新海誠監督作品でお馴染みの、コミックス・ウェーブ・フィルム背景美術制作スタジオに密着! 最新作『詩季織々』のあれこれを背景美術監督スタッフに聞いてみた
2018年8月4日(土)公開予定のアニメーション『詩季織々』。本作は、2016年に公開され大ヒットを記録した映画『君の名は。』を制作したコミックス・ウェーブ・フィルム(以下、CFW)による作品。
舞台となるのは中国の3つの都市で、日本でも生活のために重要な事柄として知られる“衣食住”に、交通手段を表す“行”と言う字を加えた“衣食住行”がテーマに据えられています。
作品はこの“衣食住行の”要素のひとつをはらんだ3つの短編で構成されており、それぞれ“食”をテーマに据えた「陽だまりの朝食」、“衣”をテーマにした「小さなファッションショー」、“住”がテーマの「上海恋」となります。
3つの短編からなる物語という点で『君の名は。』でもはやお馴染みとなった、新海誠監督の『秒速5センチメートル』を思い浮かべる人もいるかと思いますが、本作はまさしく『秒速』から影響を受けている作品。「上海恋」のリ・ハオリン監督が同作に感銘を受け、CFWに熱烈なオファーを送ったところからスタートしていることも特筆すべき点。
アニメイトタイムズでは、前回キャラクターの作画を受け持っているCFW荻窪スタジオに潜入しました。今回は、同社の売りとなっている背景美術を担当している市ヶ谷のスタジオを見学させていただきました!
また囲み取材にてそれぞれ個別に「上海恋」で美術監督を担当する渡邉丞さん、「小さなファッションショー」で美術監督を担当する小原まりこさん&友澤優帆さんからお話を伺っています。併せてチェックを!
細かなところまでこだわり抜かれた背景美術
ひとえに背景美術と言っても、その仕事はさまざま。簡単に言うなればアニメーションのキャラクターたちの生きる世界、空間を作るセクションということになるのでしょうか。現地の写真や実際に取材を行って緻密な世界観を形作っているそうで、後ろからその作業を見せてもらっているだけでも舌を巻いてしまいます。
本作でも、キャラクターたちの生活の場は多種多様多岐にわたります。今回制作風景を見せていただいた「小さなファッションショー」ならば、ファッションショーの会場であったり舞台となる広州の街並みや風景。「上海恋」なら上海で発展を続ける高層ビル群や取り壊しの進む石庫門など、そのどれをとっても一片たりとも妥協を感じられないクオリティ。
細かい葉の一枚一枚から木の幹に至るまでなど、そのこだわりようは見ているだけのこちらとしても、驚きのあまり口元が緩んでしまうほどでした。
囲み取材を実施した小原まりこさんと友澤優帆さんのデスクでは、画面を見てみると背景に色を塗る前の人物を置いたところが表示されており、より完成した映像に近い形で作業をしている様子でした。
渡邉丞さんのデスクでは、メインビジュアルやトレーラー映像で見られる上海の高層ビル群の絵が……!! あの一枚絵を担当されているそうで、その制作には並々ならぬこだわりが!?
撮影のセクションは驚きの作業の連続
続いて上がってきた背景美術と荻窪スタジオなどで制作したキャラクターの作画をひとつにする撮影のセクションへ。絵を描いて作るアニメーションで“撮影”って、何をするんだろうと不思議に思うのは当然です。事実この記事を執筆している筆者も常日頃から不思議に思っていました。
この工程ではなんと、背景美術のセクションから上がってきた背景を3D空間上に配置します。背景美術のレイヤーがわかれたデータから木々や街灯、奥に見える川や橋、キャラクターたちが歩く道など要素ごとに元の絵の位置関係に合わせて配置。
そうして疑似的に三次元の画面を構成したところで、出来上がった空間上に作画のセクションで制作したキャラクターが歩く絵を置き、その動きに合わせて背景を動かしカメラワークをつけていくことで人物が歩くシーンが完成するそうです。
人物が歩いているところだけを見るとその場で足踏みをしているだけにしか見えないのに、背景の方を動かすことで歩いているように見えるなんて驚きです!
CGチーフとして新海作品を支え続け、「小さなファッションショー」がオリジナル作品としては初監督となる竹内良貴さんのデスクも見させていただきました。竹内さんは作業中のためお忙しい様子で、完成した画面のチェックを行っていたようでした。
見学していると撮影のセクションは、それぞれのプロフェッショナルが作り上げた画の素材をひとつにまとめる作業なのだなと感じました。これまで見学してきたものがひとつになる瞬間は、見ているだけなのに不思議な感動がこみ上げてきました。
渡邉さんの背景美術へのこだわりとは!? ビル群の作画は実際に見て描いている
以下より、見学前に行われた囲み取材の模様をお届けします。まずは、「上海恋」渡邉丞さん! 渡邉さんは新海監督の『雲のむこう、約束の場所』からCFWの作品に関わり続けている方で、『君の名は。』の美術監督のひとりです。
こちらのインタビューでは本作のCFWのプロデューサー・堀雄太さんも参加して、制作のこだわりや裏話が続々と飛び出すことに!
――最初に今回この作品に参加することとなったキッカケを教えてください。
渡邉丞さん(以下、渡邉):実は自分から手を挙げた訳じゃないんです。
堀雄太さん(以下、堀):『君の名は。』の制作後に本作に入ることは決まっていたのですが、なかでも「「上海恋」は構造物が多い……よし、渡邉さんだ!」というプロデューサー側の判断です!
一同:(笑)。
渡邉:ありがとね。
堀:いえいえ。
――では構造物の描写の多さで背景美術監督に抜擢されたということで、現実の街並みを魅力的に見せる工夫を教えてもらえますか?
渡邉:一番わかりやすい部分は光の印象をわざと大げさにしているところです。陰影の当て方もそうですが、角のハイライトを強めにして煌びやかにしてみたり。あと街並みを描くときは、ただ影や色味を同じにしてしまうと写真と同じになってしまうので、あくまで形だけをレイアウトとして追っています。
結局のところ、実写の風景や写真を見て現実より美しく描いているだけなので、特別な処理はやっていないんです。
――舞台が中国の上海になりますが、日本が舞台の作品と作業に違いはありましたか?
渡邉:日本とは物の配置や形とか雰囲気も全然違うので、考える時間が長くなる部分は多かったです。後は常にその物が身近にある訳ではないので、そういうところを確認しながら作業するというのは、今までに比べて時間が多くかかりました。
そういった資料は監督や制作の方に集めてもらって、それに沿って作業を進めて行きました。
――上海にはどんな印象を受けたのでしょうか?
渡邉:実際ロケハンに行って電波塔も見てきたのですが、やっぱり「スケールが大きいな」と。日本と同じような材料を使ったコンクリートや鉄筋の建物なんですが、規模というかサイズというか、幅がなんか違うなという印象です。
あと石庫門の部分は、逆に日本の下町よりも情報量がぎゅーっと詰まっていて、ちょっと心配になるようなごちゃごちゃ感がありましたね。
堀:僕らが取材でロケハンした石庫門は今では取り壊されてしまって、もう見られない風景になっているそうなんです。リ・ハオリン監督が元々そのあたりに住んでいらっしゃって、この物語の意図も、その風景をアニメーションで残したかったそうです。その取り壊しも大きいハンマーを持って、手作業で行っていたり……。
渡邉:色々と日本と違う部分が多かったので、カルチャーショックというか逆に勉強になることが多かったです。
――新海監督の作品は空の描写が印象的でしたが、今回上海の空を描く上でのこだわりや苦労はありましたか?
渡邉:もしかしたら、僕がメンバーのなかで一番空を描くのが苦手な人間かもしれないです(笑)。もちろん空自体が難しいというのはあるんですけれど、日本と向こうで空気感というか空気の層が違うところもあるのかなと。
後は作品の時期とロケハンに行った時期は違うからかもしれませんが、作中にあるようなモコモコとした雲は見ていないんです。とはいっても我々が描くのはアニメの世界なので、美しく魅せたかった。だから、ああいう風に意識的に綺麗な雲を描かせていただきました。
実際海外のみなさんの反応を見ると、「上海の空はこんなに綺麗じゃない」とか中国語で書かれていたりして(笑)。知り合いの中国人の子からもそういう話を聞いていて、やっぱり言われちゃうんだなと。わざと大げさに演出してはいますが、空が汚いっていう訳じゃないですよ。
――では制作していてここを見て欲しいみたいな部分はありましたか?
渡邉:後半で大きくなったシャオユとリモの歩道橋のシーンがあるのですが、リ監督から時間の経過を感じさせるように見せて欲しいというオーダーがあったので、印象に残っています。ふたりにとって大事なポイントで、個人的にもこだわりのあるシーンなので、ちょっとだけ注目していただけたらなと。
――CFWの作品ではそういった場面ではキャラクターの心情とリンクして美術や背景が描かれることも多いと思うのですが、本作ではどうでしょう?
渡邉:上手くいったか分からないのですが、ある程度シーンごとにキャラクターの心情に寄せて背景の色使いは工夫しています。
学生時代のシャオユとリモとパンが校舎の廊下で引っ越しについて話すシーンがあるんですが、シャオユとリモの何とも言えないもやっとした雰囲気を、画面全体をどよんとさせた形にして。外も雨が降っているので、しっとりと寂しいような感じになるよう挑戦しています!
堀:せっかくなので該当のシーンを確認してみましょうか!
<該当シーンを確認中>
渡邉:最終的な映像は自分も今初めて見たんですけれど、こうして音が付くと感慨深いですね。
――初めてご覧になったという事ですが、手ごたえみたいなものは?
渡邉:いやぁ(笑)。やっぱり絵ってどうしても際限がないので、見れば見るほどこうすればよかった、ああすればよかったって思っちゃいます……。
――このクオリティでもまだブラッシュアップできるところがあるとは……。
渡邉:いえいえ、お恥ずかしい限りです。
――こういった背景を一枚描くのにどれくらいの時間がかかるのでようか?
渡邉:平均的に割り出すと、早いものだと1日1枚は行けると思います。いつもは2日で1枚くらいですかね。しかし、宣伝で使われている上海の全景は、1週間近く時間を貰って描いています。
この上海の全景はやっぱり一番大変で、実はこの絵が一番最初に描いた背景でもあり、一番最後に描いた背景でもあるんです。
最初は美術ボードとして使う予定ですごく荒い段階の状態で描かせていただいたのですが、大事なシーンで使用したい話が上がってきたのでブラッシュアップしました。やっぱりこれが一番手が入っているというか、時間をかけています。
――ではこの絵の肝は?
渡邉:現地の方に一番言われたのは「こんな雲は上海にない」と言われた部分です。あと、奥の建物なのですが、実はほんの少し昔の設定なので今の上海と若干違います。そのあたりで現代じゃないんだなというところに気づいてもらえたらなと。
堀:現地では1年~2年で建物の見え方が変わってくるそうなんです。だから描いた当時は新しかったものが、今だともう違うと言われてしまうんです。だから現在に合わせて新しい建物を「描き込んでくれ」と言われて「NO」と言ったこともありましたね。
一同:(笑)。
渡邉:やだって言ったもんね(笑)。
――背景美術を描くときの監督からの具体的な指示はありましたか?
渡邉:一番最初にボードを描いたんですけれど、ちょっと綺麗すぎると言われちゃったんです。上海は汚れがあったり傷があったりすると話はいただいたのですが、そこで情報量を増やすよりは今までのやり方で綺麗に魅せたいとお願いしました。そうしたら監督から「でしたら、ぜひお任せします」と言っていただけました。
――過去と今とで時間軸が複数ある作品ですが、背景でそういった違いを見せる場面もあるのでしょうか?
渡邉:まずひとつは時代が変わることによって情報量に違いがあるところ。あとはなるべくい大人になった世界の方を若干彩度が低めで大人しめの色使いにしています。子供の頃のほうが夕方であったり昼間であったり、大分キラキラさせていて。やっぱり淡い思い出と言うか、子供が大人になる事は出来ても大人は子供に戻ることはできなじゃないですか。
そういうところをイメージして差をつけています。後は未来の方をあえてより一層暗めにしたり、トーンを落としてみたり。
――そういったノスタルジーが作品のキーワードになりそうですね。
渡邉:実際に上海を見に行って単純に影響される部分もありました。先ほどと重複するのですが、情報量が多いので“色数”も多いんです。そこが現代日本との違いで、色々なものがあるという時間を、まだそこにおいてあるという印象を受けました。
ちょっとじーんと感じてしまったというか、まだこういうところが生きているんだなぁと。高層ビルに実際に上って撮影した時も、コントラストがすごいんです。眼下にはさっきまでいた石庫門が広がっていて……。かたや視点を上げると高層ビル群がみえるのは強烈でした。
堀:後は画一的でしたね。石庫門は上から見ると屋根が全部一緒だったりして、向こうを見ると同じようなビルが建っている。違和感ではないんですけれど、なかなか日本では味わえない雰囲気だったと思います。
渡邉:材質や時代も違う、でも同じものが並んでいる。屋根の色も形もほぼ一緒で。そういうところが日本とはちょっと違う刺激的な部分で。
――最後に「上海恋」は『秒速5センチメートル』のオマージュ作だそうですが、影響を感じたポイントは?
渡邉:やっぱり主人公とヒロインの意識と価値観のすれ違いの部分が一番大きいです。後はとある場でも職場の先輩がお話していたのですが、「夕焼け時に何かが起こる」というところです。
確かに新海さんの作品を見ると夕焼けや夕暮れ時にふたりの出会いや別れであったり、物語の大事なポイントが関わってくる。この作品でもそういう共通点を話を読んでいて見出しました。やっぱりちょっとシンパシーを感じますね。
――夕焼けも背景美術で作業をするかと思いますが、その点のこだわりは?
渡邉:リ監督も時間の流れを大事にしたいとおっしゃっていたので、ご期待に添えたかはわからないのですが、うまく画面内で表現できるよう工夫しています。
――ありがとうございました!
『言の葉の庭』で入社したおふたり、そのきっかけは……!?
お次は「小さなファッションショー」のターン! こちらでは本作で背景美術監督を務める小原まりこさんと友澤優帆さんにお話を伺っています。“衣”がテーマということで、キャラクターたちの性格を考えた部屋の小物や、初めて背景美術監督を務めた苦労。そして、『言の葉の庭』から入社したおふたりが、CFWに入るキッカケは必聴です。
――今回が初の背景美術監督と伺いました。おふたりで仕事の進め方について話をしたのでしょうか?
友澤優帆さん(以下、友澤)逐一話し合いはしていました。
小原まりこさん(以下、小原):トップモデルとしてバリバリ活躍しているお姉ちゃんのイリンは、家では可愛いものが好きみたいに想像とかしちゃったりね(笑)。対する妹のルルは大人しめで、裏方寄りの性格なんですよね。
友澤:それは喧嘩にもなるよなぁと思いました。
小原:お姉ちゃんが吹っ掛けるからね(笑)。
――ちなみにおふたりの担当分けはどのような形で行ったのでしょう?
小原:シーンごとです。
友澤:何か所か主要なところを描いて、それからふたりで分担しています。
――背景ではキャラクターの自室なんかも担当することになるそうですね。その際、背景美術の方が小物なども追加するそうですね。
友澤:イリンの部屋の小物を考えたのですけれど、自分の姉と重なる部分をイリンに重ねて見たりして、こういうものを置くかもしれないと想像しました。
すごくおしゃれな女の子という設定なので、「今どきのおしゃれな女の子は何を置くんだろう」と雑誌を見てリサーチしたり、雑貨屋さんに行ってアロマやオイル標本を見たり。
小原:イリンは私たちとかけ離れたリッチなトップモデルなので、その生活には想像の付かない部分が多くて……。手探りで進めていました。
――対するルルの部屋はどんなコンセプトで?
小原:私たちではなく別のスタッフの担当で、その方がすごく練ってくださいました。ルルは服飾系の専門学校に通っているので、布や服の教科書。作中で作っている服で使う布のサンプルがあったり、デザイン画があったり、服を作る子の部屋のイメージを徹底しています。
――ちなみに、取材にはどれくらい時間をかけたのでしょうか?
友澤:監督がどこをキャラクターたちのやりとりに使おうか考えるロケハンがあって、そこで作品で使う場所を絞った後に私たちが行きました。
小原:ここが出てくると聞くと、写真をたくさん撮影して……。ロケハンで重要なのが、壁や地面の素材感なんです。日本ではあまりない素材だったりするので、そういうところを写真に撮っています。
――舞台が中国になりますが、日本と違うなと感じたところは?
友澤:あまり地震がないからか、ビルの形がすごい不思議でした。これで倒れないんだと思わせる形だったり、規則的に並んでいると思ったらまた違うものが連なっていたり……。
小原:日本ではやらないけれど、中国ではやるみたいな建造物の構造です。看板の字は、社内に中国人のスタッフが居るので聞きながら作業しました。
――舞台となった広州にはどんなイメージを抱きました?
友澤:リゾート地だなと思いました。ほかに上海と北京にも行ったのですが、全然違うイメージの場所でした。
南国という感じで、リッチでおしゃれな町でした。私たちがロケハンに行く数か月前に竹内監督たちが行ったのですが、その頃からまた様子が変わっているそうです。建っているビルや地面のタイルが変わっていたり……。
小原:想像していたより緑も多く綺麗でした。監督から言われていたのですが、汚れたような印象は無くして洗練された町のイメージで描いています。
――監督からはどんな指示があったのでしょうか?
友澤:監督は何でもできるんです。撮影もCGも背景美術もそうですし、本当に何でもできる監督さんなので「これはどういう風に描いてどう使われるのか?」とかもその場で教えてくださって、想像も作業もしやすかったんです。
――美術監督をやってみてどうでしたか?
小原:これが美監の仕事なのかと、大変だなと……(笑)。
一同:(笑)。
小原:今までは軽い気持ちで先輩に質問していたんですが、美監となると後輩たちを背負い、作品を理解していくのが大変でした。
友澤:監督の指示を的確に後輩たちに伝えられているのかなど、情報が私たち止まりじゃないのが初の美監としてプレッシャーでした。
――伝えるっていうところでどんな苦労が?
小原:思っている以上に、自分がまずしっかり理解しないと誰かに伝えられないんです。これを教えないとあれは描けないみたいなところなんですが、最初は「イメージで描けるよね?」とふってしまったんです。
でも伝わらないと思い、自分で一回考えてから資料を用意したり組み立ててからお願いするようになりました。
友澤:まさにその通りです。自分で描くのではなく周りにこう描いてほしいと思っても、言葉だけでは全然伝わらなくて……。伝えるにはどうしたらよいか、勉強になりました。
――ではこだわったポイントを教えてください。
友澤:広州の街を忠実に再現しようとしています。行ったことのある人には「あそこかな?」と気づいてもらえるんじゃないかと思います。
――ではあえてアニメにするにあたって変えたところは?
友澤:やはりキャラクターを画面に置いた時に、邪魔になってしまうと思ったら取ったり逆にこれがあったほうが寂しくないかもと思ったら、全然違うところから持ってきたり。部屋の中でも外でも、街並みでもそういったところはあります。
小原:監督から「ここはキラキラした印象に」と指示されると、どんなシーンでもキラキラするような気持で頑張って描いています。あざとくなりすぎないよう美しく見える色を探したり、試行錯誤をしています。
――最後におふたりは同期入社と伺ったのですがCFWで仕事をしようと思ったキッカケはなんだったんでしょう?
小原:大学のアルバイトの求人ですね。
堀:僕が採用担当をやっていて、募集案内を手書きで書いて各大学に送ったのを見て貰いました。
友澤:当時はPhotoshopが使えない状態だったんですけれど……。
小原:先輩が優しく教えますって書いてあったんです(笑)。ほかの会社だと経験者求むだったんですけれど、「それならできるかもしれない!」って。それがキッカケです。
一同:(笑)。
――その頃から気が合うというか、ふたりともCFWに決めたのは同じポイントだったんですね(笑)。
友澤:ほかの会社だと基本Photoshopが使えないとダメだったんですが、でもこの会社は本当に丁寧に教えてくれて……。
小原:本当によかったです!
堀:『言の葉の庭』の時に新人として入ったふたりが、こうして本作の美監を任されるまでに成長してくれて、会社としてもとてもうれしいです。
――ありがとうございました。
[取材・文・撮影/胃の上心臓]
『詩季織々』作品概要
監督:リ・ハオリン、イシャオシン、竹内良貴
キャスト:
『陽だまりの朝食』坂泰斗、伊瀬茉莉也、定岡小百
『小さなファッションショー』寿美菜子、白石晴香、安元洋貴
『上海恋』大塚剛央、長谷川育美、中務貴幸
2018年/日本/カラー
配給:東京テアトル