「優しさを失わないでくれ」震災後も響くウルトラマンAのメッセージ
WOWOWでは、2013年末から「円谷プロ×WOWOW プロジェクト第2弾」と題して、「帰ってきたウルトラマン」「ウルトラマンA」「ウルトラマンタロウ」「ウルトラマンレオ」など「第2期ウルトラマンシリーズ」と呼ばれる人気作4作品をハイビジョンで放送することが決定。
3月21日からの「ウルトラマンA」オンエアを記念して、同作の魅力を語り尽くすミニ番組が収録された。
この日の収録には北斗星司役の高峰圭二氏(以下、高峰)、そして無類のウルトラマンファンである落語家の柳家喬太郎氏(以下、喬太郎)が参加。
ウルトラマンカラーの着物を着た喬太郎が「この日のために衣装を特注しました」と切り出すと、高峰も「僕も(2008年の映画)『大決戦!超ウルトラ8兄弟』のときにバンダイさんに作ってもらった特注ジャンパーを着てきました。師匠に勝つにはこれしかないと思ってね」と返すなど、なごやかな雰囲気で収録は進められた。
第2次怪獣ブームを巻き起こした前作「帰ってきたウルトラマン」の成功をより強固なものとするべく、「ウルトラマンA」では数々の新機軸が導入された。
その中でも一番大きな変化は、北斗星司と南夕子のふたりがウルトラリングをタッチさせて行う、男女合体変身「ウルトラタッチ」だった。
「当時はちょうど男女同権が叫ばれたウーマンリブの時代だったんで、僕の中では違和感はなかったですね」と述懐する高峰。さらにウルトラマンAの顔について、「最初に写真でウルトラマンAを見せられたときに、太秦の東映京都撮影所の近所にある広隆寺に弥勒菩薩だなと思ったんですよ。日本の仏像って性別不詳なところがあって。そういう意味でウルトラマンAはどこか優しい感じがありますし、直感的に『なるほど、うまいこと考えたな』と思いましたね」と振り返る。
しかし新機軸として導入された男女合体変身も、シリーズ途中から、急きょ北斗星司ひとりで変身を行う、という路線変更を余儀なくされてしまう。
「(番組の中で)夕子が月に帰ることになったのは本当に突然のことでした。それで、プロデューサーと監督からは『高峰ちゃん、今度はひとりになるから、ひとりで変身する形を考えてよ』と言われたんですよ。当時、仮面ライダーが人気だったので、それに負けないくらいの変身ポーズを作ろうと思って披露したんですけど、制作サイドからは『仮面ライダーじゃないんだから、最後の決めの部分だけでいい』と言われて。ちょっと僕としては残念だった」と笑ってみせる。
そんな高峰が一番印象に残ってるのは、最終回に脚本家の市川森一が書いた「優しさを失わないでくれ。弱いものをいたわり、互いに助け合い、どこの国の人たちとも友だちになろうとする気持ちを失わないでくれ。たとえその気持ちが何百回裏切られようと。それがわたしの最後の願いだ」という子どもたちへのメッセージだという。
「これは本当に名せりふだと思っているんですが、東日本大震災以降、ウルトラマンAのこのメッセージに勇気づけられました、といったお手紙をもらうのは本当にうれしいんです。これは本当に多くの人からそう言ってもらえて。40数年前にウルトラマンAをやっていて本当によかったなと思いました」
■番組情報
「ウルトラマンA ハイビジョンリマスター版」
[WOWOWプライム] 3月21日(金・祝)午前8:00~
http://www.wowow.co.jp/drama/ultra/
■対談映像公開中
高峰圭二×柳家喬太郎 スペシャルトーク
http://st.wowow.co.jp/b/75