神楽坂ゆかさんも前座で登場!?「田村ゆかり LOVE ▼ LIVE 2013 Autumn *Caramel Ribbon*」レポート

　2013年9月16日(月・祝)、「アニメロミックス presents　田村ゆかり LOVE ▼ LIVE 2013 Autumn *Caramel Ribbon*」横浜アリーナ公演は、王国民(ファン)にとっても、きっとゆかりん本人にとっても忘れ難い一日となったであろう。

　当日は「10年に一度」という巨大台風に見舞われながらも、早朝には2000人の王国民が列を連ね、開演すれば13000人が大熱狂。3時間半にも及んだゆかりんのステージはもちろんだけど、文字通り「世界中」から集結した王国民の気合いも凄かった。そのエネルギーがゆかりんにも伝わったのか、なんと予定外のダブルアンコールを敢行！

　また、嬉しいサプライズ発表もあり──ああ、あの日の光景を思い出すだけでも顔が緩んでしまいそう。そんな奇跡の一夜のレポートを送ります。

●ゆかりんライヴではお馴染みの“昭和アイドル”の物語が、ついに動き出す！

　開演時間となり客電が落ち、「ゆかり愛」を背負った王国民たちの声援が一斉に沸き起こるなか、フロア中央につるされた巨大モニターとステージのスクリーンに映ったのは──ね、年配の女性!? 「はじめまして、わたくしは西明寺景子と申します。ここ鳳プロダクションで、ゆかたんこと田村ゆかりさんのマネージャーとして、日々奮闘しております」。ええええ!?(笑)

　なんと今回のオープニングムービーは、昭和系清純派アイドル・田村ゆかりさんが、改名して神楽坂ゆか(通称ゆかたん)として再デビューするまでの涙ぐましい物語。

　オーディション番組『レッツゴー！ヤングスターの星☆』で審査員の絶大な評価を得たゆかたん。『初恋』で華々しくデビューしたにも関わらず、事務所が借金地獄に陥ってしまい、これまでのような活動が出来なくなってしまう。しかし「それでも頑張らなくっちゃ」と、路線変更を繰り返しつつ、路上やキャバレー、はたまた囲碁クラブ(笑)などで地道な活動を続ける。

　そんなゆかたん、社長、西明寺さんの努力の甲斐あって無事に危機を脱出。西明寺さんも再デビューに備えてゆかたんのステージ衣装＝「ゆかたん」の文字を刺繍した青いかぼちゃパンツを製作しはじめるなど、再デビューに向けてすべてが順調に進んでいたと思われたある日……社長とマネージャーは「極秘作戦」を決行することに。会社のソファーで寝ているゆかたんを確認した社長とマネージャーは、ゆかたんをそのまま箱に入れトラックのなかへ。社長とマネージャーは、その場でトラックが消えるのを見送る。果たして、トラックが向かったさきとは……。

　横浜アリーナにドラムロールが鳴り響き、ステージに大きなコンテナが登場した。中から飛び出したのは、そう、ゆかたん！　なんと事務所側の粋な計らいで、再デビューの場所＝「田村ゆかりさんの前座」を内緒で用意してくれたのだ。恐る恐るマイクを握り「はじめまして、わたし……たむ……神楽坂ゆかと言います。ちょっとビックリしているけど、頑張って歌うので聴いて下さい！」と、80’sアイドルソングテイストの『ときめきフォーリンラブ』『初恋』を笑顔で披露。会場がイメージカラーの青に染まっていく。前方の客席を見て「(キャバレーの)常連さん、来てくれたんだ……」と嬉しそう(笑)。

　「今日は憧れのアイドル、田村ゆかりさんのライヴの前座として歌わせていただき、とっても嬉しいです。みなさん、そして社長、ありがとうございます！」と初々しい挨拶を経て、キャバレーの営業でよく歌っていたというアダルティな『女豹』、爽やかな『SUKI・・・っていいでしょ？』を熱唱。新人らしいお茶目な側面も見せながらも、堂々たるステージングで観客を魅了し「田村ゆかりさんのライヴ、楽しんで行って下さい！」と大舞台を後にしたのだった。

●ついに本番！「Caramel Ribbon」公演スタート！

　「Caramel Ribbon」の可愛らしいロゴがモニターに浮かび上がると同時に、ゴージャスなSEが響き、月と星があしらわれたステージに桃色男爵＋桃色管係(バックバンド)、桃色メイツ(バックダンサー)、 桃猫団(くすんだねことくすんでないねこ)、赤とゴールドのミニドレスに身を包んだ“本物”の田村ゆかり (ゆかりん)が祭壇！　会場が一気にイメージカラーのピンク色に染まっていくなか、アッパーな『アンドロメダまで1hour』『この指とまれ』『太陽のイヴ』で、オーディエンスを一気にゆかりんワールドへ連れて行く。

　「はじまって1時間くらい経ってるんですけど……まだ3曲しか歌ってないのに、この疲労感はいったいなんなんだろうって思ってます」と、最初のブレイクへ。「なんか、今日は前座がいたんだよね？」とトボけて会場の笑いを誘っていたが、客席から「ゆかた～ん！」という声があがると、ちょっと複雑そう(笑)。

　「ゆかり～ん！」「ゆかりが一番かわいいよー！」とあちこちから響くものの、声色を低くして「(可愛いって)どうせ、いろいろな人に言ってるんでしょ～？」とゆかりん。さらに「永遠の愛なんてないよねぇ」……とゆかりんらしいトークを繰り広げる(笑)。そんなことを話しながらも、客席のブロックごとに愛情いっぱいの挨拶をしちゃうところも、ゆかりんらしい。「どこから来たの？」という点呼では、なんと台湾、香港、ハワイ、ノルウェーから足を運んでいるというオーディエンスも。きっと永遠の愛はある……！

　「さぁ、次の曲にいきたいと思います！」。この日特に表情豊かだったのが、続いて行われた中盤のブロック。和風ポップな『咲かせて乙女』、トロピカルなレゲエナンバー『神様Rescue me!!』、しっとり美しいバラード『上弦の月』と、三者三様の「うた」を聴かせていく。中でも『上弦の月』は、ゆかりんの美しい声が際立っていて改めて惚れ惚れ。ステージセットとリンクするような演出、アコースティック＋ピアノのシンプルな編成が織りなすサウンドも素晴らしかった。そんな『上弦の月』からバックバンドのジャジーな演奏へと繋がっていき、中秋の名月にちなんだ、かぐや姫風のムービーへ。十二単をまとったゆかりんが月に帰っていくまでの映像が、静かに感動を誘っていく……。

　そんなロマンティックな雰囲気から一転、今度はエネルギッシュな『めろ～んのテーマ ～ゆかり王国国歌～』を出囃子に、客席後方から移動式のステージ“ゆかり丸”に乗ったゆかり姫が登場！　ピンクのミニドレスで元気いっぱいに魔法のステッキを振り回しオーディエンスを“メロメロ”にさせたかと思ったら、メタル調の『†メタウサ姫 ～黒ゆかり王国ミサ～†』が繰り出され、王国民たちの忠誠の叫びが響き渡る。しっとりとした展開からこの2曲がくるとは……！

　新曲のガールズロックナンバー『スパークリング☆トラベラー』のムービーを挟み(なんと“一人五役”の田村ゆかりバンドのドキュメンタリー風PVでした！)、『満月のセンシビリティー』、『Cursed Lily』、『Endless Story』……と妖艶なムードをまき散らしながらフロアを絶頂まで盛り上げ、次はバーチャルデートムービーに。

　今回は「ゆかりんとバーチャルデート 夏の想い出編」。ドライブから始まり、諏訪湖での初々しいデート風景、花火をたしなむ浴衣姿のゆかりんを見ることができ、このムービーだけで何度「おぉ！」の声が響き渡ったことか！　そんな甘酸っぱい光景とリンクする新曲『恋と夢と空時計』がムービー後に披露され、夏の終わりのようなセンチメンタルな雰囲気が会場を包み込んだのであった。

●クライマックスまで怒涛の展開が続く

　「(新曲)ちょっと切ない、よね？　あ、みんなそんな聴いてなかったか(笑)」とツッコミながら「何から喋ろうかなぁ」とMCへ。バーチャルデートの撮影秘話や美容室での話、居酒屋での驚きのエピソードを話し会場を盛り上げたが「(スタッフに)さっきからずっと次へにいけって言われているので、そろそろ次の曲に行きたいと思います」と急ぐゆかりん(笑)。どんな舞台だろうがMC&コミュニケーションで大幅に時間を割いてしまうのが、ゆかりんらしくて最高だ。

後半戦の口火を切ったのは、疾走感に切なさを乗せた『W：Wonder tale』。そこからは『Little Wish ～first step～』『Fantastic future』『fancy baby doll』『LOVE ME NOW！』と、怒涛の名曲乱れうちでみるみる一体感を高めていく。

　その間、白ドレスへの早着替えがあったり、“ゆかり丸”で移動しながらのうさぎのぬいぐるみを客席へ投げ込んだり、メンバー紹介があったりと目まぐるしい。本編ラストの『もうちょっとFall in love』まで、巨大な熱狂の渦に包まれたゆかりん王国なのであった。

●まさかの13000人の土下座→予定外のWアンコール敢行

　「アンコール！　アンコール！」。一瞬も緩むことなく響いた声に応えたゆかりんがTシャツ姿で再びステージに登場し、本編のムービーで公表した新曲「スパークリング☆トラベラー」を改めて披露する。生で聴くと、ゆかりんの可愛らしい歌声がより際立っているように感じた。

　楽曲が終わると、会場から「ゆかりーん！」「世界一可愛いよー！」という大きな声援が上がる。その中からどうやら「頑張れ―！」という声も聞こえたようで……「田村ゆかりさん、17歳、頑張っとるよ」とちょっとお疲れ気味に返事(笑)。そして「ムリなことは分かってるんだけどさ、あと10年やれたら“田村ゆかり氏17歳”なの。やってないと思うけど、田村ゆかり氏17歳のときは高円寺とかのカフェでやるの」と話し、客席からは「やってー！」「行くー！」の声が。会場がざわざわとするなか「はい！　そんなわけでですね、ここでお知らせがあります！」とゆかりん。

　なんと、ゆかりんも木下林檎役として出演する、2014年1月放送開始予定のテレビアニメ『のうりん』のOPテーマを担当すること、来年2014年にライブツアー「田村ゆかりLOVE ▼ LIVE 2014」を開催することを発表！　会場中から「オォー！」と歓喜の声が起こる。祝祭ムード溢れるなか「ドン・ パン・ドンドドン・パン……」のシンガロングから『パーティーは終わらない 田村ゆかり feat. motsu from m.o.v.e』、ラスト・ナンバー『チェルシーガール』へ。圧巻のパフォーマンスで、感動のフィナーレを飾ったのだった。

　「今日はお天気の悪い中、来て下さってありがとうございます。10年は無理かもだけど……もうちょっと……みんなと一緒にこうやって笑って楽しくなれるライヴをやりたいなぁ……」と“今、この瞬間”の充実感を噛みしめるような最後の挨拶に、会場から熱い拍手が沸き起こる。ここで、思わず「帰りたくないよぉ」と本音を漏らすゆかりん。

　自然と「もう1回！」のコールが起きはじめる。するとまさかの「もう一回やらせてください！お願いします!!!」とゆかりん自らが運営側に向けて土下座!!　続けて1万3000人の王国民も土下座!!!　思わず泣き笑いしちゃうくらいの大迫力！　そのエネルギーを感じ取ってくれたのだろう。運営側からオッケーが出て「同じ曲だけど……いい？」と、奇跡のダブルアンコールへ！　この日一番の高揚に包まれるなか、「誰にも負けない気持ちをゆかりに伝えてください」と『チェルシーガール』が始まっていく。

　＜誰にもきっと負けないくらい君のことが好きよ＞＜10年だって100年だって大好きだよ／絶対＞＜プレゼントはいらないからこの手をずっとつないでて＞──　前述のMCもあって、いつも以上にこの曲の歌詞が染みたのは私だけではなかったはず。ゆかりんの真摯な歌唱に共鳴するかのように、王国民たちは惜しみない声援を送る。力を振り絞って、送り続ける。目の前に広がる光景が泣きたくなるくらい美しくて、ひたすらグッときた。

最後にオーディエンス全員で手をつないで「気を付けて帰ってね！　また元気な顔で会いに来て下さい！」と解散！　ライヴ終了後に客席から何気なく聞こえてきた「あーホント最高だった！　これで明日からの仕事頑張れるぞー！」という言葉に、うんうんと頷く。まずは11月に発売されるアルバム、ライヴの詳細を楽しみに待とう。

＜「田村ゆかり LOVE ▼ LIVE 2013 Autumn」セットリスト＞

01　ときめきフォーリンラブ/神楽坂ゆか
02　初恋/神楽坂ゆか
03　女豹/神楽坂ゆか
04　SUKI・・・っていいでしょ？/神楽坂ゆか
05　アンドロメダまで1hour
06　この指とまれ
07　太陽のイヴ
08　咲かせて乙女
09　神様Rescue me!!
10　上弦の月
11　めろ～んのテーマ ～ゆかり王国国歌～
12　†メタウサ姫 ～黒ゆかり王国ミサ～†
13　満月のセンシビリティー
14　Cursed Lily
15　Endless Story
16　恋と夢と空時計
17　W：Wonder tale
18　Little Wish ～first step～
19　Fantastic future
20　fancy baby doll
21　LOVE ME NOW！
22　もうちょっとFall in Love

[ENCORE]
23　スパークリング☆トラベラー
24　パーティーは終わらない 田村ゆかり feat. motsu from m.o.v.e
25　チェルシーガール


◆10thアルバム『タイトル未定』／田村ゆかり
発売日：2013年11月20日
価格：
[CD＋BD or CD＋DVD] 各3,990円(税込)
[CD] 3,000円(税込)
(※▼はハートマーク)

◆TVアニメ「のうりん」OP担当決定！
ゆかりんも木下林檎役として出演する、 2014年1月放送開始予定のTVアニメ「のうりん」のOPテーマを担当することが決定しました！

◆田村ゆかり2014年ライブ・ツアー開催決定！
2014年にライブツアー「田村ゆかりLOVE ♡ LIVE 2014」を開催することが決定！

詳細は田村ゆかりOFFICIAL WEBSITEにてチェック！


>>田村ゆかりOFFICIAL WEBSITE


[取材＆文・逆井マリ]