『プリパラ』「Mon chouchou」制作陣が語る制作秘話――「この曲はトリコロールそのもの」【連載Vol.8】

2014年の放送開始から今年の3月まで、約2年半放送されてきたTVアニメ『プリパラ』。本作は同名のアミューズメントゲームとのメディアミックス作品として、子供から大人まで幅広い年齢層に支持される作品となりました。そして現在も、前作の主人公である真中らぁらと、新たに登場した主人公の夢川ゆいのダブル主人公が登場する新シリーズの『アイドルタイムプリパラ』が放送されています。

そんな『プリパラ』を振り返る企画として、連載インタビューを実施！　作中のチームを演じた声優陣、チームソングを手掛けた作曲陣のインタビューをお届け致します！

第8弾の今回は、紫京院ひびき、ファルル、緑風ふわりのチーム「トリコロール」が歌う「Mon chouchou」の楽曲制作を担当した三重野瞳さん(作詞)、松井洋平さん(作曲)、酒井拓也さん(編曲)、矢鴇つかささん(編曲)の4人のインタビューをお届け！　今回も多くの貴重な制作秘話をお聞きする事ができましたよ！

　

トリコロールとして持つ魅力を楽曲にも落とし込めた「Mon chouchou」
――トリコロールというチームにどのような魅力を感じましたか。

三重野瞳さん(以下、三重野)：クールなひびきがファルルとふわりに挟まれて、内心動揺してそうなのに、澄まし顔でパフォーマンスしている姿が素敵です。

松井洋平さん(以下、松井)：ジーニアスがナチュラルとテクニークを結びつけ、最高of最高に相応しいチームの堂々たる姿。それは、それぞれに乗り越えてきたことがあることの自信であるような気がします。でも、観客がいるステージにおいては完璧な部分だけをみせてくれるところがたまりません！

酒井拓也さん(以下、酒井)：エピソード上ではワガママを言うひびきに2人が振り回されたり、時に支えたり。そういった人間的な一面が目立ちますが、いざアイドルチームとしてステージに立った時には天才ひびきの率いる圧倒的強豪チーム、その姿勢を崩さない。まさにプロフェッショナル。多くの人がこのチームの魅力にとりつかれるのも納得です。

――キャラクター・チームのどのような部分を曲に反映しましたか。

三重野：ひびきが求めてやまなかったものを持っている相手が、1人じゃなくて2人存在し、2人組じゃなく3人組になったというところがトリコロールのポイントだと感じました。なので、この3人でさえも、世界はまだまだ広い、可能性は無限大であると感じているんだよ、という部分を反映しました。

松井：歌としてはそれぞれの個性を少し意識しました。Aメロではふわりのナチュラルなやわらかさ、Bメロではファルルの技能の完璧さ、Cメロではひびきの派手な豪華さ、そして全体的にはトリコロールたるパリ感をメロディーで再現していくことを心がけました。

矢鴇つかささん(以下、矢鴇)：プリパリで人気を誇る実力トップクラスのチームの満を持した新曲ということで、とにかくこじんまりとした音楽にならないように、迫力だけでなく、優雅さ・チームとしての強さ・大きさを出来る限りサウンド面でも表現できるよう努めました。

――「Mon chouchou」制作する上でどんなところに意識しましたか。

三重野：この楽曲は詞を先に書かせていただいたので、結構、自由＆わがままに作らせていただきました。

松井：他のチームとの徹底的な差異を出さなければ……という部分です。難しくあると同時に自然に聞こえて華々しい……。「あ、これってトリコロールそのものだな」という気づきは自分自身に一晩で三度のリテイクを課しました。

矢鴇：一聴して異国の地を感じさせるような優雅な雰囲気を意識して制作しました。歌の合間にアコーディオンやフルート等を演奏したり、オーケストラ風な間奏を入れてみたりなどですね。

酒井：編曲を矢鴇さんからバトンタッチして受け取らせて頂いたとき、セクションが切り替わる毎に扉を開けるように世界が開けていくイメージがあったので、そういった面をサウンド面でもより強く表現できればと思い、かなり意識しました。


楽曲制作陣も3DCGライブには驚きと感動

――制作する上でこだわった部分や遊びを入れた部分、気に入っている所などを教えてください。

三重野：「Mon chouchou」というのは、『可愛い』というフランス語で、本来ならば男の子に使う言葉なのですが、音が素敵なのと、『種』の『しゅ』にかけたい気持ちで歌詞に使いました。普段プリパラの作詞をするときは、『女の子』を意識して書くのですが、今回はひびきもいるし、「男の子言葉でもいいかな?」と。

松井：イントロの3拍子の部分は「0-week-old」も意識してまして、好きな部分です。そしてBメロは、積み重なるように歌っていく箇所、ソロでは息継ぎ不可能なメロディーの連続感に拘りました。アレンジにも助けていただき、サビへの高揚感になっていると思います。

矢鴇：曲を貰った時点ですでに表情の豊かな楽曲だったので、それに合わさるよう細部や間奏等を作り込んでいきました。3連譜なオーケストラから勢いのあるアコーディオンのメロディへ繋がる間奏部分は個人的にとても気に入ってます。

酒井：セクションがBメロへ移り変わった時に世界が一気に開けるような感覚があって、この曲の一番サウンド側としてのアプローチで一番気に入っている部分であり、こだわった部分ですね。

――3DCGのライブ映像として劇中で観た感想はいかがでしたか。

三重野：ひびきがファルルとふわりをリードしているように見えて、ファルルとふわりがひびきを支えているようにも見えるパフォーマンスにグッときました。

松井：動きがここまでアクロバティックになるのも想像だにしていませんでした。でも足取りは無重力のように軽やか。いや、もう、「マジ？」からの歓喜です。

酒井：『友情』って、実際に友達同士で言葉にするには実はかなり照れくさくて、しかも発するには結構勇気のいる言葉ですよね。ですが、プリパラでチームを組むためには、必ずこの『友情』という言葉を友達同士で交わさなければいけません。

財閥の令嬢として生まれ、幼少期は自然と周りに人の集まる立場だった紫京院ひびき。しかし、ふとしたきっかけでそんな友達だと思っていた周りの人間全員に裏切られ、心に深い傷を負ってしまい、他人との友情というものを一切信じることが出来なくなってしまいました。

そのような心中を抱える中、ひびきが自らの足で探して出会った、ふわり・ファルルという2人の存在。あれだけ『友情』という言葉に拒否反応を示していたひびきが口にすることができた『ふわりとファルルの友情』は、きっと何ものにも代え難いぐらい本物の言葉だったと思います。

そして、満を持して披露されたあれだけの完成度の凄まじい3DCGライブ映像は、とにかく感動と祝福と感謝の気持ちでいっぱいでした。

初めて心から友情を信じることが出来た仲間とチームが組めたからこそ、きっとひびき自身もこれまでにないぐらい納得のいくライブが出来ただろうと思いますし、だからこそ、あれだけ聴衆の心を掴める完璧で感動的なライブをこなすことが出来たのだと思います。

――「Mon chouchou」の制作時に起こった出来事、苦戦した部分など、楽曲にまつわる制作秘話があれば教えてください。

三重野：フランス語をめっちゃ調べました。3人の実力と自信と華やかさを表しそうな単語をたくさんピックアップして、いろいろ並べ替えました。

松井：詞先でしたので世界観が完璧（明らかにイントロ用の歌詞があったり）で、さらに面白くできればと思い、サビ前の歌詞「つまり私、僕」のパートをあえて重ねて二声にしたり。最初マイナーコード曲を考えたなごりがイントロで、もっと華やかにとメジャーに変更しました。

矢鴇：今回は松井さんが作曲ということで、どのような楽曲が来るのか楽しみにしていたのですが、実際来た楽曲はかなり細かく楽器のフレーズ等も入っていたので、アイデアが湧きやすく編曲制作も楽しかったです。松井さんの仮歌もこれまた優雅で、ひたすら流しながら編曲作業をしていました(笑)。

――三重野さんは『プリパラ』という作品に携われて、スタッフ間の事や作品・楽曲に感じた魅力はありますか。

三重野：全ての女の子に向けて作品を発信する姿を尊敬しています。キャラ同士のやり取りや、生まれてくる気持ち、そして楽曲の中に込められたメッセージは膨大な量です。例えば、アイドルに全く興味を持っていなかったとしても、「その中のどれかひとつがきっとあなたの心を輝かせるだろう！」という思いが伝わってくるのが魅力です。


[文／イソベアラタ]

リリース情報
■Pripara Season.1 Blu-ray BOX
価格：35,000円＋税
Blu-ray6枚組
【収録内容】
シーズン1 第1話～第38話

■プリパラ Season2 Blu-ray BOX-1
価格：20,000円＋税
Blu-ray4枚組
【収録内容】
シーズン2 第1話～第26話（テレビ放送39話～64話）

■プリパラ Season2 Blu-ray BOX-2
価格：20,000円＋税
Blu-ray4枚組
【収録内容】
シーズン2 第27話～第51話（テレビ放送65話～89話）

　

作品概要
■TVアニメ『アイドルタイムプリパラ』

【放送情報】
4月4日放送スタート テレビ東京系6局ネットにて毎週火曜 ゆうがた5:55～

4月11日放送スタート BSジャパンにて毎週火曜 ゆうがた5:29～
※放送情報は都合により変更となる場合があります。

【スタッフ】
原作：タカラトミーアーツ／シンソフィア
アニメーション共同制作：タツノコプロ・DONGWOO A & E
監督：森脇真琴
シリーズ構成：土屋理敬
キャラクター原案：金谷有希子（シンソフィア）
キャラクターデザイン：原 将治
CGディレクター：乙部善弘
音楽：はまたけし
音響監督：長崎行男

【キャスト】
真中らぁら：茜屋日海夏
夢川ゆい：伊達朱里紗
虹色にの：大地 葉
幸多みちる：山田唯菜
南みれぃ：芹澤 優
北条そふぃ：久保田未夢
東堂シオン：山北早紀
ドロシー・ウェスト：澁谷梓希
レオナ・ウェスト：若井友希
他

【ストーリー】
小学6年生の「夢川ゆい」はアイドルになりたいと思っている「ゆめかわ」な女の子。でも普通の女の子がアイドルになるなんて夢のまた夢のお話。友だちにも「いつまで夢みてるの？」って言われちゃう…

そんなある日、自分たちの町にもアイドルテーマパーク「プリパラ」ができると知り、大喜び。そんなとき、ゆいの通う学校に転校してきたのは、パラ宿で神アイドルとして知られる「真中らぁら」。ところが、らぁらはシステムエラーでプリパラチェンジしても姿が変わらなくなっていた……。

新しいアイドルシステムにアップデートされたパパラ宿の「プリパラ」が舞台。はたしてゆいは、自分が望むアイドルになれるのか？そして２人はパパラ宿のプリパラをアイドルでいっぱいにすることができるのか?!

>>テレビ東京（アニメ公式HP）
>>エイベックス（DVD・CD公式HP）
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