夏アニメ『魔法科高校の優等生』司波深雪役・早見沙織さんインタビュー|7年前の映像を観直しつつ、新たな気持ちで演じたい【カドコミ2021】
『劣等生』をもう一度観つつも、新しい『優等生』を作りたい
──『劣等生』を経て、このたび『優等生』がアニメ化されます。第一報を聞いた時の感想はいかがでしたか?
早見:びっくりしました! 『優等生』は、『劣等生』と同じストーリーを深雪視点で描く“裏面”のようなお話ですよね。「2014年に『劣等生』のアニメで描いたことを、2021年の『優等生』でまったく同じように描いていくのかな。どんな風に進んでいくのかな」とワクワクしました。
──7年前と同じ気持ち、同じテンションで演じることになるのでしょうか。
早見:同じ出来事の別側面を描いていますが、7年経っていますし、これまでのテレビアニメや劇場版を踏まえてもう一度原点に帰るという気持ちでした。どう頑張っても当時と同じ音をトレースすることはできませんし、今の私が感じるイメージを大切にしています。とはいえ、やっぱりアフレコの前には『劣等生』の「入学編」を観直しますね。
実は『優等生』と『劣等生』では、同じシーンでもセリフ回しが違っているところがあるんです。『優等生』のマンガ自体が言葉を変えているので、音響監督と相談して変えるところは変えたり、『優等生』ならではの味わいを残したりしてから収録に臨んでいます。ディレクションも『優等生』の監督の方針があるため、『劣等生』を踏襲しつつも新しいものを作ろうという心意気です。
──7年前の『劣等生』を見返して、改めて気づいたことはありますか?
早見:けっこう自由にやっていますね(笑)。その時々で感じたものをそのまま出しているので、振り幅も大きくて。逆に、ここ1、2年の私は少し演じ方を狭めていたのかなという思いも。原点に立ち返り、もっと肩の力を抜いて自由にやるのもアリだなと感じました。
──『劣等生』と『優等生』では、作品のテイストも違います。その点について、早見さんはどう感じますか?
早見:『優等生』では、クラスメイトのほのか(CV:雨宮天)と雫(CV:巽悠衣子)が登場するシーンが多いので、ふんわりした空気感ですよね。コミカルなシーンも多く、より親しみやすい作品になったように感じます。『劣等生』の序盤は、世界観などの説明が多くストーリーも重厚だったので、「同じ物語でも、視点や描き方が違うとここまで変わるんだ」という発見もありました。
──ほのかと雫と一緒のシーンが増え、女子同士の関係性も描かれます。3人の関係については、どんな印象をお持ちですか?
早見:かわいらしいですよね。ほのかと雫は幼なじみなので、すでに阿吽の呼吸になっていて。そこに深雪が入ることによって、暴走するほのかと彼女をサポートする雫という構図が際立つようになったのではないかと思います。見ていて楽しい3人ですね。
──アニメ序盤の見どころを教えてください。
早見:第1話はテロリストが出現し、深雪が単独行動で子どもを助けるんです。その時に深雪がどんなことを考えているのかモノローグで丁寧に描かれていて、物語がすごく立体的に感じられました。第2話は、高校の入学式が描かれます。『劣等生』と同じ流れですが、深雪視点になったことで印象がだいぶ変わりました。深雪がほのかや雫とどうやって知り合って、どんなふうに仲良くなって、家に帰るところでお兄様とどうやって合流するのか。『劣等生』では描かれなかったつながりがわかって、とても面白かったですね。
──『優等生』では深雪の心情も丁寧に描かれていますね。
早見:個人的には、そこがすごく面白くて。今回は深雪のモノローグがたくさん出てくるんです。ひとりで部屋にいる時に深雪が何を考えているのか、お兄様から離れている時にどういう思いで行動しているのかがわかり、深雪という人物の深みが増し、幅も広がったように思います。
──深雪を演じるうえで変わったことはありますか?
早見:ベースのお芝居は変わりませんが、世界観の解像度が上がったように感じます。『劣等生』のアニメを観返したり、『優等生』のコミックとアニメの台本を照らし合わせたりすることで、設定に対する理解がもう一歩深まったと言いますか。もちろん、はるか彼方にいらっしゃる原作の佐島(勤)先生の域には到底たどりつけませんが、作品の見え方もより精密になったような気がして。その分、深雪にもより深く入り込めるようになりました。