舞台上で支え合うふたりは実はチワワ&うさぎ!? 来月再演する舞台「けものフレンズ」フェネック役・本宮佳奈さん、アライグマ役・小野早稀さんが出会いから今までを振り返る!
TVアニメとは異なる完全オリジナルストーリーで繰り広げられ、今年6月、大盛況のうちに公演を終えた舞台「けものフレンズ」。
なんと今回、2018年1月13日(土)~21日(日)、AiiA 2.5 Theater Tokyoにて、パワーアップして再演されることが決定。
アニメイトタイムズでは、公演を控えたフェネック役・本宮佳奈さん、アライグマ役・小野早稀さんにインタビューを実施しました!
初演から学んだことや役に対する意識、再演へ向けての意気込み、TVアニメ放送から今までの振り返りなど、「けものフレンズ」について幅広く伺いました!
舞台「けもフレ」がもたらした変化と、再演への新たな挑戦
──来年1月に舞台「けものフレンズ」が再演となります。前回の公演でステージに立ってみて、作品への見方やご自身の役に対する心境に変化はありましたか?
アライグマ役・小野早稀さん(以下、小野):舞台は声のお芝居とは違いますし、アドリブも多かったので、キャラクターが常日頃から何を考えているんだろうと考えるようになりました。
アニメでは、台本からキャラクターの心境を読み解く読解力が必要でしたが、アドリブもある舞台では、自分が役のことをもっと深く考えて「この子だったらどうやって返すだろう」と瞬時に反応しないといけなかったんです。
休憩時間も常に彼女をキープしたままでいることがあったので、役に対する意識が変わったと思います。
フェネック役・本宮佳奈さん(以下、本宮):フェネちゃんはアニメではどこかつかみどころのない一面が見られたんですけど、舞台を通して自分から前に出られる子、喋れる子なんだなと新たな一面を知ることができました。
アライさんに引っ張ってもらうところが多かったので、彼女が居て、フェネちゃんが居るのかなと感じましたね。
──改めて初演を終えてみていかがでしょう?
小野:体力が大事だと実感しましたが、公演期間中は常にお芝居のことを考えていられて集中できる点は楽しくもありました。
何より舞台が初めてだったので、最初は「セリフが飛んだらどうしよう」とか不安がありましたし、そもそも上手(かみて)・下手(しもて)が分からない状態からのスタートで覚えることがいっぱいだったので、それらを身体で覚えていくことは貴重な経験になりました。
公演期間中は「寝たい!」と思っていたんですけど、終わってみたらすごく楽しくて!
本宮:寝たい(笑)。
小野:そう!(笑) 休憩の合間も常に寝てたんですよ。
本宮:あ、寝てたね。
小野:体力が追いつかないんです。アライさんは他の役よりも動いたり、常に前かがみだったので、終盤は足や腰が痛くなってしまって、時間があれば寝ているという状態で挑んでいました。
でも終わってみたら自分が一皮剥けたような気がして、すごく気持ちがよくて楽しかったです。
本宮:私は、舞台経験はありましたが、これだけ広い会場で立ち回るのは初めてでした。
自分がアニメで演じていたキャラクターを、そのまま舞台で演じさせていただくことも、主要メンバーがアニメと舞台で同じキャストであることも滅多にないと思います。いつもの信頼できるメンバーと一緒に舞台ができて楽しかったです。
また、また、個人的には舞台を観るのが好きなので、それに出演させていただけたのはとても嬉しかったです。
──声優も役者とは言え、環境が違うだけに稽古はかなり大変だったのでは?
小野:たしかにマイク前のお芝居とは全然違いますね。キャラクターの声を作ったまま身体を動かすのは体力も必要ですし。そもそもアフレコ現場では身体をあまり動かせませんからね。
同じお芝居で、同じキャラクターを演じているものの、こんなにもやり方が違うんだなと勉強になりました。
──お互いに舞台で掛け合われてみていかがでしたか?
小野:私は舞台に関しては(本宮さんに)頼りっきりでした(笑)。稽古では出ハケ(※舞台上の入退場)も、全部「次どっち!?」と聞いていて……(笑)。
本宮:最終的に出ハケは覚えてくれたんです!(笑) 途中で「覚えた!」と言って、逆に教えてくれたりしました。
小野:舞台上での掛け合いは安心して任せられますし、アドリブの部分も「こう返したらフォローしてくれるだろう」と思って、私は自由に演じさせていただけたと思います。
──ということですが、本宮さんはいかがでしょう?
本宮:最初は(小野さんが)舞台がはじめてということもあって、色々と教えながら稽古をしていったんですけど、役としてはアライさんが引っ張ってくれる立ち位置だったので、役の中で私から話しかけることはほとんどなかったんです。アライさんがアクションを起こして、それに対してフェネちゃんが返す流れでした。
なので、先ほど「自由に演じられた」と言ってくれましたけど、私からすると(小野さんが)先に行動を起こしてくれるから、それに付いて行って自由に演じさせてもらえた印象でした。
小野:ふふふ(笑)。
本宮:アドリブの部分も一番考えてくれていたと思うんです。最初にアドリブの質問を何にするか考えていたんですけど、それに対するお客さんのレスポンスは一切分からないので、そこは任せきりだったなと思います。何と言ってもオチがね……(笑)。
小野:そう、オチが本当に大変だった(笑)。
──舞台「けものフレンズ」を通して、学んだことも多かったようですね。
小野:舞台に立たせていただいたことで自信に繋がったと思うんです。最初は、セリフも覚えられないだろうなと思っていましたが、ちゃんと忘れずに演じることができましたし、キャラクターでアドリブをすることも自分の中で自信に繋がりました。
舞台を経験したことによって、声のお芝居に対する意識も変わりましたし、体力もつきましたし、声量の幅も広がったと思います。
どうぶつビスケッツ×PPPとして「ようこそジャパリパークへ」を歌わせていただく機会が増えましたが、舞台を終えてからの方が、さらにスイッチが入るようになったんです。
周りの方からも「キャラクターとしての歌い方が洗練されたね」と褒めていただけたので、そういったところに関しても自信に繋がりました。
本宮:最初の方でもお話させていただきましたが、私はフェネちゃんの役柄を掴めたことが一番大きかったです。舞台を通して彼女と長い時間向き合い、役をより深く知ることができたところが一番大きな収穫だと思います。
その時期にお仕事など色々なことが重なっていて、ものすごく忙しかったんですけど……人間ってやればできるんだなって学びました!(笑)
──初演では恐らく様々な課題が見えたと思いますが、再演ではどんなところに力を入れて臨みたいですか?
小野:もっと体力をつけられたらいいなと思いました。また、(初演では)キャストに舞台女優の方がいらっしゃることもあって、立ち位置など教えていただいたので、次は自分で考えられるようにできたらいいなと思います。
初歩的なところではありますが、おんぶに抱っこ状態から卒業して、もっと自分で考えて頑張っていきたいなと思います。
あとはアドリブですね……より、笑いを取れるように頑張りたいです(笑)。
──ハードルが上がりましたね……!
小野:あー! 書かないでください!(笑)……みなさんの返しを期待したいと思います!
──本宮さんはいかがでしょう?
本宮:公演を観ていただいた方は分かると思うんですけど、さらにフェネちゃんとしてアライさんを支えられたらいいなと思います。特にアドリブ部分は……。
小野:書かれちゃう書かれちゃう!(笑)
本宮:(笑)。私はアライさんを支える立場なので、彼女の爆発力を引き出せるように頑張りたいと思います!
小野:頑張ります……(笑)。
第一印象が豹変した本宮さん・小野さんが、お互いをフレンズに例えるなら?
──おふたりだけでインタビューを受けるのは紙面・WEB共に初めてと伺っていますが、改めてお互いのキャラクターの印象をお聞かせください。
小野:フェネックは、いつも一歩下がってアライさんを見守ってくれるんですけど、結局はアライさんを操ってくれている子なのかなと思っていて(笑)。
片手でチョイチョイとアライさんを操りつつ誘導するような子だと思いますが、そこには信頼感があると思います。
アライさんも、隠れて誘導されていることは気がついていないと思いますが、「フェネックが言ってたからこっち行こう!」と素直に意見を聞けますし、対等な立場でありながらも頼れる存在なのかなと。
なので、私の中でのフェネックは、自分がわがままになれるような、すべて許してくれるような包容力に溢れる子です。
──アライさんに対して本宮さんはどういった印象を?
本宮:猪突猛進で素直ということもあって、疑うことを知らない5歳児くらいの小さな子供のイメージです。でもいい意味で自分をしっかり持っていて、一つのことのために自分を曲げずに頑張れる子かなと。
アニメだと最初はかばんちゃんを「泥棒だ!」と言って頑張って追いかけていましたけど、誤解だったことが分かると素直に謝ることができましたし、その後かばんちゃんを嫌わずに一緒に頑張れるところは、純粋にすごいと思います。本当にいい子だなと思いました。
──なるほど。ちなみに、作品を通しておふたりは様々な活動をされてきたと思いますが、最初に出会ったときと比べてお互いの印象は変わりましたか?
本宮:最初の印象と違う!
小野:私も全然違いますね。
本宮:全然違う!? マジか……聞きたい!(笑)
小野:まず、こんなに喋るとは思っていませんでした(笑)。最初にお会いしたときは、おとなしめな方なのかと思っていたんですよ。
本宮:え!? そうなんだ!
小野:オーディションのときも、あまり喋らなくて……。
本宮:喋った喋った!
小野:(思い出したように)あー……(笑)。すごい他愛のない話をしたんですけど、パーソナルな部分は全然話していなかったので、こんなに喋る子なんだと印象が大きく変わりましたね。そこから面白い人なんだなって気が付きました。
本宮:面白い!?……ありがと♪
小野:まぁ……適当なところもあるんですけど(笑)。根はすごい真面目で、一から十まで全て順序立てて説明しないと気が済まないタイプなんだなと思います。そういうところは几帳面だけど、何かを作るとなるとワー! ってなるタイプですね(笑)。
本宮:あまり深く考えないタイプだから、そういうところかな?
小野:えぇ、でも適当なところもあります。
本宮:そう、結構大雑把ですね(笑)。
小野:ただ仕事になると、きっちりと考えていると思います。特に舞台のときに「めっちゃ考えてるなコイツ」って思いましたね(笑)。
本宮:えぇ〜そうなの〜?(笑) でも舞台はそうだったかも。
小野:舞台以外でもそうですよ? お仕事に関しては真面目だと思います。
本宮:らしいです! じゃあ真面目だわー(笑)。あ、ここちゃんと真面目って書いておいてください!
──(笑)。では本宮さんからご覧になった小野さんの印象は、どのように変わったのでしょう?
本宮:最初に会ったときは、ひとりが好きなのかなと思って(笑)。後から人見知りであることは知ったんですけど、私はガンガン行くタイプなので話しかけていたら向こうからも話しかけてくれるようになりました。
私がこんな感じなのでいろんな相談もするんですけど、お互いの性格が逆なんです。好みは似ていますが性格は逆で、(小野さんは)冷静なタイプ。悩んでいるときに相談すると、客観的に見て「ここはこうしたらいいよ」とアドバイスしてくれるので、冷静で頭の良い方だなと思っていて。
でも半年くらい前から、甘えん坊さんなことが分かりました。冷静ではあるものの、何かあったらすぐに連絡してくれてずっと会話をしていたり、今日も現場に来るまでは他愛もないやり取りをずっとしていたので、甘えん坊さんです!(笑)
小野:きっと寂しいんでしょうねー。
本宮:甘えん坊というよりは、寂しがりなのかな?
小野:どうなんですかね……(笑)。
本宮:私の中でのイメージはうさぎですね。
小野:仲良くなると色々と言っちゃうんですよね。
本宮:うさちゃん♪
小野:恥ずかしい……(笑)。
──ちなみに小野さんが本宮さんを動物に例えるなら?
本宮:デグーはなしね!
※本宮さんがデグーを飼っているため
小野:デグー抜きだと……チワワかな?
──その心は?
小野:めっちゃ吠える(笑)。
一同:(笑)。
小野:人とか関係なく、木とかにも吠えるじゃないですかチワワって。
本宮:そうなの?
小野:たまにね。めっちゃ吠えてるチワワがうちの近所に居るんだけど、散歩しているときもずっと吠えてるの。そんなチワワっぽい(笑)。
本宮:えぇ!? そんなに吠えないよ(笑)。
小野:いろんな人に話しかけてるから! 独り言もめっちゃ言うし!
本宮:たしかに……!
小野:なので可愛いチワワです!
本宮さん・小野さんの人生を大きく変えた「けものフレンズ」という作品
──先行上映会を皮切りにアニメがスタートしてからは、各イベントや生放送、「ミュージックステーション」への出演など様々なことにチャレンジされたと思います。最近だと「流行語大賞2017」に「けものフレンズ」がノミネートされましたが、ここまでを振り返っていかがでしょう? ご自身の中で変化などありましたか?
小野:私自身、何かが変わった実感はほとんどありません。「流行語大賞2017」のノミネートも、わりと他人事で「あ、そうなんだ。すごいな『けものフレンズ』!」というくらいの感覚で「私だ!」という気持ちはまったくないんです。
でも「ミュージックステーション」に出演させていただいたときには、改めて自分たちのパフォーマンスを見て、もっと責任を持って前に出ないといけないことを自覚しました。
「けものフレンズ」には、たくさんの方が関わっていて、私たちはあくまで代表として出演しているので、お仕事に対する姿勢や意識は大きく変わりましたね。
本宮:「けものフレンズ」で、私のことを知ってくださった方が多いと思うので、見ていただく機会が増えました。また、今までも頑張ってはいましたが、改めてプロとして気を引き締めるきっかけになったと思います。
ちなみに私事ではありますが、自分の中で変化したことがあるんです。どうぶつビスケッツ✕PPPにはオシャレ女子が集まっていることもあって、私もオシャレに詳しくなりました! 多少!(笑)
誕生日に由香ちゃん(サーバル役・尾崎由香さん)からスクラブを貰ったんですけど、そもそも私がスクラブの存在を知らなくてですね……。由香ちゃんに「誕生日プレゼントありがとう! めっちゃいいね、この塩!」と言ったらすごい怒られて(笑)。そんなこともあって、徐々にオシャレを学んでいます!
──塩……ですか(笑)。
本宮:だって塩じゃないですか!(笑)
小野:もみ塩……みたいな?(笑)
本宮:そうそうそう!「オイルと塩が混ざってるな」くらいの認識だったんですけど、使ってみたらツルツルになったので「すごいツルツルになったよ、すごいねあの塩!」と返してまた怒られました(笑)。
そんなエピソードもありつつ、みんなを見て私もそうなりたいなと思いました。オシャレや仕事に対する姿勢から「こうなりたいな」と感じて、より自分を磨くようになったので、みんなにはすごく成長させてもらいましたね。
──総じて、おふたりにとって「けものフレンズ」はどんな作品になったのでしょうか?
小野:私にとっては、一言では表しきれないような想いが詰まった作品です。とにかく優しい世界を表現している作品で、誰も否定されないし、仲間はずれにされることもない。動物によって特徴がある中で、その個性を受け入れてあげる。そして、受け入れたら認めて仲良くなる。
今の世の中では難しいことを「けものフレンズ」の世界観では、すごいことだと感じさせず、みんな当たり前のように過ごしていて、そこに優しさを感じました。様々なキャラクターや展開から、人々が忘れがちなことを思い出させてくれるような温かい作品だと思います。
本宮:「けものフレンズ」は、私にとっての初めてをたくさんもらった作品です。ラジオやキャラソン、ライブも初めてで、それこそアニメと同じ役で舞台に出演するのも初めての経験でした。「けものフレンズ」は、それらの初めてをギュギュッと詰め合わせでいただいた作品だと思っています。
また、フェネちゃんというキャラクターに出会えたことも嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいです。今は「けものフレンズ」に引っ張ってもらっている身なんですけど、これからは逆に引っ張って行けるようになれたらいいなと思っています。
──最後になりますが、再演に向けての意気込みをお願いします。
小野:今回は再演ということで、キャストもほとんど変わらないため、最初の公演で培ったみんなとのチームワークを爆発させられるように、私たちも一丸となって頑張っていきたいと思います、ぜひ劇場に足を運んでいただけると嬉しいです!
本宮:再演では前回よりもパワーアップして、感動や楽しさや癒やしをみんなで届けられたらいいなと思います。前回来られなかった方も、配信でご覧になった方も、来てくれた方もみんなまとめて観に来ていただきたいです。よろしくお願いします!
──ありがとうございました!
[取材・文・撮影/鳥谷部宏平]
<期間>2018年1月13日(土)~21日(日)
<劇場>AiiA 2.5 Theater Tokyo
<原作>けものフレンズプロジェクト
<脚本・演出>村上大樹
<出演>
サーバル役:尾崎由香
フェネック役:本宮佳奈
アライグマ役:小野早稀
ロイヤルペンギン役:佐々木未来
コウテイペンギン役:根本流風
ジェンツーペンギン役:田村響華
イワトビペンギン役:相羽あいな
フンボルトペンギン役:築田行子
オカピ役:野本ほたる
マンモス役:仁藤萌乃
ヒツジ役:西川美咲
ホワイトタイガー/サーベルタイガー役:野口真緒
オオフラミンゴ役:幸野ゆりあ
タヌキ役:加藤里保菜
クロヒョウ役:稲村 梓
チーター役:石井玲歌
シロナガスクジラ役:伊藤梨花子
イワトビペンギン役:山下まみ(友情出演) 他
<主催> ネルケプランニング
>>舞台「けものフレンズ」公式サイト
>>舞台「けものフレンズ」公式ツイッター(@kemo_butai)