音楽
canoueメジャーデビュー! 『ルチカ』発売記念座談会【後編】

霜月はるか・日山尚・MANYOのユニット、canoue(カノエ)が12月11日メジャーデビューミニアルバム『ルチカ』発売! リリース記念座談会【後編】

 霜月はるかさん、日山尚さん、MANYOさんというクリエイター3人のユニット、canoue(カノエ)が12月11日にメジャーデビューミニアルバム『ルチカ』をリリース!

 今秋発売の人気ゲーム『アルカナ・ファミリア2』、『SNOW BOUND LAND』、『ARCADIA~楽園に吹く風~』の主題歌とタイトルチューンを収録。ファンタジー&ライブ感あふれるサウンドと、独特な歌詞でcanoueの世界観を表現した名刺代わりの1枚になった。

 『ルチカ』の発売を記念して、霜月さん、日山さん、MANYOさんの3人による、canoue初となる対談企画を独占掲載中!  後編となる今回は『ルチカ』の全曲紹介と話題のミュージックビデオについて話してもらった。さらに衝撃発表も!

●canoueによる『ルチカ』セルフレコメン 1.ルチカ(6.ルチカ~Instrumental~)

――では、『ルチカ』の収録曲について3人からご紹介いただけますか?

3人:わかりました!

MANYOさん(以下、MANYO):1曲目はタイトルチューンの書き下ろしで、最後に録った曲なので、一体感はアルバムの中で一番出ていると思うし、個人的にみんなの演奏に鬼気迫るものを感じました(笑)。

霜月はるかさん(以下、霜月):すごい緊張感もあって。ミックスで音を確認する時も「みんな、攻めてくるな」と(笑)。

MANYO:変拍子なんですけど、グルーヴを押し出した楽曲になっています。ひと言で言うとしたらポップスだけど(笑)、光と闇の境界にいるような、不思議な感じにしたいなと。

日山尚さん(以下、日山):歌詞は自分達、もしかしたらそうじゃないかもしれない存在が、どこかに行こうとしているような、まだ行けてないような、光と闇の狭間を行く感じの歌詞にしようと思って。

MANYO:中性的で、明るくもとれるし、暗くもとれるし。

日山:聴く人の心持ちによって、聴こえ方が変わってくる歌詞かも。

霜月:canoueサウンドの特徴って何だろう? と考えた時、MANYOさんのサウンドもそうだけど、光にも闇にもどちらにも寄らない、行き来する感じが、私達が好きなところで。コードでいえば、メジャーとマイナーを行き来したり。名刺代わりの1曲だからそういう部分が無意識に出たのかも。

MANYO:最後にこの曲のインストを入れたのは深い意図はなくて(笑)。

日山:鬼気迫るバンドサウンドを聴いてもらえれば(笑)。

MANYO:インストバージョンなので、スタジオの擬似体験ができるかもしれない。これを聴いて、自分で歌うことができる。シモツキンの仮歌入れがまさにそうだったので。

霜月:このインストを聴いていると知らず知らずに歌ってます(笑)。

MANYO:インストバージョンを聴いてシモツキン気分になってください。


●2.光つづく道(PSP用ソフト『アルカナ・ファミリア2』ED主題歌)

MANYO:三拍子の曲で、この曲と「ARCADIA~楽園に吹く風~」を同時に制作していて、ミニアルバムで最初に作った曲になります。この曲が今まで自主制作でやっていたテイストに一番近いかな。

霜月:ゲームのメーカーさんも私達が自主制作で作っていた楽曲のイメージを気に入ってくださって、そこを踏襲してというお話をいただきました。ゲームがイタリアを舞台にしているので、そのファンタジー感を民族っぽいコーラスワークで、世界観を入れて歌っているのが特徴ですね。

MANYO:でも最初の印象的なコーラスはシモツキンが得意なブルガリアンっぽくすると違うし。

霜月:ヨーロピアンな、作品の雰囲気に合うように心がけながら歌いました。

日山:ゲームのプロットやキャラの設定など資料を全部拝見させていただいた上でEDに合うように書きました。

MANYO:何か事務的な(笑)。

日山:作品に敬意を払っているってことです(笑)。もちろんcanoue的な個性も入って、ヒロインのフェリチータの心情や未来を、canoue色もミックスさせて作った感じですね。内容も未来に向かう歌で、敷かれたレールや道がなくなって、自由なところの行こうというイメージが伝わればいいなと。

MANYO:あと僕がいつもお願いしているミュージシャンにお願いするといつもと同じようになってしまうかなと思って、ディレクターに人選はお任せして、新鮮な空気を味わってみたいと。その形で初めて臨んだレコーディングだったので、ミュージシャンの出す音を受け入れられるように、振り幅が広いアレンジにして。その後、シンセなどで微調整を加える感じで、ミュージシャンのキャラが立ったアレンジになっています。


●3. ARCADIA〜楽園に吹く風〜(PS3用ソフト『アルカディアスの戦姫』ED主題歌)

MANYO:この曲はゲームの制作の方から「キラっとさせたい」、「未来に向かっていく躍動感を盛り込みたい」というオーダーがあったので、その意向に沿う形に曲を作っていきました。

日山:歌詞には“美しい”という言葉を入れてほしいという要望がありましたその上で、無垢な女の子が苦しさや悲しみを知って、なぜ闘うのか、どう生きるのか、みたいな、そんな歌詞にしたくて。でも基本的には明るい言葉で書きました。長い旅は始まったばかり、みたいな(笑)。

霜月:だからED曲なのに明るいんですよね。この曲はバンドが苦労していたのを覚えています。テンポが速くて(笑)。

MANYO:あと歌のキーも高くて。スパーンといく感じなので、ボーカルレコーディングも頑張ってたよね。

霜月:頑張りました。すごく高かったけど、鍛えられているので(笑)。曲に未来への希望的な、明るい雰囲気があったので、歌もそれを壊しちゃいけない、キラッキラにしようと。でも歌い方によってはもっとキャラっぽくとか、張って歌うこともできるような曲だったけど、私の中のcanoueサウンドのイメージから明る過ぎず、でも透明感は残したいという基準があって。突き抜けるような、光っぽい雰囲気を出したいなと思いながら歌いました。

●4. 氷の城(PSP用ソフト『SNOW BOUND LAND』OP主題歌)

MANYO:「光つづく道」と同じ日に同録した曲ですが、この曲が極悪らしくて。

霜月:極悪ですね!

MANYO:スタジオに入って、ひと回し歌ったり、楽器を弾いてもらった後のみんなの一声目が「こりゃ、マズい」(笑)。難しいらしいんですよ。作ってるほうはわからないけど。

霜月:MANYOさんの曲によくあるパターンなのかもしれないけど、素直に拍子をとらない箇所があって。変拍子に聴こえるというか。

MANYO:変拍子じゃなく、ただの8分の6拍子で。

霜月:譜面上はオーソドックスに見えるけど、実は楽器のキメの場所がその8分の6にないせいで、「ここ何回数えればいいの?」と迷ってしまう、ワナが結構潜んでいて。楽器の奏者さんは当然キメを入れるので、数え間違えて入りそびえるということが起こって、歌も入れないと。

MANYO:「史上最高の難易度」って誰か言ってたね。

霜月:『SNOW BOUND LAND』は雪の女王が出てくる、アンデルセン童話をモチーフにした物語なので、作品に寄り添うような冬っぽい雰囲気もありますね。ヴァイオリンから始まるイントロとか。

日山:これを聴いてると寒くなる(笑)。

霜月:ゲームのOPムービーも全体的に雪の白と青が印象的です。歌に関してもメロディがサビで爆発する感じを、強調したくて。物語も願いが叶う鏡を巡って、人生や性格が変わってしまうお話なので、せつなさや、ちょっと怖い、童話的な部分もメロディに引っ張られて出せたらいいなと意識しました。

日山:歌詞的にもモチーフの言葉をいっぱい入れたり、ゲームをプレーされた方が楽しめるような配置をしたりして。あとは結構、好き勝手に書いたかな。趣味全開で(笑)。

霜月:普通に聴いている分にはすっと入ってくるんですけど、この間、ライブで歌ったたらやっぱり難しいなと。その時もバンドさんが苦労して(笑)。皆さんにもぜひ歌ってみていただきたいです。


●5. 陽のあたる季節(PSP用ソフト『SNOW BOUND LAND』ED主題歌)

MANYO:「氷の城」とは対照的に、春を感じさせるような、やわらかい感じをイメージして作りました。なるべく、カドを取って、カドを取って、みたいな。

霜月:MANYO節のED曲だなと。

日山:でも意外とcanoueはこういう曲のほうが珍しかったりして。

霜月:だから、この1枚の中ではハイライトになっているなと聴いていて思いました。他はED曲でもアグレッシブな曲が多いので、その中でもひと呼吸置けるというか。

日山:歌詞も「氷の城」と対になるようにしました。雪解けのイメージと、『SNOW BOUND LAND』は乙女ゲーなので、ヒロインと大切な人、2人だけの歌詞にしようと。

霜月:EDの背景イラストも春っぽい色合いで。歌い方は女の子っぽくさせ過ぎないで、どちらかというと世界観に寄った、でも温かい雰囲気は出せたらいいなというバランスは意識しました。


●「ルチカ」のMVは映像スタッフとのコラボ。新たな楽しみ方を発見!



――「ルチカ」のMV(ミュージックビデオ)も制作されましたが、まさかの実写で。

霜月:MVを作ることになった時、こちらから「こんな風な感じでお願いします」というのではなく、私達の曲から受け取ったイメージで映像スタッフに作ってもらおうと。コラボ的な感覚でお任せしたいと言っていました。

MANYO:絵コンテを見せていただいた時にちょこちょこっと意見を言ったくらい。

日山:歌詞のイメージとあまりにも違ったら、要望はお伝えしようと思っていけど、そういうこともほとんどなくて。

霜月:この曲を聴いて、歌詞を読んで、人それぞれイメージがあって、PVは映像チームがイメージしたものを形にして頂いた感じです。

MANYO:映像自体も抽象的で、いろいろな捉え方ができるものになったかなと思います。

霜月:私達は実写のMVも初めてだったので、新しい刺激になりました。canoueとして新しい活動を始めるにあたって、新しいことをしたいという欲求はあって。でもこの発想は自分達発信では出なかったと思うし、私達も楽しんでやっていました。

――バックのスクリーンに動くアニメーションの背景が流れる中、踊る女性ダンサーという幻想的でおもしろくて。ニコファーレっぽいなと(笑)。

MANYO:サウンドのライブ感ともつながっているようで、僕的にはお気に入りです。

日山:MVの背景とジャケットのイラストがリンクしていて。あと映像の中に映っている小物の一部は霜月さんの私物なんです。

霜月:撮影にあたって、こういうアイテムが欲しいという要望が映像チームからあって、例えば懐中時計とか。「イメージに合うか、わかりませんが、うちに懐中時計がいっぱいありますので」といっぱい懐中時計の写真を撮って、送って。実際に使われました。

日山:フルバージョンのほか、30秒スポットも作ってあって、アニメイトさんの店頭などで流れるそうです。

担当:テレビで流れても大丈夫なクォリティで作ってあります。

霜月:テレビでcanoueのCMが見られるのかな?(笑) MVを作ったことで、映像を見て、音だけを聴いた時と違うイメージが生まれました……私自身もそうだったけど。映像がアニメーションだけだったら、また違うだろうし。そういう発見や楽しみ方ができたのもおもしろかったですね。

●1月に発売記念の初のcanoue単独イベント開催! 衝撃発表も!!

――ではcanoueの今後の活動予定を教えてください。

日山:まず来年1月18日と25日に『ルチカ』リリース記念のイベントがあります。サイン会とトーク&ミニライブを。canoue単独のイベントは初めてです。

霜月:3人でどうサインしようかもまだ決まってないですけど(笑)。このミニアルバムを聴いてくださった方と直接お会いできて、いろいろお伝えできる、いい機会なので、楽しみです。

日山:そして2014年にcanoueライブをやることが決まっています。日時も会場もまだ未定ですが(笑)。

霜月:まずはこの1枚に込めた躍動感を生で楽しんでもらえる場所を作りたいなと。

MANYO:演奏が難しい曲を生でパフォーマンスするプレッシャーと戦いながら(笑)。

霜月:その分、やりがいがあるというか。緊張感がライブの醍醐味ですからね。そして、このインタビューの前日に決まったことなんですけど、canoueとして事務所に所属する事になりました。 事務所に所属することで、新しい活動や展開、可能性を広げていきたいという希望を込めて。

MANYO:canoueがどこなら活きるのかを客観的に見ていただき、タッグを組んでいきたいなと。そして2014年、新しい形で、お目見えする機会が増えればいいなと思っています。

日山:私達がcanoueを本気でやるんだという意気込みも感じていただきたいし、期待にも応えていきたいです。


●『ルチカ』はcanoue第1章! 

――最後に皆さんへメッセージをお願いします。

MANYO:『ルチカ』はバラエティあふれる仕上がりになっていますが、まだこれは第1章に過ぎません! まずこの『ルチカ』を聴いて、canoueサウンドやキャラクターを味わっていただいて、今後の活動にも注目していただければと思います。

日山:ここでたっぷりお話しさせていただきましたが、聴いていただくのが一番伝わると思うので、ぜひ聴いてください。『ルチカ』はひとつの出発点なので、これから続くcanoueの旅の中で、皆さんと同じ風景を見る機会がたくさんあったらいいなあと思っています。直近では冬コミにも出ますので、よろしくお願いします!

霜月:それも大事!(笑) 私達の中でのcanoueのサウンドは、自分達の感性のおもむくままに出してきて、それが自然と形になっていくもの、という意識で今のところはやっています。今回のミニアルバムではゲームのタイアップをやらせていただいて、ゲームの世界観に寄ることで、自分達にとって新しいものが生まれたりもしましたし、タイトル曲では名刺代わりを意識して、自然とcanoueらしさが生まれてきているように思います。ここからどんな風に変化していくのかは私達自身もわかりませんが、そんな不確定なことさえも楽しみながらやっていきたいと思うので、新生・canoueを今後も見守ってください!


■『ルチカ』/canoue
発売日:2013年12月11日(水)
定価:2,520円(税込)
発売:フロンティアワークス

<『ルチカ』発売記念イベント>
「ルチカ」発売記念イベント<サイン会>

開催日時:2014年1月18日(土)
開催場所:とらのあな秋葉原店C4Fイベントフロア
開場時間:12時30分/開演時間:13時

「ルチカ」発売記念イベント<ミニライブ&トークショー>
開催日時:2014年1月25日(土)
開催場所:アニメイト横浜店
開場時間:15時30分/開演時間:16時


>> canoue公式サイト

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