物語とリンクした歌詞にも注目！　アニメ『グリザイアの楽園』OPテーマ歌う黒崎真音さんにインタビュー【前編】

　昨年秋に放送され、一躍話題になったTVアニメ『グリザイアの果実』の完結編、『グリザイアの楽園』が4月より放送開始！　そのOP曲「刹那の楽園」を歌うのは前シリーズに続き黒崎真音さん。5月13日発売の8枚目のシングルで、重厚かつ激しく情熱的なサウンドに、黒崎さんの魅せる多彩な声色が物語へのイメージをかきたてる！　自身作詞のカップリング曲「Red Alert Carpet」はライブ&パーティチューンで9月12日に開催される5周年記念ライブで盛り上がること間違いなし！　インタビュー前編となる今回は、黒崎さんに『グリザイアの楽園』OPテーマの聴きどころを中心にお話いただいた。

●大きな物語が収束していく『グリザイアの楽園』が楽しみ

――黒崎さんがOP曲を歌われた、アニメ『グリザイアの果実』は放送後、すごく話題になったヒット作品になりましたが最後までご覧になってみた感想は？

黒崎真音さん(以下、黒崎)：映画のように作画がきれいで素敵だなって。海や空、草の色など目に映るものがすごくきれいでそこがまず好きでした。そして雄二君やヒロイン達は楽しい学園生活を送っているようで、実は女の子達はそれぞれ重いものを抱えていて。「まさかこの子にこんな秘密が隠されていたなんて！」と驚かされたり、あの笑顔の裏でこんなに悲しんでいたんだなと思うとせつなくなったり。そんなヒロイン達を雄二君が救っていくところは感動したし、心に残るシーンも多かったです。ここまで表現できるのかというところまで踏み込んで形にしてくれているのも感じて。それはゲームをプレイした時から感じていましたが、アニメでもクォリティも勢いも落とさずに1クール走り切ったのはすごいです！　制作に関わられた皆さんは大変だったと思いますけど。歌で関わらせていただかなくてもきっと好きになっていたと思います。


――3部作の2作目のあたる『グリザイアの迷宮』が先日、1時間スペシャルとして放送されましたがご覧になられましたか？

黒崎：もちろん！　リアルタイムで。深い時間からの放送で、私が勧めたらハマってしまった友人とLINEで会話しながら見ていたんですけど、友達から返事が来なくなり、寝落ちしてしまったようで(笑)。見終わった感想は「まさか、ここまで放送するとは!?」という展開もあってビックリしました。『グリザイアの果実』の雄二君は元々、強いところから始まっていて、「この子にいったい何があったんだろう？」という疑問に思う人も多かったと思いますが、「ああ、こんなことがあったからだったんだ！」と納得できたんじゃないかなと。悲しくなるシーンもあったけど、『グリザイアの果実』をもう一度、見直したくなったし、完結編の『グリザイアの楽園』も楽しみになる内容でした。


――そして最終章の『グリザイアの楽園』のオンエアも始まりました。

黒崎：『グリザイアの迷宮』では大きな謎は回収できたけど、雄二君の師匠である麻子さんと出会うところで終わるという気になる終わり方でした。ゲームの『グリザイアの迷宮』のストーリーも描きつつ、最終章の『グリザイアの楽園』に入っていく形になって、まだ明らかになっていない謎や結末がこのクールで解き明かされると思うとワクワクしますね。


●OP曲「刹那の果実」は衝撃的な始まり方。間奏には人生が詰まっている!?

――今作で歌われているOP曲「刹那の果実」ですが、前作のOP曲「楽園の翼」は広い空を駆け抜けるような爽快感のあるサウンドから一変して。

黒崎：「楽園の空」が自然が広がるような曲だとすれば、今回は銃や機械など人工物が思い浮かぶような重厚さがあって。物語のこれから進んでいく道やイメージが曲に現れているんじゃないかと思いました。


――パイプオルガンのような荘厳な音からイントロが始まったかと思ったら、早回しみたいになって。プレイヤーが壊れたのかと驚きました(笑)。

黒崎：テンポが急に早くなって、そこからいきなりバンドのビートで激しくなる、衝動的な始まり方ですよね。


――サビも凝ってますよね。途中で転調して2層構造になっているような。

黒崎： “昨日を脱ぎ捨て blow up”で1番が終わったと思いますよね(笑)。そこからテンポダウンして“blow up blow up”のコーラスが入って、ラストの“降り注ぐ月の光が真実”でまた速く激しくなって。凝っているといえば2サビ後の間奏もすごいですよね。オルゴールみたいなファンタジックな音から熱いコーラス、そしてバンドサウンドと。そのまま大サビ前のBメロにつながるところはカッコよくてしびれます。まっすぐ進んでこられなかったみんなへ道を示すような。キャラたちはもちろん、私達にも通じるところがあると思うし、そこからの最後のサビで答えが見つかるように開けるところは人生のようで。


――間奏に人生が詰まっている、すごいですね。

黒崎：私の想像や印象ですけど。1曲通して流れができていて、しかも濃密で詰まりに詰まったサウンドはさすがElements Gardenの藤間仁さんらしいですね。


●作品ファンに響きつつ、黒崎さんの気持ちも汲み取った桑島由一さんの歌詞

――歌詞は、作品で描かれている過去の出来事に大きな罪悪感を感じて悩む雄二や過去から立ち直ろうとするヒロイン達の姿が浮かびます。“エデンに眠る無邪気な鳥も永遠の嘘気付いている”も意味深な。

黒崎：そうですね。前シリーズを見て、キャラ達に何があったのかを知っていると一つひとつの言葉が響いてきますね。実は桑島さんに作詞していただく前にメールをいただいたんです。私が思う『グリザイア』の世界観や個人的に思っていることなどあったら気軽に言ってくださいと。その時にちょうど『グリザイアの果実』の放送を見ていて、絶望して立ち上がれないような経験をみんなしているのに、乗り越えて生きてきたひたむきな姿や仲間との出会いや絆に感動して。道を照らしてもらったような気がしたんです。苦しくても誰かの助けがあったりしていつか状況が変わって、心が軽くなるかもしれないということを見ていて感じたので、それもお伝えしたら私の気持ちもくみ取って歌詞を書いてくださったので、思い入れの強い曲になりました。

●各サビのフレーズから心の成長や変化が見える

――サウンド同様に立ち向かっていく強さも全編に渡って感じられます。

黒崎：「楽園の翼」も桑島さんの作詞ですが、両方共、挫折や苦悩を味わったことがある人が主人公になっている気がして。「楽園の翼」は包み込むような優しい愛を感じましたが、この曲は苦悩によって自分はもっと強くなれるよという男らしさ？　を感じて、勇気付けられます。刹那の一瞬、一瞬を重ねていく中で、失敗することがあっても選択に間違いも迷いもない、行こうと。私の中でもそういう気持ちがあったのでリンクできて、自分の言葉として歌えました。自身を差す人称がすべて“僕”じゃなく“僕ら”であることもキャラたち同様に一人じゃないんだと思わせてくれました。


――力強さは曲中に何度も登場する“blow up”にも現れている気がします。爆発や破裂を意味する言葉で、吹き飛ばす以上の激しさがあります。

黒崎：そのくらいの気持ちじゃなければ生きてこられなかったんでしょうね。言葉の印象や存在感があまりにも強過ぎて、最初のタイトル案に挙がったくらい。作品を見ていると“昨日を脱ぎ捨て”という強い想いで生きてきたんだろうなというイメージが湧く言葉でした。


――気に入っているフレーズを挙げていただけますか？

黒崎：サビの3行目は3つとも似ているようで、少しずつ違うんですよね。1番の“僕らが選んだ未来に迷いはない”、2番の“僕らが掴んだ明日を恐れないで”、ラストの“僕らは夢見た未来で今生きてる”と。最後のサビのコーラスでさりげなく“glow up”になっていたり、どんどん心の成長が見えてきて。語りかけるようなシーンやハッとさせられる言葉が並んで、レコーディングでもすべて印象が変えられたらいいなと思ったところです。


●歌い方のニュアンスやコーラスにもこだわり

――黒崎さんの歌い方もA～Bメロは何かがまとわりつくような、もどかしさみたいなものを感じましたがサビでは意を決したように強く。

黒崎：A～Bメロは1番の“求め、彷徨った”など過去をひきずっているイメージがあったので苦悩交じりで、艶っぽく歌えたらいいなというイメージがあって。今まであまりなかった歌い方をしたかも。サビはいつもの私らしく、答えが出てスカっとした感じで。


――サビの中でもテンポや歌い方も変わって。サビのコーラスの“Perfect World”のとこともカッコいいです。

黒崎：よかった！　ライブになったら歌ってもらえたらいいなと思ってます。


――1曲の中でいろいろな黒崎さんが見られますね。

黒崎：ありがとうございます。レコーディングではいろいろ声色を試させていただきました。藤間さんと「もうちょっとライトなほうがいいかな」とか「大人っぽいほうがいいかも」とか。結局、「楽園の翼」の時と同じく、思うようにやってみようと言っていただいて、自由に歌わせていただきました。コーラス部分のほうが細かいディレクションがありましたね。「もう半拍伸ばしましょう」とか「1拍短く」とか、こだわって録ったので、コーラスやDメロ前のハーモニーも3声重ねたりしているのでじっくり聴いてほしいです。


●物語の進行と共に気付く歌詞。ぜひおいしいところが詰まったフルバージョンを！



――これだけ歌詞もサウンドも歌い方もこだわりが詰まった曲なのにあっという間で。

黒崎：4分超あるんですけど、テンポが速いからそう感じますね。Dメロからサビへのつながりはスッキリするところが気持ちよかったり。でもよく聴くと「あっ、こんなところで！」と気付けるポイントもいっぱいあるので、何度も聴いていただけたら。


――他の聴きどころは？

黒崎：1番から3番のサビが微妙に違うのはラストフレーズもそうで、1番が“降り注ぐ月の光りが真実”、3番が“降り注ぐ月の光りが導く”だったり。歌い方も1番ではがっつり叫ぶように、Dメロ前では一人で月を見ながらぼそっとつぶやくようにせつなく、最後はまっすぐ進んでいくようにとか、こだわって歌ったのでニュアンスの違いも感じていただけたらいいですね。そしてお話が進んでいくと感じ方もどんどん変わっていくと思います。特に今作は展開が速いと思うので、見た直後に必ず聴き直す作業を(笑)。またアニメではフルでは流れないので、ここまでお話しした間奏や大サビなどおいしいところが聴けませんのでぜひCDで聴いてください。

[後編へ続く]


■黒崎真音「刹那の果実」
発売日：2015年5月13日(水)
価格：
[初回限定盤 (CD＋DVD)] 2,200円(税別)
[初回限定アニメ盤 (CD＋DVD)] 1,700円(税別)
[通常盤] 1,200円(税別)


＜ライブ情報＞
■『黒崎真音　LIVE 2015 ～5th Anniversary～』
日時：2015年9月12日(土)
場所舞浜アンフィシアター
全席指定3,900円（税込）


>>黒崎真音NBCユニバーサル公式サイト
>> TVアニメ『グリザイアの楽園』公式サイト