JUNNA 1stフルアルバム「17才が美しいなんて、誰が言った。」インタビュー|系統がまったく違う曲しかない、聴いて面白い1枚に
JUNNAのファンがどのような受け止め方をするのか、楽しみでならない1stフルアルバム「17才が美しいなんて、誰が言った。」(2018年10月31日発売)。きっと大きな衝撃を与えることになるだろう。そのくらい、彼女の新しい魅力が溢れる1枚に仕上がっている。
そんなアルバムの魅力をたっぷりと語ってもらった。
海外留学を経て変わってきた気持ち――積極的に意見を言うように
――カナダに留学行く前に、全部録り終わっていたんですか?
JUNNAさん(以下、JUNNA):2曲だけ残して、それ以外は留学前に録り終わっていました。
――シングルのリリースイベントでも言っていましたが、良いホームステイ先だったようですね。
JUNNA:はい。楽しく無事終わりました。
――何か得られました? 英語がうまくなったとか。
JUNNA:英語はまだまだ下手なんですけど、ちょっと頑張って積極的に意見を言ってみようかなっていう気持ちになりました。できているかどうかはわからないんですけど……。
――あまり意見とかは言わないタイプだったんですね。今回は事前にライターさんがインタビューをして、それをベースに作詞を依頼していく感じだったんですよね?
JUNNA:はい。今の私が考えていることをインタビューしていただきました。その後のアルバム打ち合わせのときに、楽曲をこういう感じにしたいという紙をスタッフさんからもらったんです。その時点で本当にいろんな曲があって、自分がやりたい曲も入っていたし、1回も歌ったことがないなっていう曲もあったので、レコーディングが楽しみだな!と思っていました。
――どんなことが書いてあったんですか?
JUNNA:それこそ"可愛い曲"とか。ざっくりなんですけどキーワードが書いてあったんです。あとは作曲家さんや作詞家さんの候補も書いてあって、それを想像しながら、こういう感じになるんだろうなぁって。
――まさに可愛い曲……ありましたね。
JUNNA:ちゃんとありました(笑)。可愛い曲というのはソロ活動では歌ったことがなかったので、それがアルバムにあって良かったなと思いました。あとは自分がやりたいと思っていたロック系もあったし、白戸佑輔さんの作るような民族音楽っぽい曲もあったので、いろいろなカラーの歌が歌えたのかなと思います。
――6曲目の「Be Your Idol」を聴いていて、これは本当にJUNNAさんなのか?という衝撃はありましたよ。
JUNNA:あはははは。このアルバム全部同じ人が歌っているんだろうか?っていう感じですよね。
――きっとカラオケとかでは、そういうのも歌っていたんですよね?
JUNNA:そうですね。わりといろんな曲をカラオケでは歌っているんですけど、みなさんに聴いてもらったことはないので、新鮮な感じはします。
――JUNNAとしても、ワルキューレの美雲としても歌ってなかったような声質でしたよね。
JUNNA:「恋! ハレイション THE WAR」を一番最初に美雲の声ではなく、かわいい系の声で歌ったことはあったんですけど、コンサートでは一切そういうふうに歌ってないんです。だから、みんなの前では本当に(こういう歌声は)初めてだなと思います。聴いてもらったら、え?!って感じになると思うから、みんなの反応が楽しみです(笑)。
――そこからの流れもだいぶチャレンジでしたよね。驚きがある曲の連続でした。
JUNNA:「世界を蹴飛ばせ!」も、最初はいつものロックな感じで歌っていたんですけど、「全部録り直したんです。
――全部録り直したんですか?
JUNNA:歌い終わってて、もう終わるな~って楽な気持ちでいたら、「もう一回違う感じで歌ってみませんか?」と言われ、「あっ、はい…」と(笑)。そこから17歳っぽく可愛い感じでロックを歌ってみたら「こっちのほうが全然いいね」ということになり、そこから何本かテイクを重ねて決まったという感じでした。
――確かに、音はすごくゴリゴリの攻め攻めロックだから、これまでの歌い方でも合わないことはないけど、より新しさはありますよね。
JUNNA:この曲はライブで映える曲だと思って、自分だったらカッコよく歌うだろうなと思ったから、そのまま突き進んだんですけど、それが歌を録り直してガラッと変わりすごく良くなりました。
――曲を作ったTHE BACK HORNの菅波栄純さんは、お会いしたんですか?
JUNNA:歌詞の打ち合わせの時にお会いしました。事前にテーマはお伝えしていて、女の子と男の子の思っていることの違いみたいなことを話しているなかで、「実は曲も詞も書いてきちゃったんですけど……」って、その場で楽曲のデモを聴かせてくださったんです。話していたことがそのまま歌詞になっていて、めっちゃカッコいい!と。
――もう曲ができていたんですか(笑)?
JUNNA:そうなんですよ! スタッフさんから事前にイメージを聞いて、そのまま曲を書いてくださったみたいで。
――次の「情熱モラトリアム」は、いきものがかりの山下穂尊さんに書いてもらった曲ですね。いきものがかりって、シングルのタイトル曲は主に水野良樹さんが書いているんですけど、山下さんの曲も良い曲ばかりなんですよね。
JUNNA:個人的にめちゃめちゃ山下さんの曲が好きで、今回書いて頂けてすごく嬉しかったです。ちょっと懐かしいような、カッコいい感じの曲が好きなので、いつも聴いていたんです。この「情熱モラトリアム」は今っぽさもあって。自分的にも、これまでこういう曲は歌ったことがないなって、最初に聴いたとき思いました。
――最初に見たメモの作家さんの中に、山下さんは入っていたんですね?
JUNNA:入っていました。前からずっとご一緒させて頂きたいとは言っていたので候補に入っていて嬉しかったです。その時はまだ決定ではなかったのでどうなるかはわからなかったんですけど、そのあと正式に決まったときは良かったなぁって。
――山下さんとは話をしましたか?
JUNNA:レコーディングの前にご挨拶させていただいて、「こういう曲にしたいです」というのをスタッフさんがお話しているのを、静かに聞いてました(笑)。
――山下さんの曲が好きですとも言わずに。
JUNNA:はい……。
――(笑)。言ったらきっと喜んだのに。でもこの3曲は、今回のアルバムのひとつの目玉になっているのかなと思いました。
JUNNA:歌ったことのない、挑戦したことのない曲が6曲目7曲目8曲目と続いている感じですよね。
聴けば聴くほどいい曲、だけど難しい
――その他に、こういう曲にしたいねって打ち合わせをしながら作った曲はありましたか?
JUNNA:最後の「CONTRAST」は、バラード曲をもう1曲作りますということになり、2曲候補があって、全然曲調が違っていたんです。最後はJUNNAちゃんに選んでもらう!と言われ、この曲に決めました。ライブ映えしそうだな、ライブで歌ったらカッコいいだろうなと思ったので。
――すごくいい曲ですよね! 歌詞も壮大で。
JUNNA:すっごく壮大です。私は歌詞を見ながらこういうふうに歌いたいなって考えるタイプで。この曲では、最初のほうは自分の心で思っていることを歌っていて、サビになると世界が広がっていくイメージだったので、それを声で表現できたらいいなと思って歌いました。
――あとこの曲は、絶対最後の曲ですよね!
JUNNA:そうですね! 歌は留学する前に録ったんですけど、絶対に最後だなって。この曲にしますと選んで決めた時点で、これはアルバムの最後だよねって話にはなっていて、歌も最後らしくできたらいいなと思って歌いました。
――実は1曲目も決まっていたでしょう?
JUNNA:決まってました(笑)。1曲目はもう絶対にこれ!って。1曲目と最後だけは決まっていて、その間は全然決まってないって感じでした。やっぱり「Steppin' Out~extended version~」は、前回のライブの1曲目で歌っていたので、イメージ的にもアルバムの1曲目だったんですよね。歌詞的にも、この世界から踏み出していこうぜ!みたいな曲なので、アルバムを聴いて、いつもの世界から飛び出すぞってところから、どんどん繋がっていければなって。イントロはライブのために一度伸ばしたんですけど、それをアルバムでは違うバージョンで、新しく作りました。
――世界から飛び出して、いきなり「狂ったカンヴァス」だから、結構遠い異国まで来ちゃったなって感じですよね(笑)。
JUNNA:民族音楽っぽい感じの曲なので。
――メロディが複雑だなぁって思いました。
JUNNA:ホントですか? (同じ白戸さんが作曲した)「Here」を歌っちゃったせいか、難しさを感じなくなってきてしまって……(笑)。これは「Here」のアンサーソングを作りたいということで書いて頂いた曲なんです。なので、「Here」との繋がりを持って歌えたらいいなとは思いました。
――コーラスも自分で?
JUNNA:はい。白戸さんのコーラスは本当に難しくて! いつもびっくりするんです。でも、だんだんそれも慣れてきて、「Here」のときよりは録音は早くなったかなと(笑)。
――岩里祐穂さんの歌詞も、また特徴的ですしね。
JUNNA:岩里さんは面白いんですよ! 歌詞を見ていると岩里さんっぽいなって思うんですけど、何なんですかね。どう言えばいいんだろう…。レコーディングに来てくださって、「〈一部始終〉は絶対に使いたかったの!」っておっしゃっていて、「この歌詞って、そこから始まったの!?」って思いました(笑)。すごく面白い視点から詞を書いていくんだなって。
――「紅く、絶望の花。」は、ライブでも歌っていましたが、聴けば聴くほどハマってく曲というか。
JUNNA:そうなんですよ! 聴けば聴くほどいいんですけど、とにかく難しいんです!
――どのあたりです?
JUNNA:もう全部難しいんです! 音メロディが不気味な音というか、不安定な音で。レコーディングをすると普通は歌い慣れてくるはずなんですけど、この曲はまだ慣れていなくて、ワンマンライブまでにはどうにかしないといけないなぁと思っている1曲です。でもイントロが流れると、キター!って感じになるので、しっかり曲の世界を表現できるように頑張らなきゃって思います。
いろいろなサウンドが詰め込まれた聴いてても面白いアルバムに
――「本当のことは言わない」はリード曲ですけど、タイトルのインパクトが大きいですね。
JUNNA:結構グサッとくる言葉ですよね! 歌詞もすごく素敵で。最初の〈話せないことはたぶん何もないけど 本当のことは言わない〉とかすごく良いんですよね。友達とかと他愛もない話は全然できるし、本当のことも言っていると思うけど、自分の芯にあるものって絶対言えなくて。そういう部分がこの2行で出ているなって思いました。
――この曲はメロディもいいし、アレンジもいいですよね。エレキヴァイオリンの音と歌がすごくマッチしているなって思いました。
JUNNA:この曲は新曲の中で一番最初に録ったんですけど、ストリングスと合わせてみたいなところを意識しました。あとはストレートに歌ったほうがカッコいいと思ったので、ストレートに歌いました。
最初サビを裏声で歌っていたんですけど、伝えるのであれば地声で歌いましょうと言われ(笑)、地声で歌いました。いつもそうなんですよね。出ませんって言っていて一度出ると「出るじゃん!」と言われ、以後裏声が禁止になる。
――明確に音域がわかってるから、言い訳ができないんだ(笑)。
JUNNA:そうなんです。
――MVは孤独な感じが出てましたね。
JUNNA:MV撮影は楽しかったです! もう使われていない広大な駐車場をひたすら歩くっていう。あと誰もいないフードコートでケータイを触っているんですけど。
――17才っぽさが出てましたね。
JUNNA:結構17才感は出てると思います。メイクも衣装も。カッコいい曲を歌っていいる時はライブっぽく動くことを意識しているんですけど、今回は演技というか、表情で感情を表現する、みたいな感じだったので、不安でしたけど、なんとかできたかなって。
――5曲目の「やってられないよ」はJUNNAさんの作詞曲ですね。なんてピッタリなタイトルなんだと思いましたけど。
JUNNA:タイトルは決まっていたんですよ。最初、仮詞でStephen McNairさんが仮歌を入れた時は〈待ってられないよ〉だったんです。それをプロデューサーの福田さんが、ここは〈やってられないよ〉にしようと。「どういうことだろうな?」とは思ったんですけど、「タイトルも『やってられないよ』にするから、それで歌詞を書いて」って。もともと作詞をすることにはなっていたんですけど、自分としては英語詞で書く予定だったんです。
――最終的にはかなり日本語になりましたね(笑)。
JUNNA:そうなんです! SiZKさんが書く曲って英語がハマる曲が多いなと思うんですけど、今回は日本語がハマる曲で。仮歌もいつも英語なのに今回は日本語だったんですよ! だから福田さんが、今回は日本語で書いてみようと。でも、日本語で良かったです。
――じゃあ、"やってられない"ことをテーマに書いたんですね。
JUNNA:自分のやってられないことを考えたら、まぁ勉強とか宿題とか、そういう系統になってしまうのですがそれをそのまま書いたら学生の方しか共感できないじゃないですか。だからそれを大きく書いてみようと思って書いたのが1番の歌詞ですね。
――姿が見えなくて、後ろから追いかけられてる"敵"って、宿題だったんですか(笑)?
JUNNA:そうです。毎日宿題って出るじゃないですか。終わってもまた新しいの出るし、みたいな。やってもやっても出てくるよっていうのを、大きく書いたら面白くなるかなと思って書きました。
――もう天才です(笑)。すごく深い意味があるのかと思っていたら。
JUNNA:実は宿題なんです。でも、これ話しちゃったら、一気に小さくなりますよね(笑)。
――それもJUNNAさんらしいですし、人それぞれに捉えられると思います。あと〈悪い子になりたくもなるよ〉の、"わ"のハマりもすごく良くて、音の気持ち良さがあるなと思いました。
JUNNA:そこも福田さんのアドバイスによるところが大きいのですが、行を入れ替えたり、言葉を入れ替えたり、相談しながら作っていきました。
――あと〈だから好きなように生きてゆく〉って言葉が最終的に強いなと思いました。これが言いたいんだろうと。
JUNNA:曲を聴いていて、このフレーズだけはすぐ思いついたんです。ここはこうしたいなって思ったところから、そこまでどう繋げていけばいいのかなって考えました。1人での作詞は初めてだったんですけど、やってみるとすごく楽しくて、達成感もありました。自分の言葉で歌うのが一番伝わるとは思うので、作詞できて良かったです。
――それで、「もうヤダ!」が、おなじみの西 直紀さん作詞、コモリタミノルさん作・編曲のコンビの曲ですね(ワルキューレ「ルンがピカッと光ったら」「いけないボーダーライン」「破滅の純情」JUNNA「Vai! Ya! Vai!」など)。
JUNNA:歌詞がすごく面白くて! 韻をすごく踏んでるし、西さんっぽいなぁって思いました。しかもいつも漢字が難しくて読めない(笑)! 曲もコモリタさん節で、デビューのときから、いろんな曲をワルキューレで歌わせてもらい、ソロのデビュー曲もコモリタさんだったので、コモリタさん、西さん曲はJUNNAちゃんっぽいなって思ってもらえる曲なのかなって思います。あと、この曲はお母さんが好きみたいで「聴けば聴くほど中毒になる」と言っていました。
――そうなんですよ! 音も面白いから中毒性があるんです。そんな新曲たっぷりのアルバム制作を終えて、いかがですか?
JUNNA:短期間でいろんな曲を覚えてレコーディングして、というのが続いたので、楽しかったし、面白いアルバムができたなって思いました。系統がまったく違う曲しかないので聴いてても面白いんですよね。すごく濃いアルバムになっていると思います。
――そのアルバムを引っさげてのライブもありますね。
JUNNA:そうなんです。セットリストも決めたんですけど、ちょっとこれはヤバい! どうしよう…って感じになってるんですよ。
――でも、『18才の叫び』ってツアータイトルだしね……(笑)。
JUNNA:自分で付けたタイトルなんですけど、まさかこんなことになるとは……。セットリストはみんなで、これはここがいいとか、ここじゃないとか言いながら熱く議論を交わしながら決めていったんですけど、これをやるのは大変だぞと思っています。本当に息つく暇がないくらいなんですよ。
なので自分もツアーに向けて体力をつけて、みんなにも体力をつけてもらって(笑)、しっかり準備をして見に来てくれたら嬉しいです。
[取材・文/塚越淳一]
CD情報
◆JUNNA「17才が美しいなんて、誰が言った。」
発売日:2018年10月31日(水)
価格:初回限定盤 4,320円(税込) / 通常盤 3,240円(税込)