映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』アスカ役 宮村優子さん×ミドリ役 伊瀬茉莉也さん、シンジの成長と父であるゲンドウの存在……おふたりが語る見どころ/BD&DVD発売記念インタビュー
2021年3月8日の公開から2年が経過し、遂にBlu-ray&DVDが発売となったアニメーション映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。アニメイトタイムズではその発売に際し、式波・アスカ・ラングレー役の宮村優子さん&北上ミドリ役の伊瀬茉莉也さんを対象とするインタビューの機会をいただきました。
記事中では直近で開催されたイベント「Blu-ray&DVD発売記念スペシャルナイト上映会」の感想にはじまり、今回新たに制作された特典映像「EVANGELION:3.0(-46h)」収録時のエピソード、『シン・エヴァ』自体の見どころを中心に作品にまつわるアレやコレを伺っています。
特に主人公である碇シンジの成長やそんなシンジの父である碇ゲンドウという存在について、おふたりが熱く語った一幕は必読です。ぜひチェックしていただき、この機会に再度『:序』『:破』『:Q』『シン・エヴァ』と物語を1から追いかけてみましょう!
今回のアスカはシンジの存在が希望になっている
――Blu-ray&DVD発売記念スペシャルナイト上映会が直近で開催されたかと思います。まずはイベントの感想をお願いします。
式波・アスカ・ラングレー役・宮村優子さん(以下、宮村):久しぶりのエヴァファンのみなさんを前にしてのトークでしたが、どなたも私の話を一言一句聞き漏らすまいとしてくださっている事がわかり、作品への愛の深さを感じました。
北上ミドリ役:伊瀬茉莉也さん(以下、伊瀬):私はエヴァファンのみなさんの前に立つ機会が公開時の舞台挨拶以来2度目だったので、先輩役者のみなさんが紡いできた作品の名や歴史に恥じぬよう、ヴィレのメンバーたちの代表として登壇したように感じていました。宮村さんのおっしゃる通りみなさんの作品への愛も感じましたし、感謝の気持ちをお伝え出来たらとも思っていました。
――では今回の特典映像「EVANGELION:3.0(-46h)」について。出演が決まった際や台本をチェックした際の心境はいかがでしたか?
宮村:どんな物語が描かれるのか気になっていたので、台本をチェックした時は『:破』から『:Q』の間の空白の14年にこんなエピソードがあったのかと驚きました。
この過去の部分が一部だけでも描かれるなんて、やっぱり凄いことじゃないですか。これまではご想像にお任せするしかありませんでしたし、私自身もアスカを演じる上で想像するしかなかった部分だったので、具体的なエピソードが明かされて本当に嬉しかった……!
伊瀬:まさかミドリにスポットライトが当たるなんて思いもよらなかったです。彼女の過去が描かれて、髪色がピンクになってしまった理由やアスカとの出会いも描かれますし、約10分という短い時間ながら本当に物凄い情報量でした。
――ヴンダーのクルーたちの日常の一コマが見られた事も印象に残るかと思います。
伊瀬:勝杏里さん演じる多摩ヒデキと懸垂しているシーンは、しっかりしろみたいな感じでミドリが多摩に軽く蹴りを入れていて、あの辺りのキャラクターたちの力関係が窺えて嬉しかったです。ミドリの強さや優しさが垣間見えたように思えます。
宮村:アスカとヴィレのメンバーたちとでは事務的なやり取りばかりなので、一緒に何かの作戦には従事しても触れ合うような機会はありませんでした。けれど今回のエピソードでは、ミドリとの出会いをはじめ映像になっていなかった部分を知ることができたので、私が想像していたよりさらに同僚として存在を身近に感じました。
この辺りの時系列で何があったかは特に情報がなかったので、『:Q』や『シン・エヴァ』の収録時は自分でこの空白を想像しながら演じていたんです。でもやっぱり、こういったバックボーンや絆があったとしても、結局アスカは慣れ合いを見せないんじゃないかって思える部分もありますね。こういった日常を目にして思う所はあるだろうけれど、みんなで何かひとつの目的を遂行する、それが第1だったんじゃないかなって思っています。
――キャラクターを演じる際に意識した点も教えてください。
伊瀬:現在のミドリが過去を回想していく構成だったので、幼い頃のミドリを演じる時は子供だけれど可愛い方向に寄せ過ぎないよう現在のミドリらしさを含ませつつ演じました。ナレーションの部分は、その当時を俯瞰して過去を振り返っていくような喋り方を意識しています。
宮村:アスカは『:破』から『:Q』に向かうまでに14年もの歳月が流れているので、心情が段階的に変化していったのではないかと想像しました。
今回描かれたミドリとの出会いは空白の14年の割と最初の方とのことだったので、まだアスカの中に熱い想いがある時期なのかもしれないと感じています。ここから『:Q』へ向かうまでの戦いの中でさらに変化があるかもしれませんが、この段階ではまだいつかシンジに会ったらぶっ飛ばしてやるっていう気持ちでいるのではないかと。だからそこまでの絶望に至っていないアスカを目指して演じました。
『:Q』の頃よりもアスカ本人はめちゃくちゃ前向きなんですよ。ゆくゆくはジャージのポケットに手を突っ込んだままシンジの前に現れてガラスを殴りつける訳ですが(笑)、この時点では「いつかアイツに会ったら」みたいにシンジの存在が彼女の中で希望みたいになっているようにも感じます。もうこの先の物語を知っているだけに、アスカの事を応援したくなっていましたよ。