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『京都寺町三条のホームズ』富田美憂&石川界人インタビュー

『京都寺町三条のホームズ』富田美憂さん&石川界人さんインタビュー│葵に詰まった等身大の経験と清貴の魅力を引き出す上でのポイントとは?

2018年7月より放送中のTVアニメ『京都寺町三条のホームズ』。本作は、エブリスタ原作を元に双葉文庫にて刊行中(既刊10巻)で月刊アクションにてコミカライズが連載中の大人気キャラクターミステリー。原作小説がシリーズ累計で70万部を突破し、2016年度の京都本大賞も受賞した、古都を舞台にした傑作ライトミステリーです。

この度、真城葵役・富田美憂さん、家頭清貴役・石川界人さんにインタビューを実施。キャストに映る作品やキャラクターの魅力、京都にまつわるエピソードなど、本作ならではのお話を語っていただきました!

葵の魅力を引き出す鍵は少し前の自分自身

――本作はミステリーに分類される小説になりますが、これまでミステリー作品に触れる機会はありましたか?

真城葵役・富田美憂(以下、富田):ミステリーはドラマなどでよく見ます。登場人物と一緒に考えながら推理していくというよりは、先の展開が気になってしまうので、ミステリーやサスペンスといった作品は何話か溜めてから一気に見ることが多いですね。

家頭清貴役・石川界人(以下、石川):僕も小説を読んだりしますが、どちらかと言えばサスペンスの方に多く触れてきました。あまり頭が良くないので、最初から犯人が分かっている方が分かりやすくて(笑)。

いわゆる小学生の頃に読むような、子どもたちが一生懸命に悩みながら読んでいく末に犯人が判明する……といった物語があまり得意ではなく。だからミステリーにはあまり触れてこなかったかもしれません。

――そんなお二方が本作を最初にご覧になった際の印象をお聞かせください。

富田:私はオーディションの際に原作小説を読ませていただきました。実は私は活字が苦手で……(笑)。小説もあまり進まないタイプなんですけど、この作品は情景が想像しやすく、非常に読みやすい作品だと読んでいて感じました。

石川:主人公が女性なので当然のことかもしれませんが、文体から女性の方が書かれている作品であることが分かる内容で、女性の感情の機微が繊細に描かれている印象を受けました。なおかつその中でミステリーの要素、いわゆるロジックの要素が緻密に描かれている点は驚きました。

――ミステリーとしての本筋を踏まえた上で、キャラクターの魅力が累乗されていると。

石川:そうですね。わりとそういった文体だと感情線が主だって見えてくる小説が多い印象でしたが、この作品は「AがあったからBが存在して、最終的にCという結論に落ち着く」という物事の道筋がはっきりしているように思い、面白い作品だと感じました。

――なるほど。では今回おふたりが演じられるキャラクターについてご紹介をお願いします。

富田:私が演じさせていただく真城葵は高校2年生の女の子です。おじいちゃんの骨董品を持ち込んだことがきっかけとなって「蔵」でバイトをすることになります。彼女はとても純粋でどこにでもいるような普通の女子高生だと思っていて、個人的には今まで演じる機会のないキャラクターだったので新鮮に感じました。

いわゆる等身大の同い年くらいの、あまり癖のない普通の女の子を演じることが実は初めてなんです。今まで演じてきたキャラクターは、わりと癖があったり自分より年下のキャラクターが多かったので、そこはどうやって演じていこうかを考えながらアフレコに臨みました。

――その演技プランに結論は出ましたか?

富田:これまでの出演作品を見直していく中で、それぞれの役ごとにセリフや語尾に癖をつけていたんです。なので、できるだけ自分の中では自然な雰囲気になるように、すべてを取っ払ってナチュラルな役作りを意識しています。

――ちなみに富田さんは探偵の助手に憧れていたそうですね。

富田:そうなんです! 家の近くに小さい探偵事務所があって、小学校の頃から「探偵ってカッコいいなぁ」というただただ単純な考えだったんですけど(笑)。

――それは実際に仕事をしているところを見たり?

富田:いえ、完全にドラマなどフィクションの中でしか知らないです(笑)。ずっと憧れていて、色々なところで「探偵の助手になりたい」と散々言っていたので葵ちゃんを演じることで、ある意味、夢が叶いました(笑)。

――(笑)。では石川さん演じるホームズこと家頭清貴は、石川さんからご覧になってどのように映っていますか?

石川:僕が演じさせていただく家頭清貴は、葵が訪れる「蔵」という店で働いている青年です。京大院生で文献文化学を専攻しており、歴史や文化について勉強しています。彼は骨董品の目利きに長けており、年齢のわりに達観した性格をしているところが魅力になるかと思います。

作品内でもそれらが魅力的に描かれているので、役作りをするうえでもそういった魅力を出せればいいなと思い、演じさせていただいています。

――彼の魅力を引き出す上ではどういった点を意識されているのでしょう?

石川:彼自身が達観しているからこそ僕自身は彼の年齢をあまり意識せず、彼が伝えんとしていることのみに重点を置いて芝居をしています。そのため大学院生という若さはあまり見えないのかなと思います。

また、原作者の望月(麻衣)先生がブログの中でオーディションの話を触れられていて。そこで「ペラペラ喋るシーンが多いので、滑舌が良い方がいいかなと(※)」というお話をされていました。

この作品は説明が多く、聞き取りづらい点は致命的になってくるなと僕の中でも思うところがあって。なので、なるべく聞き取りやすく説明セリフを、みなさんにご理解いただけるようなニュアンスになればいいなと思いながら演じています。

 
(※)望月先生公式ブログより「京都ホームズアニメ化レポ④」
https://ameblo.jp/maimotiduki/entry-12366876681.html

――そんな中にどこか腹黒さが見え隠れしつつ?

石川:いえ、それは意図的に出すことではないと解釈しているので、必要な場面があれば少しだけ出すことが彼なんじゃないかなと思います。

――なるほど。また、作中では京都弁も披露されますよね。

石川:そうですね。普段は標準語かつ敬語で話していますが、たまに出身地である京都弁が出てくる場面もあります。ただ、僕が京都弁を喋れるわけではないので、そこは魅力的になるよう一生懸命にアフレコに臨んでいます。

――富田さんは葵の魅力をどのように芝居に乗せたのでしょう?

富田:最初に葵役で合格したときに、どうやって役を作っていこうか改めて考えました。葵は高校2年生ですが、中高生は他の年代の方と比べて人間関係の悩みが独特じゃないですか。私も先日まで高校生だったこともあり、周りからの刺激に敏感に反応していく時期だと実感していて。

自分が高校生のときに感じたことを等身大で役に反映できたらいいなと思い、実際あったことや感じた気持を芝居に生かそうと日頃から意識していました。

――実体験を役に投影していると。

富田:音響監督の八木沼(智彦)さんからも、視聴者の方は葵の目線でキャラクターや事件を見ているんだとよく言っていただきます。なので常に視聴者の代表としてお話に関わっていけたらと。そこはお芝居で意識しているポイントですね。

だからこそ自分の中でも難しい役どころで……。普通だからこそ難しく感じられる部分もありますが、みなさんの目線に沿って演じられていけたらいいなと思います。

――それぞれ演じられる役以外で気になるキャラクターはいますか?

富田:私は滝山利休くんが好きですね、可愛いから(笑)。

石川:僕は円生さんです。序盤の段階では全然喋っていないんですけど、既にカッコいいんですよね! 改めて遊佐(浩二)さんはすごいなって思います。

富田:雰囲気からして素敵ですよね!

石川:「ふっ」という笑い声をひとつとってもカッコいい役者ってなかなかいないと思うんですけど……そこはさすが遊佐さんですよね! カッコいい、キマってる、早く喋ってほしい(笑)。

――総じて本作で注目してほしいポイントをお聞かせください。

富田:原作が小説なのでアニメで初めて顔が見えるキャラクターがいるところは、原作ファンの方にとっては大きなポイントになると思います。また、映像がとてもキラキラしていて綺麗なので、京都ならではの建物や背景なども楽しみにしていただければ嬉しいです。

石川:僕が見ていただきたいのは葵の成長です。10代の思春期の女子は、人間的にも成長スピードがかなり早い時期なのかなと思います。彼女は作品の冒頭ではあまり良くない精神状態に陥っていて。

ただ、そこから立ち上がって人間的な成長をしていく過程、もともと大人びた子ではありますが、さらに伸びていく姿はぜひ注目していただきたいです。

京都には面白い人が多い!? 石川さんが京都に抱くイメージとその理由は?

――アフレコ現場の雰囲気はいかがでしょうか?

石川:京都出身の方が多いので、京都の話で盛り上がっていることが度々あります。

富田:地元の話をされることが多いですよね。

石川:僕らとしてはすごく助かるよね。僕たちは京都に住んで街の雰囲気を体感していたわけではないので、実際に現地で生活していた人たちの話を聞くのは勉強になります。遊佐さんをはじめ京都出身の方が多いキャスティングなので、話を聞いていて面白いです。

――聞いた中で印象的な京都エピソードはありますか?

石川:あまり人にお聞かせできない内容の話が一番印象に残っていて……いわゆる“ぶぶ漬け”とか、そういった話題が印象的でした(笑)。ただ一番驚いたのは“いけず石”の存在です。

――いけず石……ですか?

石川:京都は碁盤状に街並みが形成されているじゃないですか。それぞれの角には“いけず石”という石が置いてあるんですけど、それは車が自分の家の壁を擦らないようにするために置いてあるそうなんです。それがアフレコ現場で聞いた中で一番驚いた京都エピソードです。

――なるほど! 京都についてかなり詳しくなれそうな現場ですね。

富田:アフレコでは遊佐さんの隣の席なので、京都の豆知識や作中に登場した名所について色々と教えていただいています。アフレコの度に詳しくなっている気がしますね……!(笑)

――行ってみたい名所などありますか?

富田:私は貴船の川床に行ってみたいです。イベントなどで京都に行く機会があれば寄ってみたいなとひそかに思っています(笑)。

――そもそもおふたりは京都に行ったことはあるのでしょうか?

富田:中学の修学旅行で行きました。これは勝手なイメージなんですけど、京都の方は京都に生まれたことに対して誇りを持っている印象があって、どこか神聖な雰囲気が漂っていそうだなと! あと美男美女が多そうなイメージもあります(笑)。

石川:先輩の江口拓也さんと思い立って京都旅行に行ったことがあるんですけど、そこで起きた出来事から僕は京都に対して、面白い人が多いというイメージを持っています。

――と言いますと?

石川:旅行中にたまたま捕まえたタクシーの運転手さんが面白い方で、予め録音してきた歌、自ら作詞作曲を手がけたという曲を車内で聴かせてくれたんです。しかもカーステレオではなく、わざわざカセットテープのステレオを使って大音量で(笑)。

「どうですか私の歌は?」と聞いてきたので、そこで「面白いなこの人!」と思いつつふたりして「いいっすねぇ!」なんて話をしていたんです。そうしたら「この詞があまりにも良すぎたので朗読もしました」と言って朗読をまたカセットテープで再生して……自分で作詞されたんですよ?(笑) 

富田:(笑)。

石川:そうしたら運転手さんが「(タイトル) 朗読」と前振りをした上でボタンを押すんです。すると、今度はカセットテープから再び「(タイトル) 朗読」という同じ内容の前振りから始まって、色々な意味で面白い運転手さんだと思いました(笑)。そんなエピソードがあるので、京都は面白い方が多い印象ですね。あ、最後にアメちゃんをもらいました。

――(笑)。また、作品にちなんでおふたりが日常で疑問に思っている謎があればお聞かせください。

富田:私は地元が埼玉県なんですが、都内に出てきて疑問に思ったことがあって。マフラーを巻かないで、首からかけたまま過ごしている女子高生を何度か見かけたことがあって、もしかして東京で流行っているのかなと不思議に思ったことがあります(笑)。

――その後、解明は……?

富田:できなかったです!(笑)

石川:僕が疑問に思っている謎は、万人が不思議だと感じていることだと思いますし、未だに解明されていないことだと考えています。

――その謎とは?

石川:僕はよく新宿の歌舞伎町に行くんですけど、片方だけ落ちている靴を見かけることが度々ありまして……。はたして落とした彼はどうやって帰ったのだろう、そもそもその靴は誰の物なのか……など、ずっと疑問に思ったままです。

――迷宮入りしそうなディープな謎ですね……(笑)。それでは最後になりますが、ファンの方へメッセージをお願いします。

石川:僕自身は東京から出たことがないので、なかなか東京以外の土地の文化をあまり把握できていませんが、この作品を通して京都の文化を学び、骨董品への興味や骨董品から得られる教訓を勉強しつつみなさんにもお伝えできればいいなと思っています。ぜひとも最後まで注目してご覧いただけたら幸いです。よろしくお願いします。

富田:先ほどもお話した通り、本作はアニメならではの魅力がたくさん詰まった内容になっています。ぜひ、キャラクターたちと一緒に謎解きをして、京都の雰囲気を楽しんでいただきつつ、見終わった後には京都に行きたくなるような作品になれば嬉しく思います。

――ありがとうございました。

[取材・文・撮影/鳥谷部宏平]

作品情報


 
●放送情報
テレビ東京・テレビ大阪 7月09日から 毎週月曜 深夜2:05~ ※初回5分押し 深夜2:10~
テレビ愛知 7月09日から 毎週月曜 深夜3:05~ ※初回5分押し 深夜3:10~
BSジャパン 7月13日から 毎週金曜 深夜0:59~
アニメシアターX(AT-X) 7月11日から 毎週水曜 夜10:00~

●イントロダクション
京都の寺町三条商店街にポツリとたたずむ、骨董品店『蔵』。女子高生の真城葵はひょんなことから『蔵』の店主の息子、家頭清貴と知り合い、アルバイトを始める。清貴は、物腰は柔らかいが恐ろしく勘が鋭く『ホームズ』と呼ばれていた。葵は清貴とともに、客から持ち込まれる骨董品にまつわる様々な依頼を受けていく。

●STAFF
原作:「京都寺町三条のホームズ」望月麻衣・秋月壱葉(双葉社・月刊アクション連載)
監督:佐々木勅嘉 / シリーズ構成:山下憲一 / キャラクターデザイン・総作画監督:伊藤陽祐
プロップデザイン:清水美穂 / 美術監督:中原英統 / 色彩設計:近藤直登
撮影監督:堀川和人 / 編集:堀川和人 / 音響監督:八木沼智彦
音響:ザック・プロモーション
アニメーション制作:アニメーションスタジオ・セブン

●CAST
真城葵:富田美憂
家頭清貴:石川界人
梶原秋人:木村良平
円生:遊佐浩二
滝山利休:小林沙苗
家頭誠司:小山力也
家頭武史:上田燿司
宮下香織:木下鈴奈
宮下佐織:堀江由衣

音楽
テーマソング「細雪」和楽器バンド(avex trax)
OPテーマ「恋に咲く謎、はらはらと」A応P
 
●原作情報
◆『京都寺町三条のホームズ』

望月麻衣(著)
ヤマウチシズ(イラスト)
双葉文庫①~⑨巻(刊行中


 
◆コミックス『京都寺町三条のホームズ』

作画:秋月壱葉
原作:望月麻衣
キャラクター原案:ヤマウチシズ
1巻発売中
掲載誌:月刊アクション連載中

 
TVアニメ『京都寺町三条のホームズ』公式サイト
TVアニメ『京都寺町三条のホームズ』公式Twitter(@teramachi_holme)

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