山本和臣さん＆西山宏太朗さんが「卒業」を前に振り返る『防衛部』の始まりと、これから――『美男高校地球防衛部LOVE！LOVE！LOVE！』声優インタビュー

2015年1月より放送をスタートしたTVアニメ『美男高校地球防衛部LOVE！』。翌年、2016年には第2期となる『美男高校地球防衛部LOVE！LOVE！』が放送され、シリーズを通して多くの笑いと感動を与えてくれました。

そんな『美男高校地球防衛部LOVE！』の「卒業」を描いたOVA『美男高校地球防衛部LOVE！LOVE！LOVE！』が、2017年8月26日(土)より、全国の劇場にて期間限定公開されます。3月という卒業シーズンを迎え、卒業する3年生、そして見送る1年生＆2年生の姿が描かれている本作。上映を楽しみにしている反面、「卒業」という節目を迎えることに複雑な心境の方も多いのではないでしょうか？

OVA上映を前にアニメイトタイムズでは、箱根有基（はこね・有基）役の山本和臣さん、鬼怒川熱史（きぬがわ・熱史）役の西山宏太朗さんにインタビューを実施。「卒業」という節目を迎える前に、今一度『美男高校地球防衛部』の「始まり」を振り返っていただきました。

TVアニメシリーズの放送、様々なライブ出演、防衛部メンバーとの出会いなどを「始まり」というキーワードで紐解いていくうちに、お2人の防衛部への思いが強く感じられるものになりました。

『防衛部』の原点と、がむしゃらに頑張ってきたこれまでの道のり
――改めて『美男高校地球防衛部LOVE！』について振り返っていきたいと思うのですが、まずは、オーディションを経て、出演が決まった時のことを覚えていますでしょうか？

鬼怒川熱史役・西山宏太朗さん(以下、西山)：覚えています。スタジオオーディションで、スタジオの中に監督やプロデューサーの方たちがいて、自分が演じてみたい役やスタッフの方から「どう？」と言われた役などを演じさせていただく形でしたね。

――その際に、お二人は今演じられている有基と熱史を演じられたのですか？

箱根有基役・山本和臣さん(以下、山本)：僕は有基と蔵王君を演じさせていただきました。最初は有基だけの予定だったんですけど、途中からスタッフの方に「蔵王君も」と言っていただきました。またオーディションの思い出として、とても記憶に残っていることがあって。神谷(浩史)さんと安元(洋貴)さんもオーディションでいらっしゃっていたんですけど、安元さんが首をかしげながらブースから出てきた姿が今でも忘れられないです(笑)。

西山：確か安元さんは、有基も演じられたんでしたよね？

山本：そうそう。監督がその時のデータをたまに聴いて個人的に楽しんでいるらしいです。

――それは機会があれば聞かせていただきたいですね(笑)。山本さんは有基という役に決まり、現在に至るまで演じられています。ここまでともに歩んできたキャラクターへどんな思いを抱いていますか？

山本：有基とは似ているところもあれば、尊敬するところもあって。意外と男らしいところは似ているかなと思います。尊敬している部分でいうと、素直なところですかね。有基は、怪人に対してはちょっとだけ横暴なところがあるかもしれないんですけど、自分の考えを持ちながらも、周りの声を聞ける柔軟性もあって。

それに「好きなものを好き！」って胸を張って言えるところは凄いなと思いますね。自分は好きだけれど、「周りはどうなんだろう？」って思うと「好き」だと言いにくくなってしまうことって多々あると思うんです。だけど有基は、そういうものを気にせずに、自分の心のままに好きを言える子だなと思います。

――確かに有基は、防衛部やあんちゃんに対しても素直に「好き」と言うシーンが多々ありますよね。西山さんはオーディションで記憶に残っていることはありますか？

西山：僕もオーディションで熱史君を受けさせていただいたんですけど、めちゃくちゃ汗をかいたことを覚えていますね。全身を使って演じさせていただいていたので、オーディションが終わってからは「どうなるのかな」ってドキドキしていたんですけど、後日、事務所から“決まりました”って連絡をいただいたときはめちゃくちゃ嬉しくて、その場でしゃがみこんでしまいました。初めて30分ものの作品でメインの役柄だったので、素直に嬉しかったし、「これは絶対に頑張りたい！」っていうやる気に満ち溢れていました。その気持ちは、今も変わらずもっているものですね。

――西山さんは熱史と似ていると感じるところはありますか？

西山：熱史君は1期のときは錦ちゃん(草津錦史郎)との確執があったりもしたんですけど、その原因になっていたのが熱史君の事なかれ主義な部分だったと思うんです。熱史君的には、優しさだと思ってやっていたことが、錦ちゃんとしては違う風に受け取られてしまうこともあって。

思ったこと、感じたことはきちんと言葉にして伝えるべきだということを、自分は今までできていなかったなと思いました。これは、この『防衛部』という作品・時間を通して教えていただいたことですね。今までは思っていても、言わなくても伝わると思っていたんですけど、言わなければ本当の意味が伝わらないこともあるんだなと。

――尊敬しているところでいうと？

西山：頭がいいところですかね。熱史君は学校での成績も良いんですが、きっと防衛部として活動している裏でしっかりと学んでいたからだと思うんです。本編ではそういったシーンが描かれているわけではないんですが、成績が良いというのは彼が努力していた証だと思うんです。そうしたしっかりしているところを尊敬しています。

――西山さんはライブだとMCを担当することもあり、しっかりしているという部分では熱史と共通している部分なのかもしれませんね。

西山：今となっては「なんでこうなったんだろう」っていうところはあるんですけどね(笑)。でも、みんなが助けてくれるので、信頼してステージに立つことができます。

――ちなみに、第1話の収録時のことを覚えていますか？

山本：第1話の収録を前に、違う現場で安元さんと西山さんとは会ったことがあって。白井さんはGoogleで調べました(笑)。梅ちゃん(梅原裕一郎さん)と増田(俊樹)くんも会ったことがなくて「どんな人なのかな」って思いながら現場に向かったりして。

安元さんは昔からお世話になっていたので、一緒の現場になることを伝えたら「頑張れよ」って声をかけていただいて「よし、頑張ろう」と思って現場に向かったのを覚えていますね。

――顔見知りの方がいたことで、いい意味で緊張しなかったのでしょうか？

山本：いや、緊張はしましたね(笑)。それぞれ仕事ではあるのでそこに差が生まれるわけではないのですが、メインとなる役柄を担当している以上、僕らが頑張って引っ張って行かなければというプレッシャーはありました。

神谷さん、寺島(拓篤)さん、福山(潤)さんといった先輩がいらっしゃるような現場だからこそ、僕らが精一杯やっている姿を見せなければいけないなと。でも、もともと優しい方ばかりだと僕は知っていたので、失敗しないように頑張ろうというよりも、「とにかくがむしゃらに頑張ろう」という気持ちでした。

――メインとなる役柄を演じることでプレッシャーはありましたか？

山本：そうですね。僕はお芝居的に受け身というか、相手から何かをもらって返す演じ方をこの作品までずっとやっていて。僕だけが特別にそうだったというよりも、若手のうちは基本的に先輩からセリフをもらって、それを受けて返すという演じ方をする人が多いと思うんです。

でも、初めてこの作品で、「相手にぶつけてやろう」って考えましたね。ただ相手からもらうだけでなくて、ぶつけられるものはぶつけてやろうって。

西山：有基は天真爛漫で、自然とみんなを引っ張っているような役だからこそかもしれないですね。

――西山さんは第1話の収録を覚えていますか？

西山：こんなに喋る役柄は今までなかったので、台本をチェックしている段階からドキドキが止まらなかったですね。「すごい……全部のページにいるじゃん……！」って(笑)。

山本：熱史君は、最初のセリフから長かったよね。

西山：そうなんですよ！　最初のシーンが熱史君のセリフからだったので、監督に「始めます」って言われてマイク前に立つ瞬間は物凄く緊張しました。でも、その緊張は不安からというよりも、嬉しさからで。今までこんな経験がなかったからこそ、その時のことはものすごく記憶に残っています。懐かしいですね(笑)。

――『美男高校地球防衛部LOVE！』の収録が行われたのは、もう2年半以上前になりますよね。そこからこれまでの道のりをどう感じていますか？

西山：当初は予想もしていないことがたくさんあった2年半でしたね。アニメの現場以外にも、様々な活動をさせていただく機会がとても多かったですよね？

山本：主題歌を防衛部のみんなで歌わせてもらったり、ライブに出演させてもらったり。

西山：「Animelo Summer Live(通称・アニサマ)」も出たりしましたしね。今でこそ結構あると思うんですけど、当時はなかなか若手の男性声優ユニットが出演するのは珍しくて。防衛部はちょっとした駆け出しみたいな感じだったんじゃないかと思います。でも、みんな暖かく迎えてくれて、すっごく嬉しかったことを今でも覚えていますね。

山本：「アニサマ」のステージを見た男性で、自分と同い年くらいの方から「防衛部のステージを見て僕も頑張ろうって思いました！」ってメッセージをいただいたことがあって。男性にも楽しんでもらえていたことが実感できて嬉しかったのを覚えています。

男性キャラクターがメインの作品だと女性向けのイメージが強いと思うんですけど、防衛部はちょっとギャグというか、ゆるっとしている部分が男性にも楽しんでいただける作品になっているのかなと。

――確かに完全に女性向けの作品というよりも、コミカルなシーンがあったりと男性でも楽しめる作品になっていますよね。

山本：『絶対無敵☆Fallin' LOVE☆』とか、曲が戦隊ものチックになっているから、男性の方でも受け入れてもらいやすい要素はあったのかなと思います。

西山：確かに、『絶対無敵☆Fallin' LOVE☆』は日曜の朝に流れそうな雰囲気ありますよね。

――「アニサマ」を含め、単独・合同イベントともに、たくさんのライブに防衛部として出演されていますよね。なかでも、特に思い出に残っているライブはありますか？

西山：いろいろと出演させてもらっているんですけど、1番最初にポニーキャニオンの本社でリリースイベントを1日に4回させてもらったことがありまして。

山本：最初は3回の予定だったのが、応募が多かったから4回になって、それでもたくさんの方が来てくれたんだよね。

西山：オープニングとエンディングを歌とダンス込みで初披露させてもらいましたよね。

山本：そうそう。でも、僕はそのイベントの3回目のときに振りか歌詞を間違えてしまったんです。このイベントはたくさんの方が見たいと思って応募してくれていたからこそ、基本的に1人1度しか見ることのできないステージだったんですけど、4回のうちの3回目に来てくれた方は、その3回目しか見ることができないのに、失敗してしまったことがすごく悔しくて。

西山：裏にはけた時、山本さんがしょぼんとしていたのを覚えていますね。みんなで「そんなことないよ」って声をかけたりして。それくらい本気だった……というと当たり前のことなんですけど、ライブを大切にする気持ちはその頃から変わらないですよね。

そもそも歌って踊ること自体、防衛部のそのステージが初めてだったので。5人でダンス練習を重ねて、歌と振りを揃えて、築いてきたものを披露したときに、ファンの方がたくさんの歓声とサイリウムで答えてくれるのを見て「やってきてよかった、頑張ってよかった」って思いました。

――そこから様々なステージに立ってきて、演出や楽曲が増えるなど、できることも増えているかと思います。今、自分たちのステージをどのように見つめていますか？

西山：信頼しあっていることが肌で感じられるようになっていますね。“この5人なら大丈夫だ”って思えるからこそ、嫌な緊張もしなくなりましたし、どんなトラブルだって乗り越えられると感じられるのは、ステージを重ねてきたからこそ思えることです。直近で行われた両国のイベントでは、VEPPerの2人や安元さん、麦人さんがステージにいてくださることもあって、心強いなかで挑むことができました。

山本：それに、僕たち自身がちゃんと楽しめるようになってきたなって思います。最初はできないことや、自分のなかの目標に届いていない部分がたくさんあるなか、それでも応援してくれる人の応援に応えたいプレッシャーがありました。

でも、ステージを重ねるごとに、応援しにきてくれたみんなからの応援や感想を真正面から受け止められるようになって。それは、僕たち5人の信頼が高まったのに加えて、ライブに来てくれる・応援してくれるみんなと信頼が築けたからだと思うんです。もちろん、“もっといいものを見せたい、聴かせたい”という演者としての気持ちもあるんですけど、きっとみんなと一緒なら楽しめるって思えるんです。


『防衛部』と一緒に過ごした2年半、声優陣に変化は……？　

――今のお話を聞いていると今後のライブを見るときの気持ちがまた少し変わってきそうです。山本さんの言葉で「5人の信頼」とありましたが、2年半、防衛部のメンバーと付き合ってきたなかで、最初の印象と今の印象で変わったことはありますか？

西山：最初は「初めまして」という距離感だった人も、一緒に過ごしていくなかで相手の考えや気持ちを深く知ることができるようになって、それがパフォーマンスや演技で表せるようになったと思います。

あと、基本的に5人ともノリがいいんですよ。ご飯に誘ったらみんな来てくれますし、収録が終わっても無駄にスタジオに残っているし(笑)。そうしたやりとりのなかで相手のことを知れたのが、この期間のなかでの大きな収穫でしたね。

――プライベートに5人で集まったりすることもあったんですか？

山本：1期のころは収録後にみんなでご飯に言ったりして、バカな話ばっかりしていました(笑)。

西山：最近だとダンスレッスンの終わりに焼き肉を食べに行ったんです。その時は白井さんだけ用事があって行けなかったんですけど、残りの4人でひたすら“10回ゲーム”をして盛り上がりました。「ピザって10回言って？」「じゃあここは？」という問題をネットで調べて、ひたすら4人で問題を出し合っているだけという(笑)。

山本：4人でずっとやっていたよね。多分1時間くらいやっていたんじゃないかな？

――10回ゲームって1回目だからこそ面白いというか、2回目以降は落ちが見えている状態で面白みが半減してしまいそうな気がしますが(笑)。

西山：そうなんですよ！　普通はそう何度も続けるゲームじゃないんですけど、なんでか嬉々としてやっていました。本当に楽しかったな～(笑)。そのように仕事以外の話や遊びを5人でちょくちょくしていましたね。

――なんだか男子高校生の放課後みたいな空気ですね。

山本：確かに(笑)。でも、『美男高校地球防衛部LOVE！LOVE！LOVE！』の収録が終わったときに、時間があった白井さんと増田くんと僕の3人でご飯に行ったときは、ちゃんと『LOVE！LOVE！LOVE！』の話をしましたよ。「青春の感覚を味わえる良い作品だよね」って焼き肉を食べながら(笑)。

西山：アフレコの時に白井さんが隣の席だったんですけど、ずっと「泣いちゃうよ！泣いちゃうよ！」って言っていました(笑)。僕も、だーますさん(増田さん)から収録前日の深夜3時くらいにLINEでスタンプ1個だけ送られてきて、返信したら「起きてた(笑)」と言われつつも、ちょっと『防衛部』の話をして。その時に、“ダラダラだけで続けていくこともできるけど、きちんとゴールまで走り抜けられてよかったね。この作品良いね”って話を2人でして、寝ました(笑)。

――寝てしまったのですね(笑)。でも、そうやって演者同士が熱い話をできるくらい、『防衛部』は良い作品なんだなと思います。ここで『LOVE！LOVE！』のお話も少し伺いたいのですが、放送が行われていたのがちょうど1年前の夏。放送を終えた今、振り返ってみていかがですか？

西山：2期は盛りだくさんでしたよね。あんちゃんの過去が明らかになったり、新たな敵としてダダチャが出てきたり。それこそ、2期を語るにはVEPPerの登場が欠かせないですよね。

山本：1期の時点でバトラバの変身シーンに衝撃があったにも関わらず、もう最終回を迎えるころには頭の方から見ていた人は変身することを受け入れられてしまうくらい『防衛部』の世界観に順応されていたと思うんですよ。でも、2期が始まって急にVEPPerが舞台で歌い、踊るという新たな演出が加わったことにより衝撃を受け、また2期が終わるころには舞台で歌い、踊る彼らを受け入れていて(笑)。

言ってしまえばコメディーなんですけど、怪人を筆頭にVEPPerのような弱さをもっていることがはっきり分かるキャラクターが出てくることによって、ハートウォーミングな解釈もできるんです。例えば、トナカイ怪人が登場した第7話『愛と奇跡のクリスマス』では、コメディーでありながらもVEPPerのすれ違いだったり、トナカイ怪人の寂しさが入り混じりつつ、でも最後には面白い。コメディーとシリアスの塩梅が丁度いいんですよね。

西山：シリアスな部分で言うと、最終話の有基の叫びとか鳥肌立ちました。

山本：子供のころの叫びとシンクロして、超音波を発したところだね。

西山：そこで駆け寄る防衛部のメンバーたちの表情が、“これまでコメディーやっていたメンバーじゃないよね？”と思わされるほどシリアスで。煙ちゃんとか特に！　やる気のなかった煙ちゃんが、ひとつのことに熱くなるシーンでは思わず胸が熱くなりましたね。

山本：でも、面白かったというか、意外だったシーンがあって。有基が共鳴したあとに、煙ちゃんとか蔵王君が集まって声をかけてくれるのはわかるじゃないですか？　でも、会長(草津錦史郎)が「これは……違う……」って言ったところで、“会長ちゃんと有基のこと見てた！　あんなに邪見にしてたのに！”と思っていたのは意外ながら嬉しくもあって。そうした関係性の向上が見れたのも、第2期のいいところだったんじゃないかな。


ゴールを目前に山本さんと西山さんが胸に秘めた「卒業」への想い　

――そんな笑いや涙を与えてくれた『防衛部』が、ついにひとまずのゴールを8月に迎えます。台本を読まれた際に、どんな感想を抱かれましたか？

西山： “ああ、これが仲間だな”って思いました。今までいがみ合っていたメンバーたちも一つになっていく部分に集大成であることを感じましたし、この組み合わせで話したりするんだっていう発見もあったりして。様々なところに見どころがちりばめられているので、全編通して見逃せないなと思いましたね。あと、有基がなかなか出てこないんですよ！

山本：そうなんだよね。でも、OVAならではの1期、2期とはまた違う有基を見ることができると思います。あと、最後のシーンは、本当よくみんな大丈夫だなって思いましたね。僕の個人的な意見としては、あれだけの気持ちでは収まらない部分があって……○○の卒業ならまだしも、○○になると思わなくて。

西山：うん。でも、関係がなくなるわけではないですもんね。

山本：ね。でも、僕はちょっと勘違いしていたんだよね、一緒に過ごしていたから、仲間というよりも家族だと思っていたんですよ。収録が終わって監督に「みんなは笑顔だったけど、僕は笑顔では無理です」って言いに行ったくらい。でも、これが卒業の裏に隠されているとすると、これを見たみんなはどう思うんだろうかなって。

――胸に引っかかる部分がある？

山本：いや、作品として引っかかりはないんです。僕個人が勘違いしていた部分で、ちょっとだけ胸に残る部分があると言いますか。思い知りましたね、みんなの心の大きさというか、感覚の大きさを。もう宇宙規模なんですよ(笑)。

西山：確かに、器がめちゃくちゃ広い。最初はそんなことなかったけれど、1年たって変わっていったんだと思います。

山本：そうかもしれないね。僕ももうちょっと宇宙規模で考えないといけないなって思わされましたね。

――これだけ読んだら読者の方はなんの話か分からないでしょうね(笑)。

一同：(笑)。

山本：今作はダラダラと笑いながら見ることもできるし、色々な考察をしようと思えばできる受け幅の広い作品になっています。僕は考察するのが好きなんで、いろいろと考えてしまうんですけど。

――考えようによっては色々な楽しみ方がある作品になっているんですね。収録自体はすでに終えているかと思うのですが、現場はどんな雰囲気でしたか？

西山：よくも悪くも、いつもと同じでしたね。2期の収録からは間が開いていたんですけど、すぐにいつもの雰囲気に戻れました。

山本：いつも収録で思うんですけど、収録現場の雰囲気がちょうど良くて。若い人同士が集まるとダレてしまうことがあるかもしれませんが、『防衛部』の現場はそれぞれが役や演じることについて真剣に取り組んでいます。だから、和気藹々としながらも、“良いものを作ろう”という気持ちがいつまでたっても消えないんです。

――仲良くするときは仲良くするけれど、いざマイクの前に立ったら作品と役に真剣になれる。そんなメリハリがある現場なんですね。

西山：作品愛が強いからこそ、そうしたメリハリが生まれているのかもしれませんね。

――それこそ、今回のビジュアルが公開されたとき、3年生の卒業を予感して寂しさを感じたのですが、収録現場はそうした寂しさが漂うというよりも、いい意味でいつもと変わらなかったのでしょうか？

山本：これは5人とも同じだと思うんですけど、ある一定の寂しさを抱えていても、その気持ちを前面に出すような人たちではなくて。白井さんは白井さんで、いつも通りふざけていましたし(笑)。

西山：「ふ～」って歩いていましたよね(笑)。なんというか、まだ実感がないのかもしれません。これ1回きりという気持ちで演じているのはもちろんなんですけど、やっぱりまたいつか集まれるって心のどこかで感じているからこそ、いつも通りできたんじゃないかな。

山本：杉田(智和)さんが前に言っていたんですけど、「『防衛部』は例えば10年後とかにぽっと会ってもおかしくないよな、自由な作風だよな」って。

――確かに、また同窓会とかで集まることもできそうですよね。

西山：あーそれやりたいですね！　あと、高校を卒業したとしても、怪人はたくさんいるでしょうし。

山本：うん。現実逃避じゃないけれど、悲しんでもしょうがないという気持ちもあって。どちらかと言えば、早くみんなにこの作品を見てもらいたい気持ちが今は大きいです。

――作品が公開されて反響を受けたときに、また実感するものがあるかもしれないですね。お話を聞いていると、寂しさだけの内容ではないのでしょうか？

山本：いや、泣けますね。

西山：泣けるでしょうね。ハンカチだと足りないので、タオルを持ってきていただいたほうがいいです。いいタオルがあるので。

――『防衛部』の過去の物販でタオルが販売されていますしね。

西山：素材がいいやつです。それを持参していただけるといいですね。

山本：しっかり涙を吸い取ってくれるからね……って最後がタオルの話でいいのかな(笑)。

――では、最後に見どころもふまえてメッセージをお願いします！

西山：僕はこの『防衛部』という作品に、たくさんの夢を叶えていただきました。ステージに立たせていただいたり、防衛部トレインを作っていただいたり。そして、今回はOVAとして劇場で上映していただけるということで、ようやくここまで来たなと念願が叶った気持ちでいます。僕自身としても、とても愛情深い作品になっている『防衛部』シリーズ。その完結編と言われている今作を、どうぞ劇場やOVAで見ていただければと思います。絶対に楽しんでいただけると思いますので、よろしくお願いいたします。

山本：今回、OVA用に2曲新しくみんなで収録しました。OPもEDも防衛部として歌いますが、その曲がOVAより先に聴けたり、予告編がネット上で公開されているので、それらも楽しみの一つにしていただければと。そして、本当に防衛部のみんなが口をそろえて「いい！」と言っておりますので、間違いないと思いますし、絶対に見てほしいという思い、ただ一つです。今後も仲良くしていきたい人と見ていただけると嬉しいです。

――ありがとうございました！


インタビュー中はとても真剣な表情で『防衛部』への思いを語ってくれた山本さん＆西山さん。終了後の撮影では、一転して「どんなポーズがいいかな？」「こうしてみる？」と読者を楽しませようと様々なポーズを考えていただいたりと、コミカルな一面も見せてくれました。

インタビューの最後、山本さんがインタビューを通して一番大きな声で今作を「いい！」と表現したことに、今作への期待がすべて詰められているかのようでした。OVAの公開は8月26日(土)。防衛部としてともに過ごしてきた先輩たちの「卒業」。

そして、「完結」が描かれた今作はお二人が語ったように、良い意味で「いつもの防衛部」を見ることのできる作品に仕上がっていることでしょう。ぜひとも公開をお楽しみに！



[取材・文／河内香奈子]

作品情報
■『美男高校地球防衛部LOVE！LOVE！LOVE！』
　2017年8月26日より、劇場にて3週間期限定上映

●ディノスシネマズ札幌劇場
●新宿バルト9
●池袋HUMAXシネマズ
●横浜ブルク13
●109シネマズ名古屋
●梅田ブルク7
●T・ジョイ京都
●T・ジョイ博多

◆美男高校地球防衛部LOVE！LOVE！LOVE！前売り券
公開劇場にて、7月22日より第2弾描き下ろし缶バッジ付き前売券発売！（5種ランダム）
税込1,300円

◆美男高校地球防衛部LOVE！LOVE！LOVE！
OPテーマ&EDテーマ｢永遠未来☆LOVE YOU ALL☆／心と心で」
2017年8月23日(水)発売！
価格：1,204円＋税

【イントロダクション】
北関東・某所……眉難市。
眉難高校に通う防衛部の５人（箱根有基、由布院煙、鬼怒川熱史、鳴子硫黄、蔵王立）は、ひょんなことからバトルラヴァーズにラブメイキング（変身）して怪人と戦うことに。
怪人は同じ高校に通う生徒会こと征服部（草津錦史郎、有馬燻、下呂阿古哉）がカエルラ・アダマスに変身し、人間を怪人化して送り出していたのだ。
戦いの末、黒幕を倒した防衛部と征服部は和解。
一件落着したかと思ったら、今度は謎のギャラクシー・アイドル VEPPer が防衛部の前に立ちはだかる。

怪人と戦う合間に、海へ合宿に行ったり、眉難山に出かけたり、文化祭、遊園地、クリスマスにお正月、バレンタインデーもと、ちゃっかり高校生活をエンジョイした防衛部も、気づけばあっ！という間に1年が経っていた。

3月……、いよいよ卒業シーズンを迎え、卒業する3年生も、見送る1年生&2年生も口には出せない、複雑な心境を抱えていた……。

【声優】
箱根有基（はこね・ゆもと）：山本和臣
由布院煙（ゆふいん・えん）：梅原裕一郎
鬼怒川熱史（きぬがわ・あつし）：西山宏太朗
鳴子硫黄（なるこ・いお）：白井悠介
蔵王立（ざおう・りゅう）：増田俊樹
ウォンバット：麦人
箱根強羅（はこね・ごうら）：杉田智和
草津錦史郎（くさつ・きんしろう）：神谷浩史
有馬燻（ありま・いぶし）：福山潤
下呂阿古哉（げろ・あこや）：寺島拓篤
ズンダー：安元洋貴
別府月彦（べっぷ・あきひこ）：河本啓佑
別府日彦（べっぷ・はるひこ）：村上喜紀
ダダチャ：安元洋貴

【スタッフ】
原作：馬谷くらり
監督：高松信司
脚本：横手美智子
デザインコンセプト：宮脇千鶴
キャラクターデザイン：原由美子
サブキャラクター&プロップデザイン：宮川知子
怪人デザイン：春山和則
総作画監督：宮川知子
美術監督：武藤正敏
色彩設計：津守裕子
撮影監督：田中博章
CG監督：沼尻勇人
編集：小島俊彦
音楽：yamazo
音楽制作：ポニーキャニオン
音響監督：高松信司
アニメーション制作：スタジオコメット
製作：黒玉湯保存会
配給：ポニーキャニオン

>>公式サイト
>>公式Twitter(@boueibu)