『うみねこのなく頃に』ED曲「la divina tragedia~魔曲~」が9月16日にリリース! 作詞・作曲&歌唱を担当するJIMANGさんに直撃インタビュー!(後編)
現在、放送中のアニメ『うみねこのなく頃に』のED曲「la divina tragedia~魔曲~」が9月16日にリリースされる。
「la divina tragedia~魔曲~」の作詞・作曲・歌唱を担当するのはJIMANGさんで、2006年にメジャーデビュー後、シンガーソングライター、DJほか、Revoさん率いるSound Horizonではゲストボーカル、MCを担当するなど幅広い活動で人気のアーティストだ。
この曲はクラシックやオペラのような壮大さと、サビから一気に転調して速く激しくなるメタルサウンドが融合したサウンドに、JIMANGさんの重厚でエモーショナルなボーカルが響く。
詞の世界観も「登場人物の金蔵をイメージした」と語るように、心の闇や苦悩、狂気、悲哀が入り混じっている。作品の世界に留まらず、自身のメッセージも込められたという詞は深く、作品同様にその真意を読み解く楽しさもあるだろう。
そんな「la divina tragedia~魔曲~」のリリースを控えたJIMANGさんにインタビューを行った。その模様を2回に分けてお送りする。
後編となる今回は『うみねこのなく頃に』のED曲「la divina tragedia~魔曲~」とカップリング曲「蘇生伝」について、7月に開設したファンクラブ、そして今後の音楽活動の展望などを語ってもらった。
●「la divina tragedia~魔曲~」は"重厚"、"咆哮"、"狂気"、"哀愁"が融合したサウンド
――現在放送中の『うみねこのなく頃に』のED曲「la divina tragedia~魔曲~」を担当されていますが、作品自体はご存知でしたか?
JIMANGさん:前作の『ひぐらしのなく頃に』は知っていました。自分の曲には"ひぐらし"という言葉が結構使われているほど好きなので、『ひぐらしのなく頃に』という作品名を聞くたびに気になっていました。作品をチェックしてみると怖くて。しかも『ひぐらし』の次が『うみねこ』で、「このセンス、ヤバいんじゃないかな」と(笑)。
――作詞と作曲もご自身で手がけていますが、どのように制作していったんですか?
JIMANGさん:まず『うみねこのなく頃に』のストーリーをお聞きした後、ゲームもやったし、資料やいろいろな文献、ブログなど目を通しました。サウンドはサビに関しては「これで行こう!」と決めたものがあったんですが、フロンティアワークスの若林音楽プロデューサーから、"重厚"、"咆哮"、"狂気"というテーマに、「ED曲なのでしっとりとした哀愁を漂わせる感じ」というお題をいただいて。3つのテーマはいいけど、そこに哀愁も加えるとなると、「どうすればいいんだ?」と悩みました。メタルサウンドなので基本は176BPMという速いビートなんですけど、半分にすると88BPM。するとミディアムでバラードっぽくなるのでAメロはバラードにして、サビで倍テンしようと思いついて。メタルの世界ではある形かもしれないけど、自分にとっては今までにはないタイプの曲になりました。
●金蔵のイメージに、自分のメッセージも込めた深い歌詞
――歌詞は読み込んでいくと考えさせられますね。壮大な世界観で物語の謎と真実が同居しているような……。
JIMANGさん:サウンドよりも詞のほうが悩みました。金蔵さんのイメージで考えて。その割にはサビのキーがものすごく高いんですけど(笑)。90秒のTVサイズの中で世界観をドンと出さなければいけなかったので、歌詞は時間をかけて"金蔵"を掘り下げました。
戦後の動乱期、何もない状態から右代宮家を再興するためには命がけだったと思います。法に背くような危ない橋も渡ったかもしれないし。ある意味、狂気性がなければここまでやってこれなかったんじゃないかと。だから息子達に恐ろしい試練を与えるのもその現われではないかなって。
――"欲望"という単語が何度も出てくるところも金蔵の深層心理の中に広がる闇や業の深さを感じます。
JIMANGさん:作品の世界観は当然意識しますが、金蔵になりきってしまうと、今後自分がこの曲を歌っていけないので、自分なりのメッセージも込めました。金蔵ではないけど人生の厳しさや意味も伝えられたらいいなと。いわば金蔵のキャラを借りた、今の自分の言葉が入っている詞です。
――この楽曲のセールスポイントといえば?
JIMANGさん:サウンドアレンジはシンフォニックメタルと言っていい、今までになかった完全オリジナルができたかなと思います。テレビサイズの先が実は聴きどころで、よりいい部分も出てきますのでぜひCDで聴いてほしいですね。また近いうちにカラオケに入るそうです。アニメ制作現場では「さすがにあの曲は歌い切れないよね」と言っているという話も聞きました(笑)。あなたもチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
●カップリング曲は表題曲を超える「胡散臭さ」でスタッフもビックリ
――カップリング「蘇生伝」も『うみねこのなく頃に』の世界観を意識して作ったんですか?
JIMANGさん:そうですね。でも「la divina tragedia~魔曲~」よりも驚くかも。異様にテンションが高くてうすら熱くて、でも笑える曲で。怖い人が唐突にダジャレを言った時、笑えないみたいな、緊張と緩和の融合。ミキサーさんが初めてこの曲を聴いた時、「変な曲」とポツリつぶやいたという(笑)。僕もミックスダウンの時、思わず額から悪い汗がタラっと流れてきたくらいで。好き嫌いがハッキリ分かれるでしょうね。ただインパクトがあって一度聴いたら忘れられないと思います。
――詞は全編に渡ってワイルドでストレートなメッセージが詰まっていますね。
JIMANGさん:誰でも厳しい困難が待っているけど、そのハードルを越えれば何かが見えてくるかもしれない。そんな気持ちで書きました。歌詞はカッコイイけど、歌い方と雰囲気がちょっとね(笑)。でもサビはカッコイイですよ。Aメロでは"やらかして"ますけど。ファンの人はニヤっとするかもしれません。「久々にやってくれたな」と。僕のファン以外の方でこの曲を気に入ってくれる人がいたら、かなりマニアックだと思います(笑)。
●開設したファンクラブ名に隠されたグローバルなメッセージとは
――さてJIMANGさんにとってのもう一つのトピックスといえばこの夏、ファンクラブが発足して、8月2日には発足記念ライブも行いました。ファンクラブを作ろうと思ったきっかけを教えてください。
JIMANGさん:ファンクラブ名は『BBM』で、"Boer Buddy Medicine(ブール・バディ・メディスン)"の略です。『地球初代大統領』の世界では地球のことをBoerと呼んでいて、「地球の仲間を癒す」とか、「地球の未来を祈祷する」という意味です。そんな意味の言葉を選んだのは音楽を通じて伝えたいのは「死ぬなよ。生きていれば何かあるから」というのが最低限のメッセージであり、そんな僕の意志を継いでくれる人、想いを同じくしてくれる人が集って、同じ時代を生きるものとして、「いい世界を作っていければいいな」と思って作りました。このファンクラブを通じて、よりみんなとコミュニケーションをとっていけたらいいですね。また年に1、2回、みんなで「今日はいいことしたな」と思えるようなこともできたらと考えています。『BBM』を通じて、おもしろいことをしていきたいです。
●力がみなぎるこの曲をぜひ大勝負の前に聴こう!
――今後の音楽活動の展開や希望などありましたら教えてください。
JIMANGさん:『うみねこのなく頃に』のED曲を担当させていただいた流れを踏襲してみようかなと思っています。メタルやハードロックなどの絵が見える音で行こうかなと思っていた矢先に今回のお話をいただいて、すぐにできてよかったかなと。今後は今までやってきたエンターテイメントなポップは意識しつつ、新しいサウンドに挑戦しながら、歌詞も妥協せずに自分が一生歌っていける曲を作っていきたいですね。
――最後に皆さんへメッセージをお願いします。
JIMANGさん:「la divina tragedia~魔曲~」を聴くとパワーが出ると思います。僕も聴くと肉食になっていくのを実感します。大切な勝負の前に聴くと勝つ気がみなぎってくるので、この曲を聴いたり、口ずさんでライオンになりましょう!
あと僕から皆さんに言いたいことは、わがままに生きられる人生を歩んでほしいなと思います。自分のわがままの上に親や恋人など大切なものの上を置いてほしい。人生は厳しいからパワーが必要で、「誰かのために」が先にくると負けてしまうし、自分を貫くことでむしろ人に優しくなれると思うから。多少のエゴがあったほうが人間的にも面白いと思います。だからわがままに生きましょう!
JIMANG「la divina tragedia~魔曲~」
9月16日発売
1,260円(税込)
発売:フロンティアワークス
>>JIMANG公式サイト
>>アニメ『うみねこのなく頃に』公式サイト