佐藤聡美さん、丹下桜さん、阪口大助さん、angelaが被災地に音と愛を届ける! 『Sound&Voice~音を届けたい~チャリティーイベント』レポート!
声優の佐藤聡美さん、丹下桜さん、阪口大助さん、angelaが出演した『Sound&Voice~音を届けたい~チャリティーイベント』が6月9日、東京・銀座ブロッサムにて開催! 声優陣の朗読とピアノ演奏のコラボレーション、angelaのライブなど音と朗読の優しく温かいエンターテイメントが繰り広げられた。そのイベントの模様をお届けします!
このイベントは東日本大震災の被災地である仙台市出身の佐藤さんが「東北の子供達に生の音と声を届けたい」という願いに丹下桜さん、世界的なヴァイオリニストの川畠成道さん、ピアノの奏者の佐藤勝重さん、文化放送アナウンサーの長谷川のび太さんが賛同。昨年6月に『String&Voice~音を届けたい~チャリティイベント』を東京で開催し、秋には佐藤聡美さんの母校・常盤木学園にて同内容のイベントを行い、小中学生を招待した。
昨年に続き2回目となる今回は『Sound&Voice』と名前を改め、1回目と同じく佐藤聡美さんと丹下桜さん、ピアノ奏者の佐藤勝重さん、長谷川アナウンサーに加え、声優・阪口大助さん、ライブゲストにangelaを迎えた。
今回も長谷川アナウンサーが司会進行役を務め、当イベントをサポートしている文化放送・片寄好之取締役によるごあいさつ。被災地にてコミニュティFM設置に関わった思い出を語った後、音の持つ可能性を感じてほしいと語った。
本編はまず佐藤勝重さんがショパンの「英雄ポロネーズ」を演奏。演奏後に佐藤聡美さんが宮西達也さん作の絵本『おまえうまそうだな』を持ってステージに現れた。本を開くと、佐藤勝重さんがおどろおどろしい旋律を奏でる。恐竜の卵が揺れて割れる前の擬音で、「アンキロサウルスの赤ちゃんが生まれました」と明るく話す佐藤聡美さん。スクリーンにも絵本のイラストが。恐竜の赤ちゃんを見つけたティラノサウルスが「うまそうだな」と言うと、赤ちゃんは自分の名前がウマソウで、その名を呼んだ父と勘違い。肉食恐竜と草食恐竜の不思議な二人旅が始まった。佐藤勝重さんが朗読のためにセレクトした曲を演奏し、その音色にのせて佐藤聡美さんが時にハツラツと、時に熱く演じていく。ティラノサウルスとウマソウの別れも……。
この作品を選んだ理由について佐藤聡美さんは「絵本朗読の難しさや楽しさを考えるきっかけになった作品です。映画やアニメ化されたりして有名な作品ですが、私が朗読することで違った魅力を感じていただいたり、作品の素晴らしさを知っていただけたらとうれしいなと思って」。
また朗読するにあたって意識したことは「絵本は子供のために書かれているので、シンプルにわかりやすく伝えることが大切かなと。私が感じたまま、読ませていただきましたが、皆さんの中で想像を膨らませていただけたらうれしいです」。選曲した佐藤勝重さんは「最初はこの作品にクラシックの曲をどう付けようか、戸惑いました。いろいろな場面を考えて数曲ずつ候補を挙げた中からチョイスしました」。冒頭の卵が割れる時の音はオリジナルで作った曲とのこと。「私自身、ピアノの音が好きなんです。恐竜達の心情に合わせて、選んでくださったので、私も気持ちがのせやすかったです。想像していた以上の素敵な曲ばかりで、佐藤さんのピアノに助けていただきました」。
次に登場したのは丹下さん。朗読するのはこんのひとみさん作の『かあさんのこもりうた』。佐藤勝重さんが奏でるグリーグの「叙情曲集・アリエッタ」にのせ、“だいすき、だいすき、だいすきよ いつも いつでも いっしょなの ぼうやとかあさん いっしょなの”と優しくゆっくり歌い始める。母さんグマが子グマを抱きながら子守唄を歌うシーン。兄さんグマと姉さんグマはそんな弟グマをうらやましがりながら唄の途中で眠りについていた。幸福なシーンから一転、暗雲漂うピアノの音色。天災に遭った母さんグマが行方不明に。悲しみに暮れる子グマ達。その時に母さんグマの子守唄が聴こえてきた。母さんグマの子守唄をずっと聴いていたまねっこ鳥が歌っていたのだ。そして冒頭までしか聴いたことがなかった先の歌詞を知る。姉さんグマと兄さんグマと父さんグマへのメッセージだった。優しいピアノの音色が会場に響き渡った。
朗読後に丹下さんが絵本のあと書きを紹介。東日本大震災でお母さんを亡くした小学3年生の実話を元に作られたお話で、小学校に入学した時にお母さんやおばあさんがしたためたタイムレターが2年後、避難所に届き、そこには姉と兄へのメッセージもあったとのこと。丹下さんから明かされる逸話に会場もうなずく。
またプロコフィエスのバレエ音楽「ロミオとジュリエット」はシリアスなシーンで流れるが、某携帯電話のCMに使われていることから「リハーサルで初めて聴いた時、白い犬のお父さんのイメージが強くて、思わずぷぷっとなりそうでした」(丹下さん)と微笑ましいエピソードも。
ここで佐藤聡美さんとゲストの阪口大助さんを参加して3人での朗読へ。佐藤聡美さんの番組『ラジオ☆聡美はっけん伝』の構成作家の長濱貴一さん書き下ろしによる『ママのハムサンド』。
5歳のリュウはママが作るハムサンドが大好き。幸福な生活を送っていたが、ママが重病に。リュウはパパと一緒にママを元気にしようとハムサンドを作ることに。手作りのハムサンドと四つ葉のクローバーに小さく微笑むママ。そんな夜、リュウは不思議な夢を見る。ハムサンドマンと一緒にママの体内の病気を退治した。翌朝、目が覚めると元気になったママにビックリするパパ。「ハムサンドのおかげ」と喜ぶリュウだった。
佐藤さんは5歳のリュウ役、丹下さんはお母さん、阪口さんはお父さんとハムサンドマン、成長したリユの3役を演じた。
「最初読んだ時、3役なんだとビックリしました(笑)。最後がハッピーエンドだったので楽しくやらせていただきました」(阪口さん)
「イベントスタッフさんの子供の頃の体験を元にしたお話なんですけど、実際にハムサンドを作ったら食べてもらえなかったそうです(笑)」(丹下さん)
「リュウ君とハムサンドが一緒に病気をやっつけるシーンは胸が熱くなりました。皆さんが子供の頃に戻った気分で楽しんでいただけたならうれしいです」(佐藤聡美さん)。
ここでangelaのボーカル・astukoさんとギター・KATSUさんも呼び込んでのトークコーナー。東北のいい点を尋ねられた佐藤聡美さんは「人の温かさですね。あと食べ物も空気もすごくおいしいし。地元に帰ると時間がゆっくり感じます」。
そのまま東北にまつわる話題になり、
「プレイベートで秋保温泉や塩釜漁港、松島などに行きましたが素敵ですね。温泉に入るとお肌がツルツルになるし(笑)」(丹下さん)
「実家が東北に近いので、東北の空気や人に触れると安心します。年に1回は平泉に行きます。あと米沢とか」(阪口さん)
「仕事で行ってもなかなか観光する機会がなくて。仙台の動物園に行けた時は和みました。食べ物も大好きで、牛タン弁当と笹かまを買って、帰りの電車でバンドメンバーに配るのがいつものパターンです」(atsukoさん)
「ツアーでおみやげをいろいろ買いますが、一番おいしいのが萩の月! 個人的に勲章を与えてます(笑)」(KATSUさん)
「東京出身の兄が仙台を気に入って今、仙台に住んでます」(佐藤勝重さん)。
また「仙台駅の中の牛タン通りで食べれば間違いありません!」と力説した佐藤さん。行き付けのお店を紹介するとangelaの二人は興味津々。
トークコーナー終了後、休憩を挟んでangelaのライブ。今年10周年を迎えてツアー中ということもあり、その勢いのまま、ステージを展開。SEが流れ、照明の演出などワンマンライブのような気合の入れよう。1曲目からいきなりアッパーチューンであおるatsukoさん。atsukoさんのアグレッシブなハイトーンボイスに、KATSUさんのギタープレーも激しく、客席の皆も腕を振り上げる。これまでの穏やかな会場の温度が一気に上昇。ホールが一瞬でライブハウスに。
「2階で朗読を聴いて泣きそうになった。絵本を声優さんが読むとこんなに破壊力があるのかと」(KATSUさん)
「私達も朗読にする?(笑)と楽屋で話したりしていました」(atsukoさん)。
しかし後のMCでatsukoさんは「バラード曲もたくさんあるけど、ここではangelaらしさをお届けしたいなって」。
「一緒に振り付けしたいと思います」と宣言し、振り付け講座の後、ライブで絶対盛り上がる鉄板のデビュー曲「明日へのbrilliant road」。アニソンとしても人気のナンバーにクラップやコール&レスポンスも自然発生。
熱くなった後、“心がつながるから”、“癒せたらいいのに”などの歌詞が心に響くバラードチューン「Peace of mind」でしっとりと。放送中のアニメ『革命機ヴァルヴレイヴ』のED曲「僕じゃない」や、アニメ『K』のOP曲「KINGS」の人気作品のテーマ曲の連続に会場も大喜び。
ここで東日本大震災直後に作った「Untitled」を披露。
「まだ東北は元に姿になっていないけど、あきらめずに前に進んでいこうよというメッセージを込めて作りました」(atsukoさん)
「CDという形にしてしまうと終わってしまう気がして。また元に戻ったら曲名を付けようと」(KATSUさん)
「ずっと歌い続けることでいつまでも震災を忘れないように」(atsukoさん)
と想いを語る。壮大なバラードナンバーで厳しい状況を“どしゃぶり”に例え、そんな中でも“負けないで”と優しく、そして力強く励ますように歌い上げた。
エンディングは出演者全員からメッセージ。
「被災地の皆さんや多くの方に心の潤いをお届けできたら。今後が大切で、皆さんと一緒に元気になっていきたいと思います」(佐藤勝重さん)
「震災の半年後、南三陸町にボランティアで行きましたが、水の配路の清掃をしていたらヘドロからおもちゃやお茶碗などが出てきて、自分はこんな普通の生活をしていていいのかと考えました。でも自分ができることは音楽を真剣に届けることだと想いを一層強くしました」(atsukoさん)
「地球上の最初の娯楽は歌うことと踊ることであり、“チャリティ”の概念は縄文時代からあったそうです。そんな古くから伝わる素晴らしいことに関われてうれしいし、今後も続いてほしいです」(KATSUさん)
「中越地震の時に、越後は全国から助けていただいたので、今回は僕の力をちょっとでも分けてあげられるように、頑張っていきたいです。皆さんもこの国を支える力になってください」(阪口さん)
「私が生まれてからは、故郷・愛知では、幸いまだ大きな地震はありませんが、普段から防災意識を高く持つ必要性を感じています。皆さんにもこのイベントを機に意識していただけたらと思います。また今回のイベントのように皆さんの心を少しでも癒すことができたらと思っています。仙台の皆さんにもこの想いが届きますように」(丹下さん)
「angelaさんのライブで、お客さんが振り付けしたりや掛け声が響くのを見て、音楽を通しての声や気持ちのやり取りがすごく素敵なことだなと思ったし、胸がいっぱいになりました。仙台に戻ると震災の傷跡はまだ残っていて、忘れられないことが大切だなと改めて感じています。そして微力ではありますが、私達が仙台や東北の子供達の心を潤せたらと思っています。もう来年、朗読する本も決めました。今後も長く、この活動が続けられるように応援よろしくお願いします」(佐藤聡美さん)。
東京での公演を経て、今年も仙台でも公演予定。温かい善意の和と素晴らしい音と声が仙台の子供達の元に届くことでしょう。
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