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島﨑信長さんが語る、「映画 ハイ☆スピード!」と七瀬遙

島﨑信長さんが語る、「映画 ハイ☆スピード!-Free! Starting Days-」と七瀬遙〜役を演じる上で相棒と意識したのは、技術ではなく心意気

 2013年夏のシリーズ開始以来、「仲間との絆」をテーマに多くのファンを魅了してきた「Free!」が銀幕の世界へと飛び込む――。

 2015年12月5日(土)に公開が決定した「映画 ハイ☆スピード!-Free! Starting Days-」(以下「ハイ☆スピード!」)。主人公の七瀬遙や幼馴染である橘真琴の中学時代を描くストーリーに、封切り前から注目が集まっています。

 公開が心待ちにされる中、アニメイトTVでは主演を務める島﨑信長さんに直接インタビューを実施しました。島﨑さんは「ハイ☆スピード!」についてどう感じたのか。そして、アフレコ現場で中学生の七瀬遙をどう演じたのか。

 TVシリーズから数えて3度目の七瀬遙を演じた、島﨑さんの胸中に迫ります。


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鈴木達央さんと2人で作品を引っ張る

――「ハイ☆スピード!」の話を聞いた時どう思いましたか。

島﨑:作品の映画化決定と同時に僕が中学時代の遙を演じることを聞いたのですが、とてもプレッシャーを感じました。

TVシリーズで描いた遙たちの高校時代は中学時代を経た延長線上に存在しています。そのため、すでに通り過ぎた過去は問題なく演じられるはず。ただし、これは理屈上の話なんです。

すでにファンの方々には、「Free!」、「Free!-Eternal Summer-」での遙が定着していますし、「遙らしさ」と「中学生らしさ」を意識しつつ改めて演技を考えました。

ただ、ファンの皆さまの応援があったお陰で、再び遙を演じるチャンスが生まれたことは非常に嬉しく思いました。「ハイ☆スピード!」はとても素敵な作品になるだろうし、絶対に成し遂げたいとも決意しましたね。

――TVシリーズを経て、島﨑さんが遙を演じるのは3度目になります。ご自身のラジオ番組「イワトビちゃんねるES」では「Free!-Eternal Summer-」で遙を演じている際、役者としての成長が裏目に出てしまい、鶴岡陽太音響監督から指摘があったと仰っていました。「ハイ☆スピード!」ではいかがでしたか?

島﨑:「Free!-Eternal Summer-」のアフレコ現場では、役者として成長する上で覚えた技術や場数を踏んでしまったがために「出なくなった演技がある」と、ご指摘をいただきました。

ですが、「Free!-Eternal Summer-」を経て、そうした役者としての“成長痛”を乗り越え続けていく経験やその後も出演した作品を通じて、多くのことを学んできました。

今回のアフレコでは、悪い意味での後悔や上手く演じることができないといった葛藤を覚えることはありませんでした。とてもスムーズに役に入ることができたと思っています。

――遙の親友である橘真琴役の鈴木達央さんと中学時代を演じる上で、打ち合わせ等ありましたか?

島﨑:「ハイ☆スピード!」と「Free!」の物語をつなぐ中心人物は遙と真琴です。だからこそ、鈴木さんと僕で「作品を引っ張らなければ」という思いはありました。2人で話したのは、役を演じる上での技術的な面ではなく「心意気」についてです。

遙らしさ真琴らしさを大事にして「良い作品にしよう」と。

もちろん全ての作品に携わる上で常に思っていることなのですが、鈴木さんと改めて決意を固めましたね。

――なるほど。

島﨑:そういった意味では、鈴木さんとも鶴岡音響監督とも事前に演技について特に細かく話すということはありませんでした。敢えて言葉にしなくても、それぞれが遙や真琴、世界観について理解していたからだと思いますね。

作品とリンクするように育まれたアフレコ現場

――アフレコ現場についてお聞かせください。

島﨑:結論から言うと「ハイ☆スピード!」はとても素晴らしい現場になりました。2回に分けての収録だったのですが、着実にチームワークが高まっていった。そんな現場でしたね。

今回もTVシリーズと同様に4人のチームでリレーを泳ぎます。僕と鈴木さんはTVシリーズから関わってきた歴史があり、新しく加わったのが椎名旭役の豊永利行さんと桐嶋郁弥役の内山昂輝さんです。

新しいチームで収録をしてみると、アフレコ現場の絆が作品とリンクするように育まれていった気がしています。

4人でアフレコの休憩中に男子トークを繰り広げたかと思えば、マイク前に立つとキャラクターたちが泳ぐことと同じように張り詰めた緊張感が生まれる。楽しい空気感と平行して、それぞれの役を演じる集中力が次々と高まっていく実感がありました。ある意味、「Free!」の時に似た雰囲気を感じた現場になったと思いますね。

「ハイ☆スピード!」を絶対に劇場で見るべき3つの理由

――「ハイ☆スピード!」の見どころについてお教えください。

島﨑:大きく分けると3つあります。ストーリー、映像、最後に音響です。

まず、ストーリーですがTVシリーズで描いた高校生の物語とは異なる「中学生たちの青春群像劇」だということ。高校生だったらスルーできるような内容でも、中学生だと自然とぶつかってしまうこともありますよね?「Free!」で描かれたストーリーよりも、幼く純粋な心の動きを感じていただけると思います。

学生時代を過ぎ去った方が見た場合には、とても懐かしくて暖かい。そんなピュアなストーリーが「ハイ☆スピード!」には詰まっています。

2つ目に洗練された映像。1つ例を挙げるのであれば「水の表現手法」です。振り返って考えると、TVシリーズであのクオリティを継続したことは、通常だとありえないことなんですよね。

アニメ制作会社の中でも、あれだけ鮮明に水を表現する映像ノウハウは当初持っていなかったはず。そうした経験を経て積み上げてきた劇場版の水の表現に注目していただきたいですね。

最後に音響ですが、スタッフの方々が本当に力を尽くしていて、「劇場用の音響」に仕上がっています。劇場という空間での音圧、響きに合わせて音を作っていて、劇場でないと体感できない部分もあると思います。劇場ならではの音にも耳を澄ましてみてください。

――「Free!」とのつながりについてはいかがでしょう。

島﨑:1つ分かりやすいポイントを挙げると、遙と真琴のやり取りですね。TVシリーズから応援していただいている方々が見た時に、「このシーン見覚えがある」という場面が「ハイ☆スピード!」の劇中にもあります。

この既視感を忘れずに「Free!」を改めて見ると、作品の深みが増すんです。中学時代はこんなやり取りだったけど、高校生になったら少し変化している。昔の話なんだけれど、新しい遙と真琴を見ることができる。これは、「ハイ☆スピード!」が生まれて本当に良かったと感じることの1つですね。

「俺はフリーしか泳がない」に秘められた意味

――遙を改めて演じた時に感じた魅力をお教えください。

島﨑:中学生の遙を演じてもポジティブな意味で、新しい発見はありませんでした。遙は遙ですので。ただし、高校生になる以前の話なので、「Free!」の遙とは異なる点があるんです。

例えば、遙には「俺はフリーしか泳がない」という台詞があります。TVシリーズでは決め台詞のように登場している言葉ですね。

でも、「ハイ☆スピード!」の遙はこの言葉を軽く普通に言うんです。中学生の遙にとって「俺はフリーしか泳がない」という言葉は、ただそう思ったから言ってるだけなんですよね。

――はい。

島﨑:その後、高校生へと成長していくにつれて、「俺はフリーしか泳がない」という言葉の意味を自分の中で考え、理論立て、ある意味では自分を縛るものにもなっていったのだと思います。言葉が秘めている意味の違いを1つ取っても、幼く純粋な新しい遙が「ハイ☆スピード!」では描かれています。

――最後に、劇場公開を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

島﨑:はじめてシリーズに触れる方でもきっと楽しめる作品になっています。「Free!」につながる「ハイ☆スピード!」という物語をぜひ、劇場でご覧ください。

――貴重なお話をありがとうございました。

>>映画「ハイ☆スピード!-Free! Starting Days-」公式サイト
>>ハイ☆スピード!&Free!公式ツイッター(@iwatobi_sc)


取材・文/川野優希

(C)2015おおじこうじ・京都アニメーション/ハイスピード製作委員会
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