この作品は「すんごい面白い!」 ムービーコミック『王様達のヴァイキング』坂井大輔役・関 俊彦さんインタビュー
天才ハッカー・是枝一希とエンジェル投資家・坂井大輔がIT業界を舞台に「世界征服」を目指す、新時代の冒険譚がdTVの人気ジャンル<マンガ>として配信がスタートしました!
今回は是枝一希と共に「世界征服」を目指す“エンジェル投資家”坂井大輔の声を担当した関俊彦さんにインタビュー! 作品を読み込み、ファンになった関さんだからこそ語れる魅力をお聞きしました。
今の時代だからこその切り口がとにかく面白い!
——先ずは作品についてお聞きしていきたいと思います。『王様達のヴァイキング』は、ハッカーたちの攻防を描くサイバーマンガですが、初めて読んだ際どんな作品に映りましたか?
関 俊彦(以下、関):とにかく面白いなと思いました。読むに連れてどんどんスピード感も増していくし。コミックの世界ってこっちが「え〜!?」っていうようなものも含めて、あらゆるジャンルの作品が生まれてきていると思うんですけど、今の時代だとこういう切り口があるのかと思って、まずびっくりしました。
登場人物たちも魅力的だし、「ハッカー(システムへ入り込み内部を覗くのを楽しむ人)とクラッカー(不正アクセスやシステム破壊を目的にしている人)って違うのか!」ってこれを読んで僕も初めて知ったので。まさにこれからの、今の時代をリアルに描いているっていうのもあるし、ある意味近未来的な、これからすぐ近くの未来で起こるような事がちゃんと等身大で描かれている感じがして見ているとやっぱりドキドキさせられるしワクワクしました。
——そんな作品の中でご自身の演じる坂井大輔の印象はどうのように感じましたか?
関:坂井さんはとにかくカッコいいですね。職業柄というか、あえてそういうものを目指してやっているということもあると思うんですけどね。他人に接するときのクールさとか冷たさとかも色々あるんですが、仲間に対しては子供のように振る舞ってしまうところもあるし。何よりも、人をまっすぐに信じる事ができることの凄みというか。そういう事ができちゃうからこの人には人が集まってくるのかなとか、そういうことを感じましたね。
——「エンジェル投資家(次世代起業家を応援支援する投資家)」というのはあまり馴染みのない職業だと思うのですが、演じる時に気を付けたことや感じたことはありますか?
関:まず僕は、投資とかそういう関係は全く疎いんです。投資家は、時代の先を読める人間じゃないとできないでしょうから、僕はそういう素養が全くないのでただ憧れるとか、想像でしかないんですよね。ただ、今回演じてみて、自分なりに「エンジェル投資家」がイメージできた気がします。
目の前の物事を、視覚情報や自己分析、心の熱量などから、「どう自分の未来へと誘導できるかを導ける人」なんだろうなと思います。あとは、人を引きつけ、新しい価値を押し広げることができるという素養と才能、性格も必要だと思います。「エンジェル投資家」は、そういったものを全部持っていないとできない仕事なんじゃないのかなって思いました。
物語の中で坂井さんも散々是枝くんに「このITの業界とは」と言ってますけど、結局は対人間で、眼の前の相手に自分の気持ちをどうやって伝えるかっていう方が一番大切なんだと思うんですよね。ITっていうと機械と数字ばっかりの世界ってどうしても思いがちなんですが、作品を読んでいて「(ふとした場面で)あ、そうか。そうだよな」って思わせてくれる場面の多いですね。
是枝くんに露天商をやらせる場面には、IT的な才能とは別に、「人間と人間のつながりを信じる」みたいなところを感じましたね。 そういったハートの部分もみていかないと、「エンジェル投資家」にはなれないだろうなと読んでいても、演じていても感じました。
——なるほど。たしかにそうですね。
関:エンジェル投資家は、「他人の夢を自分の夢に変えていく」っていう発想の方々なので、やっぱりかっこいいですよね。すごい! なってみたいですよね(笑)。ただ、元のお金がないとなれないですけど。
もしお金があっても、僕なんかその資金を投資じゃなく別のことに使っちゃいそうな気がしますけど(笑)
——人間的なかっこよさを持っている坂井さんですが、どのように役作りしていくのですか?
関:自分としては、何かとちょっと似ているなと思ったらとにかくそれを排除するように心掛けます。いま演じている役が、オリジナルになるように、できるだけ真っ新な気持ちで向き合おうとしています。「この役だけの個性」みたいなものがを引き出せたら楽しいですね。
面白い作品には役者のテンションを自然に上げてくれる力がある。そういう意味では、『王様達のヴァイキング』は原作を読んでいて、人物への興味をとても湧き立たせてくれます。坂井さんに関しては、彼の現在だけでなく、過去の描写にも踏み込んで描かれているので、「人間」の心のうちを探るうえで、読み手をよりワクワクさせてくれています。
坂井大輔のかっこよさにしびれる! ムービーコミックならではのやりがいも
——マンガ使っての収録はいかがでしたか?
関:こういう仕事はほぼないですから、ちょっと特異な感じでしたね。あとね、コミックなので、字が小さいのが、どうしようかなと思って(笑)。僕もう目が悪くなってきてるんですよね(笑)目を皿のようにしてやりました!
——情報量が多いですもんね。書き込みが多いところがあったりとか。
関:別な意味での集中力を使いましたね(笑)
今回のムービーコミックは、原作マンガが台本なので、その時演じている先のシーンや、読んでいるセリフ以外の情報まで、目に飛び込んでくるんですよね。そのあたりが通常の台本での読み方と違っていたので、注意しながら進めないといけないなと感じました。
——収録自体はどんな感じなんですか? 流れでやるのか、それともページごとにいくつか分けてやるんでしょうか?
関:シーンごとにというか、話を区切って収録したんです。アニメーションに比べると、セリフに間尺がないのは、役者としては嬉しいですね。
アニメって尺が決まっているので、「口が動いている間で表現しなきゃいけない」ってなりますが、ムービーコミックは尺に制限がないので、自分の思い描く間が取れるし、気持ちの用意がちゃんとできてから喋ることもできる。CDドラマもある意味で同じ構造ですが、役者としては、やりやすい仕事だったと思います。
——特に印象的なシーンはどこでしたか?
関:演じてみて余計に、度々出てくる「これしかないなら これしかないってことだろ」っていうあのセリフがやっぱり坂井さんらしい名言だなと感じますね。一番印象に残るシーンっていうといくつかありますが、やっぱり一番は最初の、是枝くんとの出会いですかね。初めて会う人間の目をまっすぐ見て「俺はお前の手で世界征服がしたいんだ!」って言って退けるあの坂井さんのすごさですよね。「いや〜、たぶん人生で一度も言う機会無ないな。一度で良いから言ってみてぇ〜!」って感じですよね、これはね(笑)
——めちゃめちゃかっこいいですもんね。
関:あれを言い切れるこの人はやっぱり、人のことが読めるというか、人が見えるんでしょうね。是枝くんに対しても、はっきりと言葉で説明はできないんだけど、「こいつは!」っていう人の目にはわからない何かが、坂井さんの目には見えちゃうんでしょうね。だからこそ、そこまでズバッと言えちゃうっていう。あのシーンはやっぱり鮮烈で印象に残るところでしたね。
——演じているというフィルターを通してだと、是枝くんはどういう風に映るんですか?
関:是枝くんも魅力的ですよね。こういう作品、あらゆる小説、映画、物語すべてそうなんですけど、やっぱり1つ必ずあるのが“人間が成長する物語”であることですよね。
物語がスタートして、終わるまでに、良くも悪くもっていうパターンが物語によって色々あると思うんですけど、ストーリーの進行とともに一人の人間が、なにか変化している。この作品は「人の成長の物語」であるということが、是枝くんの存在によって明確になるし、「あ、やっぱり人間っていいな」って思いますよね。
彼には過去のトラウマみたいなのもあるから余計なんだけど、とにかく揺れ動いて迷って、自分がどう生きたらいいのかわからないという葛藤があって。坂井さんがまたいいこと言ってくれるんですけど「自分にできる仕事とは何か」っていうのを見つけていくっていうのは、やっぱり見ていて応援したくなるし、爽快ですよね。
是枝くんの場合には特異的な才能があるから、私たちには同じように当てはまらないかもしれませんが、人が生まれてきて死ぬまでに「あっ、これ俺の仕事だな!」って思える仕事に1つでも多く出会えることができたら、「生きて悔いなし」って感じなんだろうなって改めて感じましたね。
——色々と考えさせられる部分も多いですよね。
関:考えさせられますね。本当にね。
——ご自身も今話されたみたいに「この仕事やっていてよかった」って思いますか?
関:これです! まさにこういった心動かされる作品との出会いです(笑)。昔は、「本屋さんになりたいな」なんて思ったこともあったんですけど。やっぱり、役者は飽きないから面白いですよ。常に違うものと向き合っていくので、「役者」という仕事を考えると本当に面白い仕事に出会えたなと思ってます。
こういった出会いがあるから僕も「是枝くんや坂井さんに負けないぞ」って、役を演じることに向き合える気がします。キャラクターから勇気をもらえますね。こんな素敵なことはありません。
——『王様達のヴァンパイア』がムービーコミックになっての見どころはどこだと思いますか?
関:例えばアニメ化とかCDドラマとかそういう媒体に変化すると、本当の原作のテイストというのから化学変化が起きちゃうこともあるので、別ものとして捉えなければいけないことがたまにあるんですね。演じている我々としては、それによる視聴者の反応が気になることもあります。
ムービーコミックだと、原作コミックを大切にしているので、コアなファンの方の「イメージと違う」ということから離れ難いんじゃないでしょうか。むしろコミックを間近に見てそこから対峙してもらえるので、そういう意味では原作の味をなるべく損ねない一つのいい方法なのかもしれないなと思ってやっていました。時に、強い意見が届くこともありますからね(笑)
——ムービーコミックは、不思議な媒体ですよね。朗読ではないし、アニメでもない。でも、マンガでもないけど、マンガの良さも残している。
関:そうですね。コミックというものの良さをなるべく損ねないようにファンの人に伝えることができる1つの方法ではあるかな。まあそれでも、声を入れちゃっているからいろんなことを、言われちゃうかもしれませんけれどね。
——きっと大丈夫だと思います! 楽しく観れるというか、読めるというか。そんな感じがします。
関:これを観てまた、改めて原作ファンの人が増えてくれると嬉しいですね。
——それでは最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
関:これは、スピリッツで連載されてどれぐらいですか?
——今既刊が15巻です。
関:もう何年も経ってるの? じゃあ僕だけが知らないだけでずっとお話しは先に進んでいて、連載中ってことなんですね……。という感じで、僕はこの仕事で初めてこの作品と出会うことができたので、ファンの皆さんについていけるように、僕も頑張って『王様達のヴァイキング』勉強します!
なのでムービーコミックの方もよろしくお願いします。
[取材・文:菊地真由]
ムービーコミック『王様達のヴァイキング』配信概要
タイトル:王様達のヴァイキング
原作者:さだやす(ストーリー協力 深見真)
出版社:小学館
連載誌:ビッグコミックスピリッツ
発行巻:既刊15巻(連載中)
配信日:2018年6月30日(土)00:00
<声優キャスト>
是枝一希役:小野賢章
坂井大輔役:関 俊彦
笑い猫役:熊谷健太郎
ヴァルキュリヤ役:今井麻美
<主題歌楽曲>
アーティスト:Candy or Whip
楽曲名:last show time
<ストーリー>
これが、新時代の冒険者だ。
高校中退、バイトも即クビ。社交性もなきゃ愛想もなし。
18歳の是枝一希が唯一持っているのは、ハッキングの腕。
金融機関にサイバー攻撃を仕掛けた彼の前に
「お前の腕で世界征服する」と宣言する大金持ちの男が現れる。
ハッカー少年と仕事中毒のエンジェル投資家、
彼ら2人はどんな仕事を創り出すのか…?
全く新しい新世代タッグ誕生!!!