音楽
二極性が生み出す輝きがここに。分島花音さんインタビュー

【インタビュー】それは二極性が生み出す、輝きの物語。「luminescence Q.E.D.」をリリースする分島花音さんに一問一答してみた

分島花音さんが2016年11月30日、前作「ツキナミ」から約1年9ヵ月ぶりとなるアルバム「luminescence Q.E.D.(ルミネッセンス キューイーディー)」をリリースします。

アニメーション映画『selector destructed WIXOSS』主題歌にもなった「Love your enemies」や、ライブ限定曲だった「Odette」などが収録され、ロックもあればジャズもありというなんとも分島さんらしい世界観ジャンルが詰まった本作。

プレスリリース等には「分島花音的青春ロックアルバム」と題されていますが、分島さんが思う青春とはどういうものなのか? そして意味深なアルバム名に込めた意図とは?そのあたりをずずっと、一問一答形式でうかがってきました。 

─早速ですが、よろしくお願いいたします! 分島さんのご出身地は?

分島花音さん(以下、分島):え? と…東京です。

ご職業は?

分島:今はミュージシャンをしています。

─というようなテンポで聞いていこうと思います。では、最近ハマっている食べ物は?

分島:最近ハマってるのはオイコスヨーグルトです。ハロウィングッズが当たるキャンペーンがあったんですけど、こないだ当選しました。




─ここ最近、毎日欠かさずしていることはありますか?

分島筋トレをしています。筋肉は裏切らないので…(笑)。

─ジムにも通われたりとか?

分島:ジムも行ってたんですけどちょっと通いづらい場所だったので。今はヨガを通いつつ家の近所をジョギングしたりですね。腹筋割りたいです。

─自分が一番落ち着く空間は?

分島:おうち。

─自宅で何をしているときが落ち着きますか?

分島寝てる時です。ほっといたら1日18時間とか寝ちゃいますよ。

─そんなに寝たら溶けますよ。

分島:でも夢がめっちゃ面白くて、もっかい見ようとしてたら、そのくらいの時間になっちゃって…。まぁ…その夢の内容は結局忘れちゃうんですけど…。

マネージャー伊藤:さっきも「私が描いた羊をみんなが犬っていう…」って寝言言ってたよ(笑)。

分島:あ、それなんとなく覚えてる(笑)。ちょっと半起きだったんですけどなんかそれだけ伝えたくて…。

─どんな犬、もとい羊を描いたのか気になるところですが…次の質問です。癒されたい時は何をしますか?

分島とたわむれます。もしくは甘いものを食べます。

─猫は何匹か飼ってるんですか?

分島:実家で一匹、今の家で一匹飼ってます。家にいるのはるるって名前です。




─もうアレですか、猫かわいがり状態ですか?

分島:それがすっごい懐いてくるんですよ。まだ半年のくらいの男の子なんですけど、どこ行ってもついてくるし、朝6時くらいになると、顔をぐしぐしと押し付けて来たり。3ヶ月くらいの頃はそれが1、2時間おきにありましたねぇ。

─なんだか癒しから遠い感じに…。ではこのパーソナルな流れから音楽な流れにしていこうと思うのですが。

分島:はい。

─自分が好きな音楽にはどのようなものを求めていますか?

分島:「悔しいと思うくらいカッコいいもの」ですね。音楽に関わらずなんですけど、私、良いモノを見ると嫉妬しちゃうんです。良い映画やアニメや本を読んだりすると悔しいなって。

─ある種のクリエイターあるあるですね。

分島:その度合いが自分の中にあって、特にビビってきたときに、自分がそれを産み出せない、自分が今までそれを知らなかった、そんな自分を否定されるくらいの衝撃みたいなものがあるんです。

そういうものを見ると「あ、今の自分は全然ダメだ」と感じて、これを超える、それ以上のものを作りたいという意欲につながりますね。

─「これ先にやられたか〜」みたいな感覚、ありますね確かに。

分島:だってスキマ産業じゃないですか(笑)。音階やリズムも基本は決められてるし、決まったなかでのパターンの並び替えで音楽はできてるじゃないですか。

それでも「この音ってこの人ならではじゃない?」みたいなのもあって、歌声楽器の鳴り、細かいところでいうとMVビジュアル面、プロデュースやブランディングなんかも「こうすれば良かったのか」とか、「これめっちゃ良いな」って悔しくなるときもあります。

─分島さんでもそのように思うことがあるんですね、意外です。

分島:めっちゃありますよ(笑)。

─今回のアルバムのタイトル「luminescence Q.E.D.」なんかはまさにユニークなネーミングだと思うんです、カッコいいですし。着想元はなんでしょう?

分島:「luminescence」って「luminous(ルミナス)」とか「illumination(イルミネーション)」とか、端的に言うと光っていう意味で、ここでいう「luminescence」は発光現象みたいな意味なんです。

発光現象にはいろんなものがあるんですけど、ここでは「摩擦ルミネッセンス」っていう、発光物同士じゃなくても衝撃を加えることで光が発生する現象を表しています。

─くっつけたガムテープを暗闇で剥がしたら光るアレですね。

分島:はい。自分が音楽と出会う瞬間って、私自身も音楽自体も発光物ではないけど、雷に打たれたような衝撃を感じる、それをこの言葉に置き換えられるんじゃないかと思って。

─なるほど。

分島:最後の「Q.E.D.」は哲学や数学で証明完了を表すフレーズなんですけど、そういった自分が衝撃を受け感動や、自分が作った曲のひとつひとつや歌詞のひとつひとつが自分の証明になっていけばいいなと思って。で、その証明が自分(分島花音)を知ってくれた誰かのルミナス(照明)になればいいなと思って、こういうタイトルにしました。

─証明と照明がかかっているんですね! この感覚はまさしく「うまいことやってくれたなー!」というヤツですよ。

分島:(笑)。

─でもこれさすがに聞かないとわからないですね。

分島:そうですね。前作「ツキナミ」の時も掘り下げ出したらすごく意味は長かったんですけど、月並みっていう言葉で済んじゃうので。そこは実はいろんな意味合いをもたせてるし、適当につけたんじゃないよっていう、そんな気持ちでやっています。

─ミーニングですね。そういえば今作はジャケットにバイクがありましたが、あれにはどんな意図が?

分島:これはですね、今まで作ってきたアルバム自体が「相反する、二極化するもの」っていうものをざっくりとした大きなテーマにしていて、例えばデビューした頃はイノセンスな少女性な要素と、ダークな要素から始まっているんです。

「ツキナミ」も思考的な部分衝動的な部分みたいな、そんなテーマで作っていて、その後に「Unbalance by Me」っていうツアーをやって、それも「二極化するもの」っていうのがテーマになっていたんです。

※参考リンク;パジャマパーティー? 料理屋さん? 分島花音さんのワンマンライブは音楽を楽しむステキな空間なんです


─確かに、二極性は分島さんのイメージでもあります。

分島:「ツキナミ」のジャケットにはクラシックカーを出したんですけど、今回のジャケットはバイクの周りにピンク色の手紙を散らせてあるんですよ。

で、哲学や数学の論文って手紙だったり文面に書き起こすみたいな印象があって、そこから連想して「自分の思いを届ける」ということで郵便屋さんのイメージで衣装もデザインして、その関係でバイクになりました。

─郵便屋さんだったんですね、オマージュというかモチーフというか。

分島:なのでロゴもにしていて、郵便のマークも稲妻になってるんですよ。

─てっきりアメリカーナなイメージかと思ってたんですけど、アルバム名に込めた意味を知るとビジュアルとの連動がより一層強く感じられますね。

分島:衣装もアルバムのテーマを含ませて作ることが多いので、ビジュアル含めなんやかんやと考えてたりします。

─二極性というところでいうと、ロック属性としてStereo Fabrication of Youthの江口亮さんが手がけた曲が二曲ありますね。

分島:はい。

─そんな江口さんに向かって、一言どうぞ。

分島:一言…。いや、一言じゃ済まないほど現場ではお世話になりましたね。思い立ったら吉日的な方なので、すごく仕事も早かったですし、なんだかいっぱい褒めて下さいましたし。

江口さんと話してると、そこまで現実味を帯びてなかった目標みたいなのがすごく現実として考えられるようになったんです。可能性みたいなものは早い者勝ちなところもあるので、すごく感謝しています。

─今回一緒にやることになった経緯は?

分島:「world‘s end, girl’s rondo」の時に、私が元々School Food Punishmentのサウンドがすごく好きで、サウンドプロデューサーを辿ったときに江口さんだっていうのを初めて知ったんです。

前作にあたる「killy killy JOKER」とはアプローチを変えて作りたいとお願いしたら引き受けて下さって、それがきっかけです。

─なるほど。そういえば江口さんがきっかけで夢や目標が現実的になったと仰いましたが、それはどんなものですか?

分島:どちらかというと裏方仕事が好きな方なので、プロデュース業みたいなのをやりたいなと。それは人間でもいいしキャラクターでもいいし、ライブのような自分のメインの自己表現とは別にサイドワークとしてそういうのがあったら、自分じゃ表現しきれないものがそっちで表現できるんじゃないかなーとずっと思ってて。機会があったらやってみたいですね。

─江口さんが関わられている曲でいうと3曲目の「the BEAST can't BE STOpped」なんですけど、実はずっと気になってたことが。




分島:はい。

─これ、どうして大文字と小文字がこんな感じなんですか?

分島:これはですね、「BEAST」と「BE STOpped」が、ビーストでかかってます。

─あーなるほど!

分島:これわかりにくいのかなぁ(笑)。

─声に出してみたらしっくりきました。もう1曲、6曲目の「ノットフォーセール・フォッシル」も江口さん編曲ですよね。この曲、ほんっとに良くて、良くて…。

分島:(笑)。

─聞きながら街を歩いてたんですけど、すごく浮かぶんですよね、アニメーションというか情景というか。エモです。

分島エモ的な要素がより強いのはこっちですね。このアルバムの中ではソリッドな部分のフックになればいいなと思っていて、それこそアニメから分島花音の音楽を好きになってくれた人に刺さるようにとは意識していますね。

─そういったロックな面がある一方、8曲目「Drink Drunk Music」のような非常にジャジーなナンバーもありますね。この曲からはモダンなバーの雰囲気を感じるのですが、分島さんはお酒は強い方ですか?

分島:人並み、ですね。飲むのは好きなんですけど、周りに弱いか悪酔いかどっちかみたいな人しかいなくて(笑)

─どのようなお店が好きなんですか?

分島:バーの空間みたいなのが好きで、いわゆる女子が好きそうなバーを食べログとかで検索して、そこに行くのが好きです。

─今作は4thアルバムになりますが、分島さんがアルバムにおいて最も大事にしていることってなんですか?

分島:なんでしょうね、アルバムごとに雰囲気も違うので…。1stの頃はプロデューサーの方がついて下さっていたので、自分がどうしたいかっていうことよりかはプロデューサーのイメージしたものをどれだけ忠実に表現できるかを重要視していました。

2ndからがセルフプロデュースを始めて、今、4枚作ってきたもののまだ満足してなくて…。もう作った瞬間から次のアルバム作りたくなっちゃうんですよね。良いのができたって思うんですけど、同時に「これで本当にいいの?」みたいな感じもあって…。

─クリエイターの性というやつかもしれませんね。

分島:一番大事にしてること…なんでしょう、結構全部大事なので。うん、絞れないですね。

─絞れないという回答もアリかと思いますよ。タイトル、ビジュアル、曲、世界観、詰められるところは全て詰めているんだなという風に感じます。

分島:これが最後のアルバムになるかって言われたら決してそうではないので、このコンセプトで、この今の状況で表現したいなって思う理想にはなるべく近づけるように全力は出したつもりではいます、チーム含めて。

トータルでいろんな面を一緒にやらせてもらっていて、作曲作詞はもちろんビジュアルや衣装もですし、オケ録りの時はアレンジのリクエストもさせてもらったり、ラフミックスからマスタリングまで立ち合わせてもらってます。

ほんとに最初から最後までやってもらってる感じもあるんですけど、自分がその現場にいる時間を作ってもらっているので、そういった意味ではありがたいとは思っています。

─ミックスも全て立ち合ってるのはすごいですね。じゃあもう、編曲も分島花音ですよね、シュガー(sugarbeans)さんだけでなく。

分島:いやいやでもあの残念なデモをこんなにキレイにできるのはシュガーさんだけなのでもう…。

マネージャー伊藤:でもシュガーさんも「ありがとう」って言ってたよね。こんなことさせてくれてありがとうって。

分島:ほんとにシュガーさんには絶対の信頼を寄せていて、この人なら自分の曲のどれを任せてもめちゃくちゃカッコよくしてくれるっていう、もう魔法使いみたいな人です。

ストリングスも使うしホーンも使うし、音楽としてはすごく贅沢に使ってもらってるアルバムだとは思うんですけど、シュガーさんも自分の入れたい音をレコーディングに入れられてるのが、良かったのかな。

─「Drink Drunk Music」のホーンなんて絶妙ですし、あれはぜひライブで聞いて見たい。各パートソロの時にスポットが当たって欲しい。

分島: 12月に東京・大阪で、ワンマンライブがあるんですけど、ビッグバンド編成なんですよ。それでやりたいがために書き下ろした曲なので(笑)。





─ライブの話が出ましたが、分島さん自身はライブを見に行ったらじっくり聞く派ですか? それともガンガン盛り上がる派ですか?

分島:郷に従う派ですかね(笑)。会場のノリに合わせるというか、お上品な会場だったらじっくり聞くし、ワーって感じだったらもう人の波に揉まれまくり…って感じです。

─前回のツアーではギターを演奏されていましたが、新しく楽器を始めるとしたら何をやってみたいですか?

分島:やっぱりギターかな、もうちょっと人に聞かせられるレベルにはしたいですね。

─例えば今ここに、プロレベルの楽器スキルを与えてくれる神様がいたとしたら?

分島:やっぱギターです(笑)。ギターのノウハウがわかれば他も弾ける気がします。

─では、今分島さんはチェロをされていますが、もしチェロではなくギターやピアノを続けていたとしたら、今の音楽性になっていたと思いますか?

分島:なってないと思います。影響されているのがクラシックの奏者だったり作曲家だったりするのが多いんです。

Odette」っていう楽曲も、ピアソラ(アルゼンチンの作曲家)の曲をチェリストのヨーヨー・マが演奏しているアルバムがあるんですけど、そういうのを聞いてた頃に「ピアソラっぽいコード進行で曲が書きたい」って思って書いた曲なので。なんやかんや曲に反映していますね、そういうのも。

─そろそろシメに入ろうと思っているのですが、今回のアルバムは「青春ロックアルバム」と題されていまして、分島さんと青春ってかなりイメージが遠い気がするんですが…。

分島:いえ、遠くもないですよ。

表題曲の「luminescence Q.E.D.」は青春を歌ってはいるんです。といっても10代の青春ど真ん中みたいなのを歌っているわけではなくて。青春を過ぎて大人になるといろんなものを失ったり分かり合えなかったり、そういう必要な諦めがあると思うんです。

そういうものを経験した上で振り返る青春の輝きや、失ってしまったものへの執着とか、色々なものを諦めてからこのあとどうするのか、そのあとの光ってなんだろう。

そういった、大人でまだ青春を追いかけていたり、ふとした瞬間に青春のなかに潜り込んでみたり、あの頃の輝きをたまに振り返って箱から出して思い出してみたり。そういう気持ちがある人には刺さるんじゃないかなっていう曲です。

─青春を経てから振り返る青春、みたいな感じでしょうか。表題曲がラストというのもトラックリスト的に美しいですね。

分島:Q.E.D.が末尾につけるものなので、最後に入れようとは思っていました。

─ではそんな証明完了な今作を、一言で表すなら?

分島:今回の共通テーマとしてはいろんな形の愛情みたいなものを詰めてはいるつもりです。それは自分にとって誰かのルミナスであったり、自分自身の目標とするルミナスであったりで、いわゆる「光」と一言にしてしまうと安っぽいんですけど、光に準(なぞら)えられるものをそれぞれちりばめているつもりです。

─ということは、一言で表すなら……?

分島ルミナスっ!(笑)

─ありがとうございました!





「luminescence Q.E.D.」は11月30日に発売予定。初回限定盤には分島花音 LIVE TOUR 2016 『Unbalance by Me 』の東京 Zepp DiverCity Tokyo 公演の模様を全曲収録したBlu-rayや作品を紐解くストーリーCDなどが収録されています。今回のアルバムにはたくさんの衝撃が詰まっています。このインタビューで照らされ、明らかとなった「作品への愛」を実際に確かめてみて下さいね!


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分島花音 公式Twitter
分島花音 Tumblr

<最新情報>
分島花音がアルバムをひっさげての全国ライブツアーを開催

分島花音 LIVE TOUR 2017 『BLUE BEAST BIOLOGY』​

「BLUE BEAST BIOLOGY moonlight party ver.」
■2017/3/20(月・祝) 東京/渋谷WWW 
■2017/3/25(土)  京都MOJO

「BLUE BEAST BIOLOGY」
■2017/4/29(土)  福岡DRUMBe-1
■2017/4/30(日)  広島セカンドクラッチ
■2017/5/14(日)  仙台MACANA
■2017/5/20(土)    名古屋 SPADE BOX
■2017/5/21(日)   大阪/umeda AKASO
■2017/7/17(月・祝) 東京/TSUTAYA O-EAST

3月の公演は東京と京都で『moonlight party ver.』(パジャマパーティー)としてライブを開催します
4月以降の公演はQ.E.D ver.としてお届けします!
ツアーの中でもちがった雰囲気でお届けしますお楽しみに・・・!!!
チケットの最速先行は本日11/29よりスタート
分島花音FCアプリ『pocket MLP』にて先着で受付中(12/11まで)
詳細はオフィシャルHPライブページをチェック!

<その他ライブ出演情報>

The strange treat ! holy night aquarium
・2016/12/14(水)東京・日本橋三井ホール
・2016/12/16(金)大阪・味園ユニバース

チケット発売中

[文=ヤマダユウス型 編集=長谷憲]

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