アニメ『ゾンビランドサガ リベンジ』監督・境宗久さん×演出・佐藤 威さん×岡本泰知さん鼎談|監督が第2期で描こうとしたテーマ、そして演出スタッフ二人が今作から感じた印象とは【SAGA_R:03】
佐藤さんと岡本さんが手掛けた『ゾンビランドサガ リベンジ』3話は純子と愛の悩みを描きつつシュールな笑いどころも
――『ゾンビランドサガ リベンジ』で1話冒頭から1期同様の驚きの連続で。しかも2話では白竜さんがゲスト登場と、いきなりフルスロットル状態で。その後の3話では佐藤さんが絵コンテ、岡本さんが演出を担当されていますが、振り返ってみた感想や演出的なポイントを教えてください。
佐藤:「リベンジ」というタイトルに近い、これから訪れる壁やピンチをどう乗り越え、挑戦していくのかが始まっていくような話かなと。
岡本:佐藤さんのコンテを見ても、そこは感じたし、みんな結構、マジメに悩んでいるんだなと。純子や愛の悩みが描かれているし、しっかりと芯があったり、考えている部分も出していかなきゃいけないなと思っていたら、首がとれたり(笑)。まじめな部分を出しながらも、シュールな笑いどころも目立たせられたかなと思っています。
さくらと純子のシーンはシリアスさとギャグのギャップを意識
――監督からオーダーされたことは?
境:シリーズを通して、やることは同じで、ちゃんとドラマがあって、そこにフランシュシュのみんながあたふたするところが、第三者が見たら滑稽だったり、シュールだったりとするように落とし込めればいいなと思っていて。基本的には熱いドラマがあるので、フランシュシュ崩壊のピンチに対して、彼女たちがどう想い、どう行動するのか、気持ちの部分をしっかり拾っていけばいいなと思っています。
――佐藤さんは1期から携わっているので、信頼感もあるから任せられると。
境:だいたいノリはわかってくれていると思うし。3話なら屋根の上で純子が歌うシーンとか。
佐藤:そうですね(笑)。
岡本:あのシーンはさくらと純子はまじめに話しているのに、何でこんなに笑わせてくるんだろうと思いました。でも、ちゃんと見せなきゃと思って、2人の会話のシーンは芝居をしっかり入れさせていただきつつ、こけたり、首落ちるしというギャップの部分も出さなきゃいけないなって。感動的なシルエットに見せたいところは逆光でしんみりしたムードを作りながらも切り替わったらさくらの首とれてんじゃんって。3話ではそのギャップを意識しました。
佐藤:岡本君と作業をしている時に話したことは、シリアスなドラマ部分を見せる最中のコミカルの度合いで、コミカルにし過ぎると話の邪魔になってしまうし、何もないと物足りなく感じてしまうので、そのバランスをとって、芝居を作れたらいいねという話をしていたのを覚えています。
4話はフランシュシュが危機をどう乗り越えるかが見どころ。3話の伏線回収も注目!
――そして次回の4話は、3話から続くお話で、愛抜きでのライブに臨むフランシュシュ、そしてアイアンフリルに勧誘された愛がどんな結論を出すのか、など気になります。佐藤さんが演出を担当されている回ですが、見どころを教えてください。
佐藤:フランシュシュがこの危機をどう乗り越えるのかが一番の見どころですが、3話のところどころでその乗り越えるために必要な伏線を張っているので、その伏線をどう回収するのか、注目してください。
特にたえが仕込んでいる伏線に注目していただけるとより楽しんでいただけると思います。4話を見る前に3話をもう一度チェックしていただくもよし、4話を見た後で3話を見て、「ここが伏線だったのか!」と確認するのもよし!です。
若いスタッフとキャストは元ネタを調べるのが大変。まさかの2話のホワイト竜の曲に境監督が参加も!?
――今だから話せる裏話があれば教えてください。
境:2話で白竜さんのレコーディングを見させていただいた時、終わられて帰られる白竜さんを見送りながら感動していたら、僕とエイベックスの今福プロデューサーと作曲者の方の3人で、曲の最後に入るガヤをやることになったんです。
ブースに入って「イエー!」とやったら、「ちゃんと声が出ていないから、もう一歩前に出てください」と言われて。普段、アフレコのディレクションをしているのに、自分ではできないんだなと改めて思いました。ガヤの声は聞いても誰の声かほとんどわからないと思いますけど(笑)。早くフルバージョンで聞いてほしいです。
そういえば、作中のネタになっているものの威君は元ネタになったものを見まくったんだよね。
佐藤:3話で出てきた幸太郎の「アイアンフリルが来るぞ」は『ファミコンウォーズ』が元ネタで。あと純子が出演していた番組は『夜のヒットスタジオ』、屋根の上のシーンは『寺内貫太郎一家』など、元ネタを知らないことが多くて。
境:だから僕が「昔、こういうのがあってね」と説明するところから始めないといけないというギャップがありました。
佐藤:『フルメタルジャケット』風のカットも果たして伝わったのだろうかと(笑)。ハートマン軍曹が幸太郎のていでやっていたんですけど。わからない元ネタが多いのは確かです(笑)。
――アラフォー、アラフィフにドンピシャなネタばかりで。インタビューしたキャストさんもわからないネタが多いとおっしゃっていました。
境:でも宮野さんは『ファミコンウォーズ』のネタを一発でわかってくれましたよ。河瀬さんはワケがわからないでしょうね。「何で屋根の上でギターを弾いてるんだろう?」って(笑)。
岡本:3話のギターのシーンは、ギターをやっている友達のところに行って、動画を撮影させてもらって、それを見ながら修正していきました。
(C)ゾンビランドサガ リベンジ製作委員会