【連載】『ソードアート・オンライン アリシゼーション』第1話 感想:松岡禎丞×島﨑信長 対談|キリト、ユージオ、アリス、3人のバランスが絶妙
放送枠を拡大し1時間で放送されたTVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』(SAOアリシゼーション)第1話。前半「ここは何の世界だ?」と思わせておきつつ、後半は《ガンゲイル・オンライン》(GGO)の世界や現実世界で桐ヶ谷和人(キリト/CV: 松岡禎丞)や結城明日奈(アスナ/CV: 戸松 遥)、朝田詩乃(シノン/CV:沢城みゆき)が登場する。そして衝撃のラスト……。
そんな第1話「アンダーワールド」を、キリト役の松岡禎丞さん、ユージオ役の島﨑信長さんに振り返ってもらいました。
※※※第1話のネタバレが含まれています。本編視聴後にご覧いただくことをおすすめします※※※
――いろいろと衝撃が多かった第1話が終わりました。
松岡禎丞さん(以下、松岡):収録が始まる前に、信長にLINEをしたんですよ。「見た? やべーぞ、これ」って。
島﨑信長さん(以下、島﨑):思った以上に(笑)。
松岡:そう。思った以上に幼い!! それにびっくりして。
島﨑:また、A-1 Picturesさんがすげーかわいく描いてくださってるんですよ。少年時代を。
松岡:自分が思っていたより、3歳くらい下だなって。
――普通なら幼少期は女性声優の方がやったりしますよね?
松岡:まぁでも、僕はアリシ(《アリシゼーション》編)が始まる前からスタッフの皆さんに言ってたんですよ。「信長が今から練習している」と(笑)。
島﨑:ユージオが決まったとき、アリシの始まりは子供のときから始まるとは知っていて。で、禎丞は(SAO2で)いわゆるキリ子さんをやった実績があるわけです。
それはキリトの内面だったりもあるから、松岡くんじゃないとダメだよって流れでやっていたわけですけど、ということは、この年齢感ならギリギリ松岡くんで行こうという流れになるんじゃないかという予想をしていて、それなら僕もやることになるよなと思って準備をしてたんです(笑)。心と体の準備を。
――それは高い声を出す、みたいな?
島﨑:でもなんか、声の高低ではないんですよね。
松岡:そうそう。
島﨑:ひとり収録のゲームとかだと、キャラクター性を優先して、ひとりで完結するお芝居として、たとえば声を極限まで高くしたりすることもあるんですけど、アニメーションのように掛け合って会話をしている作品だと、あまりにも高くしすぎたり、役を作りすぎたお芝居をしてしまうと、会話にならなくなってしまうんですよね。
松岡:バランスが取れない。
島﨑:チグハグになっちゃうし、キャラクターとして成立はしていても、掛け合ったときにおかしくなっちゃう。誰に向かってしゃべってるんだろう?みたいな感じで、同じ空間にいられなくなっちゃうんです。
それは僕も禎丞も共通した見解だから、自然に会話できる範囲で声は高くしたりはしてますけど、どちらかというと子供らしい雰囲気やしゃべり方、演技のほうで“らしさ”を出そうとしていました。そういう意味ではとてもやりやすかったよね?
松岡:うん。
島﨑:2人の中では少年のバランスが整っている感覚がすごくあって、とっても楽しかったです。また茅野さんのアリスが絶妙なところで来てくれるんですよ!
松岡:そう! あれでもうちょっと幼くこられていたら、アウトだったなって(笑)。
島﨑:初っ端、僕らがくすぐり合ってるところから始まるわけですけど(笑)。
松岡:「お前、それは~」って。
島﨑:叫んだり、くすぐられたりする中で笑ったりする“余裕がないとき”の演技って、コントロールが難しいわけですよね。ひょっこりとおっさんが出てくるみたいなね(笑)。
松岡:そうそう(笑)。おっさんが出てくる。自分の中のおっさんを「ちょっと待て、まだだ!」と。
島﨑:それを押さえ込みながらやっていて、でも、僕らの中ではバランスは取れてて、そこのやり取りを見てから茅野さんのアリスが入ってくるわけですけど、それが絶妙だったんですよ。だから茅野さんのおかげなんです。
松岡:絶妙にお姉ちゃんで来てくれてね。やっぱり3人の掛け合いを見てるとさ、良い世界だなぁって……。
島﨑:思うよね! すごくバランスが良かったんですよ。茅野さんは女性だし、アリスを本気で幼くしたらいくらでもできるわけですよ。そこをあえて幼く振りすぎない。
しかもキリト、ユージオ、アリスという関係性だと、アリスがちょっとお姉さん的なしゃべり方なので、一番ハキハキしている感じで入ってきてくれたから、本当にバランスが取れたし、会話しやすいし楽しいしっていう感じだったんです。誰も浮いている感じがしなかった。
二人が考える《アリシゼーション》編の面白さ
松岡:物語の話になるけど、こんな時間がいつまでも続けばいいなっていう前半の30分。まぁ、15分くらいでその展開は変わっちゃうんですけど。その中に、あれ? これゲームなんだってふわっと思うシーンがあるんですよ。“天命”……「天命って何?」みたいな。前のシリーズを観ている人でも、素で「何?」って思っちゃうくらいなんです。
島﨑:それがアリシの面白いところで、これまでってあくまでゲームの中にダイブをしていて、プレイヤーたちもそういう認識だったんですよね。でも今回は、ユージオやアリス、第1話前半のキリトもその仮想世界の中で育った人たちだから、いわゆるメタ視点みたいなものがないんですよね。
その世界の常識として天命があって、暑い時期に生モノを外に置いていたら天命がゼロになって消えてしまうという常識のもとに生きている、というのがとても面白いなと思ったんです。それってファンタジーの醍醐味じゃないですか。その世界に生きる人たちが、その世界の常識やそれに基づいた思考を持っている。
VRMMOとかでダイブするのは、現実の常識を持った人が現実視点の常識の中でその世界を攻略していく話だけど、今回はその世界の中の常識しか知らない人たちというのがメインにいるから、これまでで一番ファンタジーをしてるんじゃないかなって。
松岡:アリスが言ってた「システム・コール。ジェネレート・ルミナス・エレメント。」っていうのも、みんな「うん?」ってなったと思うんですけど、この世界の人間にとってはある意味、呪文みたいな位置づけなんですよ。
島﨑:そこもすごい面白いよね。視聴者はわかるんだけどっていう。
松岡:あとはびっくりしたと思うんですけど、アリスが整合騎士に連れて行かれるところで、ユージオの右目がうずいて、「SYSTEM ALERT」ってなってるんです。
島﨑:前半の最後だね。
松岡:だから違反できないんです。ユージオがシステムに縛られてるっていうのが、そこで明確に視聴者にわかるっていうのが面白い。
島﨑:ユージオ視点だとそれが何故だかわからないわけで、僕はただただアリスを助けに行けなかったっていう後悔や情けなさがすごくあるんだけど、見ている人にとっては、何かしらの制約を受けているんだなとわかるっていうのがSAOならではの面白さだよね。ただのファンタジーではなく、そこに現代的なものが入ってくるというのが。
いやぁ、でもここのユージオの気持ちを考えたらさ! キリトは助けようと動いてたのに自分だけはどうやっても動かないわけじゃない。アリス助けに行けないってツラいよね。
松岡:うん。ダメだと言われるように、右目が痛いっていうね。
島﨑:もう一生引きずるよね。ただ自分が情けない、勇気がなかったんだって思っちゃうもん。恐怖を克服できなかった、僕はアリスを大切に思っていなかったってことなのか?とか、自分のほうが大事で動けなかったのかな?とか、絶対にいろんなこと考えちゃうよね。
第1話後半はいつものSAOの雰囲気に
――後半はいかがでした?
松岡:後半だと僕しか出てないんですけど、実は第1話って前半と後半で、日にちを分けて録ってるんですよ。
島﨑:だから僕らの中では第2話の印象がある。
松岡:でもやっぱり、後半の30分は前半のラストでキリトがダイブから目覚めて涙が流れていたところからの酒場でアスナ(明日奈)やシノン(詩乃)と話してるんですけど、これ1時間で良かったなとすごく思いました(笑)。
島﨑:そうだよね! 最初の30分だと、SAOファンのみんなが「これは一体何なんだ?」って思うよね。そもそもこれはキリトくんなのか、生まれ変わりなのか?って。だから後半でホッとしたんじゃないかな。 いつもの人たちが出てきて。
松岡:ちゃんと出てきたからね。しかもそのあとカフェで桐ヶ谷和人も出てきて。そこで明日奈と詩乃と話してて、僕的にはアリシではなくソードの世界に戻ってきた感じがすごくしたんです。
戸松遥さんや沢城みゆきさんと、いつものテンポというか昔からの流れで話せる。ただ和人がこれからの未来のことも考えて勉強していることも含めて、年齢のわりにすごく大人になったなって感じました。……だから後半の30分に関してはホッとしたと同時に、めちゃめちゃ用語をしゃべってるんですよ、僕。だからめっちゃ難しかったです(笑)。
島﨑:あははは(笑)。そうだったね。
松岡:しかもそれって自分が理解してないとしゃべれないじゃないですか? だから原作の「ラース」のところを見返して、そうそうそうって。ここからこうなって、ここからこういうことなんだよっていうのを起承転結みたいな感じでしゃべっていくのは難しかった。いつもはユイちゃんに説明は任せていたので(笑)。まぁでも、後半はやっぱりラストですよね。
島﨑:最後だよねぇ。
松岡:だからもう、『ガンゲイル・オンライン』(TVアニメ『ソードアート・オンラインII』)のときにあいつを捕まえとけばよかったんだよ!って。あいつさえいなければ!っていう。明日奈の「キリトくん!」の絶叫と、何かを打たれた!っていうところで、どうなっちゃうの?っていうこの引き!! ――――早く来週が来てください。
――確かに(笑)。
松岡:うまい引きだなって思いました(笑)。
島﨑:第1話の前半で、この《アリシゼーション》編で何が起こるのかな?っていう期待と想像を膨らませてもらえたら嬉しいなと思ったし、時間としては短かったけど、キリトとユージオとアリスが仲良く楽しそうに一緒にいるシーンが、みんなに印象深く残ってくれたらと思います。すごく楽しかったから。洞窟探検も楽しかったよね、途中から洒落にならないことになるけど。
松岡:楽しかった! 子どもたちが隠れ家を見つけるような感じだよね。
島﨑:本編では30分でしたけど、キリトとユージオ、アリスの関係性を覚えていてくれたら嬉しいし、後半はいつものSAOが始まったよって感じで、ホッとしつつも懐かしいと思って楽しんでくれたら嬉しいし、ラストはね。
松岡:涙なしには観れなかった!
島﨑:なので、第2話を楽しみにしてくれたら嬉しいです。
――第2話の見どころを少し教えてください。
松岡:第2話はもう最初のキリトのセリフがみなさんの感想だと思いますよ。「ここは……どこだ」っていう(笑)。ただ、第1話の後半のカフェでの話。VRワールド内部の記憶を持ち出せないみたいなところの話を覚えておいていただけると、辻褄が合ってくると思います!
[取材・文/塚越淳一]
【イントロダクション】
「ここは……どこだ……?」
気づけばキリトは、なぜか壮大なファンタジーテイストの仮想世界にフルダイブしていた。ログイン直前の記憶があやふやなまま、手がかりを求めて辺りを彷徨う。
そして、漆黒の巨木《ギガスシダー》のもとにたどり着いた彼は、一人の少年と出会う。
「僕の名前はユージオ。よろしく、キリト君」
少年は、仮想世界の住人――《NPC》にもかかわらず、人間と同じ《感情の豊かさ》を持ち合わせていた。
ユージオと親交を深めながら、この世界からのログアウトを模索するキリト。そんな彼の脳裏に、ある記憶がよみがえる。それは、幼少期のキリトとユージオが野山を駆け回る想い出――本来、あるはずのない記憶。
更にその想い出には、ユージオともう一人、金色の髪を持つ少女の姿があった。名前は、アリス。絶対に忘れてはいけないはずの、大切な名前――。
【放送情報】
TOKYO MX:10月6日より 毎週土曜 24:00~
とちぎテレビ:10月6日より 毎週土曜 24:00~
群馬テレビ:10月6日より 毎週土曜 24:00~
BS11:10月6日より 毎週土曜 24:00~
MBS:10月6日より 毎週土曜 27:08~
テレビ愛知:10月8日より 毎週月曜 26:05~
[配信情報]
AbemaTV:10月6日より 毎週土曜 24:00~(地上波同時配信)
*放送開始日・放送日時は編成の都合等により変更となる場合がございます。予めご了承ください。
【STAFF】
原作:川原礫(「電撃文庫」刊)
原作イラスト・キャラクターデザイン原案:abec
監督:小野学
キャラクターデザイン:足立慎吾 鈴木豪 西口智也
助監督:佐久間貴史
総作画監督:鈴木豪西口智也
プロップデザイン:早川麻美 伊藤公規
モンスターデザイン:河野敏弥
アクション作画監督:菅野芳弘 竹内哲也
美術監督:小川友佳子 渡辺佳人
美術設定:森岡賢一 谷内優穂
色彩設計:中野尚美
撮影監督:脇顯太朗 林賢太
モーショングラフィックス:大城丈宗
CG監督:雲藤隆太
編集:近藤勇二
音響監督:岩浪美和
効果:小山恭正
音響制作:ソニルード
音楽:梶浦由記
プロデュース:EGG FIRM ストレートエッジ
制作:A-1 Pictures
製作:SAO-A Project
【CAST】
キリト(桐ヶ谷和人):松岡禎丞
アスナ(結城明日奈):戸松遥
アリス:茅野愛衣
ユージオ:島﨑信長
【主題歌】
オープニングテーマ:LiSA「ADAMAS」
エンディングテーマ:藍井エイル「アイリス」