この記事をかいた人
- 石橋悠
- 1989年福岡県生まれ。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者。
好評配信中の戦記RPG『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』(以下、オルサガ)。8月14日から開催されるメモリーズガチャでは、人気キャラクターであるアーデルハイド(CV:小林ゆうさん)とレオン(CV:柿原徹也さん)が登場しました。
今回の各キャラクターごとに描かれるストーリー「騎士伝」で取り上げられるのは、「家族」。『オルサガ』でも屈指の人気を誇る父親のレオンと養女のアーデルハイドの関係は、心温まるエピソードとなっています。
そこでアニメイトタイムズでは、「家族」をテーマにレオン役の柿原徹也さんにインタビューを実施。前回、小林ゆうさんにも同じくインタビューを実施しましたが、柿原さんの視点からはまた違った意見を伺うことができました。
>>『オルサガ』新イベントで語られる家族の形──小林ゆうさんの家族観からみた、アーデルハイドという“少女”とは?
──小林ゆうさんの演じるアーデルハイドとの関係も描かれていましたね。
柿原:あんなにもアーデルハイドの子育てに手こずっていましたね。自分に振り向いてもらうための彼なりの苦悩や努力がまた……。そうやって築いたふたりの関係性が、こういうところから結ばれているんだっていう描写がちゃんとあることが、演じていて嬉しかったです。
関係性を知らない状態で見た、ふたりが最初に会話をしているシーンも、逆算で過去をたどっていくことで、自分の中でのレオンのバックボーンを理解できました。それによって演技の引き出しが増えていくので、これからはいろいろ想像しながらお芝居ができるなって思います。
──レオンはストーリー上、死んでしまったキャラクターです。でも、だからこその可能性がありそうです。
柿原:そうなんですよね。彼が今、どういう風に彼が眠っているのか、どういう風に存在しているのか、もし存在しているとしたらどうなっているのか、ってみなさんも想像が掻き立てられると思います。
レオンとしては美味しい立場で『オルタンシアサーガ』という作品に携われていると思いますし、核になるキャラクターでもあるなと感じています。
死を遂げたキャラクターっていうのは、当然そこに物語のゴールがあるわけですよね。これは、言ってしまえばこれは陸上の競技と同じだと思うんです。100m走でゴールにたどり着いたのか、1000m走なのか、もしくはマラソンだったのかっていうのを後から描けます。
ゴールの切り方は一緒だとしても、そこまで成し遂げてきたものを、ゴールが決まっているからこそ、それまでのストーリーや彼の生き方を表現できるんじゃないかなと思います。
──過去の深堀りがもっとできそうな気がしますね。
柿原:そう思いますね。多分そこを掘り下げていただけるから、レオンというキャラクターがどんどん魅力的になっているんじゃないのかなと思いますし、応援してくださる方々もレオンを気に入ってくれているんだと思います。
彼がより魅力的になることで、一層彼の死が哀しく感じられる。そういったある種の強みが、死んだという設定があることで生まれているんじゃないかと思います。
──レオンの「こういうストーリーがあったらいいな」と思うものはありますか?
柿原:アーデルハイドとの絆の話は結構好きだったんですよ! 真の男として死んだ彼の、青臭いところが見えるので。だからできれば彼の青臭かったころがもっと見たいです。彼が感じた本当の意味の挫折とか、初めて負けたところとか。それこそ民のために自らの身を削って戦ってきた歴史だったり。
それと、できればアーデルハイドの口癖が、元々はレオンの口癖だったとか、そういう何かが受け継がれているといいですね。レオンの骨の一部で作った武器を使っていたりとかね(笑)。
「アーデルハイドのことを本当はどう思ってたの?」
──レオンというキャラクターを一言で表すと、どんなキャラクターだと思いますか?
柿原:うーん……。
──ちなみに前回の小林ゆうさんにも同じ質問をしたところ、表裏一体の魅力があるから“背”というお答えでした。
柿原:なるほどねぇ。背ね。背中を任せられるからということもひっくるめてということなんだろうなぁ。
じゃあ、俺は“儚”だな。レオンは、儚さのあるキャラクターだと思うので。そうやってゆうちゃんが背って言ってくれるのであれば、背中を任せられる信頼関係がいつまでもあるんだと思いますけど、いざ背中を振り向いたら、もしかしたらいないかもしれない。それが儚い。
いつ何時、こんなに強いやつでも、もし何かあったら……と思うと、儚さを感じます。もういないのだとしても、どこかで背中を守ってくれているんじゃないかと思わせてくれる儚さもあるし、やっぱり儚い男だなって思います。
──ユーザーからも人気の高いキャラクターですけど、その要因となっているものは何だと思いますか?
柿原:もしかしたら、作品で一番最初に喋ったからかもしれませんね。もちろん謎多きキャラクターであり、誇り高き騎士であり、そして今どうなっているのかわからないところも。
あとは、周りのキャラクターたちが彼の魅力や話を語ってくれることですね。嫌われてるやつのことなんて語りませんからね。そうやって遺された者たちが彼のことを覚えていてくれるのが彼が生きていた証拠になっていて、それを見て、彼はいったい何を守ってこの人たちに影響を与えたんだろうって、興味を持つからこそ人気があるんじゃないのかなって思います。
──柿原さんご自身はレオンとの共通点や共感する部分はありますか?
柿原:僕は、騎士ではないのでね(笑)。うーん……ちょっと直接会って話をしないとわかりませんね。共通点はないかもしれませんが、彼の思いは分かるんですよ。彼が考えていることだったり、ちょっと不器用なところだったり、どう接していいか分からないところとか。
今までずっと騎士道を突き進んできたからこそ、女の子や子供に対する接し方が分からない。でも分からないってはっきり言えなくてひとりで葛藤する。そういう気持ちは、お芝居をしていて非常にわかりやすい。
人間味のある男で、かつすごく優しい男だなって思うので、本当に会ってみたいなと思います。新橋のサラリーマン篇とかもあったみたいですけど、酒でも交わしてべろんべろんに酔わせてみたいなって思います。
──どんな話してみたいですか?
柿原:今回は、彼が父親になって云々とかって言ってるけど、結婚もせず恋もせず、それで単純に娘ができてるようなものですよね。なんか「アーデルハイドのことを本当はどう思ってたの?」っていうのを知りたいですね。
子どものころから育てたと言えども、15年も経てばどういう風に感情が動くのかというのを。いやらしい意味ではなく(笑)。
単純に父としてなのか、兄としてなのか、はたまた心が近づいているのか。アーデルハイドはアーデルハイドでどう感じているのかとか。あしながおじさんみたいな。そういうのもいいじゃないですか。
ドイツから持ってきた思い出のトランク
──今回のストーリーでは、レオンとアーデルハイドの絆を表すものとして子ども用の服が出てきました。柿原さんはご家族との思い出の品などはありますか?
柿原:唯一思い出の品と言えば、親父のトランクですね。ドイツから日本に来た時に、親父のトランクを1個持ってきたんですよ。そのトランクは自分では使わないので、今は後輩にあげました。
──そのトランクは、まだ残ってるんですか?
柿原:まだ残ってますよ。17年前の古いものですけど。このトランクをガラガラ引きずりながら成田空港から恵比寿に来たんだなって。後輩は今もそれを使っていますね。
──なぜ捨てなかったんですか?
柿原:なんでですかね。本当にあのトランク1個から始まったんですよ。いろんなものを詰め込んで。
そのトランクが部屋に置いてあるのを見ると、実際は空なのに中身がいっぱい詰まっているような気がするんです。なのでそのまま捨てられないなって思って。
──それだけのものを貰えるのは嬉しい反面、後輩にとってプレッシャーでもありますね。
柿原:そうですね。でもやっぱりいつまでも思い出に浸るために、トランクを置いておくのもね。思い出に浸るのがまずあんまり好きじゃないので(笑)。
持っていてもしょうがないと思ってあげちゃいました。ドイツから持ってきた唯一の親父のものですね。
──後ろを振り向かない姿勢は非常に格好いいですね。見習わないとなって思いました。
柿原:本当ですか。ぜひ見習ってください(笑)。
使わねーなって思ったものはあげまくった方がいいですよ!
──レオンが実際に柿原さんのお父さんだったとしたらいかがですか?
柿原:こんな親父だったら俺……(苦笑)。俺は役者になってないんでしょうね、「お前は騎士だ、騎士の息子だ、騎士になれ!」ってなるでしょうね(笑)。
俺の親父は教師でしたけど、レオンが教師だったら俺も教師になってたんだろうなって思います。
まぁ普通のお父さんではないでしょうけど、普通のお父さんが絶対に見せてくれないような世界を見せてくれるんだろうなって思います。
しかも人のこと斬れますからね。その代わり人を斬るってことは斬られる可能性もあるってことです。つまり息子としては親父が斬られるところを目の当たりにしてトラウマになる可能性も。
でもやっぱり騎士の息子っていうのは羨ましいですね。親父が生きるか死ぬかみたいな生き方をしている姿を間近に見られるわけですから、芯がある子に育つだろうなって思います。
──では、最後にみなさんにメッセージをお願いします。
柿原:『オルサガ』に一番最初に関わらせていただいたのが、もう2年前です。作品の一番最初のプロローグでレオンとして出演させてもらったことをすごく覚えています。
シリアスな内容で、レオンのように謎めいた役を演じるってことが実はなかったんですよ。そのレオンがここまでフィーチャーしていただけて、プレイヤーのみなさんからもご支持をいただいている。こればっかりはプレイヤーのみなさんやスタッフのみなさんの力があってこそなので、すごくうれしく思っています。
この数年いろいろありましたけども、何よりもこの作品の主人公は細谷(佳正)ですよね。その細谷が復帰したっていうことが僕の中ではすごくうれしいことです。
レオンは一応亡くなってしまったキャラクターではありますけども、その遺志をアーデルハイド、そして細谷の主人公が受け継いでくれて、これから復帰した細谷が最高の芝居をすると思うので、そこに期待して待っていてもらえればなと思います。
──細谷さんにも期待ですね(笑)。ありがとうございました。
[インタビュー/石橋悠 写真/アイザワヒロアキ]
1989年(平成元年)生まれ、福岡県出身。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者兼ナイスガイ。アニメイトタイムズで連載中の『BL塾』の書籍版をライターの阿部裕華さんと執筆など、ジャンルを問わずに活躍中。座右の銘は「明日死ぬか、100年後に死ぬか」。好きな言葉は「俺の意見より嫁の機嫌」。