「この仕事から逃げないのは、みんなに向き合いたいから!」芹澤 優さん『Yu Serizawa 24th Birthday Live~Serikollection~』レポート
2018年12月1日、声優の芹澤 優さんが『Yu Serizawa 24th Birthday Live~Serikollection~』を品川プリンス ステラボールで開催した。
2016年からスタートした彼女のバースデイライブも今年で3度目の開催となる。
24歳の誕生日を記念して開催される“Serikollection”は全19曲を披露し、数多くの衣装に身を包んでみせるなど、彼女の魅力を十二分に発揮するステージとなった。本稿では昼公演の模様を届けたい。
撮影:上飯坂一
WAGA-MA-MA-MAGIC
「みんな今日は来てくれてありがとう!」
ブルーとピンクのスパンコールが眩しいマーチング衣装で登場した芹澤さん。その手には今回のイベントのために制作されたロゴがプリントされたフラッグが踊っている。
“Serikollection”とは一体なんなのか。僕の胸も非常に高鳴る。
フラッグを使用して、会場全体でウエーブを起こすなど会場全体でパフォーマンスを魅せる芹澤さんが印象的だ。
『神×太陽×サマーパーティ』では衣装を早着替え。“Serikollection”とは色々な彼女を見ることができる時間なのかもしれない。そうなってくると、ステージがランウェイに見えてきた。
「可愛いですか?可愛いよね?色んなセリコを見てもらいたいと思ってます」
続いて披露した『WAGA-MA-MA-MAGIC』の作詞は畑亜貴さん、作曲はSCREEN modeの太田雅友さんが務めたスローテンポのポップスとなっている。
同曲では、「会いたい」というフレーズが頻繁に登場する。今回のライブについて、芹澤さんは「みんなに会いたいという気持ちで頑張ってきた」と語った。
部活や勉強にも熱中できなかった少女が、自分の生きる道を見つけたのがアフレコマイクの前とステージの上だった。
そんな本来の自分を見つけるために必要なものをたくさん与えてくれるファンに、もっともっと自分からメッセージを届けたい。その思いはアンコールまで続いていく。
「ツイートしていいよ?」
ロックナンバーの「…私だけ見てて(ハート)」以降は2度目のお色直し。3つ目の衣装はピンクのドレスに犬の耳と尻尾が付いているというもの。同曲ではステージの舞台装置もフル活用され、純白の各パネルにグラフィカルな映像が流れる演出も施されていた。
続いて次の曲を披露している最中は、写真撮影(動画はNG)というメッセージが映し出されると、会場に集まったファンのほぼ全員がスマホを構えた。
楽曲は『ドラマチックレイディオ』。ドットが可愛いドレス姿に変身した芹澤さんは楽曲が終わると#セリコソロと#セリコレを付けてのツイートを促した。
“Serikollection”はとんでもないことになってきた。
ライブは後半戦に突入。人気ナンバー『PRINCESS POLICY』、『お願いWeekend』を連続で披露する。
太田雅友さんが手掛けた『お願いWeekend』は個人的に一推しの楽曲である。アイドルと言えばユニットや複数がスタンダードになった平成という時代に対し、昭和のアイドルはソロが中心にあった。
『お願いWeekend』を歌う芹澤さんは昭和アイドルさながら、1人で圧倒的な存在感を発揮する。耳馴染みの良いメロディと耳溶けの良い芹澤さんの声が混じり合うと、非常にリラックスできる時間が流れるのだ。
そして、名曲『今夜も月がきれい』へ。
ステージ右上に月が映し出される演出が、会場を非常に幻想的な雰囲気へと変化させる。白のドレスに身を包み、照明を一身に浴びながら切なげに歌う彼女を観ているとふと、こんな気持ちになった。
可愛いだけじゃなくて、キレイだ。
小説家・夏目漱石は「 I love you」を「月がきれい」と意訳した。ともすれば、『今夜も月がきれい』の意味は、「Everyday I Love “Yu”」なのではないだろうか。
神秘的な歌姫の1面を魅せたと思ったら、一気に世界観を変えるのだから、芹澤さんのソロはものすごい。
「色々なセリコを見せる」この言葉通り、今度はギターを持って登場し、TVアニメ『3D彼女 リアルガール』のEDテーマ「HiDE the BLUE」をカバー。ドレスに革ジャンというスタイルがなんとも愛くるしい。
前回のBirthday Liveではギターの腕前について「もう少し頑張りましょう」だったことから、猛特訓の甲斐あって満足の行くステージになったようで、芹澤さんはご満悦である。
ここから“Serikollection”はラストスパートに入った。
ステラボール全体に赤と緑のサイリウムを促すと衣装チェンジのため、一度姿を消した。
真紅のドレスで登場した芹澤さんが歌い上げたのはTVアニメ『キラッとプリ☆チャン』よりメルティックスターの「Play Sound☆」だ。ステージには、芹澤さんと若井友希さんのムービーが流れ始める。芹澤さんは自らが演じる赤城あんなのパートのみを歌うというにくい演出。ソロだけど、仲間のパートは仲間に任せるという気概は素晴らしい。
続いて、TVアニメ『プリパラ』より南みれぃの「ぷりっとぱ〜ふぇくと」へ。衣装もブルーとイエローが印象的なワンピースにチェンジ。
曲中では、「新しい声優アイドル見せる!!!!」と高らかに宣言。彼女が目指すのは、これまでにはない存在だ。
そして、ヒットメーカー松井五郎さんが作詞を務めた『片思いExpansion』。1stシングルの『最悪な日でもあなたが好き。』へ。
曲の途中から感情が爆発してしまい、涙を流す1シーンもあった。
自身がパーソナリティを務める『芹澤優のせりざわーるど with you』のなかで、2016年に初のバースデイライブを開催する際に、4年間願い続けてきた夢が叶ったと語っていた。
あれから2年。夢の中にいる彼女は嬉しくて泣いたのか。それとも違うなにかがよぎったのか。いつか本人に聞いてみたい。
アンコールでは初披露の楽曲も披露
アンコールの1曲目『Kiss! Kiss! Kiss!』ではトロッコに乗って再登場し、2階席のファンにとびきりの笑顔を届けた。
そして、彼女自身が作詞に携わった『Merry Birthday!』を初披露。
「5年、10年愛してもらえる曲になったと思います!みんなも一緒に歌ってほしいな」とMCで語った一曲はスローテンポのバースデイソング。来年、再来年のバースデイライブでも歌って欲しい。そんな気持ちにさせられる一曲となっていた。
会場全体が歌うシーンでは、イヤモニを外して、目を閉じファンの声に耳を傾ける。
そして、『Yu Serizawa 24th Birthday Live~Serikollection~』のラストでは彼女が大好きな『パラレルスターズ』を歌い上げた。
「逃げてばっかりの人生だったけど、この仕事から逃げないのは、みんなに向き合いたいから!24歳の私も応援、よろしくお願いします!」
アイドル/ソロ・アーティストとしての芹澤 優
僕が芹澤さんのソロライブに参加するのは初となる。ここからはソロライブで受けた印象についてまとめたい。
ファンたちとのコール&レスポンスが非常に多い。そして、楽曲の歌い方もCDとは異なるライブ仕様となっていた。
彼女の歌、パフォーマンスを観ていると不思議な気持ちにさせられた。ステージに立つ芹澤さんは集まったファンとライブを通じてコミュニケーションを取っている、と感じてしまったのだ。
客席が乗りやすいように、細かな手拍子やコールをさりげなく誘導するテクニック。それは、振り付けの中に自然と溶け混んでいるだけに全く違和感がない。これまでの活動を通じて身につけた非常に高度でファンのことを考えた彼女の大きな武器だろう。
『i☆Ris』のステージでもファンとの交流を大切にしている印象を受けたが、ソロイベントともなると、彼女の魅力が爆発する。
「色々なセリコを見せる」と言い放ったように、ポップスからロック、バラードと幅広い楽曲を歌い上げていった。
声を生業にしているアイドル。アイドルの声優活動。そんな新しいスタイルを追求する彼女だけに、ファンの心もグッと掴まれるのではないだろうか。
スキルがあって、自信満々なのになぜか応援したくなる。そんな芹澤 優さんがまた一つ大人の階段を昇った瞬間に立ち会えたことを喜んでいるファンの姿を見ているとそんな気持ちにされられた。
24歳の芹澤さんからも目を離すことができない。
[文/川野優希]
セットリスト
1.Voice for TOU!
2.ハウ?トゥ!パーティー
3.神×太陽×サマーパーティ
4.WAGA-MA-MA-MAGIC
5.レモネイドスキャンダル
6.…私だけ見てて(ハート)
7.お・ぼ・え・テ・て
8.ドラマチックレイディオ
9.PRINCESS POLICY
10.お願いWeekend
11.今夜も月がきれい
12.HiDE the BLUE
13.Play Sound☆
14.ぷりっとぱ〜ふぇくと
15.片思いExpansion
16.最悪な日でもあなたが好き。
EN1.Kiss! Kiss! Kiss!
EN2.Merry Birthday!
EN3.パラレルスターズ