
TVアニメ『SHOW BY ROCK!!#』小林裕介さん&八代 拓さんインタビュー!もしもバンドを組むなら、担当はピアノ? バイオリン? それとも……?
2015年の第1期放送を経て、現在第2期となるTVアニメ『SHOW BY ROCK!!#』放送中! プラズマジカをはじめ、数々のバンドの成長や絆が描かれていて、手に汗握りながら観ている人も多いはずです。また、登場バンドが第1期以上に多いこともショウバイロッカーにとってはうれしい悲鳴♪ 毎話一瞬たりとも目が離せないですよね。
そんな多くのバンドなかで、アニメイトタイムズは「アルカレアファクト」にフィーチャー! 2回に分けて、キャストのインタビュー記事を公開しています。筆村栄心さん(セレン役)と沢城千春さん(アルゴン役)が登場した前回に続きお話を聞くのは、小林裕介さん(チタン役)と八代 拓さん(オリオン役)。ふたりにも、役作りから印象深いシーンまでじっくり聞いています。さらに、音楽の話では中高生時代の思い出話も……!? ぜひ読んでみてください。
――まずは、ふたりにキャストに決まったときの心境を聞きたいんですが……どちらからうかがいましょうかね?
小林裕介さん(以下、小林):(※小声で)リーダー!
八代 拓さん(以下、八代):はっ! こういうときだけー!(笑) いやあでも、『SHOW BY ROCK!!』という作品は第1期のときから知ってたので、純粋に携われるっていうことがうれしかったし、誰もが触れてきたサンリオさんによるキャラクターという意味でもうれしいなあと思いました。どんなキャラクターになっていくのかなって、ワクワクしてましたね。
小林:僕も第1期のときから知ってたんですけど、歌のオーディションを経て続編からボーカル役として参戦するということで、気負いはありました。それに、クールなキャラクターというのも僕自身あまりやったことがなかったので、いろいろと挑戦できる環境だなとも。楽しみ半分、不安半分っていう、なかなかおもしろい心持ちでアフレコやレコーディングに挑みました。
――実際に演じるキャラを見たときはどうでした?
小林:3DCGでつくられた、ミニキャラを演じることがなかったので、最初はイメージがつかみづらかったです。なので、演じるときはそこはあえて無視して「クール」「プライドが高い」っていうイメージのほうを膨らませて取り組みました。
――しかも単にクールキャラというわけではなくて、元金持ちだけど今は貧乏で、まわりにはそれを隠しているという側面もあります。
小林:そうなんですよね。なので、そのへんは「メンバーとの間に“壁”ができてもいい!」っていう心積もりでやってました。「ここからは踏み込まないでくれ」っていう威圧感を出すというか。金持ちらしい自信は持ちつつ、深く触れられないようにバリアを張ったり、一歩退いたりというのを表現できればなと思いましたね。
――チタンならではの繊細な役作りですね。
小林:でも、クールなだけじゃないんですよ。アニメではなかったエピソードですけど、みんなでチタンの家に行こう!って話になったとき、「うううウチはちょっとこう、セキュリティがすごいから! 一般の人は入れないんだ!」って言うくだりがあって。それを見たときは、チタン愛らしいなって思いましたね。
八代:セキュリティって言ったって、チタンがいれば入れるはずなんですけどね(笑)。
――そういう八代さんは、根っからの貴族であるオリオンを演じていますね。
八代:お金持ちですし、アルカレアファクトの中ではリーダーですね。なので、庶民の僕自身としては「お金持ちってどういう感覚なのかなあ」って考えるのが楽しかったです。
――というと?
八代:よく、「もし10億手に入ったら何したい?」とかって遊びで考えることあるじゃないですか? それを、もうちょっとリアルに考えるんです。例えば、サッカーを観ながら「あーこのチーム買いてえなあ」とか(笑)。そうすると、普段では浮かばないようなお金持ちの発想が出てきて、お金があるからこその活力みたいなものを感じられるんですよ。実際は食べていくのに必死な僕ですけど、そのときだけお金持ちの気持ちになれる。それは面白かったです。
――そうしてオリオンに近づいていくんですね! これもまた繊細な役作りです。
八代:アフレコでも、余裕のあるセリフ回しを大事にしてました。最初のアフレコでは、上から目線で偉そうにやってみたんですけど、それってともすれば“がんばってる”じゃないですか。オリオンにはそれすらなくて、「どんなこともお金で解決できる」という余裕と自信があるんですよね。なので、対バンで煽るときもメンバーに話しかけるときも、とにかく余裕がにじみ出るように。そこは意識して演じていました。
小林さんと八代さんが挙げるのは……やっぱりあの感動シーン!
――ふたりは「アルカレアファクト」というバンドにどういうイメージを持っていますか?
小林:やっぱり、個性豊かなバンドの中でも異色すぎるので、最初に思ったのは「受け入れられるのかな?」と心配でした。。アーティスト性よりも先にお金持ちというイメージが出てきちゃうし、バンドとして観てもらえるのかというのもありましたし……。チタンと兄弟たちのエピソードやシンガンとの再対決後の話もあって、どうにかこうにか和らぎましたけど(笑)。
八代:まあでも、逆に割り切ってるのもすごいことですけどね? お金にも音楽にも自信を持ってるから「利用するのは当然でしょ」みたいな。だから僕は、清々しいお金持ちだなあって思いました。あと単純に気になるのは、どんなふうにバンドを組んだんだろう?ってこと。
――あ、確かに!
八代:チタンとオリオンはなんとなく想像できるんですよ。きっとオリオンから声をかけたんだろうなあって。でも、セレンとアルゴンは……。とくにアルゴンは、どういう経緯で入ったんだろう? そういうのを想像するのも楽しいです。
――いろいろケタ外れだからこそ、頭に浮かびにくい部分ですよね! それもアルカレの特徴かもしれません。では、そんなアルカレが登場するストーリーで印象深いシーンってどこです?
八代:それはもう、オリオンがチタンに謝るところですね(註:第8話)。自信たっぷりのオリオンが、はじめてそうじゃなくなるシーン。やっぱり印象深いです。それに、アルカレの音楽自体もそこからはまた違うものになっていくと思うんですよ。アーティスト・アルカレアファクトのスタートになっているというか。
小林:そうそう、それまで「お金持ち同士で組んでる」イメージが強かったアルカレに、アーティストとしての心が再燃したよね。音楽に対して個々にアツいものを持ってることがわかったし、音楽の素晴らしさを再認識できた。なので、僕も第8話のあのシーンには思い入れがあります。
――そして、そのキッカケのひとつになったのがシンガンクリムゾンズでした。
小林:彼らは熱血だから、アルカレとは対極にいて価値観が全然違うバンドだなっていう印象です。だから、シンガンが何を言ってもこっちはスルー。そりゃあ、シンガンの4人ははらわた煮えくり返っちゃいますよね。ロムですら鉄拳制裁しようとしてきたくらいですから。まあ、“先輩”が助けてくれましたけども。
――そう、あのシーンもグッときましたね!
小林:シュウ☆ゾー先輩、カッコよかったですよね?
八代:うんうん、カッコよかったですね! オリオン危なかったー……顔が傷つくところだったもん。とはいえ、アルカレ目線関係なくストーリーを観てると、シンガンに助けられることは多いですよね。いろんなことが起こりますけど、シンガンだけは常に上を向いていてくれるから。ホッとします。
小林:そうだね! 引っ張ってくれる存在っていうか。
――1回目の対バンでも、アルカレにボロ負けしたのにすぐ立ち直ってましたよね(註:第5話)。
八代:そうですよ! あいつら、あんなにやってやったのに……。
小林:メシ食ったらすぐに立ち直って……!
一同:爆笑
八代:強いバンドだなあって思いますよね。
「アルカレのCDのカップリングにでも」キャスト陣もバンド結成!?
――『SHOW BY ROCK!!』の大きなテーマのひとつに“音楽”がありますが、ふたりは普段どんな音楽を聴いていますか?
八代:僕はバンドの曲が好きですね。いろんなアーティストさんの曲を聴くんですけど、気づいたらバンドばかり聴いてる。
――なんでしょう、惹かれるものがあるんですかね?
八代:歌詞に“バンドマンの反骨心”がにじんでるのが大好きなんですよ。どんなに売れてるバンドでも、最初は地元のライブハウスで自分たちでお金出して手売りでチケットさばいて……っていう苦労した時期があるじゃないですか。もちろん、売れてからの曲も良いんですけど、あの時期にしかない色のパワーがあると思っていて。そういう曲を、テンションあげたいときに聴いたりします。とくにBUMP OF CHICKENさんやAqua Timezさんが好きですね。あと……Red Hot Chili Peppersも。
――あれ? 最後の1組でいきなり毛色が変わりましたね(註:Red Hot Chili Peppersは1980年代からアメリカで活躍する大物ロックバンド)。
八代:あ、それだけちょっと聴く理由が違うんです。僕、英語は全然わからないんでBGMとして聴くんですよね。
――あーなるほど。つまり、邦楽は歌詞重視だけど洋楽はメロディで聴くというか。
八代:そうなんです。だから洗濯物を干してるときとか掃除してるときとかに音楽が欲しくなったら聴いてます。曲によって、聴くシーンが変わるんですよ。歌詞だけで判別してるわけじゃないけど、やっぱりどうしても気になっちゃう。
――前回インタビューした沢城さんとは逆ですね。沢城さんは「歌詞よりメロディ重視!」と言ってたので。
小林:あ、そうなんだ! 僕も歌詞はあまり気にしないですね。沢城くんとカブるのは嫌なんですけど(笑)。
一同:爆笑
――では聴く曲は洋邦限らず?
小林:よく聴くのはSEKAI NO OWARIとか、Janne Da ArcとAcid Black Cherryのボーカルのyasuさんの曲なんですけど、あとは直感でいいメロディだなと思った曲を何でも聴く感じです。で、何十回何百回と聴いたあとで「あ、歌詞もいいな」って気づくみたいな。
――歌詞は付加価値なんですね。
小林:そうですね! 歌う身としてそれどうなんだよって思いますけども(笑)。とくに、クラシックは何も気にせずに聴ける曲。今は『G線上のアリア』をよく聴いてます。いろんなアレンジで聴くのがおもしろいんですよ。あとは、CDを買ってもインストのトラックだけをずっと聴いてたりしますね。
八代:音が聴きたいってことですか?
小林:そう。「ここ、1番とテンポが違うんだカッコいい!」とか気づいたりね。
――ちなみに、バンド経験は?
小林:ないですね。でも、楽器はいろいろやってました。ピアノもバイオリンもやってましたし、あと吹奏楽部だったのでホルンも。で、ギターは……触ったことはあるんですけど、ちょっと、あの、Fコードが押さえられなくて……。
八代:でた!(笑)
――押さえ方が複雑で音が出ないっていう、よくあるパターンですね。
小林:そう、そこで挫折しました(笑)。でも、バンドに憧れはありましたね。中学時代も、友だちがバンドを組んでて休み時間になると音楽室でみんなにギターを聴かせたりしてたんですよ。それを見てカッコいいなって思っていました。
――では八代さんは?
八代:僕もないんですけど、高校時代に一回誘われたことがありますね。僕、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけピアノが弾けるんで、誘われて「やります!」って言ったんです。でも、次の週にそのバンド解散しちゃって。
――えっ! なんでですか?
八代:いや、わっかんないんですよ! 僕が入るってなったときに、メンバー間でモメたんじゃないですか? 「八代くんはちょっとやめない?」みたいな。
小林:どんだけデカい存在なんだよ(笑)。
八代:あははは! 「やっぱ入れるのやめよう」で済むところを、「解散しないと俺ら八代に潰されるぞ!?」みたいな?そう考えるとやばいですね(笑)。……あ、でも本当の理由は、そのバンドのリーダーだったドラムの人が「ジョン・レノンになりたい」って言い出したからだったんです。ドラムだと、ジョン・レノンにはなれないじゃないですか。だから「ジョン・レノンになりたいなら解散すっか」って解散したみたいですね。
――そのエピソード、気になるところが多々ありますけども……とにかく、八代さんはすごいタイミングで入ろうとしてたんですね。
八代:ほんとですよ。じゃあなんで俺を誘ったんだよ!って。謎ですね(笑)。
小林:でも、バンドいいよね。(八代さんのほう向いて)やるとしたらピアノ?
八代:…………作詞です! だから(小林さんは)作曲!
小林:作曲!?
八代:さっきメロディ重視って言ってたし。
小林:そうだけどさあ……。じゃあ、主旋律だけ考えるから。
八代:メロディは!?
――(笑)。このままだと単音ですけども。
八代:じゃあ千春くんに作ってもらいましょうか。
小林:あ、そうだね!
――そう考えると、もしかしたら曲が作れてしまうかも。
小林:ですね。いつかアルカレのCDのカップリングにでも。
八代:急にクオリティ落ちません!?(笑) でも、面白そうですね。
――いつかぜひ(笑)。そしてアルカレの楽曲といえば、小林さんが歌っていますよね。レコーディングしてみてどうでした?
小林:『SHOW BY ROCK!!』に関してはもう、キャラソンというより“いちアーティストの曲”だなって思いました。ディレクションの仕方も「キャラクターに近づけて」じゃなくて、「もっと語りかけるように」「ライブ感を意識して」っていうものが多くて、いつもより専門的。それも含めて、苦労して歌ってる気がします。
――とくに苦労した曲というと?
小林:『ジャスタウェイク』ですね。難しかった〜! 収録のタイミングでキャラクターのイメージをつかむための資料がそれほど多くなかったので、。余計に大変でした。それに、基本キーが高くて。でも下げてくださいとも言えなくて。歌ってみたらギリギリ出せたので、そのまま収録が進んでしまいました。次は積極的に下げていこうかな(笑)。
――低音のチタンの歌声も聴いてみたい気がしますけれども……! どうなるか楽しみにしてます(笑)。では最後に。最終回目前の今、チタンとオリオンにそれぞれメッセージを送れるとするなら、なんと言いたいですか?
小林:そうだなあ……。チタンは、抱えてたモヤモヤをメンバーが受け入れてくれて、本当の意味でアルカレがひとつになれたと思います。ここからまた、新しい音楽が生まれていくと思うので、ぜひ素晴らしい曲を作ってください。そうすれば僕もそれに応えるよ! と、伝えたいですね。……あ、うん、そうか。チタンが作った曲を僕が歌うんだもんな。がんばろう!(と、目の前に置かれたチタンのイラストにサムズアップ)
八代:そう聞くとちょっと不思議ですね(笑)。で、オリオンは……アルカレのリーダーですから。しっかりメンバーと向き合ってほしいです。そして、お金を使うなとは言いません。自分たちの環境を整えるために楽器を買うとか、そういうことならよろしいと思います。なので、そのぶん勝負の場ではいい音楽を届けてください。いいボーカルがいますからね。しっかり、音楽で勝負していこうね?
――なんかお母さんみたいですね。
八代:あははは! 言われてみれば(笑)。つまりはあれです、「がんばっていこう!」ってことです。
作品の話から音楽の話まで、ふたりで楽しそうにお話ししてくれました。筆村さんと沢城さんも触れていた、第8話のアルカレの転機。成長した彼らの姿を、最終回までにほんの少しでも覗いてみたいですね!
ちなみに、BUD VIRGIN LOGICキャスト陣のインタビュー記事も後日公開予定! アルカレと同じく、物語のキーとなっていたBVL。そんな彼女たちを演じる野口瑠璃子さん(アイレーン役)、田中あいみさん(ペイペイン役)、木戸衣吹さん(ハンドレッコ役)は、何を思う? そちらもぜひチェックを♪
[取材&文・松本まゆげ]
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