真田アサミさんのシングル『小さな翼』が11月28日リリース! 自身初のセルフプロデュース&シングルへの想いを語る
真田アサミさんのシングル『小さな翼』が11月28日(水)に発売された。今作は自身初のシングルであり、2曲の作詞を手掛けるなど楽曲やジャケットをセルフプロデュース。また作家陣も『けいおん!』のED曲などでおなじみの前澤寛之さん、水樹奈々さんの『METRO BAROQUE』を担当した、やしきんさんが楽曲提供することでも話題に。
自分を支える人達への感謝の気持ちを歌った『小さな翼』、郷土愛と美しい情景を描いた『ここにあるから』、震災からの復興と希望のメッセージソング『ガレキニハナヲ』という3曲が収録され、心に響く1枚になった。
今回は当サイトで真田さんにインタビューし、シングル『小さな翼』を制作することになった経緯、故郷・長野への想いを語ってもらった。
シングルのコンセプトは青い空と長野の空気感
――このシングルを作ることになった経緯を教えていただけますか?
真田アサミさん(以下、真田):今、『真田アサミのどるちぇJam Session』というWEBラジオ番組をやらせていただいていますが、お話をいただいた時、最初に作品に関係なく、自由にやっていいよと言ってくださって。リスナーさんとの距離がすごく近くて、私が音楽好きなので音楽を絡めた番組にしたいと思って。
そこで交流がある音楽制作チームのF.M.Fさんに番組オリジナルのBGMをお願いしたら、「せっかくだからOPテーマも作ろうか」、「テーマ曲があったら歌を入れたいよね」と話が進んで。そうしたらシングルを出そうかという流れになって。でも今回、シングルになったのはそのラジオの曲ではなくて、まったくのオリジナル曲なんですけど(笑)。
歌うことは元々好きだったし、キャラソンもたくさん歌わせていただいていたけど、自分名義でオリジナル曲を歌うことはあまり頭になかったんです。でもチャンスをいただいたので、頑張ろうと。
――真田さんの名義でのシングルは初めてとか。意外でした。
真田:10年前に『デ・ジ・キャラット』の曲とオリジナル曲を収録したミニアルバム『First Step』は自分名義で出していますが、それくらいで。だから今回が私のソロでのファーストシングルです。だから自分で作詞に初挑戦したし、『けいおん!』などでお世話になった前澤寛之さんに作・編曲をお願いしたり、ジャケットのデザインコンセプトを考えて、絵コンテを切ってカメラマンさんに伝えたりと、セルフプロデュースさせていただきました。
――シングルを制作するにあたってのコンセプトやテーマは?
真田:シングルの基本コンセプトは空のイメージと長野の空気感を出そうと。2曲目の『ここにあるから』は特に長野の風景や景色が色濃く出ているかなと思います。
――今回、作詞も初挑戦とのことですが、大変だったのでは?
真田:自分がイメージする絵に合う言葉がなかなか思い浮かばなかったり、譜割に合わせることにも慣れていなくて、苦労しました。詞が何とかでき上がった後もプリプロで実際に歌ってみて、メロディと詞のハマり具合を確かめて、変更しなきゃいけなくなって、またスタジオで「う~ん」と悩んで。そんな私を、スタッフさんはアドバイスしてくれたり、じっと待ってくれて。完成するまで2カ月くらいかかったかな。こんなにじっくり制作してもらえるなんて幸せだし、みんなで作り上げた手応えも感じています。
●故郷・長野に関わっていきたい、その想いが現実に
――先日の公開録音で「I▼長野」(※▼はハート)のTシャツを着て登場したり、長野のオリジナルキャラの声を担当していたり、ここまで長野愛を前面に出している方とは思いもしませんでした。
真田:以前から自分の生まれた長野に関わる仕事がしたいとは考えていました。その想いが強くなったのは東日本大震災で。長野も被災地で、栄村も大きな被害を受けて、いまだに仮設住宅の方がいて。あまりクローズアップされないけど、そんな現状も少しは知ってほしいし、風化させたくなくて。
また過疎化が進んでいる地域もあります。こんなに素敵なところなのにもったいないという気持ちもあって。だから微力でも長野について知ってもらうお手伝いができたら、長野を訪ねてもらえたらいいなと。
そういう想いも知ってくれた『どるちぇJamSession』のスタッフさんが番組の中で長野をPRするコーナーを作ってくれて。そこまでしてもらったからには私自身も長野のことをもっと知らなきゃと知識も愛情も濃くなった結果が「I▼長野」のTシャツです(笑)。8月にイベント出演のため、長野に行った時、教えてもらって買ってきました。
――真田さんの希望が実現して、今では長野県上田市の振興やPR関係のお仕事もいろいろされていますね。長野のテレビや新聞にも登場して。長野が誇る声優ですね。
真田:それはちょっと言い過ぎですよ!(笑)。1年前にもっと故郷に根付いた活動をしていきたいと思って、具体的に上田市出身であることも公開したんです。そうしたら上田市真田のPRキャラ・ゆきたんこと、さニャだ幸村の声とキャラソン、上田電鉄別所線の存続支援キャラ・北条まどかの声と駅構内アナウンスなどもさせていただけることになって、すごくうれしいんです!
――真田さん以外にも長野出身の声優さんは、歌の中に故郷の原風景を入れたり、よく故郷の良さを話してくださる方が多くて。
真田:長野県人は郷土愛が深いんです! 初対面の人でも同郷だとわかった瞬間に握手したり、抱ようしたりして、「よし! 飲みに行こう」。そんなノリの人が多いです(笑)。
●「小さな翼」は自分の素直な気持ちを疾走感のあるメロディにのせた曲
――では収録曲についてお話を。まず表題曲の『小さな翼』ですが、「転んだとしても一人で起きるから ちょっと遠くでそっと見守っててね」や「流れてゆく空 きっとつながってる」など、故郷を離れて暮らす女の子の頑張る姿が浮かんでくる歌詞ですね。大切な人にあてた手紙のようにもとれるし、応援歌にも聴こえて。
真田:ありがとうございます! 聴いてくださる方が自分と重ねて、今日も1日頑張ろうと思ってもらえたらうれしいです。
実は私自身を描いた歌詞でもあって。自分自身いつも全力で頑張っているけど、応援してくれたり、支えてくれる人がいて。目には見えなくてもいつも繋がっていて、空もどんなに離れていても繋がっているから、全体的に空をテーマにして。
そして風などいろいろなものがないと自分ひとりで飛べないから「小さな翼」なんです。「ちいさな翼だけど 追い風受けて飛ぶんだ」の「追い風」は皆さんのサポートであり、「立てない時にはちゃんとSOSを出すよ いつもそこにいること ありがと」も素直な気持ちです。
――なるほど! 曲を聴いて、どこまでも青く、どこまでも広がる空が浮かんできました。
真田:よかったです。長野出身の人にはわかる空の色があって、それも聴いてくれる人が感じてくれたらいいなと思って。歌う時は長野の空を思い浮かべながら、そのイメージが伝わるようにと精一杯歌いました。
――サウンドも透明感のある美しいメロディと駆け上がるようなテンポ感が気持ちいいです。
真田:前澤さんに「爽快感と疾走感が欲しいです」とか「飛び立つ感じで」と希望を伝えたら、繊細できれいなメロディがあがってきて。更にアレンジで厚みのあるギターやストリングスが入ってスケールが大きな曲になって。サウンドに後押しされるように歌えました。
――あと聴いて思ったのは「あたしだけの宝石 磨いて大切にしなきゃ」など書く詞も、真田さんの歌声も純粋で瑞々しいんですよね。まるで10代のような。
真田:恥ずかしい。私自身がまだ大人になり切れていないからかな(笑)。当初のコンセプトに「80年代アイドル」というのもあったんです。だからこの曲の詞や私の歌い方などから懐かしさを感じてもらえたらいいですね。
――真田さんの等身大、すっぴんそのものの曲になったのでは?
真田:このシングルでは飾りたくないと思ったんです。キャラソンを歌う時のように仮面を付けるわけにもいかなくて。あと自分らしい歌い方って何だろうと悩んだり。こんなに自分と向き合う作業をしたのは久しぶりかもしれません。
●「ここにあるから」は生まれ育った故郷・上田の原風景を描く
――2曲目の『ここにあるから』も真田さんご自身が作詞されていますが、情景描写が多い歌詞ですね。
真田:最初に書いた歌詞は完成版と違っていました。『小さな翼』と似た世界観で、故郷の親友と再会したらという、私の昔話みたいな。でも、しっくりこなくて。タイムリミットがどんどん近づいて、焦るなか、ゆきたんのお話をいただいて。
また生まれ育った上田のことに絞って書いてみたらいいんじゃないとアドバイスもいただいたので、昔の写真などを見ていたら自分の育った環境や想い出がどんどん歌詞になっていきました。
1番は「小さなホームに滑り込んでくる懐かしい丸窓」など別所線のこと、2番は「さくらの城 アジサイの小路 りんご畑 高原の日差し」など、上田の原風景についてや、おばあちゃんとの想い出を書いています。そして大サビの「どんなに離れて過ごしていても心の中ではいつだってここにいるから」は私の想いです。
――真田さんの歌声の優しさとメロディの温かさと相まって、真田さんの故郷の美しさが目に浮かぶような、映像的な歌だなと思いました。
真田:景色や風景が浮かぶ曲にしたいなと思っていたのでうれしいです。実際に上田を訪れて、曲通りに場所であることを確かめてほしいです。そうしたら別所線に乗って、まどかちゃんの構内アナウンスも聴けますよ!
また聴いてくださる皆さん自身の故郷を思い出して、懐かしんだり、帰ってみようかなと思ってもらえたらいいですね。故郷を思い出したい時に聴く、みんなの「フォークソング」になったらいいな。
●復興への願いとリスナーを勇気付ける『ガレキニハナヲ」
――やしきんさん作詞・作曲の『ガレキニハナヲ』は東日本大震災から1年半経っても復興が道半ばであることを印象付けるような、テーマ性のある曲で。
真田:忘れたい人もいると思うけど、忘れてはいけないことでもあって。長野県も被災地であり、私自身、「頑張れ! 頑張れ!」と言葉に表すのは苦手なほうだけど、やしきん君から曲が届いた時、「歌わなきゃいけない」と強く思ったんです。
――重いテーマではあるけど、前向きな希望の歌なんですよね。
真田:瓦礫(ガレキ)の中から花が咲いている風景は、見る人に光や希望をもたらしてくれると思っていて、震災のことだけでなく、今、目の前にある壁や苦悩など聴いてくださる方が元気になったり、少しでも気持ちが前向きになってくれたらいいなと思っています。ただ私自身は震災と向き合う気持ちで、サビの“咲かせたいね 瓦礫に花”や「一面中綺麗にするんだ」など想いを込めて歌いました。
――ミディアム調のバラードで、真田さんの歌声ときれいなメロディに癒され、痛みが洗い流される、そんな1曲になったと思います。
真田:ありがとうございます。難しいテーマとメロディの曲で、私もくじけそうになりましたが現時点での想いを詰め込んだ、ベストは出せたかなと思っています。6分以上ある曲で、1コーラス目はピアノだけ、そこから音数が増えていくスケール感もありますが、6分なかったら成立しない曲だと改めて実感します。この曲を歌い切るにはすごくエネルギーが必要で、私にとっては戦いです(笑)。今後も長く歌い続けていきたいし、その中で曲も私も成長していきたいです。
●長野の青い空に白く広がる雲に清らかな真田さんが映るジャケット
――さてCDのジャケットですが、空の青さと雲の大きさが目を引きます。
真田:何よりも長野の空を撮りたかったんです。自分がいなくても空さえあればいいくらい。撮影前夜の天気予報が雨で、晴空じゃないと意味がないと、予定をずらしていただいて。「私は晴れ女」という根拠のない自信で予備日にかけました(笑)。
そうしたら、しっかり晴れてくれて。ちょっと雲が多めで、太陽が何度も隠れて大変だったけど、あの大きな白い雲が空といいコントラストになっていてよかったと思います。欲を言うと翼みたいな雲が欲しくて。ちょっと無理難題ですけど(笑)。
――そこで真田さんご自身が翼を付けているんですね。あと白一色の衣装、白いベールを広げた真田さんの姿は清らかですが洗濯剤のCMみたいだなと(笑)。
真田:私もずっと「ボールド!」と言いながら撮影してました(笑)。でもジャケット裏は大人っぽい表情でシックにキメて。同じ日に発売される『真田アサミのどるちぇJam Session』のDJCDのジャケットが元気でポップな写真になっているので、ナチュラルなこのCDジャケットと合わせて楽しんでいただけたら。
●長野に関わる仕事も歌もずっと長く続けて生きたい
――ライブではこのシングルの3曲を含めて、半分以上が新曲でした。シングル化されなかった曲もCD化を期待してます。
真田:私も期待してます(笑)。でも、まずはこの『小さな翼』をたくさんの方に聴いてほしいです。この秋、長野県に行ってイベントをやったり、曲を聴いていただいて、長野出身、上田出身の真田アサミをアピールしていきたいです。目標は長野のテレビやラジオのレギュラーゲットです! 長野のメディアにお知り合いがいたらぜひご紹介お願いします(笑)。北条まどかちゃんと、ゆきたんのことももっと知ってほしいです。
先日のライブに来られなかった方にも「来てください!」という、ありがたいリクエストもたくさんいただいているので、いろいろなところで歌を聴いてもらえたらいいなと思ってます。
――では、最後に皆さんへメッセージをお願いします。
真田:私が声優としてお仕事できるのは支えてくださる方がいるからで、何をお返しできるだろうとずっと考えてきました。そんな想いと、私のベースである長野の良さを伝えたいという自分のコアにあるものを今回形にできて、自分自身満足した1枚になりました。本格的なアーティスト活動はまだまだ始まったばかりですが、自分の想いや気持ちをしっかり伝えられるような歌い手になりたいです。
また今回のシングルで長野への興味を少しでも持っていただけたらいいなと思っています。長野に関わっていくことも、歌っていくことも私にとってはやりがいのある戦いです。そんな私の小さな戦いを、これまで同様、温かく見守って、支えてください。
◆『小さな翼』/真田アサミ
発売日:2012年11月28日(水)
価格:1,260円(税込)
発売元:F.M.F
>>真田アサミ公式ブログ