声優
羽多野 渉さん&ヒャダインさんインタビュー対談

羽多野 渉さんの1stアルバムが10月22日発売! 新曲の1つはヒャダインさん作!! 羽多野さん&ヒャダインさんインタビュー対談

 先日発表された羽多野 渉さんの1stアルバム(2014年10月22日発売)が現在、絶賛制作中! 本アルバムより新録曲の中の1つ『I’m a Voice Actor』が先日完成した。この曲は言わずと知れた前山田健一、通称ヒャダインさんが手掛ける。

 ミックスダウンにお2人そろうということで突撃インタビューを敢行! 2人のアルバムと曲への熱い想いがわかる対談をお届けする。

●羽多野さんが熱望していたタッグが実現!

――羽多野さんがヒャダインさんに曲を作ってもらうことになった経緯を教えてください。

羽多野 渉さん(以下、羽多野さん):寺島拓篤君がファーストアルバムを出した時、「ヒャダインさんと一緒に仕事した」と聞いて、すごくうらやましかったんです。その直後くらいに『アニメ紅白歌合戦』で初めてお会いして「僕とも一緒に仕事してください」とダメ元でお願いして。

ヒャダインさん:僕も「もちろんですよ! 仕事ください」と即答しました。

羽多野さん:その後もラジオ局のロビーやエレベーターホールでよくすれ違うたびに、ごあいさつして。そして今回、アルバム制作のお話をいただいて、スタッフの方から「どんな曲がいいですか?」と聞かれ、「ぜひヒャダインさんにお願いしてください」と。引き受けてくださってすごくうれしかったです。上がってきた曲も僕の想いにドンピシャで、しかもアルバム制作の発表をしてから、3~4日後にレコーディングしたホットな曲なんです。


●声優・羽多野渉のルーツや愛情が凝縮された曲

――なるほど。曲制作はどのように進めていったんですか?

ヒャダインさん:羽多野さんと一緒に曲制作のための打ち合わせをしたんですけど、羽多野さんはいろいろな声を使うのが得意であり、大好きだと。だから羽多野さんの個性を強めるのではなく、羽多野さんがいろいろやったり、違う人になるということをコンセプトに作ったので楽しかったです。

 また羽多野さんの中に明確なイメージがあったのも大きかったですね。声優という仕事に誇りを持ちながら、楽しんでやっていて、もっといろいろなことをやってみたいと思っていること。メインじゃなくても後ろでちゃんと支える役者としてもやっていきたいとか、子供の頃から『天空の城ラピュタ』が好きで、セリフが覚えられるくらい、繰り返し見ていたこととか聞いたら、僕の中でストーリーができてきたので、先に歌詞から書きました。曲名も『I’ m a Voice Actor』とそのままで。

羽多野さん:そうだったんですね。あの雑談から羽多野渉臭をここまでかもし出せるとは!? 僕が声優になりたいと思った原動力、アニメやマンガが好きな、そんな羽多野渉像を音楽に入れて表現できたらどうだろう? というのがテーマで。デモをいただいた時、打ち合わせで話したこと、表現したかったことがギュっと凝縮されていて、「すげえ!さすがヒャダインさんだ!」と思わず声に出していました。

●2人でアイデアを出し合った様々なキャラやセリフがいっぱい

――この1曲だけで勝算ありだと確信が!?

羽多野さん:はい! それくらい手応えがありました。

ヒャダインさん:ただ、デモの段階ではまだまだでしたね。そこに羽多野さんのアイディアでセリフやガヤを入れてくれて初めて完成したんです。

羽多野さん:歌詞の中に「ここは羽多野さんの好きなセリフを入れてください」というポイントがあって、デモを聴いた瞬間にすぐにイメージが湧きました。「こんなセリフをこう言ったらおもしろいだろうな」とか「このキャラでこのフレーズ歌ったらいいかも」とか。

ヒャダインさん:まさかオネエが出てくるとは思いませんでした(笑)。あと最後に“全員集合!”と入れたのもよかったですね。あれも最初は入ってなかったんですよね。

羽多野さん:セリフの言い回しやキャラの設定などもアイデアを出し合って決めていったので、キャッチボールしながら作るのも楽しかったです。

ヒャダインさん:僕は監督が好きだな。“アクション!”と叫んでる。目に浮かびますよね。

――女子向けのサービスもしっかりあって。

ヒャダインさん:わかりました? 需要と供給のバランスを考えて。

羽多野さん:その絶妙なバランスがヒャダインさんなんですよね。遊びが効いてて、しかも「欲しかったでしょ?」という部分もちゃんと入ってて。でもこの曲は本当に2人で作らせていただいた曲だなと思います。今までは作っていただいた曲を歌わせていただいて……アニメの仕事もセリフを作る人がいて、僕らがキャラの中に入ってその言葉を発するので同じ感覚です。音楽が奥深いなと思うのは、制作過程に自分も関わらせてもらえること。やりがいもあるけど、とても勇気のいることでもあって。勇気を出して飛び込んでみると素晴らしい音楽と歌詞の世界が待っていました。


●羽多野さんの特技が遂にCDに!?

――ヒャダインさんはレコーディングにも立ち会われたとか。

ヒャダインさん:歌入れも共同作業でしたね。「ここは誰でいきましょうか? ゴリゴリっとした人」とか。

羽多野さん:「子供いきます!」と1オクターブ上で歌ってみたり、渋い男の人で1オクターブ下で歌ってみたり。

ヒャダインさん:最後は鳥まで。でも鳥は声優として必要じゃないんじゃないかって、今でも思ってますけど(笑)。でも出来上がりを聴いてみると、鳥の声が結構効いてるんですよね。

羽多野さん:プロフィールの特技に小鳥のさえずりと載せていますが、声優としてマイク前でやることはほとんどなくて。オーディションの時に、「事務所名、役名、名前、小鳥のさえずり、セリフを言ってください」とネタ的に置いておいたものが一つの作品になったということは誉れです。早くおばあちゃんに聞かせたい! 聴いてもらうと、1回目は音楽のかわいさと明るさ、カッコよさがすぐ入ってくるけど、2回目以降は歌詞の意味がじわじわっと楽しめる曲だと思います。

ヒャダインさん:いろいろな声を使ったりしているので、遊んでいる曲かなと思われるかもしれないけど、実はいい話なんです!

●これぞ音楽版「羽多野渉物語」! 声優志望者にもオススメ

――羽多野さんの半生を描いたような歌詞ですよね。

羽多野さん:そう! まさに羽多野渉物語ですよ! スポーツ選手や有名人の「○○物語」がマンガ雑誌などで掲載されますが、それをしてもらえたみたいでうれしかったです!

ヒャダインさん:最初をラジオボイスにしたのも、ブラウン管のテレビの前で、ビデオテープをガチャっと入れて巻き戻すイメージで。『ラピュタ』を見ながら、「あの世界に行ってみたいな」と想いを巡らせる羽多野少年が、声優になって、現実世界と夢の世界を行き来できる“次元を超える為のパスポート”をゲットしたぜ! と。声優さんが声優の仕事について歌った曲はひょっとしたら初めてじゃないかなと思っていて。

羽多野さん:声優をしながらアーティスト活動をしている人は、それぞれのやり方があると思いますが、僕は職人気質でいたいとずっと思っているので、音楽活動を別のものではなく、やることで声優としての仕事にツヤやハリが出たり、活きてくると考えていて。また夢なんですけど、この曲を聴いて、声優という仕事の素晴らしさの一端に触れたり、興味を持ってくれたらいいなとも思っています。

ヒャダインさん:羽多野さんが昔、山寺宏一さんから声優の素晴らしさやなりたいという原動力をもらったように、自分が何か力になれればと言ってましたよね。

羽多野さん:声優っておもしろいなと思ってもらえたら幸せです。

ヒャダインさん:声優を目指す人にもぜひ聴いてほしいですね。歌詞のように“平坦じゃない”大変な世界だと思うけど、魅力的でおもしろい仕事だと思うので。“次元を超える為のパスポート”を手に入れ、“無限大のセカイへ”。


●ヒャダインさんが感じた羽多野さんの印象は職人肌で努力を止めない人

――ヒャダインさんが今回ご一緒して感じた羽多野さんの印象は?

ヒャダインさん:羽多野さんの素晴らしいところは職人肌なんですよね。今の声優さんはアイドルやバンドなど華やかな活動をされる人が増えて。可能性が広がったり、スポットが当たるのは僕も素敵なことだと思うけど、羽多野さんは昔ながらの職人みたいで。こんなにシュッとしているのに、『ストリートファイター4』で演じているのは巨漢の男とか。「これも羽多野さんなんだ!」と驚かせる、ステルス技術というか。

羽多野さん:ありがとうございます! アニメをリアルタイムで見ながらTwitterで実況する人がエンドテロップを見て「これ羽多野だったの!?」とつぶやいてくださったりするのがすごくうれしかったりして。声と芝居を覚えてもらうよりも、「えっ!? こんな役もやってたの?」と思われるほうがうれしいんですよね。

ヒャダインさん:その話を聞いていたので、Dメロに“目立たなくてもいい 真ん中じゃなくたっていい 演じる喜び抱きしめ続けたい”と入れたんです。

羽多野さん:見た瞬間、涙しました。それは僕が大切にしていることで、これから声優を目指している人にも伝えたいことでもあるんです。映画の世界は、序列や台本の順番で出演を決める世界と聞いたことがありますが、声優は違うんです。何番手だから出る出ないではなく、作品に出るためにオーディションを受けなきゃいけないし、その中で自分の声を聞いてもらって、クライアントの方にどの役に合うか選んでもらう世界です。役に優劣はないというのが僕の声優道のベースなんです。それを歌詞にしてもらったことがうれしくてうれしくて。

ヒャダインさん:あと決して上から目線では書きたくなくて。羽多野さんはまだ道半ばで、探求している感じなので、“まだまだまだ道の途中ではあるんだけれど”と入れました。

羽多野さん:そこもまさに僕が日々感じていることです。声優の仕事にはゴールはないし、僕が生まれる前からやっている大先輩でさえもまだ勉強をされていて。新しいことを取り入れて、貪欲に進まれていて、そういう人達の背中を見ているととてもじゃないけど、止まれないんですよね。そんな話も打ち合わせでさせていただいた上で、ちゃんと書いていただいたので、本当にありがたいです。

●ライブでは、みんなであのセリフの合唱を!?

――ライブで歌ったら盛り上がりそうですね。

羽多野さん:そうですね!

ヒャダインさん:もしライブで歌うなら1つお願いしたいのは、サビの“今も覚えてる あのセリフを口にしてみる”と歌った後、皆さんに「バルス!」と声を合わせてほしい(笑)。

羽多野さん:僕はもっと長い呪文が好きなんですけど、譜割的に難しいから。「リテ・ラトバリタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリール」とか。

ヒャダインさん:試しにやってみましょうか? “今も覚えてる あのセリフを口にしてみる♪”~。

羽多野さん:「リテ・ラトバリタ・ウルス……」やっぱりダメだ!

ヒャダインさん:ちょっと間を空ければよかったですね。

v羽多野さん:「バルス!」は言ってほしいですね。でもライブを映像化した時、ピー音が入ると思いますけど(笑)。

ヒャダインさん: “今も覚えてる あのセリフを口にしてみる”は2回出てきますが、もう1つはどうしましょうか?

羽多野さん:いっぱいあるんですけど、「釜焚きてつでぇ(手伝え)」や、シータとパズーが逃げている時に機関車に乗った時におじいちゃんから言われるセリフとか。「3分間待ってやる」もいいなあ。

ヒャダインさん:明らかにミスですよね。3分間待たなきゃよかったのに。

羽多野さん:実際、3分間待ってないけど(笑)。ツアーだったら会場ごとに変えるのもいいかも。


●アルバムコンセプトを象徴する1曲。アルバムの完成をお楽しみに!

――では、羽多野さんのアルバムを楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。

ヒャダインさん:『I’m a Voice actor』は、いつもの羽多野さんの曲とは毛色がかなり違うのでビックリされるかもしれませんが、等身大の羽多野さんが見えて、羽多野さんの想いが詰まった楽しい曲ですし、夢がある曲なので、少年少女や声優志望の方、夢を追いかける皆さんに聴いてほしいです。今回の曲はヒャダイン節が強いので、聴き始めた時はコミカルなまま終わるのかなと思う人もいるかもしれませんが、メッセージを込めていますのでぜひ2度3度聴いてみてください。

羽多野さん:今日、ミックス作業で聴かせていただいて、1回目はいろいろな声が出てきて圧倒されるけど、繰り返し聴くと、「何でこのキャラが出てきたんだろう?」と楽しみながら何度も聴いていただける曲なんじゃないかなと思いました。もう聴きどころしかないです!

ヒャダインさん:ただアルバムの中で置き所が難しいとは思うので、はし休め的な、なんだったらボーナストラックでも。

羽多野さん:いやいや(笑)。

ヒャダインさん:アルバムには既存の曲も入るでしょうし、この曲以外にも新曲が入ったり、いろいろなアプローチの羽多野さんが聴けると思うので、僕も楽しみにしています。職人のアルバムを!

羽多野さん:ありがとうございます! シングルを出すこと自体、1枚目の後、2枚目出せるのかな? 3枚目はいけるのかな? え!? 4枚目もあるんですか? と毎回驚きの連続だったので、アルバムのお話をいただいた時はビックリしたし、不安もありました。音楽活動も声優である部分を大切にやってきて、そんな自分を誇りに思えるような曲をヒャダインさんに作っていただけたことは本当にうれしくて。大事にしていきたい曲の1つになりました。

 アルバムのコンセプトは、アーティスト羽多野渉だけでなく、アニメに対して熱い想いを持っている僕も表現していきたくて、そんな羽多野渉色が強い曲になったと思います。ライブでも、合いの手のセリフなどみんなで盛り上がりたいですね。まだアルバム制作の途中ですが、お届けできるまで楽しみに待っていてくださいね!


■羽多野渉1stアルバム
発売日:2014年10月22日
発売:DIVE II ENTERTAINMENT


>>羽多野渉DIVE II ENTERTAINMENT公式サイト

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