瞬きも許さない、どんでん返しの連続! 夏アニメ『賭ケグルイ』早見沙織×徳武竜也 放送直前対談
原作・河本ほむら、作画・尚村透によるマンガ『賭ケグルイ』のTVアニメがいよいよ7月1日よりMBS、TOKYO MXほかでスタート!
ギャンブルが絶対的な掟。勝てば天国、負ければ地獄の階級制度が存在する私立百花王学園。そこに転校してきた“賭ケグルイ”蛇喰夢子とクラスメイトの鈴井涼太。
今回はその2人を演じる早見沙織さんと徳武竜也さんに、作品の魅力について語っていただきました。
――蛇喰夢子って名前のインパクトがすごいですよね。
早見沙織さん(以下、早見):蛇ってなかなか名前に付かないですよね。しかも食べてますからね。
――かなり振り幅が大きな役だと思ったのですが、オーディションからこのテンションで演じられたのですか?
早見:テープオーディションだったので、振り幅という点では、オーディションの時よりも現場に行ってからのほうが、その大きさを再認識しました。オーディションって、長いセリフだったらそこから抽出したセリフになるし、シーンも選び抜かれたところだったりするので、その一部分に焦点を当てる感じになるんですね。
なのでオーディションの時は、夢子を受けるという気持ちはありつつ、原作のイチ読者として、すごい作品だなぁと思いながらやっていました。だからオーディションの時は平和でしたね。アフレコも、まぁ平和といえば平和なんですけど……。
――とても平和とは思えない1話でしたけど(笑)。
早見:あはははっ、確かに! 語弊がありましたね。お仕事としては平和なんですけど、アフレコの時に、これはいろんなアプローチをして演技を作っていかないといけない役柄だなと思いました。
――徳武さんはいかがでしたか?
徳武竜也さん(以下、徳武):僕もテープオーディションだったんですけど、台本と一緒に原作を持って、原作の絵を見て怯えながら鈴井のセリフを録っていたんです。なので単純にリアクションを取るところでは、気持ち的にも入りやすかったですね。
いろいろとオーディションには参加させていただきますけど、鈴井くんは自分自身にも近い部分が多かったんです。自分自身も結構おどおどしやすいタイプなので、それが早いうちから僕の中ではリンクしていたというのがあって、それが印象に残っています。
――受かった時は?
徳武:素でめちゃめちゃ喜んでいましたね。初めてのメインキャストだったので、本当に嬉しくて。もちろんオーディションの時から「やるぞ!」っていう気持ちはあったんですけど、いざ実際に決まると緊張というか、このストーリーを僕が演じて面白くできるんだろうかっていうプレッシャーも、あらためて家で原作を読みながら感じました。
でも、現場でもそうなんですけど、他のキャストさんたちが演じている凄まじい“狂い”の中で、本当に僕自身も、鈴井くん自身も怯えられるというか。いい意味で“振り回される”。それができたので、まだ緊張は少しあるけど、楽しめてやれているのかなというのはあります。
――いきなりすごい現場に放り込まれた感じですね(笑)。
徳武:そうですね(笑)。めちゃめちゃありがたいんですけど、なかなか刺激的です。
――でも、鈴井くんを見ていると安心します。すごく普通のキャラクターだから。
徳武:唯一の良心的な。
早見:癒される。
徳武:観てくださる方、読んでくださる方と一緒にリアクションを取れたらいいなって思います(笑)。
――鈴井くんは、名前もすごく一般的ですしね。
徳武:すごく普通ですよね(笑)。
――先ほど「原作を読みながら」という話も出ましたが、原作を読んだ印象は?
徳武:1ページ1ページがすごく重いというか。1ページ手前までは「ハメてやったぞ!」と思っていたキャラクターが、次のページでは引き攣っていたりとか。何が起こるか本当に分からない楽しみがあって。
でもそれぞれ狂ってはいるんですけど、その狂いの原因もどこか人間臭かったりして、それがそれぞれのキャラクターの魅力につながっているんだろうなって思いました。生唾飲みながら読むような感じです。
――止まらなくなりますね。
徳武:そうですね。
早見:オーディションの際に読ませていただいた時も、「ヒ~~!」って思いながらどんどんページをめくってしまうという、矛盾した感覚に襲われました。読んでいて結構ヒヤヒヤするんですよ。「怖いよ~」って思うんですけど、ついつい読んでしまう。アフレコが始まってからも原作を拝見しているんですけど、作品のパワーなのか、夜中に読み始めると結局読み切るまでやめられなくって。「寝なきゃ!」って思いながらずっと読んでしまう、本当に魔力だなと(笑)。
徳武:ありますね。
早見:絵柄もかなりインパクトがありますけど、緻密なストーリーが裏側にあるんです。ストーリーとゲーム性。ゲームにまつわる心理戦が本当に緻密だなって。
サラッと読むと分からなくなってしまうので、心理に沿って読むところと、ゲームの内容がどうなっているのかを読むところ、2線作って行ったり来たりしながら、ちゃんと理解しながら繰り返し読むんですね。そんなところがマニアックに楽しめる気がして、本当に味わい深い作品です。
――作品では、そういうちょっと怖い心理戦やギャンブルの模様が描かれていますが、もう少し軽いところで、好きなボードゲームやカードゲームはありますか?
徳武:昔から、友達同士で遊ぶ時にトランプは結構やります。トランプって単純だからこそ楽しいというか。みんな持っているカードが同じじゃないですか。だからこその心理戦、人間性がすごく出ると思うので、そういうところが好きですね。
――昔から親しまれている遊びは、そういう心理戦が楽しいんだろうなと思います。
早見:私もトランプがすごく好きで、学生の時はいろんな人とやっていたんですけど、あまり心理戦のゲームはやっていなかった気がします。「スピード」とか(笑)。
――確かに「スピード」は速さ勝負ですね。
早見:あと小さい時は「神経衰弱」がすごく好きで。3人家族なので、みんな一戦やるとやってくれなくなるんですよ。父も母も「疲れるからもうやめにしよう」って。だからずっと一人でやっていました(笑)。
――本編にも「神経衰弱」が出てくると伺いました。
徳武:「ダブル神経衰弱」ですね。この前やってみたんですよ! トランプ2セット買ってきて。でもひとっつも当たらなかった(笑)。ただただ、そのあとトランプを2セットに分ける作業が大変でした(笑)。
早見:面倒そう(笑)。
――「ババ抜き」とかでも、ババを持っているかいないかみたいな化かし合いが楽しかったりするじゃないですか。そういうのはいかがですか?
早見:あの……「ダウト」とか本当に嫌でした(笑)。別に騙されやすいとかではなくて、あの空気感が本当に!
徳武:全員敵! みたいな?(笑)
早見:そうなんですよ! 「何で友達同士がこんな空気にならないといけないんだ!?」って。それがツラくて、すぐ「七並べ」をしようとするという(笑)。
――早見さんのイメージが崩れないで良かったです(笑)。夢子はそういう点は気にしない役柄ですけど、役作りは大変ではなかったですか?
早見:でも分からなくはないんですよ。何かに対してのめり込む感じは、私も共感できるし。それが夢子は賭け事だけど、自分は別のものだったりして、その対象が違うだけで感覚は一緒だと思いますし。でも、お金をポンと出したりするところは慣れないし、そんなに手持ちはないです(笑)。
――大金がバッグに入っていますからね。一方で鈴井くんはギャンブルがそれほど得意ではありませんが、徳武さんは?
徳武:僕も昔から死ぬほど運がなくて!(笑) くじ運もなくて、子供の頃ってガチャガチャ好きじゃないですか。で、「これ絶対に欲しくないな」っていうのが絶対に当たるんですよ! そういう自分の思い通りにならないことが多くて、そこは鈴井くんに共感します。「わかる! ツラいよね!」って(笑)。
――なるべくして鈴井くんになったと。
徳武:そうですね。むしろ「鈴井くんに選ばれたことで、運を使い尽くしたんじゃないか」くらいに思っています(笑)。でもそれだとアレなので、今まで運が悪かったのは、ここにとっておいたからなんだと思うようにします!
1話では蛇喰夢子の2%くらいしか明かされない!?
――それでは、1話の収録エピソードをお聞かせください。
早見:そうですね……セリフの量が多かったです。
徳武:台本をパッと開いたら、全部夢子だったりしますから。何ページかに亘って、ずっとしゃべっていましたよね?
早見:たまに鈴井さんが挟まってくれたりするんだけど、1話以降も何ページにもまたがっていることが多いです。
――その中で豹変したりしないといけないんですよね?
早見:そうなんです。たくさんしゃべる中でどう構成を作っていくのかが、この作品の軸になっていて。もちろん状況に応じて変えていくんですけど、さらにそこからどう変化を加えていくのか、どうお芝居のふり幅を作るかがわりと大事になってきて、しかもそれが毎回違うんです。
――やっていても楽しい?
早見:楽しいです! 毎回テーマがちょっと違うというか。「今日はこういう夢子でいきましょう!」っていうのを、音響監督さんや監督さんと話しながら作っているので、それが楽しいですね。
――早見さんの演技だけでもすごかったですが、完成した映像を見たら、もっとすごいことになっていて。
早見:そうなんです! やっぱり映像がリードしてくれるというか。例えば普段の夢子のまま物語が続いていくのであれば、こんなお芝居にはならなかったと思います。やっぱり画がだいぶリードしてくれていて、「こんな表情をしているんだったら、じゃあこのくらいやっていいですよね」っていう相乗効果で。
――アフレコの段階でも、ある程度表情が分かるようにはなっているんですか?
早見:分かります分かります。でも完成すると、もっとすごくなっているんですよ(笑)。だから、まだまだだなって思います。
――徳武さんは?
徳武:僕は事あるごとに、音響監督の藤田(亜紀子)さんから「負け犬だからね」って言われてます。
早見:さらっと言うんですよね(笑)。
徳武:1話以降は夢子と距離が近くなって、気にかけたり心配したりするシーンでセリフを発した時に、ちょっとヒロイックになってしまう瞬間があったんですよ。夢子への気持ちが強くなって。その時に「鈴井はそうじゃないでしょ。どこまで行っても負け犬なんだよ」って(笑)。
――自分のことではないけれど、ツラいですね(笑)。
徳武:ポチになる、ならないではなくて(※学園でワースト100になると家畜扱いされてしまう)、鈴井くん本人のもともとの性格として、小心者というか。
そういう意味で生々しい人間なんですけど、急に主人公然とするわけでもなく。あくまでも目の前で起こっていることが理解できなかったり、本心からギョッとしていたりするようなところでディレクションをいただくことが多いので、そこは気をつけながらやっています。
――思わずギョッとしてしまうような、みなさんの狂った時の演技を見て、いかがですか?
徳武:本当に凄まじいですよ。読んでいても凄まじいのに、それがサラウンドで聞こえてくるわけですか
早見:サラウンド(笑)。いや、でも(鈴井くんも)素敵な負け犬っぷりです。
――原作にあるポチのネックレス、欲しいですよね?
徳武:あの札すごく欲しいです!
早見:グッズで出ないんですかね?
徳武:あれがあったら僕ずっと付けてますよ(笑)。
――あれを付けたら、芝居面での負け犬っぷりが一段上がるかもしれないですよね(笑)。
徳武:そうですね。アフレコの時に音がしなければ、ずっと付けます(笑)。
――それでは最後に、1話の見どころとファンへのメッセージをお願いします。
徳武:特に原作をまだ読んでいない方は、アニメを観ていると原作を読んでいるのと同じように「早く次が見たい、早く一週間経ってほしい」と感じると思います。本当にまばたきしたらシーンが切り替わっているくらい、表情の変化もすごいですし、CM中にやっと息ができるくらいだと思うので、ぜひ楽しみながら見てください(笑)。
原作を読まれている方は、これだけ緻密に練られた原作が、動いたらどうなるのか、声がついたらどうなるのか、すごく気になると思います。みなさんが思っている以上に迫力のある作品になっていると思うので、みんなが賭け狂っている姿を見て、狂っていただくか、鈴井くんと同じように怯えていただくかしてほしいなって思います。
早見:私も1話を観させていただいて、絵も音楽も音(SE)、シナリオ、声もそうなんですけど、その全部で『賭ケグルイ』という作品を構成しているのを強く感じて、どんどん引き込まれていきました。夢子に関して言うと、1話だけではこの人の2%くらいしか明かされていないと思っていただければいいかなって。
――そうなんですか!?
早見:もう全然明かされていません!
徳武:序の口ですね。
早見:全然序の口なので、1話を観て「夢子はこうだな」って思いかけた方は、ぜひ2話3話と観て、ずっと正体を追いかけ続けていただければうれしいです。最後まで一緒に賭け狂っていただければと思います。
[取材・文・撮影/塚越淳一]
作品情報
●放送情報
2017年7月より放送開始!
MBS:7月1日より毎週土曜26時38分~
TOKYO MX:7月1日より毎週土曜22時00分~
テレビ愛知:7月5日より毎週水曜27時5分~
RKB毎日放送:7月5日より毎週水曜26時30分~
BS11:7月2日より毎週日曜26時00分~
Netflix:7月2日より毎週日曜配信開始
※放送日時は変更となる場合がございます。
●STAFF
原作:河本ほむら・尚村 透
(掲載 月刊「ガンガンJOKER」 スクウェア・エニックス刊)
監督:林 祐一郎
シリーズ構成:小林靖子
キャラクターデザイン:秋田 学
美術監督:松田春香・野村正信
色彩設計:鎌田千賀子
CGIディレクター:申 在勲
撮影監督:柳田貴志
編集:廣瀬清志
音響監督:藤田亜紀子
音響制作:HALF H・P STUDIO
音楽:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
制作:MAPPA
●CAST
蛇喰夢子:早見沙織
早乙女芽亜里:田中美海
鈴井涼太:徳武竜也
皇 伊月:若井友希
西洞院百合子:奈波果林
生志摩 妄:伊瀬茉莉也
夢見弖ユメミ:芹澤 優
豆生田 楓:杉田智和
黄泉月るな:鵜殿麻由
五十嵐清華:福原綾香
桃喰綺羅莉:沢城みゆき