8月22日公開の話題作『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』の製作報告会見をレポート。主役の綾瀬はるかさんらが意気込みを語る
8月22日より全国東宝系にて公開される劇場用アニメ『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』の製作報告会見が6月11日、都内で行われた。本作はフジテレビ開局50周年作品であり、アニメーション制作はProductionI.Gが手掛け、サンライズなど有数のアニメスタジオも参加。武蔵野に実在する神社にまつわる伝説をベースにした物語で、人間達がほったらかしにした宝物でできたホッタラケの島に迷い込んだ主人公の遥が、無くなったお母さんの形見の手鏡を探すうちにいろいろな出来事に遭遇するファンタジック・アドベンチャー作品。
監督は『LOVE SONG』や『修羅雪姫』などを手掛けてきた佐藤信介さん。キャストはヒロイン・遥役に綾瀬はるかさん、遥の母に戸田菜穂さん、遥の父に大森南朋さん、遥の友人・美穂に谷村美月さんといった魅力的な役者陣に加え、沢城みゆきさん、家弓家正さん、松元環季さんも出演する。
●日本的なテイストと高クォリティで世界も視野に
会見には製作の亀山千広・フジテレビ映画事業局長、佐藤信介監督、綾瀬はるかさん、戸田菜穂さん、谷村美月さんが出席。最初にプロモーション映像を披露した後、亀山千広・フジテレビ映画事業局長からこの映画についての説明があった。「本格的な劇場用アニメは『ブレイブストーリー』に続いて第二弾になります。自分達の持ち味を活かすべく3Dアニメに特化して4年前から準備してきました。CGを動かすのはセルとは違い演出的な要素が違った意味で必要になるので実写映画を撮られて、なおかつストーリーを重視した脚本作りをする佐藤監督にお願いしました。作品の元々のベースが民話であり“モノを大切にしよう”ということなど極めて日本的で。新しいものと懐かしいものが一つになるのがいいなと。そして日本的なテイストと高いクォリティの作品を世界に持っていけたらと。フジテレビ50周年の集大成ではなく、節目であり、新たなスタートだと思っています」。
●自分が見たいと思っていた映画をアニメで
初めてアニメーション映画を手がける佐藤監督は「(アニメは)たくさんの人の手によって映像ができていくのである程度の部分まで計画を立てておかなければいけなくて」と実写との違いを感じつつ、「原作もないところからスタートだったので、予想以上に時間がかかりましたがその分、1カット1カットに想いが込められています。自分が見たいと思っていた映画を作るというのが幼い頃からの夢で。そんな夢を思い出せるような企画と巡り会えたことをすごく感謝しています」と笑顔で話した。
●今まで見たことがない新しい映像世界に驚き
今回のアニメーションではキャラクターを3D、背景を2Dという形で併用し、温かさを感じられる独特の質感を出していることが特長であり、見どころの一つだが、キャストの方々はこの日、初めて映像を見たとのことで、その感想を「初めて見る感じの映像だなと。続きが早く見たくなりました」(綾瀬さん)、「今日初めて映像を見せていただきましたがとても彩り豊かで自分が想像していた以上に楽しく、いろいろな驚きがあるアニメになると思います」(戸田さん)、「私自身、アニメーションが大好きで。お芝居をする上でも勉強になりますし、息抜きとしても見るのでこの先が気になりました。すごく温かみと夢のある作品になると思います」(谷村さん)と完成版への期待を隠さない。
●プレスコ方式とアフレコ方式のダブル収録
キャストの3人はプレスコ方式での収録は初めて。「私のこの声に合わせて素晴らしいクリエイターの人達が映像を作っていくことを考えると感慨深いものがありました」(戸田さん)、「声を作るというよりは自分自身のナチュラルなままの声でお芝居したほうがいいのかなと思って、のびのびと自然体でやらせていただきました」(谷村さん)、「絵コンテしかなかったのであとは説明を受けながらイメージでやるのが大変でした」(綾瀬さん)。綾瀬さんはプレスコ後も「もう1回映像ができた時にやりたい」とアフレコを望んだそうで、佐藤監督も「クォリティを上げていく作業の中で絵がどんどん新しくになっていくことに僕らも驚きがあるのだから遥にも驚きがあるだろうな」とアフレコが最初から想定内であったことを明かした。
キャラクター演じる際に気を付けたことは「遥は高校生ですごく元気な役なので明るく活発で天真爛漫な感じを意識してやらせていただきました。名前が同じなので愛着も一層増しました」(綾瀬さん)、「遥のお母さんはモノを大切にすることが大事だということを伝える役なのでやさしい心を持った女性を意識しました」(戸田さん)、「遥の友人役ということで声で二人の関係性が出るように演じました。しっかりした優等生なのでまじめな部分が声に出るように意識しました」(谷村さん)。
●見終わった後は楽しくて、ちょっぴり寂しい映画に
作品にちなんで「ホッタラケ(ほったらかし)にしているものは?」の質問に、「絵本の童話という100冊のセット」(綾瀬さん)、「昔大切にしていたアコーディオン」(戸田さん)、「中学時代に解けなかった数学の問題」(谷村さん)とキャストの方が答え、佐藤監督自身も「子供の頃に手作りで作った木の金庫」と話した後、「気付いたらなくなっているものって多いと思うんですよね。話のきっかけは遥が大事だったけどほったからかしにしてなくなったモノを異世界に取りに行く話にしたくて。こちらの世界ではたいしたものではないけど、あちらの世界ではとても重要なものになっていて。それを取り返すために遥は死ぬような思いをするという。そんなことをバカバカしいくらいのスケールで見せられたらおもしろいんじゃないかと思ってやっています。それと子供の時、映画を観終わると作品の中の人達に会えなくなると寂しい気持ちになりましたが今、そんな映画ってないかなと。この映画を観て楽しんでもらった後にちょっと寂しさも感じてもらえたら」と意気込みを語った。
●ジャパニメーションのひとつの到達点を目指して
普通の女子高生がファンタジーの世界で繰り広げるアドベンチャーは楽しさはもちろん、日本らしい郷愁も感じさせる一大エンターテイメント作品になりそう。また第一線で活躍するスタッフ、キャストが結集し、アニメ大国・日本の最新技術を駆使した、「進化するジャパニメーションのひとつの到達点」をうたう本作だけに世界中からも注目を集めることは間違いなし。8月22日は世界のアニメの歴史が変わる日になるかもしれない。