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- 石橋悠
- 1989年福岡県生まれ。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者。
SEGAの人気アプリゲーム『チェインクロニクル〜絆の新大陸〜』(現在、『チェインクロニクル3』。以下、チェンクロ)が、2016年に『チェインクロニクル 〜ヘクセイタスの閃〜』としてアニメ化されました。3章に分けて映画館で上映された劇場版、全12話が放送されたTV版と、同じ作品を2度楽しめるということで、ファンの中でも大きな盛り上がりを見せた本作がついにBlu-rayで登場です。
今回はそんな記念すべきタイミングで、監督の工藤昌史さんとマリナ役の内田彩さんにインタビューを行うことができました。アニメのオリジナル展開、ゲームからの声優変更、マリナの魅力など、ファンが気になるアレコレをぶつけてみました!
ゲームのいい部分をアニメに
──その他にもアニメならではの描写もありました。アンデットとの戦闘では、マリナはこういう戦い方もしてるのか、と新たな発見でした。
内田:マリナは回復役のヒーラーで、ゲームでも回復技を使っています。アニメでは、仲間の回復はもちろん、それに加えて動きがあるので、「技を使うっていうことはこういうことなんだな」と気付かされて、すごく面白く感じてました。シリアスなシーンでもそういう動きを見ているだけで「なるほどなー、面白いな」と思ってしまうことが本当に多かったんです(笑)。
ゲーム内だと、何かが起きてSDキャラたちが戦闘、という流れなんですが、アニメでそういったシーンを見てみると、「国が深刻な状況に置かれているということはこういうことなんだな」と、気付かされましたね。柳田さん(ヴェルナー役・柳田淳一さん)が舞台挨拶でよくネタにしていましたが、義勇軍が戦闘から帰ってくる際に村人に泥を投げつけられたり、ゲーム内では描かれていないことをアニメでは事細かに描かれていたので、私も印象に残っています。
工藤:そのシーンに関してもいろいろと想像しながら作りました。黒化の影響でマナが枯渇しているのなら、農民が耕してる畑も大変なことになってるんだろうなって思ったんです。柳田さんが作っていたぶどう畑(※4)が黒化してぶどうが採れなくなってしまったら、そうなるんじゃないかなって(笑)。ユーリたちは立ち向かう困難が多すぎて、いろんな困難に立ち向かっていかなくてはいけないのが大変でした。
※4:第1話の畑仕事をしている村人は、柳田さんが兼役で演じています。
──実際に戦争が起こっていたとしたら、あのような感じになりますよね。
内田:ゲームでは村人などと触れ合うシーンがあまり描かれたりしてませんからね。たまに農民のおじさんが出てくるのはありますけど。
工藤:その中でも、テキストで読んで印象に残ってるモブキャラっていますよね。そういったところも大事にしたいと思って、そこの世界に生きてる人たちもなるべく描いていきたいという気持ちがありました。
マリナとフィーナの違いを出すために
──アニメでは特にフィーナが魅力的だと感じました。何か狙いがあったのでしょうか?
工藤:フィーナの扱いが難しくて、途中までお荷物みたいな感じなっちゃってるんですよ。だから、最後のほうはぶち上げたいなと(笑)。ゲームでもフィーナはヒーラーなので、マリナと役割が被っちゃうんですよね。そういったところでの差別化をみんなで考えました。
内田:私もそこはちょっと気にしていました。もともと佐倉綾音ちゃんがマリナやっていたこともあるんですけど、倒れているユーリをフィーナが看病するシーンもあって、マリナとフィーナの立ち位置が近いなと思ったんです。ゲームだと各イラストレーターさんがイラストを担当しているので、ビジュアル的に違った雰囲気があるんですけど、アニメはメインのキャラクターは監督がデザインされています。それもあって、よりフィーナとマリナの立ち位置が近くなったので、「どうしよう?」と考えていましたね。
──演技面ではどういった違いを出そうと思いましたか?
内田:ゲーム内では、よく石につまずいて、「はいはい、頑張れー」ってみんなに言われるドジっ子なところも多いんですけど、アニメでのマリナはちゃんとしているシーンが多かったので、「真面目にやろう!」と思いました(笑)。
アラムと絡むシーンでは、ゲームでよく見るマリナらしさが出ていたので、そのときは強く意識しながら演じていましたね。ゲームファンのみなさんには、そのシーンを見て、「あっマリナだな」って思ってもらえたら嬉しいなと。マリナらしさもちゃんと出せたので良かったです!
──監督から見てマリナはどういったキャラクターですか?
工藤:マリナは、ゲーム内だと上級のヒーラーだと思うんですよ。看護師さん的な感じもありますよね(笑)。だったら、フィーナは“嫁”って感じにしておくのが一番いいのかなと思ってたんです。内田さんも大変だとは思ったんですが、以前に別作品でご一緒したこともあって、そのときに腕は見てるんでお任せしようと思いました(笑)。
その期待通りに、ちゃんと演じてくださったので、それだけでマリナというキャラクターは作れましたね。ラストでカイン(CV:豊永利行さん)とミシディア(CV:今井麻美さん)と駆けつけるシーンもお気に入りです。
内田:私もマリナを演じられて嬉しかったですね。義勇軍のメンバーって、ゲームでは最初に使うキャラクターたちなんです。だから思い入れが強いというか。物語がどんどん進んでいくと、強いキャラクターが仲間になって、そっちばっかり使っちゃうから、義勇軍のメンバーとは「そういえばあいつら今ごろ何しているんだろう」って疎遠になっちゃうんですけどね(笑)。
そんな義勇軍のメンバーが、あの局面で駆けつけてくれると、「よかった、こいつらやっぱり義勇軍だ!」って思いましたね。ゲームプレイヤーである私も監督も含め、あのシーンはよかったって思いますね!
工藤:実はあのシーン、義勇軍のメンバーは、ちゃんとVer.2(※5)になって成長して出てくるんですよ。カインやミシディアも技が強くなっています。ただ、マリナをどう表現するのかも課題でした。アニメオリジナルの展開だったんですけど、拘束魔法的なガチッと捕まえるマリナの魔法を使うくらいならできるんじゃないか? と思って入れさせていただきました。
──今回、『チェインクロニクル〜ヘクセイタスの閃〜』のBlu-rayが3巻同時発売されます。改めてアニメを楽しむファンの皆様に向けて一言ずつメッセージをお願いします。
内田:『チェインクロニクル』は絆の物語なので、いろんな人たちが支え合ったり、助け合ったりしながら冒険が進んでいきます。ゲームをやっている私も、いろんなところに魅力が詰まっているのを感じられる作品でした。ぜひ止めたり巻き戻ししながら隅から隅まで楽しんでいただけたらと思います! アラムのカードも付いてきますよ!(笑)
工藤:そうなんですよね。特典が結構付いてきます。本編の裏で起こっていたことを描いた書き下ろし小説も付きます。あとは、劇場版とテレビ版の両方が付いてくるのでお得だなと思いました(笑)。両方の違いを見比べられるんで面白いですね。
──(笑)。本日はありがとうございました!
[インタビュー/石橋悠]
1989年(平成元年)生まれ、福岡県出身。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者兼ナイスガイ。アニメイトタイムズで連載中の『BL塾』の書籍版をライターの阿部裕華さんと執筆など、ジャンルを問わずに活躍中。座右の銘は「明日死ぬか、100年後に死ぬか」。好きな言葉は「俺の意見より嫁の機嫌」。