映画『名探偵コナン ゼロの執行人』声優・高山みなみと古谷徹「江戸川コナンと安室透」を語る
週刊少年サンデー(小学館)で連載中の青山剛昌さんによる推理コミック『名探偵コナン』の最新作、劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』が、2018年4月13日(金)より公開されます。
昨年公開した第21弾劇場版『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』は、シリーズ最高となる興収68.9億を記録。2017年邦画興行収入ランキング1位を達成しました。
ファン待望の劇場版第22弾は、真実を暴く者VS正義を貫く者の魂がぶつかり合う極秘任務(シークレットミッション)ミステリー。
東京サミット開催の地となる東京湾の巨大施設「エッジ・オブ・オーシャン」で、大規模爆破事件が発生。事件の裏には、全国の公安警察を操る警察庁の秘密組織・通称「ゼロ」に所属する安室透(※1)の影があった。
秘密裏に動く安室の謎の行動に違和感を抱くコナン。その後、事件現場で検出された指紋が一致した毛利小五郎が爆破事件の容疑者として逮捕される。小五郎の無実を信じるコナンは、小五郎を逮捕した降谷零ら公安警察とやがて対立することに。謎の存在・安室透は敵なのか、味方なのか?
映画の公開を記念して、江戸川コナン役の高山みなみさんと、安室透役の古谷徹さんにインタビュー。映画の見どころや注目キャラクターなど、いろいろと語っていただきました。
高山みなみさん、古谷徹さんのファンで、まだ『名探偵コナン』を観ていない人、記事で興味を持ち、『名探偵コナン』をこれから観る人は、ネタバレも含みますのでご注意ください。
※1:安室透(安室透は表の顔の名前。実際は3つの名前と顔を持っていて、TVシリーズでは安室透が最もポピュラーなキャラクター。毛利探偵事務所の階下にある喫茶ポアロで、アルバイトしながら、私立探偵として毛利小五郎に弟子入りする明るい青年。降谷零は2つ目の名前で本名。公安警察官だが、その正体を知る者は少ない。バーボンは3つ目の名前で、黒ずくめの組織としてのコードネーム。潜入捜査中だが、組織にスパイだと疑惑を持たれたことがある。3役全てCV:古谷徹)
30回観ないと理解できない?! 新監督が描く人間ドラマ
――劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』が、2018年4月13日(金)より公開されます。映画を拝見させていただきましたが、コナンと安室透の対決色が強い作品になっていましたね。脚本を読んだ時の感想をお聞かせください。
安室透役・古谷徹さん(以下、古谷):一昨年の『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』(2016)で、赤井秀一(安室の潜入捜査中からのライバルで、正体はFBI捜査官。CV:池田秀一)、安室透、キュラソー(黒ずくめの組織の一員。CV:天海祐希)、そしてコナンと力を合わせて未曾有(非常に珍しいこと)の大惨事を防いで、コナンくんともいい関係になると思ったところで、ますます安室透は人気が出るなと思っておりました(笑)。
高山みなみさん(以下、高山):(笑)。
古谷:実際に、映画のおかげでブレイクいたしました。そこにきて、今回の作品でコナンくんと敵対するとなると、せっかくの人気が落ちてしまう(笑)。「やばい、これは!」というのが僕の懸念していたところでございます。
高山:安室さんの謎のところを暴いていけたらと思って……。「今回の安室さんは、敵かもしれない」というところから始まったんですけど、敵ではない可能性を追求したいなと思いました。敵に回したら怖いですから(笑)。
――今回の作品は、台本がすごく厚かったとお聞きしています。
高山:(笑)。
――これまでにない感じだったんですか?
高山:そうですね。理由の一つとしては、台本製作の会社が変わったという事実が……(笑)。
古谷:そうなの?
高山:台本そのものが変わったんです。その際にスタッフから「台本の会社が変わるので何か注文ありますか?」と言われたので、「修正がしづらいので書き込みしやすいように行間を少し開けてください」とお願いしたんです。その結果、全体的に大きくなった(笑)。通常のアフレコ台本も少し厚くなったので、それが原因の一つですね。でも、やっぱり今回もカット数は多いです。
古谷:『純黒の悪夢(ナイトメア)』より、20ページぐらい多かったですよね。
――今回の作品も本当に面白かったです。映画を観ながら、これは去年の作品を超えるなと思いました。
高山:ありがとうございます。
――試写室で観ていたんですけど、小五郎(毛利小五郎、CV:小山力也)に容疑がかかり、書類送検されるというところで、蘭ちゃん(毛利蘭、CV:山崎和佳奈)に感情移入して、泣いてしまいました。
古谷:(驚きながら)えぇ~!? そこのシーンで何故ですか?
――蘭ちゃんの気持ちになっちゃうんですよ。
古谷:なっちゃうんですね。なるほど!
高山:あぁ~。蘭には珍しく、今作はけっこう感情を表に出しているんですよね。最初は「お父さん、また酔っ払って~」なんて、言ってたんですけど(笑)。だけど規模の大きな事件だっただけに、おそらく「逮捕されたら、確実に実刑になる」って思っちゃったんだろうな……。
警察官に死傷者が出ていることもあり、ただじゃ済まないと想像がつきますから。あり得ない証拠も出て、そうなっちゃったのかなと……。よく泣きはしますけど(笑)、号泣して叫んでというシーンは、あんまり無かった気がするんですよね。
――そうなんですよね。彼女が一番フラットな視線というか、みんな推理力のある冷静な人たちばかりの中で、蘭ちゃんはかわいらしくて、人間味があるんですよね。
高山:普通の感覚の人なので。
――個人的には、安室が登場する時の空のシーンが良かったです。安室が電話ボックスの中から電話をかけているシーンで曇天から晴天になるところや、コナンと安室と風見が登場する雨のシーンなど、演出が秀逸でした。おふたりから見て、見どころや特に力を入れたシーン、印象に残っているところがあればお聞かせください。
古谷:やっぱりラストのカーアクションは、これでもかっていうくらいの迫力があって、見どころだとは思うんですけれども……。
――すごかったですよね。
古谷:僕個人といたしましては、安室透である部分と、降谷零である部分の演じ分けの違いみたいなところを味わってほしいなと思っています。
――そこは注目ですよね。高山さんはいかがですか?
高山:「これが立川譲監督の色なんだろうな」と思ったのは、カメラアングルと自然現象がキャラクターの心情に合っているというところ。背景になっている雨であるとか、窓ガラスに雨の雫が当たって流れる感じとか。そんな細かいところまでがキャラクターの心情を表しているんですよね。
だから1回目はストーリーを楽しんでいただき、2回目はキャラクターを楽しんでいただき、3回目ぐらいに背景とか、その他を楽しんでいただけると思います。「今度はこの人に心情を合わせてみよう」と思って観ると、空気感と一体化して、より一層入り込めると思います。
古谷:30回ぐらい観ていただけるとありがたいです(笑)。
高山:ね! 私はもう2回観ちゃいました……。
古谷:そうなんですね。じゃあ、あと28回(笑)。
高山:そうですね(笑)。
古谷:僕はあと29回見ないといけない(笑)。
――今回の作品は立川譲監督が初めて監督をされたということですが、立川監督の演出で印象に残ったところはありますか?
古谷:そうですね。最初の挨拶で監督が「みなさんにお任せします」とおっしゃってくださったので、それだけ責任は感じましたけれども。とにかく、ちょっと今までの劇場版コナンとは違うかなと、人間ドラマになっているなという印象でした。
――高山さんはいかがでしょう?
高山:そうですね。音響的には、OPシーンで新一(蘭の幼なじみの高校生探偵・工藤新一。黒ずくめの組織によって開発中の毒薬「APTX4869」を飲まされ、コナンの姿に。CV:山口勝平))からコナンに変わるところの声を、「もう少し高くしてください」と言われたのが印象に残っています。知らず知らず、(山口)勝平くんに近寄っちゃうんですよね(笑)。