福圓美里さんと松崎亜希子さんの演劇ユニット、乙女企画クロジ☆の第10回記念公演『異説 金瓶梅』は関智一さん、生天目仁美さん、酒井香奈子さんが客演! 福圓美里さんにスペシャルインタビュー!!
福圓美里さんと松崎亜希子さんの演劇ユニット、乙女企画クロジ☆の第10回記念公演『異説 金瓶梅』が4月26(木)~30日(月祝)、東京・シアターサンモールにて行われる。
乙女企画クロジ☆は福圓さんと松崎さんの二人で結成された「二人劇団」で、10回記念公演は昨年震災の影響で公演延期となり、満を持しての公演となる。
『異説 金瓶梅』は『水滸伝』のスピンオフ小説『金瓶梅』を題材にして、クロジ☆流に大胆にアレンジした挑戦的な作品。客演は関智一さん、生天目仁美さん、酒井香奈子さんなど豪華声優陣を起用! 昨年上演予定だった脚本、演出を大幅にブラッシュアップした舞台になるとのこと。そこで乙女企画クロジ☆の福圓美里さんに、乙女企画クロジ☆の成り立ちや本公演の見どころを語ってもらった。
●「乙女企画クロジ☆」は公演活動の自由度を求めて二人劇団の形に
――改めて、「乙女企画クロジ☆」についてご説明いただけますか?
福圓美里さん(以下、福圓):2004年に結成した演劇ユニットで、私と松崎亜希子のふたりが舞台をプロデュースして、「女」と「虚構と生々しさ」をテーマに、公演ごとに違う作家さん、演出家さん、役者さんを迎えてお送りしています。足掛け8年で今回10回公演を開催することになりました。
――どうして「乙女企画クロジ☆」を結成しようと思われたんですか?
福圓:まず私が在籍していた演劇サークルでは各々が劇場を借りて好きな公演をするということをみんながやっていたことと、知り合いの役者さんから「劇団作らない?」と誘われたこともあって。私自身、舞台制作のすべてに関わって、ゼロから作ってみたいという気持ちも芽生えていた時期でもあったので、その子と私と松崎の3人で結成しました。言いだしっぺの子は初期にフェイドアウトしてしまい、それから二人三脚でやってきました。
――なぜ劇団ではなく、演劇ユニットという方法を選んだのでしょうか?
福圓:演劇界でもプロデュース公演という形が流行り始めた時期でもあり、劇団という形にこだわるとむしろ活動範囲が狭まってしまう気がして。また3人共、脚本を書けないので、いっそ毎回違う方にその時々にやりたいものを書いてもらってやったほうがいいかなと。
でも6回公演あたりから「乙女企画クロジ☆」の目指す舞台や方向性が見えてきたし、舞台を観に来てくださるお客さんも認識して楽しんでくださっているという感触も得たので、最近はプロデュースユニットという言い方をやめて、「二人だけど劇団です」と説明しています。私達の姿勢に共感して、協力してくれる仲間も増えましたが、人が増えると方向性もブレてしまう危険性もあり、あくまで舞台の責任は二人で負おうというスタンスから増員も考えていません。
●女性の劇団らしく魅力的な女性が輝ける舞台を!
――「乙女企画クロジ☆」の舞台の特徴を挙げるとすると?
福圓:派手なストーリー性や迫力のある戦いとかはないけど、とにかく人間をきれいに、丁寧に描きたくて。特に女性の姿ですね。でも、それだけだと飽きてしまうかもしれないので多少のファンタジー要素、例えばひとりだけ幽霊がいるとか、桜が枯れないお屋敷があるとか、時代を昭和に飛ばしてみるとかをエッセンスとして加えつつ、リアルな人間ドラマを描いてるのが特徴かなと思います。
あとは善人が出てこないことも徹底していて、ストーリーを動かそうとするとその都合で善人の役や行動基準が判らない役が登場しがちだけど、それはやめようと。それぞれの登場人物には目的があって、自分の利益や欲望に基づいて、それぞれが行動することで、お互いに作用し合ってドラマが生まれるという舞台を作りたいと思っています。
――リアルな人間ドラマを描くあまり、衝撃を受けるようなシーンもあって。初見で驚かれるお客さんも多いのでは?
福圓:そうですね(笑)。生々しかったり、荒々しいものをボンとぶつけないようには気を付けてます。あくまでエンターテイメントの枠は出ないように、またストーリーだけ追っても楽しめるように心がけながら、たまに生々しいものが飛び出すような。「コメディが観たい」とおっしゃってくれるお客さんもいますが、こういう人間ドラマをやりたくて続けている劇団なので(笑)。いつかはコメディをやったりする時が来るかもしれませんが、しばらくは今の路線で行きます。
――女性の視点で、女性の内面を描いた舞台なので、同性は共感しやすいでしょうね。
福圓:好き嫌いがハッキリしている舞台だと思いますが、女性のお客さんは「わかる、わかる!」と感想をくださる方が多いですね。男性のお客さんは「女性のこんな部分を見たくない」と言われることもありますが、「女性ってこんな面があるんだ」とか、「そういうところが愛おしく思う」と言ってくれる方もいたり、様々な反応があるので私達も楽しみにしてるんです。
日本では女性をメインにした舞台がまだまだ少なくて、女役といえば男性を立てて、けなげで、という典型的なヒロインや守られる女性像が多く、それに魅力を感じないんです。それを打破したいという気持ちもあってオリジナル作品を上演するようになりました。女性が魅力的に活き活き輝いて見られる舞台を作っているので、うちの作品を見た女性の役者さんから「うらやましい」と言っていただけることもあります。
●こだわりを追求した結果、多くの仲間とお客さんが支えてくれた8年間
――10回公演を迎えての感想は?
福圓:あっという間だったけど、濃密でしたね。ゼロからのスタートで、公演のたびにいろいろな方に教えていただいて、ここまで続けることができました。不器用で荒削りな劇団だけど、10回も続けると自分達なりのこだわり、こんなことがしたいというものがハッキリしてくるものだなと。賛同してついてきてくれるメンバーも増えたし、お客さんも「クロジだから観たい」と言ってもらえるようになって、頑張ってきたことに結果が伴ってきてとてもうれしく思っています。だからこそ、その期待を裏切っちゃいけないという責任感も一層強くなってきました。
――10回記念公演に『異説 金瓶梅』をやろうと思った理由は?
福圓:常にやってみたい演目というのは私の頭の中にあって、前回公演の『エンガワノクラゲ』の舞台袖で松崎に初めて話した構想だったので、まさかこんなに早く実現するとは思っていませんでした。私が思い描いた演目の中で一番ドラマ性が高かったのが『金瓶梅』で、記念公演だし、シアターサンモールという大きな舞台でやるのでピッタリかなと。
偶然、『金瓶梅』という作品を目にした時、すごく興味が湧いたんです。藩金蓮という女性が幸せになるために、夫もいるのに手段を選ばずに金持ちの元へ嫁いで、更にいろいろと画策、共謀する悪女ぶりはむしろすがすがしくて、それでいて物語を引っ張れて。ここまでの悪女を主役にしたこともないし、破綻している人間は時としてとても魅力的なのでおもしろいかなと思って。
――『異説 金瓶梅』がどんなお話なのか、簡単にご紹介いただけますか?
福圓:『水滸伝』のスピンオフ作品である『金瓶梅』をクロジ風にアレンジした作品です。藩金蓮という饅頭屋の妻がいるんですけど、時の権力者で大金持ちの西慶門で出会ったことで、「自分はもっと幸せになれるはず」と夢を描いて、罪を犯してまで西慶門の第五夫人に収まります。藩金蓮が屋敷の中でのし上がっていく様子と、そこから様々なことが起こって墜ちていく姿が描かれています。原作の金蓮はずる賢い女性ですが、クロジ版では賢くなくて、体当たりなんです。不器用で必死なところがうまく出せれば、愛されるんじゃないかなと。
――昨年、公演だった舞台を改めて今回やるわけですが、この1年の間で変わった部分はありますか?
福圓:実は延期前の最後の通し稽古の時、直したい部分が山ほどあったので、今回一気に手を入れました。一番気になっていたのが脚本上での、主役の金蓮を弁護するような部分で、彼女の行動に理由付けしたり、きれいに描いていたけど、今回はそういう部分は一切なくして、自分の欲望に突き動かされた結果ならむしろしょうがないだろうと、情熱的な方向にシフトして、より悪女らしさを前面に出しています。彼女の行動の理由は皆さんに肌で感じていただいて、エキセントリックさがかわいく出ればいいなと思っています。
同じく西慶門も一年前の脚本ではフワフワした遊び人だったけれど、バリバリ働いて、そのストレスを吐き出すために、女性達に自分の存在を求められようとしている、という設定に変わりました。この1年間、知り合いの遊び人と言われる人達に聞いて回って、リサーチして、でき上がった人間像なので、そこもリアルになったかなと思います(笑)。
前回の台本と大幅に変えたという感じではないですが、全体的にディテールを掘り下げて、より濃密な時間になるように作りました。ラストシーンの印象もだいぶ変わっているのでそこも楽しみにしてほしいです。
●豪華客演陣には珍しい役柄を。そして、よりリアルで深い人間ドラマが見どころ
――今作では関智一さん、生天目仁美さん、酒井香奈子さんなどを客演に迎えていますが?
福圓:なんせ6人の妻を持つ男の話なので、タイプの違う女性が必要だったんです。仁美ちゃんは第6婦人の李瓶児という重要な役で、やわらかい、母性を感じられる女性が欲しくて、彼女以外は思い浮かびませんでした。仁美ちゃんは声優としてはピリっとした気の強い役が多いけど、本人は女性らしく、少女性も持ち合わせていて、キャスティングしたらおもしろいだろうなと。仁美ちゃんも「こんな役やったことがない」と言ってたけど、本人の気質に近いと思っています。
香奈子ちゃんは若くて、かわいさに男性がまいってしまう、みたいな女性が欲しくて。またどんどんきれいになっていって、色気さえも感じられるようになって。それでいて嫌味のない、骨太っぽさがあるので必死に口説きました(笑)。
関さんは、劇団ヘロヘロQカムパニーに呼んでいただいたので、今度はうちのフィールドでやっていただきたいと思って、いくつかの男性役から一番汚れた大人の役をお願いしました。みっともない役をやってもらいたかったし、新しい関さんを見ていただけたらいいなと。関さんに合わせて脚本を書き変えたところもあって、あて書きに近いかも。
――ほかにこの公演の見どころを教えてください。
福圓:『金瓶梅』を舞台化すると話すと、どうしてもセクシャルなイメージが先行する作品なのでビックリされることが多いんです。でもクロジ版はもっと深い人間ドラマを描いた、まったく新しい『金瓶梅』になっていると思いますので、ぜひ身構えせずにいらしていただけたら。またシアターサンモールは前々回公演以来2回目で、以前は初めて大きな劇場でやるという気負いみたいなものがあったけど、今回は劇場のこともわかっているので、セットや演出などより素敵なものを作りたいと思っています。
●1年間お待たせした期待以上の感謝の気持ちで素敵なエンターテイメントをお見せします!
――最後にメッセージをお願いします。
福圓:1年間待ち望んでくださった方は大変、お待たせしました。心からお礼を言いたいです。前のチケットをお守り代わりに持っているというお客さんもいらっしゃったし、イベントなどでお会いした時も「『金瓶梅』を待ってます」という声をたくさんいただいて、本当に勇気付けられました。1年お待たせしたからには半端なものは出せないという気持ちがモチベーションを高めてくれて気合が入っています。ただひたすら、お客様に楽しんでいただけるように、満足していただけるように、誠心誠意、稽古に望みたいと思っています。まだクロジをご覧になったことがない方も10回記念公演なので、これを機に足を運んでいただけたらうれしいです。
★乙女企画クロジ☆第10回記念公演「異説 金瓶梅」
4月26日(木)~30日(月・祝)東京・シアターサンモール
全席指定4,200円(税込/前売り・当日共通)
前売り券はチケットぴあ、乙女企画クロジ☆公式サイトで発売中!
CAST
木村はるか(ヘリンボーン)
藤波瞬平
生天目仁美(賢プロダクション)
内田晴子(スターダス21)
あきやまかおる(カレイドスコープ)
酒井香奈子(尾木プロTHENEXT)
関智一(アトミックモンキー)
武藤啓太
波多野和俊
三原一太(はらぺこペンギン!)
西田幸雄(ピープハット☆プロデュース)
巣山孝幸
石川ユリコ(拙者ムニエル)
福圓美里(乙女企画クロジ☆)
松崎亜希子(乙女企画クロジ☆)
●『異説 金瓶梅』の福圓美里さんサイン入りチラシ プレゼント!
当選者数:2名様
応募締切:2012/4/12 12:00
内容:
4月26(木)~30日(月祝)、東京・シアターサンモールにて行われる、乙女企画クロジ☆の第10回記念公演『異説 金瓶梅』の福圓美里さんサイン入りチラシを、抽選で2名様にプレゼント致します。応募締め切りは、2012年4月12日(木)12時まで。当選者発送をもって発表に代えさせて頂きます。
※応募にはアニメイトTV会員登録が必要です。
>>乙女企画クロジ☆公式サイト
>>『異説 金瓶梅』の福圓美里さんサイン入りチラシ プレゼント ページ