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映画『ズートピア』ニック役・森川智之さんインタビュー

映画『ズートピア』ニック役・森川智之さんインタビュー 森川さんが語るアニメーションと吹き替えの違いとは!?

 『アナと雪の女王』、『ベイマックス』に続き、メガヒット作品となったディズニーアニメーションスタジオ長編作品『ズートピア』。日本では興収76億を突破し国内1位の成績をたたき出した本作が、デジタル配信中、そして24日にはMovieNEXが発売されます!

 ふたりの主人公のうちのひとりであるキツネ・「ニック」を演じるのは、「帝王」であり、アクセルワンの「社長」でもある森川智之さん。森川さんといえば、数々のアニメーションに出演しているだけでなく、多数の洋画の吹き替えにも参加しており、まさに「帝王」と呼ばれるのにも納得のお方。

 『ズートピア』では、ニックの心の葛藤という難しい演技を演じるにあたって意識したことや、これまで数々の経験がある森川さんが思うアニメーションと吹き替えの違いについてお伺いしてきました。もちろん、『ズートピア』で皆さんが感じた、「ニックかっこいい!」についても伺っています。読んで頂ければ、「ニックやっぱりかっこいい! 森川さんもかっこいい」となるはずです!

▲ニック役・森川智之さん

▲ニック役・森川智之さん


 

「ニックかっこいい!」は、想定外!

――劇場版が大ヒットし、ついにMovieNEXやデジタル配信がリリースされます。『ズートピア』の大ヒット、森川さんはどのようにお考えですか?

森川智之さん(以下、森川):びっくりしました。もちろん大ヒットするために作っていますし、当然のこととは思いますが、みなさんに本当に楽しんでもらえて、ここまでおおいに『ズートピア』を語ってもらえるなんて、思ってもいませんでした。僕は主人公のヒロイン(ウサギの新米警察官・ジュディ、CV:上戸彩)と行動を共にするニックというキャラクターを演じさせていただいたのですが、ジュディ以上に目立ってはいけないのに、目立っちゃったかな、と思います(笑)。それは自分の中では驚きというか、予想外の反響、反応でしたね。

▲ウサギの新米警察・ジュディ(CV:上戸彩)

▲ウサギの新米警察・ジュディ(CV:上戸彩)


 

――「ニックかっこいい!」との声を多く聞きますが、演じた森川さん自身はどう感じていますか?

森川:最初にニックを知った時は、「おっさんなのかな?」って思いました。映画観ると分かるのですが、実際は違うんです。最初の印象のままで進んだら、ディズニー長編映画の歴史から考えても、人気になることはなかったんじゃないかって思います(笑)。

ジュディが可愛いので、「ジュディの人気が出れば、おのずと隣にいるニックも好きになってもらえればいいかな」って思ってましたね。ただ、実際に、封切りしたら、すぐに「ニック、ニック」って声が聞こえてきて、驚きましたよね。正直、「ニックかっこいい!」の反応は、まったく予想してなかったです。


 

――森川さん的に、ニック人気がここまで上がったのはどうしてだと思いますか?

森川:僕、カッコよく演じたつもりはまったくないんです。ただ、吹き替えの演出の方やディズニーの担当の方とのディスカッションの中でこういう風に作っていこうというところで細かくやってきた結果だと思います。

例えば、テレビアニメにある「声優ファンに喜んでもらうため、このシーンはぐっとくるような感じの声色で演じよう」とかってのはまったくなかったです。「このシーンはジュディに対してこういう気持ちで自分の本音を言う」とか、「このシーンはこういう心持ちで寂しさを少し醸し出す」とか、そういう細かなシーンごとにニックと向き合った結果だったんです。なので、演じている時は、ニックがイケメンとは、まったく思っていませんでしたね。でもその後、映画を観た時に「あ、イケメンかもしれない」って思いました(笑)。


 

――どの辺がイケメンだと思いましたか?

森川:ただ単にカッコつけて弱さを隠したままストーリーが進んでいくのではなく、ジュディをサポートする中でニック自身も弱さを克服し共に成長してく姿に、「イケメン」を感じましたね。多くの女性ファンは、弱みを克服しつつもジュディを気遣うニックの姿に、女心をくすぐられつつも頼れる男性の存在を感じたのかもしれませんね。

もしジュディと出会ってなかったら、ニックはコンビの詐欺師稼業だったでしょうけど、ジュディと出会うことによって、社会とのしっかりしたつながりを作り、諦めたものを取り戻すかのように、立派な大人になっていく。そんなニックの姿も、男前を感じる部分ですよね。なので、『ズートピア』はぜひ、男性にも観てもらいたいです。ある程度社会に出て、いろんなものに揉まれて、おとなしくなってしまった大人の男性にニックを観てもらって、諦めかけているものを取り戻すような気持ちになってほしいですね。


 

アニメーションと吹き替え、同じ声を当てる仕事でも大きく違う!

――ニックは、ジュディと行動を共にすることで、心の傷が晴れて行きます。観ている方からすると、難しい演技だっただろうなと思いますが、アフレコの時に気にしていたところはありましたか?

森川:最初に観たときは、「あ、楽しそう。これはどういう風にひょうひょうと演じようかな」って思いましたけど、スタジオに入って、アイスキャンディーのシーン(ジュディとニックの出会いの場面)を演じた後に、すぐさまディズニーの方と演出家の方が入ってきて、「(さっきの森川さんの演技、)それはそれでアリなんですけど、詐欺師を演じないでください」って言われたんです。ニックの設定は「詐欺師」って資料にもいっぱい書いてあるんですけど、「詐欺師をやらないでください」って言われたんです。物語を知れば、その意味は分かるんですが、「これは大変な作業になるな」って思いましたね。そこから、自分の中で「ひょうひょう」としたニックを削ぎ落としていく作業が始まりました。

その後は、ニックの気持ちに、素直に向きあいましたね。いわゆるプロとしての色気(技術)を出しすぎず、真面目にニックに取り組まないと「つまらないものになっちゃうかも」っていう怖さはありました。色気を出し過ぎると、いわゆるテンプレート的な演技に流れちゃうと思ったんです。

「ニックは詐欺師だからこんな感じだったよね」「ニックは、あの風貌だし、ひょうひょうとしてるしこんな言い方だよね」っていう「ニックはこうあるべき」と、いう思いで演じると、あそこに到達しなかったと思います。本当に(ニックの気持ちに)素直になろうと思いました。


 

――数多くの映画で吹き替えを担当されていると思いますが、アニメーションと吹き替えで、どういう違いを持って挑まれましたか?

森川:日本のアニメーションの場合は、原作もあるんですが基本的にはキャラクターのイメージとか、作り込む段階でゼロベースからスタートする感じですね。自分のパーソナルな想像力も含めて、いわゆるデフォルメをしていく。ゼロから作って、キャラクターが自分のものになってくる。お互いがお互いに近寄ってくるみたいな感じですね。なので、アニメーションでは、「想像力」が大切になります。

一方、吹き替えの場合は、完全に完成されたオリジナルがあって、そのオリジナルが意図している演出、作品の意図をちゃんとくみ取って、自分が吹き替えを担当する役者さんと同じ役作りのプランをちゃんと辿る感じす。なので吹き替えは、想像力以上に「読解力」や「理解力」がとても大切です。同じ、声を当てる仕事でも、目指す立場の違いがあると思います。


 

――本作はどちらかというと吹き替え作品に近いと思いますが、ニックのことは大分考えられましたか? 森川さんから見て、ニックはどんなキャラクターでしたか?

森川:考えましたね。ニック、意外に素直ないい人(キツネ?)ですよね(笑)。あと、ニックは、誰もが経験し、どこかしら共感できるようなものを持っていますよね。トラウマからくる行動の縛りや、「キツネはずる賢い」みたいな見た目のイメージからくる自分自身の葛藤。また、現実にぶつかり、世の中の不条理に揉まれて、なんとなく大人になっていて、気付いたらいろんな鎧を身にまとっている。そして、そんな自分を守りながら生きていく。これって、誰もが経験したことのあるものなのかなと思いますね。


 

『ズートピア』は働く女性の応援歌!

――森川さんの、映画のお気に入りシーンは?

森川:免許センターでのフラッシュとのやりとりと、ゴンドラのシーンです。ボゴ(ズートピア警察署長のスイギュウ)に「48時間過ぎてないけど、まだ時間はある」みたいな形でジュディとゴンドラに乗って離れるシーンがあって、あそこで2人の距離がものすごく縮まるんです。ニックがなぜニックになったのか、自分でトラウマを話し出すんですよね。そこが自分の中ではお気に入りです。良いシーンだなって。あそこでちょっとごまかしちゃうシーンは、本当に憎めないというか、すごいやつだなって思いました。


 

――最後にメッセージをお願いします。

森川:『ズートピア』は、本当に元気になりたい人に観てもらいたいです。ジュディを観ることによって、万国共通なのかもしれませんが、田舎から上京して都会で働く、大人になった女性が社会に進出する縮図みたいなものを感じとることが出来ます。僕は知り合いの女性から話を聞いたんですけど、あれは働く女性にとってみたら、ものすごく応援してくれる映画だと。すごく力がわくというか、頑張れる映画だって。上京して、電車に乗って、テーマ曲が流れるシーンだけでも、涙が出てくるっていうくらい働く女性を後押ししてくれてるようです。働く女性へのエールが至るところに散らばった映画だと思うので、本作を手にしてもらって、より自分自身を前に前に、諦めずにいてほしいなって思います。

――ありがとうございます。

 

◆作品情報

ズートピア MovieNEX
価格:4,000円+税
発売日:2016年8月24日(水)
内容:ブルーレイ 1枚、DVD 1枚、デジタルコピー(クラウド対応)、MovieNEXワールドのセット

>>『ズートピア』公式サイト

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