作者自身が語る「言ノ葉」の世界と7年ぶりとなるドラマCDへの気持ち――シリーズ原作・砂原糖子先生録り下ろしインタビュー
『言ノ葉ノ花』『言ノ葉ノ世界』『言ノ葉ノ使い』そして6月に発売されたばかりで7月28日にCDも発売される『言ノ葉便り』。これら「言ノ葉」シリーズの生みの親、砂原糖子先生にもお話を伺いました!
――余村と長谷部は、「言ノ葉」シリーズの中でも最初に誕生したキャラクターで、これまでの3カップルの中でも特に人気が高いと思うのですが、どのように生まれたキャラクターなのでしょうか。モデルにした方や、特に意識したイメージ、お気に入りのポイントなどがあれば教えてください。
砂原先生(以下、砂原):「言ノ葉ノ花」は設定が特殊なので、ストーリーからキャラが生まれた話です。心の声を聞くことに疲れたところから始まる余村は、どこかすべてを諦めたような淋しい世捨て人キャラで、聞かれる長谷部は無口で普通の人には感情が判りづらいけれど心は情熱的で真っ直ぐ。特にモデルにした方はいません。
途中で心の声が聞こえなくなってからは、キャラに引っ張られて話がまとまるようになりました。単行本の「言ノ葉便り」に収録の話はすべてそうです。気に入っているポイントは、そんな二人の関係です。気持ちが擦れ違う場面もありますが、基本的に甘いカップルで、ここまで愛情表現のストレートなカップルは私の中では珍しいので書いていて新鮮です。心に余裕の出てきた余村は長谷部をちょっとからかったりもしていますが、それさえ余村と長谷部だと甘い感じになります(笑)
――『言ノ葉ノ花』のエピソードは「犬」がきっかけになったとうかがっています。昨年発売の『言ノ葉ノ使い』では猫のようなガクタも登場しましたが、今回ドラマCD化される『言ノ葉ノ休日』『言ノ葉便り』には、なにか書きたいと思うきっかけやモチーフはあったのでしょうか。また、見どころや特に苦労したところなどはありますか。
砂原:「言ノ葉ノ休日」はショートストーリー2本と、三池ろむこ先生のショートコミックの原作で、それぞれ独立した話でよかったものを、私が同時期に出るならと繋げて「朝」「昼」「夜」にしてしまったものです。ドラマCDではさらに一話にまとまり、セリフの一部を変更させていただいています。単行本の「言ノ葉便り」に収録の内容とは少し違っていますので、その辺りも気づいてもらえたら嬉しいです。
「言ノ葉便り」は「言ノ葉日和」の中で自然と出た長谷部の気持ちを形にしようと、カミングアウト話になりました。思いがけず長くなってしまい、同人誌での発行は二年半くらいかかって、呆れたノロノロ運転でした。そんな話が単行本に収録されたり、CDになったり驚きです。余村と長谷部のエピソードはもちろんですが、妹の果奈と余村のやり取りも密かに力の入った部分です。
――長谷部×余村のドラマCD化は、非売品を除けば2008年の「言ノ葉ノ花」以来、実に7年ぶりですね。ファンとしては、まさに待望の続編CD化なのですが、砂原先生はドラマCD化のお話をどのような気持ちで受けられたのでしょうか。余村役の神谷浩史さん、長谷部役の小野大輔さんについてもお聞かせください。
砂原:お話をいただいたときは、驚きつつも半信半疑でした。私は心配性なのでいつもそんな感じで、大きな喜びどころを逃してしまっている気がします。長い準備期間があり、関わってくださった方々の力で一つ一つクリアになって現実化していったんですが、発売を目前にした今が一番「わー、本当にCD出るんだ!」と素直に楽しみにしている感じです。なので気持ちはリスナーさんと同じです。実現したらきっとたくさんの方に喜んでもらえる!というのは、最初から感じていましたので、お届けできるのがとても嬉しいです。
神谷さんも小野さんも大変な人気声優さんなので、アニメなどでいろいろなお声を耳にする機会がありますが、余村や長谷部のような声のトーンで演じられるのは意外と少ないのではと思います。なので声優さんのファンの方にも、楽しみは多いCDではないでしょうか。BLなのですべての方に全力でオススメとはいきませんが、興味ある方には是非聴いていただきたいです。
――今回のCD化を楽しみにしている方はもちろん、長谷部×余村のさらなる続編や、仮原×藤野、ガクタ×カンナ、(そしてシュウ×カズヨ)に続く、新たな『声』の聞こえるカップルの新作を期待している方も多いと思います。砂原先生の作品を楽しみにしている読者のみなさまに、メッセージをお願いします。
砂原:私は頭で思い描いてもなかなか続きが小説の形に至らないのですが、この作品はいただいたご感想の後押しでシリーズ化することができました。読んでくださる方の存在が、いつもなによりの原動力です。新しいキャラはいくつか書いてみたい組み合わせがあります。長谷部と余村もどこかで短編をと今は思っています。
ドラマCDは、発売元のAtis collectionさんが今年10周年だそうです。私は今年が15年目になります。本当に偶然ではありますが、そんな節目の年に「言ノ葉便り」のCDもお届けできることになり、なにか運命的なものを感じます。
今まで続いているのは、小説を読んでくださっている読者さん、CDを聴いてくださっているリスナーさんのおかげです。ありがとうございます。新作の「言ノ葉便り」もどうか楽しんでいただけますように!
今年は、砂原糖子先生デビュー15周年でもあるのだそう。まだ原作を読んだことのない人も、ぜひこの機会に「言ノ葉」原作に触れてみてくださいね。砂原先生、貴重なお話、そして素敵な作品を、ありがとうございました!
「言ノ葉」シリーズ
<小説> 砂原糖子著・三池ろむこ絵/新書館
『言ノ葉ノ花』(2007年)…長谷部×余村
『言ノ葉ノ世界』(2010年)…仮原×藤野
『言ノ葉ノ使い』(2014年)…ガクタ×カンナ
『言ノ葉便り』(2015年)…長谷部×余村
<ドラマCD> 砂原糖子原作・三池ろむこ絵/Atis collection
「言ノ葉ノ花」(2008年)…神谷浩史・小野大輔ほか
「言ノ葉ノ世界」(2011年)…平川大輔・三木眞一郎・神谷浩史・小野大輔ほか
「言ノ葉便り」(2015年7月28日発売予定!)…神谷浩史・小野大輔・武田華ほか
<Atis collectionポイント交換ミニドラマCD>
「言ノ葉日和」(2011年)…神谷浩史・小野大輔ほか
「言ノ葉ノ花 - 短編集 -」(2015年予定)…神谷浩史・小野大輔ほか
現在発売中の「Dear+(ディアプラス) 2015 ナツ号」にも、「言ノ葉ノ花 言ノ葉ノ休日」ミニドラマCDが付いています。
《文章:笈川采女》
ドラマCD『言ノ葉便り』
タイトル:言ノ葉便り
発売日:2015年7月28日
価格:3000円(税抜)
ディスク1枚
原作:砂原糖子
イラスト:三池ろむこ
新書館 刊
<ストーリー>
余村と長谷部が付き合い始めて半年。いくつかの季節を共に過ごし、二人の絆はますます深くなっていた。ある日、長谷部の妹の果奈が自宅に恋人を連れてくることになり、余村も同席を望まれる。以前の恋人との破局に責任を感じていた余村は、果奈の幸せを強く願いつつ家を訪ねた。だが穏やかに終わった顔合わせのあと、長谷部の部屋でキスしているところを果奈に見られてしまい……?
※「言ノ葉ノ花」の続編になります。
<キャスト>
余村和明:神谷浩史
長谷部修一:小野大輔
長谷部果奈:武田華
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