メールが届くのは8年後……宇宙と地上に引き裂かれる恋人達の物語。朗読×劇『ほしのこえ』ゲネプロレポート
2015年4月23日(木)より、公演が開始された朗読×劇『ほしのこえ』。原作は2002年に公開された新海誠氏の商業デビュー作品。『秒速5センチメートル』『雲のむこう、約束の場所』などに代表されるように、彼が描く少年少女の淡く、切ない恋が描かれた『ほしのこえ』が、いよいよ舞台で繰り広げられる。
本稿では、ゲネプロの模様をフォトレポートでお届け! 原作の持つ魅力と、舞台ならではの演出・表現の数々を体感してほしい。
■「メール」が紡ぐ、遠くて身近な物語
物語の鍵となるのは、携帯電話のメールだ。ある出来事をきっかけに宇宙へと行ってしまった長峰 美加子と、地球で暮らす寺尾 昇。互いに恋心を抱いている2人の連絡手段はメールのみ。しかし、その恋心とは裏腹に、2人の距離は何光年と離れて、メールが届く時間も次第に長くなっていく。
切ないテーマの物語が展開される本作だが、男子高校生の日常を描くシーンではコミカルに描かれるシーンもある。原作の持つ空気感は壊す事無く、何気ない日常のシーンに笑いという要素を加える事で、よりエンターテイメント性の高いものへと昇華させている。本作のイメージとして「宇宙」や「地球外生命体との戦闘」など、現実離れしたSF要素が強い作品と感じるかもしれないが、本作で描かれているのは“メールを軸とした人間ドラマ”である。
さらに朗読×劇『ほしのこえ』では、バックモニターにメールの内容が台詞と共に流れる演出がある。映しだされるのが普段から見ている携帯電話の画面だけに、思わず感情移入してしまう。さらにバックモニターでは原作のアニメーション絵が使用される場面があり、従来のファンにも嬉しい演出が盛り込まれていた。
また、原作の『ほしのこえ』ではストレート型の携帯電話が主流だったが、舞台版では時代に合わせて登場人物はスマートフォン、タブレットを使用している。この様な、13年前の作品でも親近感が湧くような変更もされていた。
2002年の公開から13年という時を経て、蘇った『ほしのこえ』。毎回出演者が変わることも魅力の一つとなっている本作は、長峰 美加子役だけでも、声優の小松未可子さん、「PASSPO☆」の根岸愛さん、元「モーニング娘。」の新垣里沙さんら3人が演じる予定だ。ぜひとも役者ごとの演技の違いにも注目して欲しい。
■公演情報
演劇ユニットキャットミント隊プロデュース朗読×劇「ほしのこえ」
<公演日時>
期間:2015年4月23日(木)〜27日(月)
4月23日(木) 15:00/19:00
4月24日(金) 15:00/19:00
4月25日(土) 15:00/19:00
4月26日(日) 15:00/19:00
4月27日(月) 15:00/19:00
<公演会場>
CBGK シブゲキ!!
東京都渋谷区道玄坂2-29-5ザ・プライム6F
TEL:03-6415-3363
<あらすじ>
時は2046年。
中学3年の夏、長峰美加子(15歳)は国連宇宙軍の調査隊選抜メンバーに選ばれたことを、同じ高校に行く約束していたクラスメイトの寺尾昇に告げる。翌年、宇宙への出発が実地され、離ればなれになった二人はメールで連絡を続けるが、地球から離れるにつれ次第にメールの送受信に時間がかかるようになり、お互い寂しさと孤独を募らせていく。
そんな時ミカコの乗った宇宙船は非常事態をむかえ、ノボルはノボルでミカコのいない生活の中、新しい時間が動きだしていく。やがて、宇宙船は大規模なワープを行い、メールの到着までに8年もの歳月がかかるようになってしまう。ミカコのだしたメールを、8年後24歳になったノボルは見るのだろうか、そして返信するのだろうか……
宇宙と地上に引き裂かれた2人の純愛ストーリー、ほしのこえ
<スタッフ>
原作:新海誠
脚本・演出:拝田ちさと(演劇ユニットキャットミント隊)
音楽:天門
<キャスト>
小松未可子/根岸愛(PASSPO☆)/井上正大/河原田巧也/梅原裕一郎/
反橋宗一郎(L.A.F.U.)/北山詩織/熊谷知花/北乃颯希 /芦原優愛/梶原龍星
新垣里沙(特別出演)/桂三四郎 (落語)
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