『君の名は。』や『聲の形』など、2016年を代表する名作が勢ぞろい! 野沢雅子さんと松本零士さんも登壇した「日本映画批評家大賞」授賞式をレポート
2017年5月16日、第26回日本映画批評家大賞(アニメーション部門)の授賞式が、東京・池袋の東京芸術劇場で行われ、受賞した声優・クリエイター陣が出席しました。
「アニメーション部門」は第25回から新たに設立され、今年で2回目を迎えます。さらに今年は日本アニメーション生誕100周年を迎える記念すべき年でもあり、多くのアニメファンからの注目を集めました。授賞式では、中高生を中心に大ヒットして社会現象を巻き起こした『君の名は。』や、“いじめ”といったデリケートなテーマと真摯に向き合った『聲の形』などが選出。日本アニメ界を代表する方々がステージに上がりました。
ダイヤモンド大賞を受賞した松本零士さんがご登壇される場面では、なんと永井豪さんがサプライズゲストとして登場。そんな見どころ満載な授賞式の模様を、レポートでお届けしていきます!
【主な受賞者】
≪アニメ部門≫
◆アニメーション声優賞
野沢雅子
◆アニメーション監督賞
新海誠『君の名は。』
◆アニメーション作品賞
映画『聲の形』
◆アニメーション部門ダイヤモンド大賞
松本零士
まず最初の受賞はアニメーション声優賞。数あるアニメーションの中で、存在感ある声で人々を魅了した、野沢雅子さんが登壇します。代表作は『ドラゴンボール』をはじめ、『ゲゲゲの鬼太郎』や『銀河鉄道999』など。今やアニメファンの中で、この方の名前を知らない人はいないでしょう。
野沢さんは「長年声優をやってきたご褒美を貰えたと思っています。受賞できて本当にびっくりです」とコメント。最後は「オラたまげたぞ! ありがとな!」と語り、会場を沸かせました。
今や日本アニメーションを代表するクリエイターとなった、新海誠監督
優れた映像作品を残した人物に送られるアニメーション監督賞は、『君の名は。』より新海誠さん。本作の興行収入は250億円の大台を突破し、社会現象にもなりました。
新海誠監督はスケジュールの都合で欠席されたため、代わりに制作会社のコミックウェーブの取締役・酒井雄一プロデュ―サーが登壇。酒井さんは「『君の名は。』を支えて下さった関係者、映画を見て下さった全ての方々にお礼申し上げます」と、観客に感謝の言葉を述べました。
映画『聲の形』は、アニメーションだからこそ観客の心に響いた
最も優れた作品に贈られる、アニメーション作品賞に選ばれたのは『聲の形』。いじめという難しいテーマを扱ながら、アニメーションでなければできないような心に響く作品を作り上げ、多くの中高生からの人気を集めました。
ステージには本作のキャラクターデザイン、総作画監督の西屋太志氏が登壇。「京都アニメーションの強さは、作品に対する誠実さにある」と述べ、「魅力のある原作をいかに映像化していくか、山田尚子監督を中心にスタッフ一丸となって作品を作った」とコメント。
最後は「これからも皆さんに喜んで頂けるような作品作りを目指して進んで行きます」と締めくくりました。
松本零士さんの受賞には、サプライズゲストとして永井豪さんが登壇
アニメーション部門の最後を飾るのは、日本アニメ界のレジェンド・松本零士さん。『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』などの作品を作り上げ、漫画家でありながらアニメ映画を発展させた中心人物です。松本さんは日本映画を支え、尽力した人物として、ダイヤモンド大賞が贈られました。
松本さんは幼少の頃からアニメーション業界に憧れを持っていたと話し、手塚治虫先生や石ノ森正太郎先生と3人で集まり、「マンガ映画を作ろう」と誓い合ったという、当時のエピソードを披露。そして「これからも色んなことをやらないといけないと思っている。力の限り頑張りたい」と次回作への意気込みを語ってくれました。
松本さんのコメントが終わると、同賞の第一回目の受賞者である永井豪さんが登壇。松本さんに花束を手渡したうえで、「松本さんは自分の大先輩。今回の受賞は本当に嬉しい」と笑顔で祝福しました。
「アニメーション部門」の設立第二回目を迎え、ますます充実した内容となった日本映画批評家大賞。これからどんな映画が誕生してくれるのか、今年も要注目の一年になりそうです。
[取材・文・撮影/島中一郎]
>>「日本映画批評家大賞 2017」公式サイト