アニメ『ゾンビランドサガ リベンジ』紺野純子役 河瀬茉希さん✕星川リリィ役 田中美海さん✕SCOOP MUSIC 佐藤宏次さんインタビュー|1~5話の物語を振り返りながら語る楽曲制作秘話【SAGA_R:05】
ライトが歌った「命」のイメージは教会音楽。本物の小学生が歌唱
――リリィと対決したオーディション決勝でライトが歌った「命」は、唱歌で聞いたり、歌ったことがあるような懐かしい感じがありますが、どんなオーダーがあったのでしょうか?
佐藤:イメージは教会音楽で、聞きなじみのあるような。最初はP.D.(パブリックドメイン)の教会音楽を使ったほうがいいかなと思っていたのですが、結果アニメの中では誰もが知っている曲というイメージで作曲して貰いました。
歌はボーイソプラノの子を探していたら今福プロデューサーがリアル小学生を見つけてくれて。レコーディングの際には同席されていたお父さんと僕が同年代なので、「どうやったらこんなにいい子に育つんですか?」と盛り上がりました(笑)。
河瀬:小学生とは思えないような、のびのびとした歌い方ですごいなと思いました。
OP曲「大河よ共に泣いてくれ」は主題歌感とメンバーの想いがあふれる曲
――5月19日にOP曲「大河よ共に泣いてくれ」、ED曲「夢を手に、戻れる場所もない日々を」の両シングルがリリースされます。まずOP曲「大河よ共に泣いてくれ」のご紹介をお願いします。
田中:私が一番最初のレコーディングで、最初はキメキメに歌っていたんですけど、かわいく歌ったほうがいつものリリィらしくていいかなと。みんなは必死に歌っている感じですが、リリィはいつも通りに、でもカッコよさも出ているかなと思います。
1期のOP曲『徒花ネクロマンシー』とは違う主題歌感と2期感があって。「まだまだ、みんなで食らいついていくんだ」という想いもあふれていて、いいなと思いました。曲の最後で「SAGA」を6号から順に歌うところも好きで、みんなの声のハーモニーが素敵だなと思っていて、みんながどこを歌っているのか、すぐにわかるのでお気に入りです。
河瀬:レコーディングの時、ドリンクとして『特##』を持ち込んで怒られました。歌っていたらノドがかすかすになってしまって。「大丈夫? 休む?」と心配してくださって、「大丈夫です」と言いながらドリンクを飲んだら、「何、飲んでるの?」、「特##です」、「バカ! レコーディングの時は水でしょ!」って(笑)。
佐藤:自分からノドにダメージを与えながら歌わなくていいのにね(笑)。
河瀬:ノドの脂分も取ってしまう飲み物ということを忘れて、「今日は歌うし、いいダイエットになりそうだな」と。そのかすれ具合もいいアクセントになったんじゃないかな。「苦しそうに歌って」というディレクションだったし(笑)。
制作からデモまで半年も!? サウンドは90年代のイメージ
――制作サイドからはどんなオーダーがあったのでしょうか?
佐藤:細かいオーダーは特になかったのですが、2点ほどリクエストがあって、それがなかなかに取り入れるのが難しく時間がすごくかかってしまいました。何回もトライアンドエラーを繰り返して、最終的なデモにたどり着くまで半年近くかかりました。
河瀬:他の楽曲よりもレコーディングが後だったんですよね。
田中:1コーラスの段階でもまだ仮で。そんなに時間がかかっていたんですね。
――「徒花ネクロマンシー」は戦隊ものの主題歌、しかも昭和っぽさがありましたが、この曲は同じ戦隊ものでも最近の主題歌みたいな気がしました。
佐藤:90年代のイメージですね。オケヒット(オーケストラ・ヒット=オーケストラ全員で出す音で、サンプラーでよく使用される)も恥ずかし気もなく使っているし、シンセの音色やスネアなどのリズムとか、90年代によく使われていた音色をこれでもかと使っているので、音色での今感はないかなと。生でベースとギター、ブラスは録っているけど、ベースにいたっては機械的に無表情に弾いてもらっています。今回はロボットで戦ってみようと作曲の加藤裕介と話しながら作りました。
田中:宇宙で戦うフランシュシュみたいな(笑)。
ライブで初披露したED曲「夢を手に、戻れる場所もない日々を」のオーダーは「王道のアニメED曲」
――ED曲「夢を手に、戻れる場所もない日々を」はさわやかでED曲らしいですね。
河瀬:リリィの歌い出しがすごくて、先日のライブ(2月27日開催の『ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュ LIVE OF THE DEAD “R(リベンジ)"~』)で初披露しましたが、隣りで歌っているのを聞いたら更にすごさを実感しました。こんなに明るく、前向きになれる歌い方ができることは魅力的だと思うし、私にない要素だなと思いました。
またゆうぎり(衣川里佳さん)のハモりが途中で入ってくるメロディも素敵だなと。そこから1人ずつソロで歌っていくところも、みんな声質も歌い方も違うのに、きれいにつながっていって、全員で歌うところはきれいに重なっていて。ライブでサビを歌っていると自分の声がどこなのか、わからなくなるくらい、みんなの声と溶け合ったなと感じられて、すごく気持ちがいい楽曲だなと思いました。
田中:『ゾンビランドサガ リベンジ』の曲としては一番最初に披露した曲で、ライブで聞いてくださった皆さんは放送で流れるのを楽しみにされていたと思いますが、アニメで最初に流れたのはまさかの3話からという(笑)。
デモをいただいた時は歌い出しがリリィからだったのに驚いたし、スタートは音数も少ない中、段々と盛り上がっていく流れだったので、「すごく重要じゃん!」とプレッシャーを感じました。完成した曲を聞いてみたら、すごくさわやかで、フランシュシュが全員で前を向いて進んでいく姿が浮かんでくる楽曲だなと思いました。
――まさにアニメの王道ED曲ですね。
佐藤:オーダーもまぁそういう感じで(笑)。その匂いはしつつも、ちゃんと違うものにはなりつつ、いい感じの90年代感は出せたかなと思っています。思い返すと『ゾンビランドサガ リベンジ』の曲は今時点では90年代に寄っているかもですね。意識してはなかったけど、気付いたらこうなっていて。このED曲もOP曲も「激昂サバイブ」も「リトルパラッポ」も。
田中:皆さんの世代的にお好きなんでしょうか?
佐藤:好きと言うか青春時代の思い出値かな?(笑)。今回は全般的にオマージュ的なことをしていなくて、唯一「夢を手に、戻れる場所もない日々を」だけはオマージュと言う事ではないのですが、なんとなくモチーフをわかりやすく。と言いつつ、1期でも「特攻DANCE~DAWN OF THE BAD~」以外やっているつもりはないんですけど(笑)。
(C)ゾンビランドサガ リベンジ製作委員会