映画
映画『SING/シング』の「声優成分やや多め」のキャスティングはなぜ成立したのか? 音響監督・三間雅文さんインタビュー!
山寺さんが声優ナンバーワンであり理由は、「冷めない情熱」の賜物
――吹き替えがこれほど話題になっている理由として、声優さんの評価が社会的に上がっていることが挙げられると思いますが、三間さんから昨今の声優ブームはどう見えますか?
三間:僕からすれば、20年前から声優人気は高まり始めていたと思っています。人気が高まって天狗になっている声優さんたちに「お前ら、ブームは5年と続かないぞ」と言い続けて、20年経ちました(笑)。今も高まっているということは「あそこは入り口でしかなかったのか」と今になって思いますね(笑)。
ですが、音響監督の立場(キャスティングを決めるメンバー)として、声優人気におんぶにだっこは良くないですね。上からの意図があって、同じ声優をたくさん起用する流れもありますが、それはその声優を短命にしてしまいます。そうならないためにも、途中途中で、起爆剤となる場を用意していきたいと思っています。それは、ベテランさんだったり、舞台の役者だったり、吹き替え中心の声優さんだったり、ナレーターさんだったりと、その時々で考えている感じです。
――昔からの声優人気というお話がありましたが、山寺宏一さんは『SING/シング』でも吹き替えを担当していますが、それこそ20年以上、アニメだけでなく吹き替えの部分でもトップランナーですよね。山寺さんがここまで吹き替えを担当することが多いのは、どうしてでしょうか?
三間:山寺さんを起用することが多い理由は、やはり彼の持つテクニックとお芝居でしょう。山寺さんは器用さだけではなく、芝居に対して熱いハートを持っているんですよ。芝居に対する情熱がなければ、良いお芝居はできません。
でも、山寺さんはいつになってもその情熱が冷めないんですよ。常に声帯をどう使えばどういう音が出るのか研究しているので、気になった物音があれば音真似して音の出し方を練習したりします。そういうストイックな部分が、彼がここまで人気になり、まだまだ上へ登り続けている理由なんでしょうね。しかも、それを本人は無意識にやっているんですから、本当に素晴らしい役者さんです。
――最後の質問です。あえて伺いますが、『SING/シング』を観るなら字幕と吹き替えどちらをオススメしますか?
三間:答えは……「両方観てください」です(笑)。どの環境で観るのかというより、どうすれば作品をより楽しめるかだと思います。わかりやすい例を出せば、親子で『SING/シング』を見ようとしたときに、子供は字幕版では見にくいかもしれない。でも、吹き替え版があれば、それを楽しんで見れるんです。吹き替え版というものは、求められる用途に合わせるために作られていますしね。
あと、自分の仕事としては、ただ「良いものを作ろう」とだけ考えています。いつも120%のものを作っているつもりなので、やっぱりヒットしなかったら悔しいです。吹き替え版を見てくれた方が多いということを聞くと、『SING/シング』を多くの人に届けることができて良かったと思いますね。
そう意味では、字幕版、吹き替え版、両方とも楽しめる作りになっていると思います。やっぱり、「両方観てください」という、正しいのかもしれませんね。
――ありがとうございました。
[文/はら]
――吹き替えがこれほど話題になっている理由として、声優さんの評価が社会的に上がっていることが挙げられると思いますが、三間さんから昨今の声優ブームはどう見えますか?
三間:僕からすれば、20年前から声優人気は高まり始めていたと思っています。人気が高まって天狗になっている声優さんたちに「お前ら、ブームは5年と続かないぞ」と言い続けて、20年経ちました(笑)。今も高まっているということは「あそこは入り口でしかなかったのか」と今になって思いますね(笑)。
ですが、音響監督の立場(キャスティングを決めるメンバー)として、声優人気におんぶにだっこは良くないですね。上からの意図があって、同じ声優をたくさん起用する流れもありますが、それはその声優を短命にしてしまいます。そうならないためにも、途中途中で、起爆剤となる場を用意していきたいと思っています。それは、ベテランさんだったり、舞台の役者だったり、吹き替え中心の声優さんだったり、ナレーターさんだったりと、その時々で考えている感じです。
――昔からの声優人気というお話がありましたが、山寺宏一さんは『SING/シング』でも吹き替えを担当していますが、それこそ20年以上、アニメだけでなく吹き替えの部分でもトップランナーですよね。山寺さんがここまで吹き替えを担当することが多いのは、どうしてでしょうか?
三間:山寺さんを起用することが多い理由は、やはり彼の持つテクニックとお芝居でしょう。山寺さんは器用さだけではなく、芝居に対して熱いハートを持っているんですよ。芝居に対する情熱がなければ、良いお芝居はできません。
でも、山寺さんはいつになってもその情熱が冷めないんですよ。常に声帯をどう使えばどういう音が出るのか研究しているので、気になった物音があれば音真似して音の出し方を練習したりします。そういうストイックな部分が、彼がここまで人気になり、まだまだ上へ登り続けている理由なんでしょうね。しかも、それを本人は無意識にやっているんですから、本当に素晴らしい役者さんです。
――最後の質問です。あえて伺いますが、『SING/シング』を観るなら字幕と吹き替えどちらをオススメしますか?
三間:答えは……「両方観てください」です(笑)。どの環境で観るのかというより、どうすれば作品をより楽しめるかだと思います。わかりやすい例を出せば、親子で『SING/シング』を見ようとしたときに、子供は字幕版では見にくいかもしれない。でも、吹き替え版があれば、それを楽しんで見れるんです。吹き替え版というものは、求められる用途に合わせるために作られていますしね。
あと、自分の仕事としては、ただ「良いものを作ろう」とだけ考えています。いつも120%のものを作っているつもりなので、やっぱりヒットしなかったら悔しいです。吹き替え版を見てくれた方が多いということを聞くと、『SING/シング』を多くの人に届けることができて良かったと思いますね。
そう意味では、字幕版、吹き替え版、両方とも楽しめる作りになっていると思います。やっぱり、「両方観てください」という、正しいのかもしれませんね。
――ありがとうございました。
[文/はら]
映画情報
『SING/シング』あらすじ
動物だけが暮らすどこか人間世界と似た世界――
取り壊し寸前の劇場支配人バスター(コアラ)は、かつての栄光を取り戻すため、世界最高の歌のオーディションを開催することに。主要候補は5名。極度のアガリ症のシャイなティーンエイジャーのミーナ(ゾウ)、ギャングファミリーを抜け出し歌手を夢見るジョニー(ゴリラ)、我が道を貫くパンクロックなティーンエイジャーのアッシュ(ヤマアラシ)、25匹の子ブタ達の育児に追われる主婦のロジータ(ブタ)、貪欲で高慢な自己チューのマイク(ハツカネズミ)、常にパーティー気分の陽気なグンター(ブタ)。人生を変えるチャンスを掴むため、彼らはオーディションに参加する!
劇中にはレディ・ガガの「バッド・ロマンス」やビートルズの「ゴールデン・スランバー」など、誰もが聴いたことがあるヒットソングや名曲が60曲以上も登場!
スタッフ&キャスティング
監督/脚本:ガース・ジェニングス
製作:クリス・メレダンドリ、ジャネット・ヒーリー
キャスト:マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、セス・マクファーレン、スカーレット・ヨハンソン、ジョン・C・ライリー、タロン・エガートン、トリー・ケリー、ニック・クロール、ジェニファー・サンダース、ピーター・セラフィノーウィッチュ、レスリー・ジョーンズ、ジェイ・ファロア、ニック・オファーマン、ベック・ベネット
吹替え版/演出:三間雅文、日本語吹替え版音楽プロデューサー:蔦谷好位置日本語歌詞監修:いしわたり淳治
出演(吹替版):内村光良、MISIA、長澤まさみ、大橋卓弥( スキマスイッチ)、斎藤司(トレンディエンジェル)、山寺宏一、坂本真綾、田中真弓、宮野真守、谷山紀章、水樹奈々、大地真央
(C)Universal Studios.