OVA『クビキリサイクル』浜田賢二さんが語る、伊吹かなみの介添役、逆木深夜とは何者だったのか?
一癖も二癖もあるキャラクターたちによって繰り広げられる戦慄のミステリーと会話劇が話題のOVA『クビキリサイクル』。孤島で起こった殺人事件の謎、その全てが明かされる最終話の発売と連動し、アニメイトタイムズではインタビュー連載企画として出演キャストをお招きしてのトークをお送りしています。
連載第2回は、伊吹かなみの介添役として屋敷に滞在していた、天才としての称号を持たない男、
逆木深夜役の浜田賢二さんです。最終話へと至るストーリーの振り返りとキャラの紹介、個性豊かな共演者の方々などなど、幅広く伺いました。逆木深夜という、常に天才に寄り添っていた男の内面を、浜田さんはどのように捉えていたのかが明かされます、存分にお楽しみください。
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【第 1回】【第 1回】玖渚友役・悠木碧さん
イマココ⇒【第 2回】逆木深夜 役・浜田賢二さん
――逆木深夜役は指名でいただいたのでしょうか?
逆木深夜役 浜田賢二さん(以下、浜田):はい。1話収録の2ヶ月くらい前に、特にオーディションもなくいただきました。2016年の春あたりですね。西尾(維新)先生の作品は初めて参加させていただきました。
――逆木深夜という役を、浜田さんはどのように感じていましたか?
浜田:「ぼく」もそうなんですが、天才をコントロールできる天才なのかもしれないと思います。天才っていうのは、才能を発揮して何かをするだけでお金を稼げて生きていける人間のことだと思うんですけど、生きていくにはそれだけではだめで、例えば玖渚友の場合は、生活面で「ぼく」が支えてやらなきゃいけない。
逆に言えば誰かに支えられて初めて、天才は才能を発揮できるのかなと。だから逆木も、天才の面倒を見ることができる天才。もっと言ってしまえば、いつも天才にひっついていられる「天才を見抜く天才」なのかもしれないと思っています。
――原作は読まれたんですね。
浜田:ミステリーですし、クライマックスは知らない方がいいと思って、最初は読んでいなかったんです。でも、1話の収録が終わったあとに、キャストの皆や新房(昭之)総監督たちと一緒に食事に行ったんですよ。そうしたらそこで新房総監督が「読んでおいたほうがいいんじゃないかな?」とおっしゃったので、2話の収録前に読ませていただきました。
――実際の読んでみての感想は?
浜田:ちょっと難しかったですね(笑)。台詞の量が多くて言葉づかいも独特なので、同じ時間を行ったり来たりするような不思議な感覚があって、少し読んでは「あれ? どんな話だったかな?」と戻って確認しながら読み進めていました。ただ、原作にある台詞を見て「あ、深夜はこういうことを言うんだ。じゃあこのニュアンスを使ってみよう」と思って、台本を見たらその台詞が無くて「どうしよう、何を頼りに演技をすればいいんだろう」と困ったことはけっこうありました(笑)。
――原作を読んでいると、そういうこともあるんですね。
浜田:原作を読んでいない人にとってはアニメで見たシーンやセリフが全てですから、削られたシーンを、あったことにはできないんです。だから、原作を読むのは勇気がいることでもあるんです。それに原作とアニメでは、シーンの順番が変えられていることもあります。順番が変わると意味合いが変わることもありますからね。
ちょっとずつニュアンスを変えていたりすると、最終的なキーの部分は同じでも、前後のやりとりが変わることもありますから。だから原作を読みすぎて役を作りすぎるのは怖いんです。でも僕は、役作りのヒントが欲しくて読んでしまうこともあるんですが(笑)。
心を覗かれることを意に介さない
――それだけ深夜は難しいキャラクターだったのでしょうか?
浜田:今回、鶴岡(陽太)音響監督から、「かなみが死んでもそんなに落ち込まないでくれる?」と指示があったんです。深く落ち込んでいる感情は見せないでくださいと。僕は深夜を、人が死んだら落ち込むくらいには普通の人だと思っていたので、少しキャラクターを作りすぎてしまったのかな?と感じました。
役者っていうのは自分だけでなにかができる仕事ではなくて、大勢のスタッフの方や他の役者さんとのかみ合わせで作品を作っていくわけですから、考え過ぎない方がよかったかもという気はしています。
――深夜はテレパシーを持つ姫菜真姫とよくつるんでいます。心を読まれるのは怖くなかったのでしょうか?
浜田:僕は1話で、手を上げて「ぼく」を呼んだあとの会話シーンが好きなんです。このときに、自分は玖渚友のおまけだと言う「ぼく」に向かって、「そいつはなかなか自虐的だね。こんな島にいりゃあ無理もないけどさ。しかしオマケって言うんならこの俺にしたって同じだな」と答えるんです。
僕はこのセリフから、深夜が天才をあまり特殊な物だと意識せず、少し斜に構えて見ているだけなんじゃないかなと感じました。真姫という人は、彼女にとって楽しいことには触れてこないタイプなのかなと思います。何か楽しいこと、面白くなりそうなことは他人に教えずに、そのまま放っておいて自分も一緒に楽しもうとしたんじゃないかなと。ものすごい力があるのに他人を煽るかお酒を飲んでるばかりの人ですからね(笑)。
実績あるプロフェッショナル集団で固められた女性陣がもたらした安心感と緊張感
――姫菜真姫を演じられた遠藤綾さんをはじめ、キャストは実績のある方々で固められています。アフレコの雰囲気はいかがでしたか?
浜田:僕はあんまり責任を負う立場のキャラをやってきたタイプではないんですが(笑)、ほかの方は主役を張った人が多いじゃないですか。みんな作品の中での自分の役割をしっかりと認識している、頼りがいのある女性たちが多かったので、落ち着いた中にもキリッとした緊張感のある現場でした。
僕は昔、「しゃべっていない間も、人は息を吸って吐いてるからね」と、ある先輩に言われたことがあります。動きのある舞台ではそれは普通のことなんですが、声のお仕事だとセリフだけを言ってしまいがちなんです。でもこの現場の人たちは、自分が絡んでいないやりとりの間でも、みんな自分のリズムで息を吸って吐いていて、その場にいることができる、プロフェッショナルの集団でした。これだけレベルの高い女性の役者さんを沢山そろえられるというのは業界にとっても大事なことだと思いましたね。
――玖渚友 役の悠木碧さんは、以前もシャフト作品の『ダンスインザヴァンパイアバンド』で共演されています。ヒロインのミナ役が悠木さんで、浜田さんは敵対するローゼンマン大公を演じられておりました。
浜田:もう随分前になりますね。彼女の声は初めて聴いたとき、わざわざ芝居をしている感じがしない、あまり作りすぎないフラットなしゃべり方だと感じました。今回改めてシリーズの最初から演技を拝見させていただいたんですが、良い意味で変わっていませんでしたね。
彼女の演技はキャラへの入りこみ方がものすごく自然で、息を吸って吐くように、普通にしゃべるんです。僕は頭で演技を作ってしまわないとやれないところがあるので、彼女の演技を自分でやろうとした場合、おそらく形にならないと思います。こういう役者っているんだな、すごいなと思いますね。
――男性陣は浜田さんと梶(裕貴)さんのおふたりだけですが、何かふたりだけで話をされたりは?
浜田:特に男性だからということではなく、作品に対する解釈感の違いなどについては色々と話をしました。これは他のキャストさんも同じですね。実は僕は、家でリハーサルをするときに台本にある全ての台詞を音読するんです。当然「ぼく」の台詞も読んだんですが、台詞の量が多すぎて、どれくらいの早さで台詞を入れていけばいいんだろうと(笑)。
カットをまたいで延々としゃべり続けてるから息がもたない(笑)。こういうのを知ってしまうと、彼のテンポを崩すわけにはいかない、僕がトチるわけにはいかないと怖くなりますね。
――深夜はそんなに長台詞はないですからね。
浜田:そうですね。最後の方に少しあるくらいですか。お酒を飲んで地震が来るところまでは普通のやりとりだったかな。基本的には梶君や園山赤音役の嶋村(侑)さんが難しい言葉をだ~~~っと言うシーンの収録を見ながら、「大変そうだな~」と思っていましたから (笑)。
――今までに他にアニメのミステリー作品に参加されたことはありますか?
浜田:『名探偵コナン』に出たことはありますが、出たときには既に死体になっていて、回想シーンで演技をさせていただいたことがあります(笑)。それと『金田一少年の事件簿R』にもださせていただいたことがあります。
――今回のキャストでは『名探偵コナン』に出演されている方は多いですね。
浜田:コナンの台本って、コナン君の高山みなみさんと蘭役の山崎和可菜さん以外、キャストの名前が書いてないんですよ。「XX役です」とだけ言われて現場に行くんです。他の人は誰が来るかは知らないんですが、集まった役者さんとシナリオを見ると、大体誰が何の役をやるのかは見当がつくので、「お前が犯人だろ?」という犯人当てが始まるんです。(笑)。
――『金田一少年の事件簿R』ではどんな役を?
浜田:とりあえず死んではいません(笑)。 事件の関係者の一人でファッションイベントのプロデューサーの青年役です。でも本当にミステリー作品自体がアニメでは少ないですね。ミステリー小説のトリックでは性別が分からないことを利用したものがありますけど、音声や映像にすると確実に分かってしまいますから、少し難しいのかもしれませんね。
重厚な会話劇と複雑なトリックに満たされた世界を、最後まで楽しんでほしい
――最後に、ファンに向けてのメッセージをお願い致します。
浜田:最終巻となる8巻では、全ての謎が人類最強の請負人、哀川潤によって明かされます。難解なストーリーの作品ですが、沢山のスタッフさんのおかげで小説よりも『クビキリサイクル』という作品に、より入りこみやすくなっているんじゃないかと思います。「ぼく」が哀川潤とどう対面し、どのような会話を繰り広げるのか。最後まで『クビキリサイクル』の世界を「ぼく」になったつもりで楽しんでいただけると嬉しいですね。
[取材・文/早川清一朗]
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【第 1回】【第 1回】玖渚友役・悠木碧さん
イマココ⇒【第 2回】逆木深夜 役・浜田賢二さん
音楽情報
■「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣いSound Collection」:10月25日(水)発売
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価格:3,500円+税
収録曲:全34曲
仕様:◆CD2枚組 ◆描き下ろしジャケットイラスト
パッケージ情報
★「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い」全巻購入特典
渡辺明夫さん&okamaさん描き下ろし"全巻収納BOX"をプレゼント!
※応募〆切:2017年11月30日(木)
※2~8巻巻封入の応募券を集めて、1巻封入の台紙に貼り付けてご応募ください。
※画像はokama氏によるイメージラフです。実際の商品とは異なりますので、ご了承ください。
■第一巻:2016年10月26日(水)発売
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Blu-ray完全生産限定版: 3,600円+税
DVD完全生産限定版: 3,600円+税
【完全生産限定版特典】
○原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
脚本:西尾維新
出演:哀川潤(CV.甲斐田裕子)、長瀞とろみ(CV.折笠富美子)
○キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろしデジジャケット
○特製ブックレット12P
○全巻連動購入キャンペーン応募台紙
(キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろし全巻収納BOX)
○クリアケース
■第二巻:2016年11月30日(水)発売
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Blu-ray完全生産限定版: 3,600円+税
DVD完全生産限定版: 3,600円+税
【完全生産限定版特典】
○原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
脚本:西尾維新
出演:哀川潤(CV.甲斐田裕子)、因原ガゼル(CV.神田朱未)
○キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろしデジジャケット
○特製ブックレット12P
○全巻連動購入キャンペーン応募券
○クリアケース
購入
■第三巻:2017年1月25日(水)発売
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Blu-ray完全生産限定版: 3,600円+税
DVD完全生産限定版: 3,600円+税
【完全生産限定版特典】
○原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
脚本:西尾維新
出演:哀川潤(CV.甲斐田裕子)、軸本みより(CV.野中藍)
○キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろしデジジャケット
○特製ブックレット12P
○全巻連動購入キャンペーン応募券
○クリアケース
■第四巻:2017年2月22日(水)発売
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Blu-ray完全生産限定版: 3,600円+税
DVD完全生産限定版: 3,600円+税
【完全生産限定版特典】
○原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
脚本:西尾維新
出演:哀川潤(CV.甲斐田裕子)、石丸小唄(CV.浅野真澄)
○キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろしデジジャケット
○特製ブックレット12P
○全巻連動購入キャンペーン応募券
○クリアケース
■第五巻:2017年3月29日(水)発売
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Blu-ray完全生産限定版: 3,600円+税
DVD完全生産限定版: 3,600円+税
【完全生産限定版特典】
○原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
脚本:西尾維新
出演:哀川潤(CV.甲斐田裕子)・佐々沙咲(CV.佐藤利奈)
○キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろしデジジャケット
○特製ブックレット12P
○全巻連動購入キャンペーン応募券
○クリアケース
■第六巻:2017年5月31日(水)発売
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Blu-ray完全生産限定版: 3,600円+税
DVD完全生産限定版: 3,600円+税
【完全生産限定版特典】
○原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
脚本:西尾維新
出演:哀川潤(CV.甲斐田裕子)・長瀞とろみ(CV.折笠富美子)・因原ガゼル(CV.神田朱未)
○キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろしデジジャケット
○特製ブックレット12P
○全巻連動購入キャンペーン応募券
○クリアケース
■第七巻:2017年8月30日(水)発売
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Blu-ray完全生産限定版: 3,600円+税
DVD完全生産限定版: 3,600円+税
【完全生産限定版特典】
○原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
脚本:西尾維新
出演:哀川潤(CV.甲斐田裕子)・佐代野弥生(CV. 池澤春菜)
○キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろしデジジャケット
○特製ブックレット12P
○全巻連動購入キャンペーン応募券
○クリアケース
■第八巻:2017年9月27日(水)発売
▲アニメイトオンラインショップでの購入はこちら
Blu-ray完全生産限定版: 3,600円+税
DVD完全生産限定版: 3,600円+税
【完全生産限定版特典】
○原作者:西尾維新書き下ろしキャラクターコメンタリー
脚本:西尾維新
出演:哀川潤(CV.甲斐田裕子)・ぼく(CV. 梶裕貴)
○キャラクターデザイン:渡辺明夫描き下ろしデジジャケット
○特製ブックレット12P
○全巻連動購入キャンペーン応募券
○クリアケース
作品情報
【INTRODUCTION】
日本海に浮かぶ孤島、鴉の濡れ羽島。
そこに建つ屋敷には、島の主の赤神イリアによってあらゆる分野の天才たちが客として招かれていた。
だがある朝、屋敷の中で、首斬り死体が発見される。
そして事件は、それだけでは終わらなかった――
原作は、西尾維新のデビュー作にして第23回メフィスト賞受賞作『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』。〈物語〉シリーズを手がけてきたシャフトによって、西尾維新の原点とも言える作品が映像化される。
【STAFF】
原作:西尾維新「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い」(講談社ノベルス・講談社文庫)
キャラクター原案:竹
総監督:新房昭之
監督:八瀬祐樹
シリーズ構成:東冨耶子・新房昭之
脚本:木澤行人・中本宗応
キャラクターデザイン・総作画監督:渡辺明夫
総作画監督:鈴木博文
イメージボード:okama
美術設定:大原盛仁
美術監督:内藤健
色彩設計:日比野 仁・渡辺康子
3DCGディレクター:越田祐史
3DCG制作:オレンジ
撮影監督:江上 怜
編集:松原理恵
音響監督:鶴岡陽太
音楽:梶浦由記
アニメーション制作:シャフト
製作:アニプレックス・講談社・シャフト
【CAST】
ぼく:梶裕貴
玖渚友:悠木碧
園山赤音:嶋村侑
伊吹かなみ:川澄綾子
逆木深夜:浜田賢二
姫菜真姫:遠藤綾
佐代野弥生:池澤春菜
赤神イリア:伊瀬茉莉也
班田玲:桑島法子
千賀あかり:桑谷夏子
千賀ひかり:新谷良子
千賀てる子:後藤邑子
哀川潤:甲斐田裕子
【THEME SONG】
オープニング・テーマ:三月のパンタシア「群青世界」(コバルトワールド)
エンディング・テーマ:Kalafina「メルヒェン」
>>OVA『クビキリサイクル』公式サイト
>>西尾維新アニメプロジェクト公式Twitter(@nisioisin_anime)