高橋美佳子さんのデビュー10周年を飾るライブ『高橋美佳子Live Princess』は初の生バンド演奏で集大成的なステージに！12月24日にはライブDVDも発売！！

　10月19日、東京・初台The DOORSにて高橋美佳子さんのライブ『高橋美佳子Live Princess』が行われた。8月にリリースされたミニアルバム『SUMMER PRINCESS』の発売記念ライブであり、高橋さんにとって初めての生バンドでのライブ。ライブが決定した時には「ミニアルバムの曲はすべて歌おうかなと思っています。もちろん過去の曲、皆さんが聴きたいだろうなと思う曲も歌うつもりで選曲しています。普段よりも曲数が増えそうですが、そこは何とか頑張ろうと。あと実は今回、私にとって初めての生バンドでのライブになるのですごく楽しみでワクワクしてます」と語っていた高橋さんだが、2000年発表のファーストアルバム『超プラドル』から約8年ぶりのセカンドアルバムで全曲作詞・作曲を手掛けた『sweet』をリリースし、高橋さんも活動10周年の節目の年を締めくくるライブ、そして集大成的なステージになりそうな予感。

●ライブで乾杯！？……いやいやそれは打ち上げで！

　ティアラを模したシンボルとライブタイトルがバックに映し出され、シンボルマークがプリントされたピンクのTシャツを着たバンドメンバー5人（ギター、ベース、ドラム、キーボード、コーラス）が現れ、高橋さんもピンクのドレスに銀色のティアラを頭に付けて登場。待望の“ライブプリンセス”の出現に否応なしに盛り上がる。オープニングナンバーは『SUMMER PRINCESS』の1曲目の「SUMMER JUMP」、2曲目の「☆キラキラ☆」と収録順に歌う。「SUMMER JUMP」で常夏の暑さを会場にもたらし、「☆キラキラ☆」では元気なワクワク感でいっぱいになった。

　最初のMCで「みんな、よく来てくれました！　盛り上がってますか？」と会場とのやり取りがあった後、「私がまさかな生バンドでやれるとは。藤岡さん、ありがとう！」と『sweet』、『SUMMER PRINCESS』のプロデューサーでこの日のバンドでもベースを担当する藤岡さんにお礼を言った。会場のファンと会話したり、コミュニケーションをとるのはいつものライブ通り。会場からは女の子の声もステージに届き、うれしそうな高橋さん「ありがとう。妖精さんのよう。でも幻聴じゃないよね（笑）」。

　3曲目はスカビートっぽい速いナンバーの「Love mail▼」（▼はハート）。4曲目は一転してジャズティストの落ち着いた雰囲気の「キミとボク」。夏を連れてくるお姫様を歌った「Summer Princess」はステージライトに照らされ、まぶしく、会場に熱気を運ぶ高橋さんにピッタリ。「好きな人」はミディアムナンバーと、この4曲はアップダウンが続くジェットコースターのようなブロックになっていた。

　夏らしい曲をいくつか歌った後、ドリンクを口にした高橋さん。「乾杯～！」と叫ぶと「ビール？」と問われ、「アルコールじゃないよ。さすがにステージでビール飲んだら、『なんだ、こいつ？』って思うでしょ！（笑）この夏、練習のかいあって、ビールが飲める大人になりました。でもライブに向けてビール断ちしてました。終わったら飲みたいと思います。皆さんも終わった後、おいしいビールが飲めるように。ライブで2キロくらいおとしちゃいましょう！」。

　次の曲、「あたしは犬」はCDでは冒頭とラストなどで高橋さんが犬の鳴き声も担当していたが、ライブでは「鳴き声をみんなでやってください！」とお願いし、練習をすると「動物園みたい。しかも犬だけ」と笑いをこらえるのに必死。また会場から手渡された犬のパペットを手にはめて、会場の「ワンワン」の声に合わせて動かした。

　女の子のかわいい気持ちを歌った「マニキュア」はキーボードのみの演奏で、「PINK」は彼氏にラブラブな気持ちが前面に出たウキウキソングと楽しい曲が続いたが、アコギのしっとりした演奏の後、黒とグレーの衣装に着替えた高橋さんが歌うのは出演していたアニメ『L/R』のED曲「願いのとき」。5年前に歌った曲で新境地を開拓したバラード曲をせつせつと歌い上げるとファンもじっくりと耳を傾けていた。歌い終わるといつものにかやかな表情に戻り、「衣装を替えてきました！　作ってもらったんですけど、最初のピンクの衣装がお花のプリンセスで、この衣装が月のプリンセスのイメージです」と説明。女の子から「似合ってるよ」の声に喜んでいると「俺も着たい！」の声に大爆笑。

●「自作曲を歌うなんて10年前には思わなかったです」

　「2007年の始めから自分で作った曲を形にしたいなと動き出して、去年の今頃、CDになるお話をいただいて。10年前にはまさか自分が作詞作曲して歌う日が来るとは思いも寄らず……」と感慨深そうに話し、「願いのとき」から他の人が作った曲で懐かしい曲を歌うコーナーに。「オトメロディ」は『おねがいマイメロディ』の主題歌で、「アハハでいきます～笑ウーマン～」と「恋のTreasure Land」はファーストアルバム『超プラドル』の収録曲で長く応援したファンにとっては想い出の曲であり、最近、ファンになった人でものれる曲の連続で盛り上がった。

　アップテンポの曲が続いて、呼吸を整えながら「ここが山場でした」と笑顔で話す。また声優のお仕事に触れ、「この秋の新番組では『魍魎の匣』と『ケメコデラックス！』を頑張っています。あと最近、初めてのお仕事をして。実は私、外画のアテレコをしたことがなかったんですけど、この間、『コールドケース4』のゲストキャラをやらせていただきました。大学生のチアリーダーの役で私もチアリーダーをやっていたので懐かしくて。デビューして10年の節目の年に初めてのお仕事をやらせていただいてうれしかったです。11月中に放送されると思いますのでぜひ見てください！」とお知らせ。更に「私がずっと大好きでよくイラストとかで描いたりしていて、出たかった作品にも出演が決まりました。まだ収録が終わってないので言えませんが……」とヒントを出してくれた。

　「トークライブと同じ感じでいっぱい話しちゃった」と苦笑いし、「じゃあ、曲に行きます」と言うとライブは終盤戦へ突入。「ショートカット」、「走れ」と『sweet』から2曲を駆け抜けると「みんな、盛り上がってますか!?　みんなの元気が私のパワーになる！　みんなとこんなにしゃべるのもうれしくて。『ぱよぱよ』の公開録音でもキャッチボールをしてるけど、こんなに距離が近いと一体感があってうれしいです」と喜びを言葉にした。そのまま「ライブを想定した作った曲です」と紹介した「EVERY」はアゲアゲのパーティソングでは会場と「every body、every every body」の大合唱に満足そう。

　バンド紹介のコーナーで一人ずつプレイヤーがソロ演奏したが、キーボードの方と最前列のお客さんが何と中学時代の同級生で十数年ぶりの再会という事実が発覚！　高橋さん自身「私のライブにハプニングはつきもの」と語っていたがこんなことがあるとは……。そして本編ラストは『sweet』でも最期に収録曲「恋風嵐」。ラストのフレーズは会場のファンを愛おしむように“…好き”とつぶやいた。

●アンコールはライブで人気の「空を飛べ」

　アンコールはライブで長年歌い続けて、『sweet』で初めてCD化した人気曲の「空を飛べ」。最高のドライブ感で気持ちよさそうに歌う。「この曲をみんなと歌えてすごく気持ちよかった。この歌には力があると改めて思いました」と話した。ここでこの日のために作った新曲「distance」を初披露。「8月の秋葉原のイベントで、六本木の駅のホームで仙台エリちゃんを30分待っている間に曲ができたとお話ししましたね。最初の歌詞の通り、恋人同士が見つめ合う映画のポスターを見て遠距離恋愛の歌が思い浮かびました。その曲をこのバンドメンバーが形にしてくれて。タイトルは今日、付けました」という曲は遠く離れた恋人を想うせつないナンバー。

　アンコールのラストは「みんなでもう一度、一緒に歌いたいなと。みんなの顔をちゃんと見ながら歌います」と1曲目で歌った「SUMMER JUMP」。高橋さんもバンドもファンもすっかり温まった状態でやる、この曲は1曲目よりも更にテンション高く、熱く盛り上がった。

　大きな「もう1回！」コールに応えて、ダブルアンコールの「空を飛べ」を歌い終わり、メンバーと一緒にあいさつをしてステージ袖に消えた高橋さんだったが、それでも消えぬ美佳子コールにもう一度ステージに現れて改めて、「今日は本当に来てくれてありがとう！」とお礼を述べて頭を下げた。1年という期間の中で『sweet』、『SUMMER PRINCESS』、の2枚のCDとライブをセルフプロデュースで作り上げていく過程は多忙な声優業と並行していくなかで困難を極めたと思う。しかし周りの人のサポート、この会場に集まったファンがこれほど高橋さんの歌を待ってくれていると想い、何よりも「私は歌が好き」という熱い気持ちで実現できたのだろうと、この日のステージと感動的なラストシーンを見て感じた。そして本格的な音楽活動の再開の年にこれだけのことを成し遂げてしまえば、高橋さん本人もファンの人達もより望むものが大きくなるはず。Live Princess、高橋美佳子の素晴らしき音楽ロードの歩みはこれからが本番だ。

　このライブの模様はDVD化が決定しており、12月24日（クリスマスイヴ！）の日にリリースされることが発表された。アットホームな雰囲気の中、繰り広げられた記念すべきステージの熱気と感動をもう一度！

＜SET LIST＞