この記事をかいた人
- 逆井マリ
- 神奈川県横浜市出身。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。
「ゆかりん(田村ゆかりさん)のファンクラブイベントで『ゆかりっく Fes'18 in Japan』というイベントを開催することが発表されたんです。でも、“僕ら”はフェスという文化にまったく馴染みがないんですよ。フェス系にも強い逆井さん、面白いフェスレポートを書いてもらえませんか?」
6月。アニメイトタイムズ編集部の石橋さんからそんな連絡を受けた。
石橋さんは、今年2月に開催された田村ゆかりさんのバースデーライブのレポートに登場したファン歴10年という生粋の王国民。
ちなみに「王国民」とはカリスマ的人気を誇る田村ゆかりさんのファンの総称で「ゆかり王国の民」の意。また「ゆかりん」というのは田村ゆかりさんの愛称である。
私は音楽系のライターを長くやらせていただいているので、フェス歴も15年ほどになる。アニメイトタイムズでゆかりんのライブレポートも書かせていただいたこともあった。
しかし、ゆかりんがフェス? 今までの彼女のアーティスト活動を振り返っても例がない。
私でよければお受けさせていただきますよ。興味を持った私はそう返事した。
「石橋さんも取材にご一緒されるんですか?」(逆井)
「いや無理です(即答)。僕は2日とも客席にいるので」(石橋)
わかっていたことだが、石橋さんの王国民らしい大人の対応である。
「でも記事のサポートは存分にしますよ。今回はゆかりんの音楽の魅力について、初心者にもわかりやすくお届けしたいんです」(石橋)
「いいですね。ゆかりんはいろんな楽曲を歌っていますし、今回はフェスというお祭ですからね」(逆井)
ということで本稿では、2018年10月6日、7日に幕張メッセ 国際展示場1~3ホールで開催された「ゆかりっく Fes'18 in Japan(以下、ゆかりっく Fes)」初日の模様をレポートをお届けしていく。
今回のテーマは2つ。「ゆかりんのフェスってなんぞや?」と「初心者にもわかるゆかりんの音楽の魅力」である。
全体的に長文ではあるが、前置きは特に長くなるため、時間があるときに読んで欲しい。
さらに時間がある方は、バースデーライブのレポートにも目を通していただくと、より本稿を楽しめるはずだ。
↓バースデーライブレポートはこちら!
●「田村ゆかり BIRTHDAY LIVE 2018」ライブレポート
話を聞くと、この段階で分かっているのは日にちと場所とタイトルだけ。概要はまだ全く明らかになっていないという。
「でも何が起きるか予想がつかないんですよね……」と、戸惑い気味に石橋さん。
「フェスって、あくまでも個人的な意見ですけど、“ウェーイ”ってイメージがあるというか。ゆかりんがやりたいことは僕らも全力で応援するつもりですし、楽しみではあるんですけど、果たしてフェスっていう環境に僕がついていけるのかどうか……」と、どんどん声が小さくなっていく。
9月下旬。「ゆかりっく Fes」の内容が徐々に明らかになっていく。
どうやら、“ゆかりんのそっくりさん”がたくさん出演するらしい。初めて名前が出るアーティストも多い。いや、すべてのアーティストがゆかりんにそっくりだ。よくキャスティングできたものである。
「なんだかとんでもないことが起きる予感がします」。石橋さんは完全に元気を取り戻したようだ。
我々は「フェスという開放的な場所柄、ゆかりん初心者でも楽しめる内容になっているのではないか」と予想した。
「でも、ちょっと懸念していることがあって。ゆかりんがすごい人という認識はアニメファンの中でもあるようなんですが、ライブとなると敷居が高いと思われることもあるみたいなんです」(石橋)
「どういうことですか?」(逆井)
「ライブに行くときはピンクのハッピを着て行かなきゃいけないんでしょ? とか、コールは絶対に入れなきゃいけない! とか、古参が新参に厳しいんでしょ? とか。そういった初心者が入りにくいイメージがある気がするんです」(石橋)
「あの会場の雰囲気を見るとそう思ってしまうかもしれませんね……」(逆井)
「でもそんなことはないんです。僕たちはゆかりんが好きすぎてあの格好をしているだけなので。実際は若い人も多いし、新しいファンも入ってきやすい環境。自分のスタンスで楽しむのが一番って考えです。しかも、今回は特別な企画なだけあって、僕ら王国民も全員“初心者”になるイベントなんです」(石橋)
「なるほど」(逆井)
「あ、こういうイベントのレポートにまったくの初心者の目線が入ったら面白いかもしれないな……」(石橋)
そこで、レポートは基本私(逆井)と石橋さんで書きつつ、石橋さんが私的に取っていたチケット(自腹)で「ゆかりんをまったく知らない」若手ライター2人を招待、さらに石橋さんの編集仲間である王国民を交えて、ライブ後に座談会を行うのはどうか、ということになった。
ゆかりんをほんのりと知っている人がゆかりんのライブに行ったらどうなるのか。ライブに行くのを迷っている読者の背中を押せるかもしれない。
フェス開催の数日前になると、それぞれのアーティストのPVなどが出始めてきた。そんな折、石橋さんから再び連絡。
「ライブレポートオッケー取れました! 逆井さんは取材枠で入ってください。僕らはチケットで入るので。オススメは絶対1日目です。だって僕らが知らないアーティストが初披露になるわけですから。だから1日目に行きましょう。まぁ僕は2日間行きますけど」(石橋)
ちなみに石橋さんは近隣に宿を押さえているというからさすがだ。
また、石橋さんが事前に“「ゆかりっく Fes」までにおさえておきたい曲一覧(解説付き)”(原文まま)を作ってくれた。
この解説は初心者からコアなファンまでぜひ読んでもらいたい力作。「この文章を別途掲載しましょう」と懇願したのだが……あくまで「石橋さんが私的に作ったもの」なので、全文公開は控えておくことにした。
フェスが近づき、続々と情報が公開されていくこの感じ。やはり、この高ぶりはフェスならではである。
「僕らは朝から物販に並ぶので、逆井さんたちは開場時間の14時に会場に来てください」(石橋)
いよいよライブ当日。寒い日が続いていたが、この日は夏のような日差しと暑さ。フェスにもぴったりである。
石橋さん、王国民&編集仲間のいくみさんの他、若手ライターのお二人である“アニソン大好き”なMoAさん(男性)、坂本真綾さんやKOKIAさんなどの“聴かせる音楽”が好きだという美綺さん(女性)が集結した。
早速物販で買ったTシャツを着ている石橋さん。会場限定CDなども一式購入したようだ。
「よろしくお願いしまーす」(一同)
「それにしても逆井さん。まさかの今日出演予定だったCharlotta Mueller(シャルロッタ・ミュラー)さんが直前の来日キャンセルには驚きましたね……。まさか腕を負傷するとは。僕らも驚きましたよ」(石橋)
「そうですね。石橋さんから直前にお知らせを受け取ったときには本当にビックリしました。しかし、シャルロッタ・ミュラー。シャルロッ、タミュラー……タミュラ……、たみゅらゆか」(逆井)
「(食い気味に)なんのことでしょう」(石橋)
※Charlotta Muellerとは「全米が涙する、R&Bの女王。昨年のワールドツアーを大盛況のうちに終え、世界のDIVAが急遽参戦決定! 親日家でも知られるシャルロッタは、10月の来日に向けて日本語を勉強中」。(オフィシャルHPより引用) そんな彼女からの突然のお知らせ。
「(視線をそらして)まぁフェスでの出演キャンセル自体は決して珍しくないので。外タレは特に……」(逆井)
「なるほど“フェスあるある”みたいな感じなんですね。そういう茶番を入れてくるところもゆかりんの素晴らしいところだと僕は思っています。本当に何が起きるか分からないフェスで、僕らもドキドキしています」(石橋)
「ところで、MoAさんはアニソン大好きということなんですが、ゆかりんの曲に馴染みはありますか?」(逆井)
「いや、今日はまったくの初心者です。アニメの主題歌になった曲はいくつか知っていて、もちろん存在は知っているんですけど……。存在が大きすぎて近寄りがたいイメージがありました」(MoA)
「私も同じくです。田村さんが雲の上の人っていう感じですし、王国民の人たちが熱狂的だから、ふらっと遊びに行く感じはダメなのかなって」(美綺)
「MoAくんと美綺さんは若いから、知らない曲も多いかもしれないなぁ。でもね、知らなくてもめちゃくちゃ盛り上がるし、絶対に楽しいですよ」(石橋)
「昔はライブ中に王国民の統制が取れすぎてて“軍隊みたい”って言われることがあったけど、みんないい人なんで問題ないですよ(笑)」(いくみ)
「軍隊……!」(MoA&美綺)
緊張気味の二人に対して、とにかく楽しんでと肩を叩く石橋さん。「じゃあ揃ったところで、入りましょう」。
こうして我々の忘れられない一日が幕を開けた。
まずはチケットをリストバンドに引き換え。リストバンドを片手に「YUKARIC FES'18 IN JAPAN」というゲートをくぐって会場内へ。
場内はライブスペース(2ホール使用)を区切って、もう1ホールはイベントホールという仕様。朝から会場に来ていた石橋さんたちは、すでに何がどこにあるかを把握していた。軽く案内してもらう。
イベントホールには野外の「はらぺこキッチン」と呼ばれるフードエリア(ゆかりん考案のコラボメニューもあり)、さらに「もぐもぐフォレスト」というオリジナルドリンク、お酒が販売されているドリンクエリアもある。
その他にも「王国市場」(物販/相変わらず大行列)、「王国美術館」(ゆかりんのライブ衣装展示)、「王国博物館」(ゆかりんが作ったものを展示)、「外交エリア」(120600mAhの名前の由来となっている高性能バッテリーAnkerとのコラボブース)など多彩。フェスならではのにぎやかさだ。
「まずどこに行けばいいんでしょうか……?」(MoA&美綺)
「席を確認したあとはそれぞれ自由に楽しんで! オススメはドリンクブースかな。今回、初めてお酒が販売されてるんです。すごいことですよ! 僕らもちょっと浮足立っています」(石橋)
石橋さんといくみさんはすでにお酒が入っているようだ。周りを見渡してみてもお酒を飲んでいる人がチラホラ。しかし、ゴミも落ちていないし、荒れた様子もない。みんなマナーを守って楽しんでいた。
「しかもエリア内のフードコートのそばにモニターが用意されているので、おそらくここでライブ映像が流れるんじゃないかと思います。疲れたらここにきて一杯飲みながらライブを見るのもよさそうです。お酒を飲みながらゆかりんのライブを見ることなんてこれまでないので」(石橋)
「なるほどフェスならではですね」(逆井)
「ドリンクブースには各アーティストをイメージしたドリンクが販売されているので、ぜひ飲んで欲しいです。タンブラーを持ち込むと100円引きになります。タンブラーを洗う場所があるところが優しいですね」(石橋)
「それにしてもフードエリアはすごい盛り上がりですね」(逆井)
「ええ。各店舗コラボメニューを発売しているんですが、すごい人気ですね。特にゆかりんが好きと公言しているドムドムハンバーガーの“ゆかりチキンバーガーセット”は朝からすごい行列で……。」(いくみ)
場内を回っていると、「生写真」を販売する的屋風の怪しいエリアがあったり(のちに強制退去)、キャンセルとなったCharlotta Muellerさんのパネルの隣に「Charlotta Muellerさん出演キャンセルのお詫びのお知らせ」が立てかけられていたりと細部までこだわりを発揮していて、会場を練り歩いているだけでも面白い。石橋さんたちもこのお祭り感を楽しんでいる様子だ。
(ちなみにCharlotta Muellerさんのお知らせには、左腕骨折の為の出演キャンセルであることや<大変申し訳ございませんが、多くのアーティストが出演するイベントのため、このキャンセルに伴うチケットの払い戻しはございません>という謝罪文などが掲載されていた)
「石橋さんこのお墓はなんでしょうか? 花が添えられていますが……」(逆井)
「ああ、ファンクラブイベントで販売したモモえもんの貯金箱を割ってもらうためのスペースです。貯金箱はお金を取り出せない仕様になっているので、中身を出すには壊すしかないんです。ここで割ってもらうんです」
※モモえもん……今年のファンクラブイベントのためにゆかりんがあみだしたピンク色の公式キャラクター。全貌はここ(↓)で見ることができる。
そういうのもあるのか。イベントホールには大量のベンチもズラり。お酒を飲みながら談笑したり、各種イベントブースを楽しんだりと、それぞれがそれぞれの楽しみ方で過ごしている様子だった。
ライブエリアは2つのステージが用意されている。メインステージである“MOUNTAIN STAGE”側には指定席エリア、反対側にあるサブステージ“OCEAN STAGE”はスタンディングエリア、というすみ分け。その間にあるセンタースタンディングエリアはどちらのチケットを持っていても移動可能だ。
ライブエリアに入る際にはセキュリティチェックがあり、リストバンドをつけている手を上げながら入場する。フェスでは当たり前の光景でも、ゆかりんのイベントで見るとなんだか新鮮。
「それでは後ほど! 楽しんで!」(石橋)
席についてしばらくすると暗転。大きな歓声と共に登場したのは、某有名キャラクターにそっくりな喋り方のモモえもん。今にもズコッと転びそうなゆっくりとした動きが可愛い。
「ご来場のみなさまこんにちは〜。僕、モモえもんです。この日がやってきました。準備はいいですか?(観客:イエーーイ!)ゆかり王国初の音楽フェスです。今日は難しいことは考えず、とにかく楽しんでもらえたらと思います。イベントスペースとか、スタンディングエリアとか、普段のライブだとないことが色々あるんで、いろいろ感じてみてくださいね〜」
トップバッターの神楽坂ゆかのステージが始まる。客席から期待がこもった大きな拍手が沸いた。
福岡県出身、8月27日生まれ、17歳。本名田村ゆかり。所属事務所の倒産により活動休止に追い込まれていたが、2017年、フリーランスアイドルとして活動を再開。最近は円周率を解明するべく、マイコンを使って数字と格闘する日々を送っていた。不運な風雲児、"フリー"神楽坂ゆかがゆかりっくフェスに登場!(ゆかりっくFesオフィシャルHPより引用)
青の鮮やかなドレスで登場した清純派アイドルの“ゆかたん”こと神楽坂ゆかさん。今日はいつものポニーテールではなくゆかりんと同じツインテール姿だ(フェスだからゆかりんの真似をしたところ「ゆかりんさんそっくりになった」そうだ。不思議である)。
イメージカラーである青に染められた客席を揺らしたのは『のうりん』のキャラクターソング「コードレス☆照れ☆PHONE」、青のポンポンの可愛らしい振付が印象的な「ココナッツガールは誘われたい」。
アイドルならではの可憐な存在感で、一気にゆかたんワールドに引き込んでいく。「ゆかたん」コールはいつも以上の熱さで、スタンディングエリアはライブハウスさながらの盛り上がり。スタンディングエリア、想像以上に楽しそうだ。
「こにゃにゃちはー! Dまでいっちゃう!? 愛キャンディー 神楽坂ゆかで~す。よろしくお願いしまーす!」とキュートに挨拶。客席を見渡す。
「すごいですね~ゆかりっく Fes。この前、私の誕生日のときにゆかりんさんから電話がかかってきたんです。やったー! お祝いだー! って思ってPHSに出たら“ゆかたん、今度フェスだからね。トップバッターよろしく”って言われて“フェスってなんすか?”って」
ゆかたんらしいマイペースなMCと、PHSのネタに客席から笑いが起きる。ステージに用意された“ゆかタンブラー”には、こっそりトロピカルジュースを入れてきたそうだが、蓋を開けたら水に変わっていたそうだ。残念である(タンブラーの蓋が開かず四苦八苦するゆかたんが可愛い)。
「今日は細かいことは気にせずに楽しみたいと思います」と、甘酸っぱい「ひと夏の秘密」を。「教えてヴィヴァルディ」では、アントニオ・ヴィヴァルディの肖像画が(笑)、「Doki Doki☆πパイン」ではパイナップル顔のマスコット、ハイリ・ハイリフレ・パイナポーが登場。後者の曲の円周率コールは圧巻であった。
ゆかたんの魅力と言えば、やはり松田聖子さんをはじめとした80年代アイドルのようなテイストが盛り込まれている点だろう。
サウンドもどこか懐かしさを感じる。パイナップルというフルーツをモチーフにしているところも懐かしいと感じる方も多いかもしれない。ゆかたんの吹かせる80年代の風は、若いファンにとって刺激的なのではないだろうか。
2番手にNEKO ALL STARSが登場。NEKO ALL STARSは、段ボールゆかりん(声:ゆかりん)と、段ボール猫&段ボールうさぎ、くすんだ猫とくすんでない猫という、ゆかりんのバックダンサーをやったり、ステージを盛り上げる面々が集結したチームのこと。
今回は、段ボールゆかりんと段ボールうさぎ(男性)の“入れ替わり”劇を繰り広げ、最後は某アニメの名曲にて退場。段ボールゆかりんの可愛らしい動きを見ていると、ゆかりんに見えてくるから不思議だ。
ゆかりんのライブでは衣装やステージの転換のタイミングでオリジナルのムービーが流れるのが通例となっていたが、今回はこういったバラエティ豊かなステージも繰り広げられるようだ。これからどういったステージが登場するのか見ものである。
福岡県出身、2月27日生まれ。アミュレート所属。昨年、声優としてデビュー20周年を迎えた。アニメ、ゲームのキャラクターボイスだけでなく、ラジオパーソナリティー、ナレーターなどの活動もしている。また、数多くのキャラクターソングにも参加。キャラクターの心情を大切にし、幅広い声質で様々なタイプのキャラクターを演じる。(ゆかりっくFesオフィシャルHPより引用)
アーティストだけでなく、声優としても確固たる地位を築いてきたゆかりん。
田村ゆかり(Voice Actress)としてのステージは、自身が歌ってきたキャラクターソングやアニメのカバー曲を披露していく。
“声優”ゆかりんは、サブステージ側からトロッコ(ゆかり丸)で『弱虫ペダル』でお馴染み「恋のヒメヒメぺったんこ」(姫野湖鳥役)を歌いながら登場! 客席のテンションを否応なしに上げていく。
「ゆかりっくフェス二番目の登場を任されました。みなさんご存知の通り、私は声優として歌を歌わせていただく機会が多いので、今日はキャラクターソングを歌っていきたいと思います」
「あ、ほーるうにゅわーるど。」(『ラストピリオド』/ちょこ)の後に、「私に関係する曲ではないのですが」とファンを驚かせた曲が、『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』の「打上花火」(DAOKO×米津玄師)のカヴァー。
後のレポートを読んでもらうと分かるのだが、今回のイベントでは意外なカバーが多かった。
なかでも「打上花火(DAOKO×米津玄師)」は、声優で培ってきた豊かな表現力が存分に発揮された印象で、聴いているだけで涙腺が緩んでしまった。
しっとりとした雰囲気から一転、最後はダンスナンバー「OVER HEAT,OVER HEART」(『Cutie Honey Universe』/ミスティハニー)を披露した。
2日目のカヴァーは「打上花火」から変わって、映画『君の名は』の劇中歌「なんでもないや」(RADWIMPS)になっていたそうだ。
ライブの転換中、モニターに登場したYouTuber田村ゆかり。通称“ちゅぱりん”。モモえもん貯金箱にいくら入るのか挑戦したり、アルミホイルを丸めてボール玉(鳳凰)にしたりと、様々な企画に挑戦する姿は世界一可愛い。ちなみにキメ台詞は「めろん」。
ゆかりんの公式ファンクラブ「Mellow Pretty」のYouTubeチャンネルでは、ゆかりんがYouTuberとして奮闘する様子も見られるので、こちらもチェックを!
ジュウニマンロッピャクメタルアンペアアワー。2016年6月6日結成。Vo. 12Vシンガーソケット(ソケたん)、Gt. AC (エーシー)、Ba. Lithium-ion (リッチー)、Dr. Thunder IQ (アイキュー)。業界で最小かつ最軽量の400Wh電源メタルバンド。高性能なリチウムイオン電池セルを搭載することで幅のあるメタルサウンドと重低音を実現。(ゆかりっくFesオフィシャルHPより引用)
●120600mAh-Metal Ampere Hour-公式サイト
クラブチッタ川崎で開催された『大冠祭 2018』で初お披露目した120600mAh-Metal Ampere Hour-。今回の出演者のなかでもとりわけ期待度の高かった彼女たちはサブステージでの登場(転換中には指定席の半分以上のお客さんがセンタースタンディングエリアへと移動)。
オリジナル曲「HITOME VOLTAGE」の不穏なムードたっぷりの重厚なイントロが響けば、ヘドバンとシャウトの嵐。高速ツー・バスと重低音ベース、テクニカルなギターリフが最高だ。
そんなメタリックなサウンドに紅一点ボーカリスト・ソケたんの歌声が加わると、フロアの熱狂にさらなる火がつく。ソケたんの華やかな存在感とクールな声に釘付けとなった。
「こんにちは。120600mAh-Metal Ampere Hour-です。ゆかりっく Fes、いちばんハードでダークなステージをお届けします」
ここからの挑発的な展開がすごかった。2曲目には「ラムのラブソング」のメタルカヴァーをセレクト。
オリジナル曲「幽玄サクリファイス」では、火柱がバンバンと打ち上げられるなか、ファンクラブ会員に向けて事前に募集されていた「生贄」であるスキンヘッドの男性が十字架に張り付けられステージに。
モニターの情報によると、「生贄」は僧侶(29)。強烈なインパクトである。ソケたんにあんなことやこんなことをされ、僧侶が笑顔を見せるたびに、客席からは悲鳴に近い絶叫が。
そんな生贄を横目に「ひざまずけ!」とソケたんが叫び、ゆかり姫の「†メタウサ姫〜黒ゆかり王国ミサ〜†」をカヴァー。
ゆかり姫ことゆかりんのヴァージョンは幼く可愛らしい雰囲気で歌っているが、ソケたんは甘美で危ない香りの歌声。この真逆のカヴァーというのも面白い。
<メタウサ姫に ひれ伏しなさい>では、全員が本当にひれ伏せ、スタンディングエリアならではの光景には圧倒させられた。頭を床にこすりつける猛者も!
アンコールを求める声が上がったことも、ライブの盛り上がりを証明していた。
ちなみに、2日目のステージではTHE冠の冠徹弥さんもゲストで登場。本物のシャウトを見ると、やはり圧倒。歌っているときはかっこいいのに、話すとすっごくいい人というギャップも素敵だったそうだ。
120600mAh-Metal Ampere Hour-のあとは1時間休憩。転換中のライブスペースをダンスフロアへ変換する“モモえもん”の姿をしたDJえもん。
話題のダンスミュージックとゆかりんの曲をミックスさせながら、王国民に新たな世界を見せてくれた。
兵庫県出身のフォークデュオ。ストリートミュージシャン出身で、高校時代より路上ライブ活動を始める。作曲を苦手とするため、カバー曲を演奏することが多い。「アースの鼓動を感じながら演奏したい」という理由で、路上時代よりライブ中は裸足でパフォーマンスをする。2018年6月2日デビュー。(ゆかりっくFesオフィシャルHPより引用)
一時間の休憩を挟んで、メインステージに登壇したのは風の香りと太陽。ボーカリストのかおりさんは、ギターを掲げて裸足でステージへ(その後ギターを持ったのは退場の時のみ)。
椅子に腰を掛けて、太陽さんのアコギで「貴方が好きな私」(阿部真央)をカバーする。
「さてさて、次の曲ですが、田村ゆかりさんのバンド、桃色男爵さんから、パーカッションのエンゼルさん、ピアノのラビさんにきてもらいます。太陽さん……なんでそんな汗だくなんですか? 私たち、北風と太陽みたいな感じになってしまってますけど」(かおり)
「かおりさんは春な感じがしますね」(太陽)
「春かなぁ、そうかな。ま……靴は用意してもらえなかったんですけど(と、足元を見る)」(かおり)
ふたりの愉快なやりとりに客席が沸く。ギターを弾いている太陽さんは、ゆかりんのバックバンド・桃色男爵のバンドマスター・堀崎翔氏にそっくりだったが「バンマスって一体なんなんですか?」と真顔だったので、おそらく他人の空似だろう。先程ステージで大暴れしていた120600mAh-Metal Ampere Hour-のACさんにもそっくりな気もした。
ちなみに、今日サポートしてくれているエンゼルさんとラビさんとも「初めて」会ったそうだ。
太陽さんとエンゼルさんたちの初対面とは思えない息のあった演奏に合わせて、「アシンメトリー」(スガシカオ)、「蝶々結び」(Aimer)を叙情的に歌うかおりさん。
ラストはスピッツのカヴァー「チェリー」。最初は驚きの声が上がったものの、気づけば会場一体でハンズクラップで、爽やかな風が流れ込む。温かでポップなメロディは、風と香りと太陽のコンセプトにピッタリだ。
考える前に跳べ!“Don’t MOVE”とは名ばかりのアッパー系高速ユニット! (ゆかりっくFesオフィシャルHPより引用)
サブステージに登壇したDon’t MOVEは、田村ゆかりさんのアッパー曲でお馴染みのラッパー・motsuさんとゆかりんによるゆかりっくFes限定ユニット。
初っ端からオリジナル曲「Trouble Emotion」、パーティーチューン「You&Me(田村ゆかりfeat. motsu from m.o.v.e)」と畳みかけるため、 “Don’t MOVE”は無理な話である。
「You&Me」のラップパートにおけるmotsuさんとファンとの1mmたりとも狂いのない交感は、もやは職人技だ。
「今日は知らないアーティストの方がたくさん出てたと思うんですけど、さすがにmotsuさんのことはみなさん……(知ってるよね?)」
客席から歓声が響くと「いや、そこは“イエー!”じゃなくて“ヒェア!”でしょ!」とファンにツッコミを入れるゆかりん。秒速で「ヒェア!」と大歓声が巻き起こった。
「どうやってフェスを盛り上げたらいいか」という話題では、フェスを盛り上げるため、(motsuさんが先導しながら)ゆかりんが「SAY HO」のコールアンドレスポンスを。
さらにm.o.v.e のカヴァー「Gamble Rumble」では『頭文字D』の主題歌ということに絡めて「とうふ」と書かれたパンダに乗ってステージを駆け巡ったり、そのパンダをジャフの人が先導したり……と、練りに練られた構成と相反する、自然体の2人の空気感が、極上のダンスステージをさらに際立たせる。
ラストチューンは「パーティは終わらない」。大団円、かと思いきや、その名の通り、パーティは終わらなかった。
2018年、彗星のごとく現れた3ピースユニット。名前、年齢、出身地などはほとんどの情報が公表されず、謎に包まれている。デジタルサウンドを中心に様々なジャンルの音楽を取り入れ、多彩な音楽性を持つ。(ゆかりっくFesオフィシャルHPより引用)
「パーティは終わらない」のあと、「王国民よ、叫べ!」と1人ステージに残ってラップで観客を煽っていくmotsuさん。「全員優勝」「完全優勝」とコールアンドレスポンスをキメると……サブステージに用意されていたスクリーンにスイミィスイミィの3人の姿が映し出され、RAM RIDER氏が作詞作曲した新曲「SECRET EYES」が響く。
このまま映像で攻めるのか……? と思いきや、映像とまったく同じ衣装を身にまとったゆかりんそっくりのボーカリストがステージに現われ、ダンサー2人と共に「Sweet Trap」「SUKI KIRAI」と、体温が少し低めのゆかりんのナンバーをカヴァーする。
各アーティストに言える曲だが、既存の曲も、まるでこの日のアーティストのために作られたような不思議な輝きを放っていたことが印象的であった(※あくまでカヴァーです)。
ラストを飾ったのはオリジナル曲「ENDLESS MEMORIES」。ここまでMCは一切なし。巧みな演出とダンスで、ミステリアスな世界観を描き切った。
福岡県出身、2月27日生まれ、17歳。Cana aria所属。昨年、歌手デビュー20周年を迎えたゆかり王国の姫。21年目を迎えた今年、新しい試みとしてゆかりっくFes'18を開催。その日本公演がついに決定!両日、ヘッドライナーを務めることも決定している。(ゆかりっくFesオフィシャルHPより引用)
モモえもんの前説に導かれ、いよいよ田村ゆかりさんが登場。オープニングナンバー「Shining Rabbit」は、ファンクラブイベントで作られた楽曲とのこと。
爽やかなメロディとピアノの甘酸っぱい音色が印象的なポップソングで、ヘッドライナーならではの華やかな幕開けとなった。カラフルな衣装がよく似合う。
「こんにちは田村ゆかりです。今日はゆかりっくFesの“なんか”に来てくれてありがとうございます。もう各アーティスト同じこと言ってるのでもう飽きたよって思ってると思いますけど、たのしんでますか?(観客:大歓声)ありがとうございます」
次の「チェルシーガール」では、大歓声が花道を作るかのような盛り上がりのなか、トロッコに乗ってセンターステージに。「チェルシーガール」はゆかりんの十八番とも言える曲で、毎回のライブで披露されている。いつ聴いても心がワクワクする曲だ。
そこから一旦落ち着いて、桃色男爵・ラビのピアノ伴奏でカヴァー曲「恋」(奥華子)、「人魚」(NOKKO)、さらに名曲「雨のパンセ」と、繊細な乙女心をしっとり聴かせる。ゆかりんの宝石のような歌声がバラードによってさらなる輝きを放っていた。
感動的なブロックから一転、弾けるような「ジェラシーのその後で」で再びトロッコへ乗り込む。
「Fantastic future」や「fancy baby doll」(本編ラストナンバー)といった定番曲は抑えつつも「永遠のひとつ」「恋は天使のチャイムから」「14秒後にKISSして♡」と、新曲が多かったことが印象的であった。
王道を歌うだけがフェスではなく、王道を新たに作り上げていくのも“田村ゆかり”のフェスなのだろう。
類まれなる表現力で、この日多彩な表情を見せたゆかりん。アンコールで歌ったのが「ゆかりはゆかり♡」というのが、言いえて妙であった。
<ゆかりはゆかり♡ 代わりはいないの>
ハートマークと共に届く言葉たちに胸を射抜かれる。
<何時間でも♡ ねえ♡ ゆかりとずっと一緒だよ?♡>
とは言え、リハを含めると12時間ほど会場にいたとのことで「つらいよー!」と絶叫する場面もあった。
「帰りたいよゆかりは」とぼやきつつも「明日も来てくれるかたがいらっしゃるなら、また数時間後にまたお会いしましょう」と伝え、万感の拍手が贈られた。
こうして我々の一日は幕を閉じた。
一同:お疲れでした!
石橋:どうでした?
MoA&美綺:いや~すごく良かったです!
MoA:飽きない仕掛けがたくさんあるなと。フェスという形はもちろん、細かい演出があって、もっと知れば楽しめたのかなっていう気持ちもありました。興味が湧いてきました。
美綺:私は田村ゆかりさんのイメージがガラっと変わりました。もっとキャピキャピしてるのかなと思ってたんですけど、意外と男っぽいというか。サバサバしてて自分を持ってて「超カッケェ!」って。
あと失礼かもしれないんですけど、生歌がすごく良いなと思ったんです。CDよりも良いなって。感動しました。
──MoAさんと美綺さんは、どのゆか……アーティストが良かったですか?
MoA:色々あるんですけど……風の香りと太陽のカヴァー「蝶々結び」が印象的でした。アコースティックの演奏と歌声がすごく合っていて。
美綺:私は120600mAh-Metal Ampere Hour-と田村ゆかりさんのピアノのバラードの曲がすごく良かったです。
石橋:逆井さんはどうでした?
──120600mAh-Metal Ampere Hour-が個人的に好きでした。スタンディングの盛り上がりもフェスならではなのかなと思いましたね。それと、スイミィスイミィの演出は “攻めたなぁ!”という印象があります。
石橋:分かります! 映像を駆使して3人で出てくるとか、本当に初めての演出なんです。僕らも驚きっぱなしでした。
──あれだけ踊りながら歌えることも改めてすごいなぁと。ちなみに石橋さんといくみさん、ベストアクトは?
石橋:僕はやっぱり120600mAh-Metal Ampere Hour-とゆかりんの「雨のパンセ」ですね。
120600mAh-Metal Ampere Hour-は新たな扉を開いたな! っていう新しいものに触れる感動が楽しかったです。
いくみ:Don't MOVEですね。あと風の香りと太陽の「チェリー」のカバーも良かった。
──今日のライブは、どんな印象がありましたか?
いくみ:曲の話にもう少し付け加えるとしたら、最近の定番は抑えつつ、“これ入れてくるんだ”みたいな曲も多かった印象です。
アニメでお馴染みの「恋のヒメヒメぺったんこ」もあったり、バラードも飛び曲の定番もあるなかで、カヴァーをたくさん入れてきた。それが個人的には意外でしたね。
──なるほど……! ところでライター陣の二人は、最初は“王国民が怖い”といった話をされていたじゃないですか。イメージは変わりましたか?
美綺:最初は怖かったんです。あの「メタウサ姫〜黒ゆかり王国ミサ〜†」で王国民がいっせいにひれ伏したところとか「えっ!? 何!? 何が起きたの!?」って(笑)。
いくみ:アハハハ。スタンディングエリアにいって俺は実際にひれ伏してましたけど(笑)。
MoA:でも一体感が伝わってきました。楽しかった……。なんか参加してみないとわからないものですね(笑)。
美綺:あと意外とぼっち参戦が多いなっていう印象でした。もうちょっと固まってるのかな? っていう印象があって。1人でも行きやすいのかなと思いました。女の子も多いし。
──最初に“軍隊”なんて言葉がありましたが(笑)。今回のイベントはフェスということもあって自由に楽しんでいる印象でしたね。
石橋:ゆかりんのライヴには、色々な世代の人が夢中になってしまう理由がある。最初にMoAくんが言ってたけど、ゆかりんのことを詳しく知らない人でも「田村ゆかりってなんかすげぇ」ってイメージがあると思うんです。
その理由は、ライブを見たら分かると思います。常に進化しつづけてるんで、今後どうなるんだろうって。ゆかりんが続ける意思がある限り、無限に成長し続けるゆかりんをこれからも僕らは追っていきたいと思います。
──最初に予想した通り、本当に初心者に優しいイベントでしたね。でも蓋を開けてビックリというか……こんなすごいフェス、私は初めて体験しました。では時間も遅いので、お開きとしますか……。
美綺:あ、すみません! 聞きたいことがあるんですが、今日出演されていた太陽さんはどういう方なんでしょうか?
石橋:ああ、太陽さんは、ゆかりんのバックバンドの桃色男爵のバンマスに、“そっくり”な人。
MoA&美綺:(声を合わせて)そっくりな人……。
石橋:そう、そっくりな人です(真顔で)。そういう裏事情を知っていくとより楽しめると思うのでぜひまた来てくださいね。
MoA&美綺:もちろん!
美綺:チケット代払わなくて申し訳ないなって思うくらい良いライブだったので、また来たいです。
MoA:本当に楽しいライブで、また遊びに行ってみたいです。
[ライター役/逆井マリ 編集役/石橋悠 スペシャルサンクス/いくみ 美綺 MoA]
神奈川県横浜市出身。既婚、一児の母。音楽フリーペーパー編集部を経て、フリーのライターとしてインタビュー等の執筆を手掛ける。パンクからアニソン、2.5次元舞台、ゲーム、グルメ、教育まで、ジャンル問わず、自分の“好き”を必死に追いかけ中。はじめてのめり込んだアニメは『楽しいムーミン一家』。インタビューでリアルな心情や生き方を聞くことが好き。
◆田村ゆかり BIRTHDAY ♡ LIVE 2018 *Tricolore ♡ Plaisir*
発売日:2018年12月26日(水)
※実際のジャケットデザインとは異なります。
●Blu-ray盤(CNRV-0003):特別仕様パッケージ2DISCデジトレイ 8,000(+tax)
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●DVD盤(CNRV-0004):3DISCトールケース 7,800(+tax)
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発売元:Cana aria
販売元:MAGES.
TVアニメ『ISLAND(アイランド)』オープニングテーマ
「永遠のひとつ」
発売日:2018年8月15日(水)
発売元:Cana aria
販売元:MAGES.
初回限定盤:CD+DVD CNRA-0004 ¥2,000(税別)
通常盤:CD CNRA-0005 ¥1,400(税別)
【CD収録曲】 ※初回限定盤・通常盤共通
01. 永遠のひとつ ※TVアニメ『ISLAND』オープニングテーマ
02. Closing tears
03. ジェラシーのその後で
04. SUKI KIRAI
【DVD収録内容】
・永遠のひとつ Music Clip
・Music Clip メイキング映像
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