第20回『声優の日』が開催!ゲストの大地丙太郎監督&ささきのぞみさんが7月から始まるアニメ新番組『くるねこ』の見どころを語る
アニメの情報発信拠点としておなじみの秋葉原・東京アニメセンターにて、毎月第3日曜日に開催されている名物イベント『声優の日』。MCの関山美沙紀さんとアシスタントの中島ヒロさんの2人が、毎回、声優をゲストに招き、トークやゲームを通して、それぞれの声優の魅力、そして声優という仕事の素晴らしさを伝えている。6月28日に行われた第20回『声優の日』のゲストは、アニメの監督・演出家として知られる大地丙太郎さんと、声優のささきのぞみさん。
●ブログ発の人気作『くるねこ』のアニメ化は話題がいっぱい
ささきさんの声優デビュー作が大地監督の『僕等がいた』のヒロイン・七美であり、その後も『おじゃる丸』や『夢をかなえるゾウ』など大地監督の作品へ出演し、交流が深いお2人だが、7月からスタートするアニメ『くるねこ』でも大地さんが監督、ささきさんが主題歌の作詞担当とタッグを組んでいる。放送開始直前に『くるねこ』の見どころや制作秘話が聞ける貴重な機会となった。
開演してMCの関山さんがゲストのお二人を呼び込むと大地監督とささきさんは猫耳を付けて登場し、大地監督の第一声も「我輩は猫である」と『くるねこ』にちなんだ、アクセサリーとごあいさつ。まず『くるねこ』についての説明があった。人気ブログランキング、イラスト部門で1位を獲得し、マンガも累計60万部突破の大ヒットを記録した人気作品のアニメ化。
小林聡美さんが登場する全キャラの声を担当し、プレスコ収録することも話題になっている。主題歌は椎名林檎さん、SPITZ、平井堅さんなどのサウンドプロデュースで知られる亀田誠治さんが手がけ、その曲の詞をささきさんが担当するとのこと。大きなプロジェクトになりそうだ。
●ささきさんの存在で監督を決断?
プロモーション映像を見た後、トークタイムに。「猫とのふれ合いが趣味」と語るほど猫好きのささきさんに大地監督も「むしろ猫と同化している(笑)。さっきちらっと出たOPの(猫が)後姿で歩く映像ものぞみをイメージしたんです。猫と同化したアニメにしたかったから」と秘話を語った。
「猫目線でも飼い主目線でも見られるアニメ作品です」(ささきさん)、「作者さんも同化してるよね」(大地監督)。ちなみに監督は当初それほど猫好きではなくて、「パイロットフィルムを作る時点で一度お断りしたんです。猫のアニメ作れるかな?(笑)。でも後でのぞみがいたらできるかなって」と思いつき、パイロット版制作の際は、ささきさんが全役と効果音などを担当されたそうだ。
●小林聡美さんはプレスコ収録で全キャラ+効果音も担当
また監督は「今、アニメを作っている人はSEを大切にしない人が多過ぎる。セリフと同じようにSEにもリズムがあり、それをないがしろにすると作品のテンポが出ない。このマンガもガリガリとか書かれている音も読まないと。小林さんにも全役プラス音もやってもらいました」と効果音へのこだわりを見せた。なお全役を担当することになった小林さんも「ひとり全役をおもしろがってくれた」とのこと。
プレスコ収録は各役者さんの間や個性を活かす上で有効な方法である上に、「役者さんの生のかけ合いを聞いて、『そういう作品だったんだ』とわかることもあって。最初の『十兵衛ちゃん』とか。(ささきさんが演じた)パイロット版を小林さんにやってもらっているけど、全然違うところもあるし」という効果もあると監督は話してくれた。
●ささきさん作詞の主題歌は「さわやかでホッとする曲」
『くるねこ』の中には“くるねこ愚連隊”と呼ばれる猫達が登場するが、ささきさんの好みは「美輪のもんさんが好きです。一番年上で年季が入ってて、王者の風格があって」。猫の魅力についてささきさんは「気まぐれだけど、嘘がなくて、来たい時は本気で来てくれるところがうれしい。犬はいつも全力なので、ときにはこっちも大変かなと(笑)」。そして以前、『おじゃる丸』の中で外人墓地の柵に挟まる猫のお話があったが、それもささきさんが監督に話した実話から誕生したというエピソードも披露。その猫役は唐十郎さんが演じたらしい。
●原作にオチを考えるゲームで監督が決めた優勝者とは?
トークに続いては“ねこねこクイズ”と題したゲームコーナー。まず猫に関する三捨択一式のクイズが出題された。猫の平均睡眠時間などが問題になったが猫好きを自称するだけあって、ささきさんの正解率の高さはさすがだった。
次は『くるねこ』の実際のマンガを使って、ラストのオチを考える企画。雨の中、どんどん走って迫る猫が連続で描かれた後のコマだが、監督やささきさんの絵のうまさに感心。中島さんの木の下に雨やどりで、関山さんが描いたドアップの猫の顔。ささきさんと監督は猫が雷雨にパニックする様子で一緒だった。
結局、監督が選んだ優秀作は関山さん。理由は「発想の貧困さがすごい(笑)」。このコーナーで描かれた作品はお客さんにサイン入りでプレゼントされた。
●『くるねこ』とアニメ製作の内側が垣間見えたイベントに
プレゼントコーナー後のEDでは、来場者からの募集した人生相談を紹介。長野県から来た方で「このイベントに来るために部活(陸上部)をさぼったら先輩が激怒してます。どうしたらいいでしょうか?」の相談に、「スライディング土下座かな。あとは私が謝りに行ったほうがいいかも」というささきさんに、監督は「呼吸を荒くして、秋葉原まで走ってきました。遠いっすね」というジョークの後で「失敗を上回る成果を見せること。僕も台本を書いていて、会議に遅刻したことがあって。遅刻したことをネタに1本作ったんです。遅刻もムダではなかったと」と逸話も明かし、イベントは終了した。
スタート直前の『くるねこ』が楽しみになるエピソードや、貴重なアニメに関するお話も聞けて、楽しくタメになった約1時間半のイベントになった。次回の『声優の日』は7月19日に開催。ゲストなど詳細は東京アニメセンターの公式サイトをチェック!