声優
『酷くしないで2』羽多野渉さん&江口拓也さんインタビュー

不良とガリ勉の2人の男子高校生の不器用な恋愛を描いた ドラマCD『酷くしないで2』発売! 彰役・羽多野渉さん&十太役・江口拓也さんへインタビュー

 不良とガリ勉の2人の男子高校生のチグハグで揺れ動く恋心を描いたドラマCD『酷くしないで』(ねこ田米蔵原作・リブレ出版刊)の新作が6年ぶりにリリースされます。受験勉強に励む眠傘と、眠傘にとって自分の存在とは?と悩む真矢。そこに2人の家庭教師・彰の弟、十太が現れて……。

 波乱ぶくみの今作で、前回から引き続き登場の彰役・羽多野渉さん、そして本作からの新キャラ・十太役の江口拓也さんの兄弟キャラを演じたお2人にお話を伺いました。

●羽多野さんは6年前の彰の声に驚き! 江口さんの『酷くしないで』の印象は?

――羽多野さんは6年ぶりの収録だったわけですが、収録を終えての感想は?

彰役・羽多野渉さん(以下、羽多野):台本を読んで「彰はこういう役だった」と役作りしてスタジオに来たんですけど、収録前に6年前の音声を聞いて自分でもビックリしました!性格的には温厚で優しいキャラだけど、声質がすごいハイトーンで作っていて初々しさを感じましたね。20代のウブな感じというか。懐かしさを感じたのと同時に「この6年で、俺に何があったのか」と(笑)。シリーズものでありながら、とても新鮮な想いで臨めた収録でした。

――眠傘役の柿原徹也さんは6年前と同じように、同世代のメンバーでやれたことがうれしかったともおっしゃっていました。

羽多野:僕も6年経って「久しぶり~!」という感じじゃないのがうれしいですね。それぞれのステージでお互いが頑張ってきて、「この作品、懐かしいね」と一緒にできることは幸せです。2人の声を聴きながら今回、演じたわけですが、勝手知ったるメンバーなので、声を聴かなくてもイメージが浮かんでいました。

――江口さんは今回、初参加ですが、この作品の印象を教えてください。

十太役・江口拓也さん(以下、江口):言いたくても言えなかったり、感情がうまく伝わらなかったり、不器用な人が多い作品だなって(笑)。前回の音声も聴かせていただきましたが、十太はここからポンと出てくるキャラなので、新しい気持ちで1から作らせていただきました。


●お互いのキャラの印象は「恐ろしい子」と「頼りになるお兄ちゃん」

――演じるキャラの紹介と演じる時に心がけたことは?

羽多野:彰は真矢のイトコで、真矢と眠傘の家庭教師をしていますが、今回は一歩引いて2人を見守る立場かな。2人の気持ちをちゃんと理解したうえで、温かく見守っています。そういう包容力を意識して演じました。

江口:十太は彰の弟で、眠傘と真矢の関係をかきまわすポジションですが、僕が考えていた十太に、更に演出が入ってよりやっかいでおもしろいヤツになりました(笑)。こういうタイプのキャラもなかなか珍しいんじゃないかなと思います。

――お互いが演じるキャラの印象もお願いします。

羽多野:十太は恐ろしいです(笑)。この作品でおもしろいなと思うのは、それぞれのキャラが記号的ではなくて、必ずバックボーンがあるからこのセリフを言うんだと納得できるようにキャラを掘り下げて描いているところです。そこから更にキャラに愛着が湧いていくんじゃないでしょうか。ぜひ彰も夜の家庭教師をしたいなと(笑)。

江口:出た~っ!(笑) 彰は頼れるお兄ちゃんでした。

羽多野:適当に言ってるでしょ!

江口:本心ですよ! この作品の中で一番できる人だなって、だからこそ、十太も好きになったんだろうなと理由がわかります。

羽多野:本当に?(笑) 「俺みたいになるなよ」というアドバイスからはかなさや弱さが見えて。自分が失敗しているから痛みもわかるし、厳しく接するところなど人間くさいところが僕もいいなと思いました。


●羽多野さんの理想の恋愛感への江口さんの反応

――印象的なシーンやセリフを挙げていただけますか?

羽多野:彰として印象的だったのは、眠傘に厳しく言ってあげるところですね。ターニングポイントになったシーンだったと思います。

江口:眠傘さんにアプローチをかけたけど、ひょいとかわされて、独り言で「かわいい」と言ったシーンです。相手は年上だよ! と(笑)。

羽多野:底知れないね。

江口:ここが一番、十太の素が出ているなと思いました。

羽多野:追う真矢、追われる眠傘という関係が逆転するという恋愛の機微も。男同士の恋愛が描かれているけど、男女に置き換えても通用する、なるほどがいっぱい詰まっていますね。追いかけられている時には気付かないけど、追われなくなって初めて大切なものに気付くという。とても勉強になる作品ですね(笑)。

江口: (笑)。十太もゆがんだ愛情表現だけど、表現のしかたが不器用なだけで。そういう感情の動き方はリアルだなと思いました。

羽多野:もし結婚しても、「僕のほうが好き!」、「私のほうが好き!」という愛情の追いかけっこは永遠にやっていたいんですよね。「最近、好きって言ってくれないな」と思ったら逆に「好き!好き!」攻撃をして。それが僕の夢です(笑)。

江口:乙女か!(笑)。 僕はそれをやったら疲れちゃいますね。

羽多野:それは追いかけられてばかりだからでしょ? 

江口:そんなことないですよ! 駆け引きも苦手で、作為が見えると嫌なんです。

羽多野:愛情の度合いを確かめるどっきりとかも?

江口:がんがん来てたのにパタっと止むのは完全な意図なんですよ。そういうのが見えた瞬間に気持ちがひいちゃう。

羽多野:過去に何があったの?(笑) この作品では受験がきっかけだったけど、実社会でも仕事に一生懸命になり過ぎて見えなくなっちゃうこととかもありますよね。江口君は「俺をずっと好きでいろよ」というタイプということで。俺、言われたいわ~。

江口:おらおら系ではないですから!(笑)

●2人の試験勉強対策はイメージ通り?

――試験勉強はガッツリする派? 一夜漬け派? また試験勉強のコツは?

羽多野:僕はコツコツタイプなんです。毎日、コツコツやらないと、自分の歌でさえも覚えられなくて。ライブ前とかナーバスになっちゃって。受験の時もそうでしたね。高校受験が一番大変で、中学3年になった時、毎日、これだけ課題をやろうと決めてコツコツやってました。それで試験当日、みんなで待ち合わせてそろったら会場に入場することになっていたのに1人寝坊した子がいて。寒い中、ずっと待っていたらお腹が痛くなって。試験中、ずっと腹痛との戦いでした。ギリギリ合格できたのでよかったですけど。だからコツなんてなくて、ひたすら勉強するのみですね。少しずつでも続けたことが結果に出るんじゃないでしょうか。

江口:素晴らしい。僕は一夜漬け派です。本当に勉強が嫌いで、赤点さえとらなければいいという考え方で、抑えるところだけ抑えて、あとはやらないと(笑)。勉強がその人にとって何なのかによりますよね。自分の夢や目標のために必要なことだったらやれると思うけど、僕は勉強する理由がなかったし、強要されるのも嫌で。高校も早く卒業したいと思ってました。妹は僕とは逆に頭が良くて。国公立の大学にも行ったし。

羽多野:そうなんだ。江口君は弟っぽいなと思ってた。うちの弟が似たタイプで。俺が毎日コツコツやってるのに、弟は遊んでて、でも俺と同じ高校にすんなりと入っちゃって。「コツだよ、アニキ」というノリですよ!

――柿原さんは勉強はまったくしなかったと言ってました。

羽多野:でも彼は、たまに台本の漢字が読めないですから。いかがなものかですよ(笑)。ただ、この仕事がいいところはどんな経験もムダにならないこと。バイト経験が後々役に立ったりしますから。


●対照的な2人の新旧メール事情とは?

――メールの送信と返信、どちらが多いですか? またメールの内容は長文? それとも用件のみ?

羽多野:携帯のシステムの問題で、ボタンでぽちぽち打っていた頃は絵文字や記号とか使ってたんですけど、スマホになってフリック入力になったら長文なんてムリ! 「わかりました」くらいしか打てないんですよ。 いまだに絵文字の出し方もわからないし、慣れなくて、スマホになってから短文になりました。ほぼ事務所とのやりとりですけど、友達からのメールに気付かないまま1週間経ってることもあったりして。

江口:本当にメールしないんですね。

羽多野:でも句読点だけだと淡々とし過ぎてるかなと、「!」を付けたことがあって。そうしたら受信した人が怒ってると思ったみたいで(笑)。江口君は長文?

江口:僕はLINEです。スタンプで感情を伝えられるので、「OK」というひと言でも、ニコニコマークのかわいいうさぎが言ってたらそれで済みますから。だから伝える力が弱くなっていきますよ。言葉を考えなくても絵で伝わりますし。


●不器用でまっすぐなキャラが愛おしく、ハートフルで楽しい作品

――皆さんへメッセージをお願いします。

江口:今回、初参加させていただきましたが、キャラ作りのところからすごく細かくディレクションしていただいて、現場で十太というキャラを作り上げた印象があります。そのかいあって楽しく、魅力あるキャラに仕上がったんじゃないかなと思うので、楽しんでいただければ幸いです。そしてまた十太を演じる機会があればうれしいし、十太も愛してほしいです(笑)。

羽多野:前作を聴いてくださった方には「大変、お待たせしました!」。このドラマCDを6年越しにお届けできることはとてもうれしいですし、キャストを見た時に「ほお~!」と思いました。新作として描いた時、すごく新鮮なキャスティングで。それはそれぞれがいろいろな現場で積み重ねて、自分のパーソナルイメージをちゃんと持った上で活動してきたからなんですよね。

 初心に帰るという意味で、役と真しに向き合える時間は幸せでした。今作から聴いてくださる方も非常にハートフルで楽しい作品で、キャラ達がみんな不器用だけどまっすぐ生きているところも共感できると思うので、聴いていただけると嬉しいです。僕らはすごく恥ずかしいですけど(笑)。そして次もやりたいです。できれば今度は6年と言わず、もっと近いほうがありがたいです、僕ら的にも。

――ありがとうございました!


■ドラマCD『酷くしないで2
発売日:2014年12月24日
価格:3,000円(税別)
発売:フロンティアワークス


>>ドラマCD『酷くしないで2』公式サイト
>>ドラマCD『酷くしないで2』Twitter

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