・Beit
鷹城恭二:梅原裕一郎
ピエール:堀江瞬
渡辺みのり:高塚智人

・S.E.M
硲道夫:伊東健人
舞田類:榎木淳弥
山下次郎:中島ヨシキ

・High×Joker
伊瀬谷四季:野上翔
秋山隼人:千葉翔也
若里春名:白井悠介
冬美旬:永塚拓馬
榊夏来:渡辺紘

・W
蒼井享介:山谷祥生
蒼井悠介:菊池勇成

・Jupiter
天ヶ瀬冬馬:寺島拓篤
伊集院北斗:神原大地
御手洗翔太:松岡禎丞

山村 賢:河西健吾
齋藤孝司:立木文彦
ほか

>>アニメ公式ホームページ
>>『アイドルマスター アニメプロジェクト』公式Twitter(@imas_anime)

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