『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄(ヒーロー)~』山下大輝×三宅健太ダブルヒーロー対談
8月3日(金)から上映開始となる映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄(ヒーロー)~』。アニメイトタイムズでは本作の公開を記念し、ヒーローになることを夢見る主人公・緑谷出久(デク)役を演じる山下大輝さんと、平和の象徴とも称されるNo.1ヒーロー・オールマイト役を演じる三宅健太さんにインタビューを実施。
完成した映画の見どころや、現在放送中のテレビアニメ3期までを振り返り、役を通じてのお互いの印象の変化などについて語っていただきました。
デクとオールマイトの関係性の変化
ーーテレビアニメ第1期から演じてこられて、デクとオールマイトの関係性やキャラクターイメージに変化はありましたか?
山下大輝:やはり心の部分が固い絆で結ばれているなと感じています。1期の頃のデクはオールマイトに対して「大好きなNo.1ヒーロー、この人みたいになりたい!」という夢物語のような印象だけを持っていたんですけど、今では「すごく身近だけれども、すごく遠い存在」になって。
身近に感じてきたからこそ「オールマイトはこんなにすごい人だったんだ」と3期に入って改めて感じている時期だと思います。
変化は色々あったと思うんですけど、オールマイトに対する憧れはずっとデクの根幹であり、コアな部分になっているので、そこだけは変わらず。これからも彼の中で、オールマイトの存在は「僕の中のヒーロー」だと揺らがないんだと思います。
三宅健太:オールマイトはオール・フォー・ワンとの戦いで“個性”の「ワン・フォー・オール」を失ってしまったんですけど、その戦いの後、オールマイトが緑谷少年に対して「君はもう私の背を追うだけの人間じゃないんだな。」と心の中で確信を持った出来事があったんですよね。
最初は「オールマイトが道を拓いて、緑谷少年に付いてきてもらう」という構図だったのが、今日に至って、緑谷少年自身も“デク”としてのヒーローの道というものを明確に見始めていて。
これまでは「私の走りから引き離されるなよ!」という先導役だったオールマイトが、今は「緑谷少年の横に常に立って共に歩んでいく者」「彼の行く道を支えたい」という立ち位置に変わったのかなと思っています。
「次は…君だ」に込められた想い
ーー『ヒロアカ』には数々の名言がありますが、三宅さん演じるオールマイトの「私が来た!」は特に印象深いなと思います。
三宅:「私が来た!」は正直すごく重い言葉になってきた感じがしています。これまでの、“オールマイトのアイデンティティーを象徴する決めゼリフ”だったところから、今となっては「私が来た!」というその一言で人々がみんな安心するくらいの、すごい言霊を持っていて。
山下:その一言だけで「平和の象徴が来た!もう僕らも安心だ!」となるわけですからね。
三宅:そして3期まで通して言うと、僕が一番印象深いセリフは「次は…君だ」なんですよ。
ーーあのオールマイトの「次は…君だ」は、原作でもアニメでも鳥肌が立ちました。
三宅:その話数をアフレコした時は、本当に自分の中でもリアルだったので、お芝居ではなく、山下君に「次は…君だ」と。逆に言えば、「私が来た!」と言ってくれというような想いがあって。
山下:だからこそ、オールマイトが平和の象徴ではなくなった後のプレッシャーはすごいことなんだろうなと。世の中が変わるんですよね。ある意味、教科書に載るような歴史的瞬間で。
三宅:「オールマイト引退」と。笑
山下:絶対みんな覚えさせられますよ。その次の平和の象徴にデクはならなければいけないという。「僕が来た!」なんてまだ言えないですもん。笑
ーー笑。デクのセリフで印象強いものはありますか?
三宅:そろそろデクのパワーワードも欲しいよね。
山下:デクはオールマイトから言葉をもらって反応することが多くて。対生徒に向かってパワーワードを言っていたりはするんですけど、相手のことを考えてというよりも、自分が言いたいことを言っているだけで。笑
デクは一つのことに集中するとそれに向かっていってしまうから、冷静と思いきや直情型だったり。
三宅:そうだよね、その辺は爆豪少年と似てるかな。笑
山下:「考えるより先に身体が動いていた」というところでは良いと思うんですけど、まだ技術が付いてきていない部分が、傷として身体に刻み込まれているので。笑
今はそれを分析して、コントロールしないといけない時期なんですよ。ガン!と行くというより、一つ一つ丁寧に何かを成さなければいけない時期で。
三宅:積み上げていっている時期だよね。
山下:オールマイトが平和の象徴ではなくなった今、そんな無謀なことができないという状況も相まって、自分で試行錯誤している時期なので、ここからデクらしい何かが生まれてくるのかなと思いますね。
役を通じて気持ちを確かめ合う信頼関係
ーーテレビアニメ3期まで共に歩んでこられて、山下さんと三宅さんの関係性は変わってきましたか?
山下:以前よりもたくさん話しかけられるようになりました。笑
三宅:僕が人見知りなもので…。笑
山下:最近本当に三宅さんってオールマイトなんだなと思うことがあって。オールマイトがちょっと可愛く乙女みたいな仕草を見せるシーンがあるんですけど、そのアフレコの時の三宅さんもすごく可愛いんですよ。腕が内側に入ったり、足が内股になっていたり。笑
三宅:内股なんですよ。笑 僕は関係性が変わったというより、役を通じて頭の片隅で山下君のことを“緑谷少年”だと見るようになりましたね。
最初は役が染み付いていなかったので、ある意味“共演者”という面が強かったんですけど、長くデクとオールマイトをしているうちに、山下君に対しても、ついオールマイト目線で見るようになってきて。「頑張れ!今のいいぞ!山下少年!」みたいな。笑
ーー笑。劇場版の収録はいかがでしたか?
山下:すごく楽しかったです。若い頃のオールマイトも登場しますし、何より、デクがオールマイトと一緒に戦えることが本当に嬉しくて。
今まで一緒にやってきて、三宅さんもきっと同じ気持ちだろうなと思っていたら、やはり三宅さんもワクワクしていて。お互いに浮かれ過ぎて、≪I・アイランド≫に着いた時のシーンではNGになったりもして。笑 お互いに役を通じて気持ちを確かめ合う感じがありますよね。
三宅:お芝居の中で「こう投げかけたら、こう返って来る」ということがわかるようになりましたね。
ーーオールマイトの過去というのは、ファンにとっても「待ってました!」というエピソードだと思います。
三宅:我々もオールマイトの全盛期の活躍というものを原作でも知ることができないので、この劇場版という形で知って。思った以上にイケイケだったんだなと。笑
山下:グイグイと前のめりでしたよね。笑
三宅:アフレコする中でも「俺はヒーローだ!名前はオールマイトだ!」とこれでもかと熱や勢いをアピールしてくださいというオーダーがあって。
ある意味ではすごく演じたかったところでもあったので、今回劇場版という形でフィーチャーしていただけたのは、本当に嬉しかったですね。
ーーそして最大の見どころとも言えるふたりの共闘シーンは本当に大迫力でした!
三宅:その直前までは緑谷少年しかり、爆豪少年しかり、生徒みんなが頑張っていて。
盛り上げが積み上がったところに「オールマイトが来る!」というところで緊張しました。「そのテンションを崩さずにクライマックスまで行けるのか!?」と。笑
山下:そうだったんですか!笑 僕としては「オールマイトは絶対に来てくれる!」と思っていましたよ。
三宅:「きっと待っていてくれる」とオールマイトも思っていました。「私が行く!」と。
山下:ラストのクライマックスは収録もすごくて、あんなに叫ぶことないですからね。
三宅:テレビアニメよりも尺的には長かったよね。
山下:後半の追い上げというか、テンションの積み重ねが。みんなからのバトンをどんどんタッチして繋げて、デクとオールマイトが「ドン!」という。
三宅:出来上がった劇場版のクライマックスを観たら、僕の想像を超えていましたね。アニメーションとしてのクオリティーが。ここまでの迫力になるのか!と思いました。
繋いできた『ヒロアカ』パワーを集約した大作に!
ーー菅田将暉さんの歌う主題歌「ロングホープ・フィリア」も『ヒロアカ』の世界観を象徴する一曲でしたね。お二人は曲をお聴きになってどんな印象を持たれましたか?
三宅:今回本当に素晴らしい楽曲だなと思ったうえで、「希望」というテーマの中に、何かに挑んでいるような“強さ”や“厳しさ”を感じたんですよね。『ヒロアカ』の世界観を大切に作ってくださったのかなと思うと、泣けてきてしまって。
山下:菅田さんはものすごく真っ直ぐに歌われる方だなと。歌詞の一つ一つをはっきり発音されていて、それが『ヒロアカ』の世界観や、想いをぶつけるというのにぴったりで。“泥くささ”というか、“もがいてでもしがみつく”という感じが伝わってきました。
三宅:本当に語りかけるように歌われていますよね。
山下:今放送されているテレビアニメ3期のED主題歌で「ロングホープ・フィリア」のアコースティックバージョンが流れているんですけど、それはさらに“優しさ”も加味された楽曲になっていて素敵なんですよ。
「前を向いて希望が見える。でもそれは頑張ってしがみついて、自分から掴み取らなければいけない。」そういうエールのようなものを感じました。
ーー最後に、映画を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。
山下:今作はテレビアニメ2期と3期の間のお話ということで、「林間合宿編」前の空白の夏の物語を、原作者の堀越耕平先生に総監修していただきました。キャラクター原案も手がけていただいています。
夏に観るのにぴったりで、初めて『ヒロアカ』を観る方にもすごくわかりやすいストーリーになっていて、真っ直ぐ心に届くような映画になっています。そして映画館に来場された方には「僕のヒーローアカデミア Vol.Origin」がプレゼントされますので、こちらもお楽しみに!
僕ら自身も、1期から2期と繋いできた熱い想いや絆をすべてここに集約させて演じさせていただきました。そういう熱い想いで皆さんも観ていただいて、暑い夏ですけれども、熱中症すらも「Plus Ultra」でさらに向こうへ吹っ飛ばして、一緒に『ヒロアカ』を盛り上げていただければと思います!
三宅:テレビアニメシリーズ、コミックス等で積み上げてきた『ヒロアカ』パワーを、この劇場版という大きい企画で放出するというすごい熱量を持った作品に仕上がっています。
きっとどの国の、どの世代の方が観ても胸にジーンと刺激や感動を届けてくれるような大作になっていますので、暑さにくじけそうになったら、心にパワーをみなぎらせてくれるこの作品を観にぜひ劇場に足を運んでいただけたらなと思います。応援のほどよろしくお願いいたします!
ーー素敵なお話をありがとうございました!
インタビュー・文:吉野庫之介 撮影:鳥谷部宏平
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僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~
2018年8月3日(金)公開!
配給:東宝
<STAFF>
原作・総監修・キャラクター原案:堀越耕平(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
監督:長崎健司
シリーズ構成:黒田洋介(スタジオオルフェ)
キャラクターデザイン:馬越嘉彦
音楽:林ゆうき
アニメーション制作:ボンズ
配給:東宝
主題歌:「ロングホープ・フィリア」菅田将暉(EPICレコードジャパン)
<CAST>
緑谷出久:山下大輝
オールマイト:三宅健太
メリッサ:志田未来
デヴィット:生瀬勝久
爆豪勝己:岡本信彦
麗日お茶子:佐倉綾音
飯田天哉:石川界人
轟焦凍:梶裕貴
ウォルフラム:小山力也
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(C)堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミアTHE MOVIE製作委員会
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