新メンバーオーディションに面接官として参加するのは？――ツキノ芸能プロダクション」所属『劇団アルタイル』ショートストーリー連載第9回！

　2.5次元芸能プロダクション「ツキノ芸能プロダクション」に設立されたバラエティタレントユニット『劇団アルタイル』。歌もダンスもお芝居も……というマルチなタレント活動をする彼らの日々を、ショートストーリーと挿絵でお届けする連載です。

　劇団アルタイルの新規メンバーオーディションに面接官として参加できることになり、盛り上がる既存メンバー。誰が面接官になるのかわいわいと話し合いますが、自由すぎるメンバーによってだんだんと収集がつかなくなって……！？

劇団アルタイル『面接官は誰が？』
【あらすじ】
劇団アルタイル新規メンバーのオーディションに、既存メンバーも面接官として参加することになった。ただし、面接官になれるのは選ばれた数人のみ。そこで面接官を決めるための話し合いを行うことになったのだが……。

【ストーリー】
　あーあー。……ごほん。
　あ、ちゃんと撮れてるみたいだ。よし。
　えーと。今日は、とある日のメンバーの日常を、俺、市ヶ谷リンタロウが密着レポートします。
　飾らないメンバー同士のやり取りを楽しんでもらえるよう、がんばります！

　ということで、某月某日。ツキノ寮。タツヒコさんの声がけで、共有ルームにアル劇メンバー全員が集まりました。
　議題は「新規メンバーのオーディション面接官選抜について」です。

「オーディション部門から連絡があった。俺たちの中から、新規メンバーのオーディションの面接官を何人か決めてほしいそうだ」

「はーい！　タツヒコさん、しつもーん！」　

　はい、真っ先に手を挙げたトウマくん。どうぞ。

「定員何人ですか！　あと、自薦オッケーですか？」
「人数の指定は特に聞いてないな。自薦他薦も特に指定がない。俺個人はどちらでもいいと思う」
「よーし！」

　トウマくん、やる気満々だなー。
　ええと……マキさん。俺たちのとき、オーディション側の内訳がどんなだったか覚えてます？　

「そうだな。各専門分野から、ひとりかふたり……ぐらいじゃなかったか？」

　確かに、そんな感じ……だったかな。
　オーディションのときは俺、パニックだったから、ちょっと記憶が曖昧なんですよね……はは。

「そーいやリツ、お前、オーディション手伝ってなかったか？」
「ん。雑用を少しやってたよ」
「俺は仕事だったんだよなぁ、あの日」

　そうだ。リツくん、三次選考のときは進行のお手伝いをしてたっけ。
　イズモさんとも、もしかしたら事務所ですれ違ってたりして？

「なあなあ、タツ。面接官、俺やってみたいなぁ。なんか面白そー」
「タツヒコさん！　俺も俺もー！」
「お前ら、軽すぎ」

　あ、ええと……サクヤさん、マイクどうぞ。

「祭り気分とか、不謹慎だろ。オーディションでそいつらの人生変わるかもしれないって、わかってんのかよ」
「サクヤ、お前は重すぎ！」

　あっ、ヨウスケさん！　マイク返してください！

「違う、違うって！　客観的にオーディション見られるってなかなかないし、めちゃくちゃ勉強になるって！」
「……なんだ。ヨウスケにしては動機が真面目だな」
「だな。俺もいま驚いた」
「なにそれひっど！　ヒジリもミカドもひっど！！」
「ま、まあまあ」

　あ……イツキさん。さりげなくマイクを取り戻してくれて、ありがとうございます！
　イツキさんはオーディションについて、どう思いますか？

「俺も興味はあるよ。面接官はオーディションのときどこを見るんだろう、って、いつもとは逆の立場から見るのって参考になりそうだしね」
「スカウトや移籍でアル劇に来たメンバーのほうが多いが、この業界、オーディションは避けて通れないからな」

　確かにそうですね！
　さすがイツキさんとミカドさん、丁寧な仕事への向き合い方、尊敬しちゃいます。

「えー！　リン、俺はっ！？」

　だから、ヨウスケさん！　マイクはとらないでくださいっ！

「僕もオーディションを見てみたいな。……うん？　トムテさんも気になる？」
「虚空を見て会話すんなそこ！」

　え、えっと……。
（これ、いつもの、あんまり突っ込んじゃいけないやつ……）

「やだなあ。イズモ。トムテさんならここに――」
「ストップ！　それ以上言うなっ！！」
「あれー？　もしかしてイズモさん、まだトムテさん怖いんです？」
「怖がってねえよ！！　そういうトウマこそ顔引きつってんじゃねーか！」
「なっ……んなことないし！！」
「ま、待てってふたりとも！　ストップ！　どーでもいーことでギスギスすんの禁止！！」
「「ヨウスケ（さん）、うるさい！」」
「だんだん様式美になってきたな、このやり取り」

　ミカドさん、あの、できればふたりを止めてもらえると……。

「なあリン。これ、端から見ると、夏の納涼特集みたいに見えそうだが、撮ってて大丈夫か？」
「というか、一ミリも選抜面接官の話をしていないほうが問題じゃないか？」
「そもそも、ちっとも仲が良さそうじゃない」
「だな。どうせやるなら、もう少し作り込んであざとく仲良しな画を撮ったほうがうける」

　だから！　マキさんもヒジリさんも、こういうときばっかり意気投合して僕に突っ込んでないでふたりのこと止めてくださいってばー！