GUNDAM 30th Aniversaryで、古谷徹さんが語ったこととは――?『機動戦士ガンダム00 セカンドシーズン』BD&DVD発売記念イベント「Gフェスティバル2009」開催
戦争を題材とし、“モビルスーツ”と呼ばれる人型ロボットを兵器としたリアルな物語。MBS・TBS系列で放送されたTVアニメ『機動戦士ガンダム00 セカンドシーズン』BD&DVD発売記念イベント「Gフェスティバル2009」が、この春、開催された。
1979年、いわゆる“ファーストガンダム”として世に登場した『機動戦士ガンダム』のTV放送開始より30年。多くのファンの支持を集めてきた本シリーズも、通算12作目となる『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』は、前期シリーズとなる「ファーストシーズン」が2007年10月から2008年3月まで、後期シリーズとなる「セカンドシーズン」が2008年10月から2009年3月まで放送され、新たなガンダムの歴史を刻んだ。その記念イベントとなる「Gフェスティバル2009」は北は札幌から南は福岡まで、全国5大都市で開催。レポートは4月25日に行われた東京会場の模様をお届けする。
『機動戦士ガンダム00 セカンドシーズン』の思い出のシーンを上映とともに振り返りながら、キャストによるトークショーあり、アーティストたちによるライブありの充実のひとときを展開。このステージでファンにとっては気になっていた謎の(?)大型新人キャスト、蒼月昇さん(リボンズ・アルマーク役)の正体もこのイベントで明らかにされた。
「ガンダムという作品に関われたことは、人生の中でとても大きなこと」と出演者が口々に語る、イベントの詳細を以下に紹介しておこう。
●映像とともに振り返る『機動戦士ガンダム00』「キャストが選ぶ名シーン」より
沙慈・クロスロード役の入野自由さん、ルイス・ハレヴィ役の斎藤千和さんの司会進行で繰り広げられたステージ。最初のコーナーはキャストによるトークショーでイベントの幕が切って落とされた。
刹那・F・セイエイ役の宮野真守さん、ロックオン・ストラトス役の三木眞一郎さん、アレルヤ・ハプティズム役の吉野裕行さん、ティエリア・アーデ役の神谷浩史さん、ミスター・ブシドー役の中村悠一さん、マリナ・イスマイール役の恒松あゆみさん、フェルト・グレイス役の高垣彩陽さん、ミレイナ・ヴァスティ役の戸松遥さん、リボンズ・アルマーク役の蒼月昇さんと豪華キャストがステージに上がると、さっそく最初のコーナー「キャストが選ぶ名シーン」を繰り広げた。
1人3つずつシーンがセレクトされているのが特徴的で、自身の演じられるキャラクターの印象深いシーンの数々が映像とともに会場に示された。そのキャストのファンの方は、お目当てのキャストはどんなシーンを選ぶのであろうかと興味深く見守り、またキャラクターのファンの方は、お目当てのキャラの登場に喜びの声と時折笑い声もあがり大いに沸いた。
またシーンを振り返りながら、収録時のエピソードを紹介するなどステージ上のキャストもトークに花を咲かせた。残念ながら会場には来られなかった、スメラギ・李・ノリエガ役の本名陽子さん、アリー・アル・サーシェス役の藤原啓治さんはビデオコメントでこのコーナーに参加。名シーンも上映された。
とりわけ、藤原さんの演じるサーシェスには熱狂的なファンの方たちの歓声、笑い声が巻き起こる。サーシェス、ひいては藤原さんの人気の高さを感じさせるものとなった。
さらにトークは、『機動戦士ガンダム00』シリーズ監督の水島精二さんをお招きしてのコーナーも展開。ここでは、水島監督が作品の舞台裏を解説したのをはじめ、ファン注目の劇場版の進行状況の報告もなされた。
●ガンダムとは「生きた証」――。古谷徹さんのトークステージにガンダムの歴史を探った。
“GUNDAM 30th Aniversary”の象徴となったコーナーも1つ紹介しておこう。
“ファーストガンダム”と呼ばれる『機動戦士ガンダム』より30年。そのガンダムの歴史を著名なTVシリーズ、劇場版タイトルをダイジェスト映像で振り返りつつ、ステージ上にはガンダムの原点、『機動戦士ガンダム』アムロ・レイ役の古谷徹さんが登場して、当時の貴重な収録エピソードを紹介した。
『機動戦士ガンダム』より生まれた言葉“ニュータイプ”。人が宇宙に出ることによってこれまで用いられることのなかった脳が活性化されて目覚めた人類の新しい姿であることは、今でこそ広く知れ渡っていることかもしれないのだが、収録当時は古谷さんを始めキャストにとっては未知の世界。
例えば彼らが直感で物事を察知するときに生ずる電気が走った映像の演出については、詳細を知らされることなくアフレコが進んでいたという。その演出について、ある日古谷さんが「いったい何か?」と、当時の富野監督に問うたところ、そこで初めてニュータイプのことを知らされたのだという。
古谷さんが演出に気が付くことと、アムロが覚醒していくことを重ね合わせる狙いがそこにあったのだと、貴重な体験談を語ってくれたのがとても印象的だった。
そしてかの名台詞――。「殴ったな!親父にも殴られたこともないのに」も実演で魅せて会場をどよめかせた。
そんな古谷さんが語るガンダムとは「生きた証」――。力のこもった一言が会場の多くのファンの心にうったえかけるものとなった。
●勝利したのはどっちのチーム? 紅白チームに分かれてクイズ対決!
ゲームのコーナーでもキャストたちは会場を沸かせた。
キャストたちは、くじ引きでキャスト陣を紅白の2つのチームに分けてクイズコーナー「クイズお前にロックオン」を展開。出題されるお題に対し、ヒントをイラストで描く“ディフェンス”側と、そのヒントを頼りに回答する“オフェンス”側による対戦形式で、回答得点を競った。“オフェンス”側は、ヒントを寄せる“ディフェンス”側から1人ずつを指名(ロックオン)し、早く回答できれば高い得点を得ることができるというのが対戦の味噌となる。
宮野さん、蒼月さん、中村さん、恒松さん、吉野さんは紅チームに、高垣さん、神谷さん、戸松さん、三木さん、そして助っ人として参戦した水島精二監督が白チームに加わった。そして宮野さんと高垣さんがそれぞれのチームのキャプテンを務めることに。
結果は、1問目で40点の高得点を獲得した紅チーム。しかし白チームは1発正解でそれを上回る50点を獲得。続く2問目は、両チームともに1発正解をたたきだしたのだが、中村さんの描いた「仮面を外したブシドー」が、水島監督の一言「作品的にありえない」と減点の対象となり、最終的に白チームが100点VS40点で「クイズお前にロックオン」を制した。勝利した白チームにはお菓子のおみやげがプレゼントされる。
プレゼントといえば、会場のお客さんに贈られるプレゼント抽選会でイベントを盛り上げる。コミック本のセット、図書カード、ロマンアルバム、ムック本、プラモデル、福袋、PSP用、PS2用、PS3用、各ゲームソフトといったガンダムグッズと出演者全員のサイン入りポスターなどが会場の幸運なファンに贈られた。
●後半はライブパートで会場を熱気に包む。そしてフィナーレへ……。
休憩を挟んでの後半戦。
スペシャルライブのコーナーでは、横田はるなさんが「Mr. Lonely Heart」を、柿島伸次さんが「PLACES IN THE HEART」を、Tajaさんが「NO LIMITS∞」、「LOVE TODAY」を、宮野真守さんが「箱空」を、石川智晶さんが「Prototype」を会場に届けていくと、イベントもいよいよフィナーレの時を迎える。
ステージ上に再び集合した出演者たちからは、会場に集まったファンの方たちに向けて感謝の言葉が贈られた。そんな中、「重大発表があります!」と、声を上げるキャストがいた。謎の(?)大型新人キャストとして紹介された蒼月さんだ。
「今、正体を明かしたいと思います」とおもむろにサングラスをはずすと、その実体はなんと古谷徹さんだったのだ。もう会場のお客さんにはわかっていたことなのだが、あえて明かすことによって会場は大いに盛り上がった。
蒼月昇という名前で『機動戦士ガンダム00』に出演し続けていた理由を古谷さんは、「最初から古谷徹という名前を出してしまうとシリーズの展開において“何か特別なことがあるのでは?”と、影響を与えかねなかった」と説明され、あえて蒼月昇とキャスト表示していたことをここで明かしたのだ。本イベントでもステージに上がる時には蒼月昇、古谷徹とそれぞれ着替えをして、キャラクター分けをしていたのが魂を感じさせた。
そんな古谷さんから締めに語られた言葉は「機動戦士ガンダム00はファーストガンダムを超えた!!」。完成度の高い作品を送り多くのファンに愛された本シリーズと、作品を支え会場に集まったファンの人たちへの贈る言葉となった。
ガンダムワールドの主人公たちには、決してヒーローというべき人物は存在しない。ごく普通の少年・少女が、戦争に巻き込まれていく過程で、もがき、悩み、苦しみながらも戦士として人間として成長し、ニュータイプとしての覚醒を遂げていく。登場するキャラクターたちが等身大で描かれていくことによって、視聴者との距離も近い魅力的なキャラクターたちを生み出してきた。今日、さまざまな視聴者層の数多くのファンが支えているガンダムシリーズ。この日のイベントはそうしたガンダムの魅力を十二分に堪能できるひとときであったと言ってもいいだろう。