『Consolation』発売記念!Kalafinaインタビュー

アルバム『Consolation』をリリースするKalafinaロングインタビュー!

 「“自分たちがKalafinaという存在なんだ”と確信できた」(Wakana)──今年1月にデビュー5周年を迎えた梶浦由記プロデュースによる人気ボーカルユニット・Kalafinaが新作『Consolation』を3月20日(水)にリリース!

 通算4枚目のオリジナルアルバムとなる今作は『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [後編]永遠の物語』主題歌『ひかりふる』や、アニメ『Fate/Zero』2ndシーズンのOP『to the beginning』、NHK『みんなのうた』に起用された『moonfesta~ムーンフェスタ~』など全13曲を収録。3人の圧倒的な表現力が遺憾なく発揮された最高傑作となっている。

 「アニメイトTV」ではロングインタビューを敢行。アルバムの内容はもちろんだが、メンバー同士の溢れ出すような信頼感や結束感、いまのKalafinaの充実感も透けて見えるようなインタビューとなった。



●「自分たちの考え方が変わってきているのが見えました」(Wakana)

――素晴らしい傑作が誕生しましたね。今日はアルバムのことをたっぷり訊いていきたいんですが、まずはこの5年を振り返るところから始められればなと。

Wakanaさん(以下、Wakana):いろいろありましたね。3人で積み上げてきたモノがたくさんあるので一言では語れないんですけど、濃縮された5年間だったと思います。デビュー当時はミュージック・ビデオも撮らず、ライヴもやらず、レコーディングをして、ジャケット写真を撮っただけって感じだったんですけど、ライヴをやり始めて、今まで絵だった部分が3Dになって動き出したような2年目があって。

 アルバムを出させてもらった2年目・3年目・4年目があって、そのなかで自分たちにとってライブが大切なモノになっているということを改めて感じて。今まではKalafinaという自分達とは別物が独り歩きしているような感じがしていたんですけど「私たちがKalafinaという存在なんだ」と確信できるようになったというか。それが5年目。そう思えたのは、この3人で積み重ねた時間があったからだと思うので、初心を忘れずに6年目に突入したいなと思っています。

Keikoさん(以下、Keiko):Wakanaが話してくれたようにライヴを続けて来た事がとても大きく影響されたと思います。おかげでもっとやってみたい音楽や、やりたいこと、行ってみたい場所が増えたんですよね。で、そこで一つ完成したら、また次の景色を観たくなって……ずっとその続きで足を止めずにここまでこれたなぁと。

 自分たちの曲について話している時間や、一つ一つのお仕事や、練習している時間……いろいろなモノが“気持ち新たに”なれましたね。こういう場所(インタビュー)では振り返ることをさせてもらいつつも、気持ちは常に前を向いていきたいなと。

Hikaruさん(以下、Hikaru):とにかく早かったなぁという感じですね。いろいろな楽曲を歌わせてもらいましたが、まだやれることもあるだろうし、やりたいこともたくさんあって……5年間じゃ収まりきらないものがあるというか(笑)。「もっともっと!」って求めてしまうものがまだまだあります。だから今は「たった5年」って思いますね。

――いま3人が話してくれた前向きなモードは今回のアルバムに反映されていると思うんですけど、どんな気持ちでアルバムに向かっていったんですか?

Wakana: 今回収録されたシングル曲が全部違う色の楽曲だったので(アルバム用の)新曲が出来上がる前では私たちも最初はどんなアルバムになるのか想像がつかなくて。ずっとワクワクしていたような感じでしたね。

 そんな中でアルバムタイトルが『Consolation』に決まって、“慰め”って意味なんですけど、プロデューサーの梶浦さんが“慰め”は人の欲望と対比的に取られる事が多いけど、本当の“慰め”は「人が欲望を得るためにもがき、苦しみながら得た先にある」のではないかとおっしゃっていたんですが……最初にそれを聞いたときはとても深く、ひとことで語るにはすごく難しいテーマだと思いました。

Keiko:アルバムの制作が本格的に始まる前にこのタイトルが先に決まったので、梶浦さんは「どんな意味合いを込めているんだろうね」って3人でも話していたんですけど、やっぱり予想通り簡単な意味ではなくて。

Hikaru:今回私が歌ったパートはかなり激しくて。もがいていることを表現することが多かったんですね。ひとによっては「そういうところから慰めを求める場合もあるのかな」って私自身が曲から感じたこともあったので……。どこから慰めを求めるかはひとそれぞれだと思うので、曲を聴いて『Consolation』を感じてもらえたらいいなと。

──聴き手ありきというか、聴いてもらって初めて完成するアルバムなのかもしれないですね。

Keiko:そうですね。「一生懸命毎日を過ごしている皆さんがこのアルバムを聴いたときにどう響くのか」を大切にしたタイトルなんです。やっぱり「聴いて頂いた方それぞれがどう思うか」がいちばん重要なんです。

──梶浦さんと話し合われる機会って多いんですか?

Wakana:今回は特に多かったです。こちらからも積極的に話し合いの時間を設けてもらって。実は昨日もファンクラブの会報用(Fictionjunction CLUB)に対談していて、初めてなんじゃないかってくらいたくさん話を聞かせてもらいました。

──それは楽しみですね。話し合いの場ではどんな話題があがったんですか?

Keiko:梶浦さんがアルバムを作る上での気持ちや、どんな風にお客さんに聴いてもらいたいのかってこととか……更に掘り下げて話し合いました。私たちは梶浦さんが作る世界観を表現するというところからスタートして、当時は「どれが正しいのか」なんて分からなかったんですけど、ライヴを重ねていくうちに「観にきてくれるひとにKalafinaの音楽を発信することが使命なんだな」って思うようになって。最近はそれぞれの曲の持ち場も固まってきてクリアに打ち込めるようになってきたので、もっと曲について追及したいなと。

 特にKalafinaの場合、歌詞はストーリーに重点を置くというより、一枚の絵を画くように観る人が感じるままに解釈して下さい的な歌詞が多かったので、私たちなりの想いや感想も聞いてもらいながら話し合って、お互いの気持ちを確かめ合うような時間を多くとりましたね。

──Kalafina自身もクリアになりましたよね。充実感が漲っているというか。

Keiko:そうですね。堂々といられるというか、今は「これでいいんだ」って思えるんです。

Wakana:レコーディングやライヴのたびに疑問が生まれて、みんなで話し合ったり、反省会をしたりするんですけど……「これで良かったんだ」と言える部分が徐々に増えてきたんですよね。5年の時を経たからこそ、そういう言葉が出るようになったし、自信もできた。このアルバムについて話し合いをしたときも、自分たちの考え方が変わってきているのが見えました。

──それは今作を聴いても伝わってきます。その一方でデビュー当時のKalafinaの雰囲気を彷彿させるところもある気がしたんですけど、どうでしょう?

Wakana:実は今回のアルバムが完成したあとに“原点回帰”というワードが出てきたんです。梶浦さんと森さん(音楽プロデューサー)が「“Kalafinaってなんだろう?”って模索していたときの色が見える」っておっしゃっていて。初期の『oblivious』(2008年)の頃に表現したイメージを少し意識したというか。『空の境界』という縛りから離れて世界観を広げていった2ndアルバム『Red Moon』(2010)や前作の『After Eden』(2011)からは少し初期に戻した感じがありますね。

Keiko:Kalafinaとしての可能性を追求してきた4年間があったので、ちょっとだけ初期のころに戻そうって気持ちだけはあったみたいで。ただ曲を制作しているときはその曲をどう表現するかってことで精いっぱいでしたね。

──曲がシンプルになったことも“原点回帰”というワードに関係していると思うんですけど、そのあたりって感じられてます?

Keiko:そうですね。シンプルなものはよりシンプルにしようって話が出てたんです。ちょうど『木苺の茂みに』の制作中かな。

――『木苺の茂みに』をはじめ『Door』『満天』『ひかりふる』『夢の大地』……このあたりの曲は曲調こそ違うんですけど、どの曲もシンプルな作りですよね。サウンドが研ぎ澄まされたことで歌声がより際立って、3人の圧倒的な表現力が伝わってきます。

Keiko:ありがとうございます。ファンタジックな要素とか、ゴシック感とかある意味、大袈裟なメロディーやサウンドはKalafinaの本筋だと思っていますが、「木苺の茂みに」のような世界観は一緒なんですけどいろいろなものをそぎ落とした感じの曲もKalafinaの定番ですね。梶浦さんが制作中に言っていたのは「3人の声でKalafinaなんだよね」「だからシンプルにできるんだよ」と。3人のコーラスワーク、3人の声の違いも、私たちの面白さのひとつとしてみんなに届けたいなって思っていたんですけど、自分たちが意識してアプローチしなくても自然に出るようになったんだなぁと。梶浦さんの作る世界があってのKalafinaなんですけど、やっぱり声の力ってすごいなぁ、面白いなぁって思いましたね。

――なかでもミディアム・ナンバーの『Door』はそれをすごく感じますね。

Wakana:もちろんすべての曲は丁寧に歌っているんですけど、特に『Door』は最初に受けたインスピレーションのまま歌ったんです。「声を置いていくような感じで歌おう」って。それがそのまま反映されているのでそう感じられたのかもしれません。

――『Door』の歌詞に“夢”という言葉が出てきているんですけど、あちこちに “夢”“未来”“光”って言葉が散らばっていますよね。そこはコンセプトのひとつだったんですか?

Hikaru:そうですね。(楽曲を)繋げようという意識はなかったのかもしれないんですけど、『Consolation』というテーマがあったので、梶浦さんのなかで自然と一致するものがあったのかもしれません。曲と曲が繋がっているのは歌っていて感じていましたし、アルバムの特色のひとつだと思います。「あれ、でもこの曲とこの曲毛色が違うな」「この曲は繋がってるのかな」とか……いろいろ意見は出ると思うんですけど、それも含めて楽しんでもらえたら嬉しいなって。聴いてくれるかたの想いがあって曲が成り立つっていうのは、そういうことなのかなって思います。

――「聴き手あってのアルバム」と最初におっしゃっていましたけど、1曲目『al fine』の<君のために/Consolation>という言葉の通り、まさにそれがあっての今回のアルバムというか。

Keiko:そうですね。『al fine』は全部の曲の一部のワードをくっつけたoverture(序曲)で、「アルバムだから言葉遊びをしよう」って作ったものなんです。アルバム制作の最終日のMIXの確認曲がこの曲で、自分の事ながら感動しちゃって「すごく不思議ですごくオシャレ~」って思わずその場で言ってしまって(笑)。言葉にしてしまうと軽い感じがするんですけど、梶浦さんの作るKalafinaの世界観の幹の部分がブレてないからこういう曲ができるんだなぁって再確認しました。

 リレーみたいに3人の声が繋がっていくところもすごく気に入っていて。みんなには見えないんですけど、譜面だと一小節ずつがリレーになっていて、それにすごく感動したんです。「すごいな、これKalafinaらしい譜面だな」って。短編の曲じゃないとこの表現はできないですし、すごく良いovertureだなって思いました。

――トラックのボリュームが変化していくところも素晴らしいですよね。絶妙なバランスで。

Keiko:トラックダウンのときに“微かに聴こえる声”にこだわりました。梶浦さんと一緒に制作して、本当に少しの音のバランスで曲のイメージが変わっていくということを知りましたね。途中まで靄がかかっているから最後の<君のために>という言葉が映えるんですよね。そこからタイトル曲の『consolation』に繋がっていくアルバムのストーリー展開もすごくドラマティックで……。

 昔だったら全然気にならなかった、むしろ気づかなかった部分が理解できるようになると「なお大事に歌いたい」という気持ちになるんですよね。だからアルバムへの想いっていうのは、さらに濃くなっていくんじゃないかなって思います。

●「曲のなかからキラキラした部分だけじゃないモノが平行して見えるようになった」(Hikaru)

――そういうこともあってか3人の声がどんどん進化してますよね。とくにWakanaさんの声により深みが増したように感じたんですけど、どうでしょう。

Wakana:あ、本当ですか? ありがとうございます。実は今回のアルバムでは絞り出すよりも叫んでいるほうが多かったんです。特に『consolation』ではすごく叫んでいて(笑)。だからパワーを表現する部分では我慢しなかったんです。ただリズム的な事や我慢が必要な事も多々あって、前に行きたいけど後ろに引いていくような……オールを漕ぐような気持ちで歌ったり、そのギャップはありましたけど。

Keiko:新しいことをやったというよりも、やってきたことを出したというか、比較的ナチュラルに歌っている感じはありましたね。私もWakanaとHikaruの声の変化には気づいていて。……なんていうんだろ……2人の声に安定感が出たのが印象的だったんですよね。全部の曲に2人のしっかりとした芯のある声があって。リードのWakanaとHikaruに寄り添って歌っている立ち位置の私としては、とても力強く感じました。ライヴと並行して作っていたということもあって、常にパワーがあったというか。

――Hikaruさんの声も変わりましたよね。透明感のあるキラキラとした歌声のイメージだったんですけど、今作ではすごく力強くなっているというか。

Keiko:そうなんですよ。キラキラしてるし明るいのに、力強い。

Hikaru:ライヴを積み重ねてきたことで「可愛さのなかの強さを表現したいな」「キラキラしたなかにもっと芯のある強さを出したいな」とか新しいことを見出せるようになって。たとえば今回の『Consolation』のなかでは、最初は「かわいい雰囲気を表現したいな」って思った曲があったんですけど「ただかわいいだけじゃ面白くないな」って考えたりして……。曲のなかからキラキラした部分だけじゃないモノが平行して見えるようになったんですよね。そういうのも関係してると思うんですけど……。う~ん、自分の声を分析するのって難しいですね(笑)。

Wakana:私も『signal』でのHikaruの声がすごく良いなと思って。中毒になる声というか、すごく格好良くてドスンと押してくるですよね。メンバーでも知らなかった部分をアルバムで知れるっていうのは、すごく楽しいです。

――『signal』はこのアルバムのなかでも異色の曲というか。ダンスミュージックのようなデジタルなビートで攻めたてるエッジィな曲ですよね。中毒性が高くて、個人的にはいちばん好きな曲です。

Keiko:デジタルっぽいビートでシーケンスにもいろいろな音が入っているんだけど、メロディーは淡々としているという。今までになかった、ある意味シンプルな曲ですね。実は真ん中にある温かみのあるメロディーの部分は後からついたんですよ。最初は淡々としたラップともいえるメロディーで最後まで続いていく感じだったんですけど『Consolation』というアルバムを通して聴いたときに、もがいて、もがいて、もがいて……って感じだけじゃちょっとなっていうところもあって。「やっぱり救いの部分がどこかにあったほうがいいよね」って話になってレコーディングの最後に追加で録ったんです。制作期間が残っていたのでできたことなんですけど、アルバム制作はなにが起こるか分からないなぁと(笑)。

――温かなメロディーのあとに続く<空の蒼が/そのまま海に落ちていく/雨を運ぶ風の行く丘へ><遠く光る/銀色の雲呼び寄せて/澄んだ声で歌いだす>とKeikoさんが歌うブリッヂがあるとないでは、曲のイメージが全然違いますよね。このパートがあるからこそ救われるというか。

Hikaru:あそこはKeikoの声だから救われるんだろうなって思ってます。声に落ち着きがあるから包まれるというか、Wakanaとは違う包容力がありますね。

Wakana:『夢の大地』の最後の部分もそれを感じますね。<果てなく>というKeikoの言葉で締めくくられているんですけど、この言葉があることですごく安心して前を向けるというか。本当はその前にある言葉の<夢の大地>で終わる予定だったんです。

Keiko:これもレコーディング当日に急遽歌うことになって。私が歌うところって当日できることが多いんですよ(笑)。梶浦さんが常に「なにかもう一個ないかな」って考えているってことなんでしょうね。

Wakana:私個人的になんですけど、Hikaruの声で終わるときって「もうやめてくれ~」って位、気持ちをえぐられるんですよね(笑)。格好よさが浮き彫りになるような形で終わることが多いんですけど、私だとファンタジックで、非現実的に終わってしまうというか。だから私とKeikoで歌う<夢の大地>で終わっちゃうと「さよなら~」って消えていくような感じがしちゃうんです(笑)。リアル感と透明感があるのがKeikoの声なのかなって感じています。

●「新曲にはWakanaの声とHikaruの声の真逆さが出てるんです。すごく面白いですよ、一緒に歌ってて」(Keiko)

――NHKみんなのうたで放送されていた民族調の『moonfesta~ムーンフェスタ~』は、そんな3人のコーラスワークが活きた曲ですよね。Wakanaさんの清涼感のある声とHikaruさんのキラキラとした声、Keikoさんの芯のある歌声がすごく印象的で。

Keiko:『moonfesta~ムーンフェスタ~』は歌っていてすごく楽しいですよ。『consolation』のあとにこういう曲がくるっていうギャップも良いですよね(笑)。分かりやすく明るい曲が『moonfesta~ムーンフェスタ~』と『未来』なので、この2曲は目立つんじゃないかな。

――たしかに(笑)。タイトル曲『consolation』はすごく熱くてハードで、エネルギーがありますもんね。「むごたらしい」という耳慣れない言葉もこの曲だからこそ映えるというか。

Hikaru:この言葉はひっかかるように歌いました(笑)。

Keiko:「この曲はハードだから普通の言葉じゃ乗らない」って梶浦さんが笑いながら悩んでました(笑)。すごくドラマティックなメロディーとハードなサウンドなんですよね。サウンドだけ聴いたときに「なんてハードなんだろう。どこで息をつこうかな」って印象を持ったくらい。

 梶浦さんは曲のインスピレーションを歌詞に反映させるので“普通の言葉じゃない言葉”を探していたんだと思います。日本語でも英語でもないなって部分にはラテン語をはめて。いままでもラテン語が入っている曲はあったんですけど「ラテン語だと曲の響きに合うんだよね」っておっしゃってましたね。

――<Quo Vadis Domine?>の部分ですよね。曲の熱さとラテン語がピッタリとあってます。

Keiko:<神よ/どこへ来給う>って意味なんですけど、表題曲でもあったりするのでいろいろな想像が膨らむように梶浦さんが作ったんだと思います。最初は難しい言葉だなぁって思っていたんですけど、時間が経ってみたら実はすごく単純な言葉なのかなって。ひとは慰めや癒しを求めるために、常に欲があって「自分はこうありたい」って思いながら生きている。そういう欲求の塊を歌っているのがHikaru。「そのさきに癒しが待っているの?」と問いているのがWakana。すごく分かりやすいなと。

 いまアルバムが完成して1か月くらい経ったんですけど、梶浦さんと話したり、3人で歌ったり、1人で歌ったりして、やっとこの歌の意味が分かった気がするんですよね。(Wakanaに向かって)難しかったよね? この曲。

Wakana:うん。我慢しなかったので歌っているのは楽しかったんですけど、難しかった。分かりやすい部分と矛盾している部分があって、すごく人間らしい曲なんですけどね。

――“二律背反”というか。<諦めず手を伸ばす/欲深い心が/満たされて眠るまで/光に遠い道を>というラインにも表れている通り、何かを求める一方で癒しも求めている。でも実はそれってすごく人間らしいのかもしれないですね。

Wakana:梶浦さんは「慰めっていうか、逆だよね。欲なのかな」と。ひとは何かを欲するのが原動力となって動き出すから「ただ慰められるだけじゃ満足はしないよね」って。

Keiko:矛盾は誰しも持っている気持ちなんですよね。それを今は噛みしめて歌っています。3人で練習していくうちに「ライヴではもっとこう歌いたい」みたいな欲がどんどん出てきてる。

Wakana:Kalafinaも3人それぞれが何かを求めはじめてるんです。

――ライヴが楽しみですね。このアルバムはライヴだと違った響き方をする気がします。

Wakana:『ひかりふる』はアルバムだとハープと声から始まりますけど、ライヴになるとピアノが入ってくるので、それだけでも全然イメージが違うんですよね。シンプルなものほどライヴで変わる気がします。

Keiko:臨場感が違うと思います。生だと爆発するんじゃないかなって。新曲にはWakanaの声とHikaruの声の真逆さが出てるんです。1曲のなかでパートが分かれているのには意味があって、そこにメッセージがある。

 さっきも少し話に上がりましたけど、Hikaruは鋭さ、痛さ、弱さを「もうやめてくれ」ってくらい言葉でぶつけてくるんです。でもそれだと音楽的にも気持ち的にも厳しいじゃないですか。そこをガラりと変化させるのがWakana。切ないんだけど包み込むように歌い上げるWakanaの声で空気が一転して変わるんですよね。その瞬間が『Consolation』というタイトルに一致していると思うんです。どっちかじゃダメなんです。両方あってこその『Consolation』というメッセージなんですよ。……いますごく面白いですよ、一緒に歌ってて。ライヴになったとき、もっと声が聴こえてくるので曲のイメージが全体的に変わると思います。そこも含めて、楽しみにしてもらえたら嬉しいですね。


<リリース情報>
◆『Consolation』/Kalafina

発売日:2013年3月20日(水)
価格:
[初回限定盤A (CD+DVD)] 3,800円(税込)
[初回限定盤B (CD+Blu-ray)] 3,999円(税込)
[通常盤 (CD)] 3,000円(税込)

    初回限定盤Aジャケット

    初回限定盤Aジャケット

【収録曲】
01. al fine
02. consolation
03. moonfesta~ムーンフェスタ~
04. Door
05. 未来
06. 花束
07. signal
08. obbligato
09. 木苺の茂みに
10. 満天
11. to the beginning
12. ひかりふる
13. 夢の大地


<ライブ情報>
◆Kalafina "Consolation" Special LIVE 2013

2013年4月6日(土)東京都 TOKYO DOME CITY HALL

◆Kalafina LIVE TOUR 2013 "Consolation"
HALL ver.

2013年6月8日(土)東京都 中野サンプラザホール
2013年6月9日(日)東京都 中野サンプラザホール
2013年7月27日(土)富山県 高岡市民会館
2013年8月3日(土)大阪府 大阪国際会議場 メインホール (グランキューブ大阪)

LIVE HOUSE ver.
2013年6月22日(土)愛知県 名古屋BOTTOM LINE
2013年6月23日(日)愛知県 名古屋BOTTOM LINE
2013年6月29日(土)福岡県 福岡DRUM LOGOS
2013年6月30日(日)福岡県 福岡DRUM LOGOS
2013年7月4日(木)東京都 赤坂BLITZ
2013年7月13日(土)宮城県 仙台Rensa
2013年7月15日(月・祝)北海道 札幌PENNY LANE24
2013年7月20日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
2013年7月21日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
2013年7月28日(日)新潟県 NIIGATA LOTS


>>Kalafina OFFICIAL WEBSITE

[インタビュー&文・逆井マリ]

    初回限定盤Bジャケット

    初回限定盤Bジャケット

    通常盤ジャケット

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