劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」Ⅱ.lost butterfly 下屋則子さん×川澄綾子さん×植田佳奈さんインタビュー|10数年待って、やっと士郎がこっちを見てくれた【連載第5回】
1月12日(土)から公開されている劇場版『Fate/stay night [Heaven's Feel]』 Ⅱ.lost butterfly』。
アニメイトタイムズの[Heaven's Feel](以下、HF)インタビュー企画も残すはあと2回。この第5回では、『Fate/stay night』の3つのルートのヒロインを演じるキャストが勢揃いしました。
最初のルート『Fate』のヒロインであるセイバー役の川澄綾子さん。第2のルート『Unlimited Blade Works(UBW)』のヒロイン遠坂凛役の植田佳奈さん。そして、第3のルートである[HF]のヒロイン間桐桜役の下屋則子さん。
『Fate』シリーズはもちろん、他の作品での共演機会も多いお三方に、[HF]第二章のことだけでなく、お互いの印象なども伺ってみました。
また、インタビューの中盤からは[HF]第二章の内容に関するネタバレも含みますので、本編を未見の方は、映画館へ行った後、改めてチェックしてください。
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則ちゃんは守られる役が多くて、本人もイメージのまま
──皆さんは2006年1月~6月に放送された『Fate/stay night』最初のテレビアニメから共演をされています。最初に、この約12年間でのお互いの印象の変化などを伺っていきたいのですが。まずは、下屋さんの印象から伺えますか?
川澄綾子さん(以下、川澄):則ちゃん(下屋さん)とは、『Fate』の前にも一緒の作品があって。わりと関係性の深い役柄として最初に会ったんです。その時から、年下なのにしっかりしているなという印象があって……。
下屋則子さん(以下、下屋):わ、なんかこれ、ドキドキしますね(笑)。
川澄:(笑)。あとは、ちょっと天然ボケだなって印象がありました(笑)。その印象はどちらも変わってないですね。
植田佳奈さん(以下、上田):12年前頃って、たぶん、則ちゃんが某アイドルにすごくハマっていた時期で。(声優仲間と)「某アイドル会」をやってるという話をよく聞いてて。
下屋則子さん(以下、下屋):やってましたねえ(笑)。
川澄:アイドル会……? あ、「●×●ー●×●会」のこと? やってたね~言えないけど(笑)。
植田:それで、いつもテンション高いイメージだったんですよね(笑)。あとは、今、綾さん(川澄さん)が言っていたアニメに私も出ていて。則ちゃんは、その時も守られる役だったので、その印象が強かったし、(本人も)イメージのままだなと思いました。
川澄:たしかに、私も自分の役が強くて、弱い則ちゃんの役を守るという役だったので、『Fate』が決まった時も、同じような関係性の役だなと思った印象があります。
──次は、川澄さんの印象について聞かせて下さい。
川澄:本当だ、これドキドキするね!
下屋:自分のこと言われるの恥ずかしいですよね(笑)。
川澄さんは、たくさんの作品に出演されているのですが、私が一緒に共演させていただく作品では、 強い女性の役が多いんですよね。
だから、現場でもどこかキャラクターと被る凛とした雰囲気があって。軽々しく「綾さ~ん」とか声をかけられる感じでは無かったです。
でも、この作品に関わる期間が長い分、現場でご一緒する機会も多々あり、色々とお話する機会があって。私の中ではすごく印象が変わりました。
やっぱりプライベートに近い時間とかも、一緒に過ごさせて頂いているのもあると思うんですけど。セイバーのような凛とした強いイメージからは離れて、今はすごく柔らかなイメージがあります。
植田:私、一番最初の綾さんのイメージは、儚げで消え入りそうな美少女の役だったんです。
川澄:昔はそうだったもんね!
植田:そうなんですよ。でも、ちょうど『Fate』や、その前のアニメをやり始めた頃から、凛としたクールなお姉さんの役でご一緒する機会が増えてきて。人の上に立つ王様的な存在のキャラクターとしての認識がすごく強くなりましたね。
ご本人の印象としては、昔からすごくストイックな方だなというイメージはあったんですけど、プライベートでご一緒させていただく機会が増えていくにしたがって、お酒飲んだらメチャクチャ可愛いとか(笑)、良い意味での弱さみたいなものが見えてきて、すごく人間味を帯びてきたなと思っています。
下屋:私も思ってます(笑)。
川澄:たしかに、現場だと怖いって言われることがとても多いんです。役のせいもあるし、「イェーイ!」って感じじゃないので(笑)。
──でも、お酒を飲むと楽しいんですね。
川澄:素はわりとポンコツなので…(笑)。ただ、セイバーみたいな役をやる時には、現場でもちゃんとしておかないと、という気持ちは常にあります。
下屋:たしかに、現場では鎧を着ているような感じがあります。
──次は、植田さんについて教えて下さい。
川澄:佳奈ちゃんとは、佳奈ちゃんがとても若い時から、よくいろんな作品で一緒になっていましたね。
植田:最初は10代でしたね。
川澄:その時からものすごく落ち着いていて。
下屋:うんうん!
川澄:その後、『Fate』以外でも一緒の現場が多かったんですけど、佳奈ちゃんと話している時はいつも「え~そうなんだ!?」「知らなかった!」「佳奈ちゃん、これどういうこと?」みたいなことをずっと言ってる気がします(笑)。
植田:あはは(笑)。
川澄:この3人の中では圧倒的に一番しっかりしていて。疑問を投げかけると常に「綾さん、それはこういうことですよ」って、ビシッと教えてくれるんですよ。だから、ちょっと凛に近いかもしれない。
わりと考え方が理路整然としていて、感情的ではなくて。出しゃばるわけじゃないんだけど、気づいたらみんな佳奈ちゃんの話を聞いてるみたいな感じはある気がします。
──下屋さんもすごく頷かれてますね。
下屋:すごく分かる気がします。私も佳奈ちゃんに初めて会った時、お互いに若かったんですけど。
植田:うんうん。
下屋:本当に私なんかよりも全然しっかりしていて。後輩とか同級生とか、役柄としてはすごく近い役だったんですけど、川澄さんが仰っていたことがすごい分かります。
大はしゃぎしたりしてるイメージは全然なくて。役柄どおり、凛としたイメージがすごくあります。ただ、一緒にすごくお酒を飲んだりしたことはまだ無いので。
植田:たしかに~。
下屋:そうしたらまた違うのかな(笑)。
植田:今年のゴールデンウィークに徳島のマチアソビへ行った時、お酒は飲んでないけど、ホテルのお部屋で女子会をやったよね。
川澄:あれ楽しかったよね。たまたま私がアイスを買ったので「私の部屋にアイスを食べに来ない?」って誘ったら、二人とも来てくれて。それから、何時間喋ってた?
下屋:夜中の3時ぐらいまで喋ってましたよね。
川澄:翌日3人のイベントなのに(笑)。 でも、最近、イベントで3人一緒になることが増えたよね。
植田:そうそう。2人ずつのことはあっても3人揃うことは少なかったんです。
下屋:今度はぜひ3人でお酒を飲みながら女子会しましょう!
[HF]のアニメは本当に望まれているのかな、という疑い
──では、ここからは作品について伺っていきたいのですが。川澄さんと植田さんは、『Fate/stay night』最後のルートである[HF]が初めてアニメ化されると決まった時、どのような感想を持ちましたか?
川澄:最初のアニメ化から色々なメディア展開をしてきた 『Fate』なんですけど、「[HF]もアニメをやりたいね」という話はことあるごとにずっと言っていて。
ただ、「シナリオの内容的にテレビアニメでは難しいよね。劇場版ができたらいいな」と話していたんです。
なので、劇場版、しかも3部作でやると聞いた時には、[HF]を映像化するにあたっては理想的な形だなと感じました。
植田:やっぱり最初に「[HF]をアニメ化します」と言われた時には、「どうやったらできるの?」と思ったのが率直な印象で。それこそオブラートに包んでしまうとダメになる表現方法が[HF]の中にはいたるところにあって。
そうすることで作品が変わっていくのが嫌だったので、どこまで挑戦してくれるんだろう、というワクワク感がすごくありましたね。
あとは発表になったイベントの最後に、舞台の上の則ちゃんが涙声で一言だけセリフを言ったシーンが、いまだにフラッシュバックするぐらい衝撃的で。ことあるごとに思い出します。
──劇場版[HF]の制作が発表された2014年7月の「Fate Project最新情報発表会」での出来事ですね。下屋さんにとって、今でもやはり特別な思い出ですか?
下屋: そうですね。最初にあの発表会をやると聞いた時は、また『Fate/stay night』を アニメ化するとは聞いてましたが、どのルートをどのような形でアニメ化するかは聞いて無かったんです。
結局、そのイベントは[UBW]のテレビアニメ化発表イベントだと聞かされていて。「そっか、やっぱり[HF]じゃないんだなあ」なんて思っていたんです。
そうしたら、頂いたイベントの企画書か台本の最後に「[HF]劇場版制作決定」と書かれていたんです!
ただ、『UBW』のTVアニメがファンの方にすごく喜ばれることは分かっていたのですが、[HF]に関しては本当に望まれているのかな、という疑いがちょっとあって(笑)。
植田:ええ?
川澄:そうだったの?
下屋:最後の最後に一人でステージに上がることになっていたので、「シーン」となったらどうしようと思っていました。でも、(中田)譲治さんが「これだ!」って言った後、スクリーンにPVが流れて。
「あれ? この映像は?」って感じでザワザワとなっていって。私はステージの袖でマネージャーと待機していたのですが、「[HF]劇場版決定! 制作ufotable」と発表された時のお客さんの歓声が、地響きとなって私に襲いかかってきたんです。
「あ、こんなにも喜んでくれるファンの人たちがいらっしゃるんだ」ということがすごく嬉しくて。セリフも言えなくなるぐらい涙が止まりませんでした。
桜を見て、普段、黙っている人ほど怖いっていうのは本当だなと
──ここからは第二章の内容にも触れながら、お話を伺えればと思います。第二章では、他のルートでは健気な後輩キャラのイメージだった桜がどんどん変貌していきます。川澄さんと植田さんは、そんな桜を観て、どのような印象を受けましたか?
植田:凛的には、第一章から「桜、ちょっとどうしちゃったの?」というシーンが結構あって。執拗にリボンを触っていたりとか……。
この第二章では、本人が自覚しているかは分かりませんが、凛のさりげない行動や一言に対して、明らかに黒い感情が目立つなというのが第二章での印象ですね。
[HF]での凛は、魔術師の家系である遠坂家の当主としての意識がすごく強いので、桜に対して非情にならざるを得ないという立場でもありますから。
そういう黒い感情は気になるというか、敏感になっちゃいますね。
──桜にとっては、(衛宮)士郎が放課後のグラウンドで何度も走り高跳びをする姿は大切な思い出だったのですが。その光景を凛も見ていた、と知った時の桜の反応は怖いですよね(笑)。
植田:そうなんですよ。
川澄:あれは怖い。
下屋:えーだって「思い出まで持っていく?」ってなるじゃないですか(笑)。
川澄:自分だけの思い出だったのにね。そこが遠坂凛なんだよ。「あんただけのもんじゃないからね」って(笑)。
下屋:侮れない~。
植田:あはは(笑)。
川澄:今回、私は桜に対して持っていたイメージが変わりましたね。例えば[UBW]でキッチンにいた時の桜も、前の日に士郎がどういう戦いをしてきたのかとか、なぜ凛とセイバーが衛宮邸にいるのとか、分かっていたのかもしれないんですよね。
それでも、ずっと黙ってきた桜が、ついにいろいろな感情を口に出し始めるんですよ。第一章でも漏れてはいたのですが、それでもまだ士郎には醜い姿を見せたくないという思いから抑制は効いていたんです。
でも第二章からは、割と全部をぶつけ始める。普段、黙っている人ほど怖いっていうのは本当だなと思いました(笑)。
──まさに、そうですね。
川澄:普段、言えないから溜め込んでいて。ある意味、子供っぽく「私を受け入れてよ!」と全身で叫んでいるような感じが第二章ではすごくあります。
下屋:自分の感情を叫ぶシーンの桜は、まさに成熟しきってない子ども。身体は大人になっているけど、精神的には幼いことの現れだと思います。
桜にとっての凛って、本当に正義のヒーロー
──同じく、第二章での凛については、どのような印象を受けましたか?
川澄:佳奈ちゃんが言った通りで、一見、桜に対してはすごく冷たくて怖いんですよ。もしかしたら、桜は「姉さん!」ってすり寄りたかったかもしれないのに、それを完全に拒絶するみたいなところがあって。
だけど、それが凛だなっていう。流されないように、遠坂の当主としてとか、聖杯戦争に勝つためとか、そういうことをすごく冷静に考える。それが桜には、格好良く映ったんだろうなって思います。
もしかしたら、そこで手を差し伸べるのって簡単なことで。でも、それをしないところは、やっぱり凛って格好良いなって思いました。今回、私なんて、森で剣を振ってただけなので(笑)。
植田:あはは(笑)。
下屋:その表現、すごくおかしい(笑)。
川澄:でも、本当にそうだったので(笑)。
下屋:桜にとっての凛って、本当に正義のヒーローだと思うんです。第一章の出来上がりを観た時のことで、すごく印象に残っているんですけど、凛が間桐家の虫蔵を見つけるシーンを観た時、すごく嬉しかったんです。
それまでには感じた事の無かった、「そうなの、私、こういう目にあってたの、姉さん」という感情があったんですよ。桜がそう思ったかどうかではなく、私の勝手な気持ちなんですけど。
川澄:あ~もう歪んでる~。すごい桜っぽい!
下屋:うそ~(笑)。
植田:あはは(笑)。
──次は、セイバーオルタの印象を教えて下さい。
下屋:これは第一章の話になるのですが、オリジナルで描かれたセイバーとセイバーオルタの対峙するシーンがすごく良かったですよね。
アニメ化するにあたって、限られた時間の中、泣く泣く削ったシーンもあったと思うんです。でもその一方で、観てくださる方がより分かりやすくなるように、追加でアニメオリジナルのシーンも作って下さっているんですよね。
川澄:あれは、すごく大事なシーンで。セイバーがなぜオルタ化してしまったのかということを捉えた時、闇落ちとか黒化とかいった言葉では表現できないところを描いて下さっていると思うんです。
私は、オルタが出てくる前のセイバーが水の中で光を見て「あれが聖杯だ」と醜くもがくシーンが印象的で。
聖杯にかけるセイバーの歪んだ妄執があるからこそ、桜の闇に囚われてオルタになった。清廉潔白に見えるセイバーが実はそんな歪んだ思いを持っていることを描いてもらえて、すごく嬉しいなと思いました。
第二章のセイバーオルタに関しては、印象と言われても……森で……(笑)。
下屋:でも森でのバトルシーンは印象的なんじゃないですか?
植田:そうですね。私も個人的に、セイバーオルタのバトルシーンが、すごく美しく描かれていることは嬉しいですね。私は(FGO)アーケードでセイバーオルタを使ったりしているので。
川澄:ありがと~(笑)。
植田:今まで自分で動かしていたキャラクターがあのアニメのクオリティで美しくバトルするのは見応えあります。
川澄:圧倒的な強さを見せるところも見所だと思うんですよね。まだ、完成した映像は観てないので、セイバーオルタが振る剣の色や、振った時のエフェクトとかがどうなっているのかは楽しみです。
10数年待って、やっと士郎がこっちを見てくれた
──次は本筋から離れた質問になるのですが。[HF]ルートに登場する男性キャラクターの中で特にお気に入りを教えてください。
川澄:早い者勝ちね。
下屋:せーの、で言いますか。
川澄:じゃあ、せーの!
下屋&川澄&植田:士二チャー!
下屋:全員違う(笑)。私は士郎ですね。あと、プラスして(間桐)臓硯です。
川澄:私は慎二。
植田:アーチャー、プラス、ギル(ギルガメッシュ)かな。
──では、選考理由も教えてください。
川澄:本当に今まで嫌な奴としか描かれてこなかった慎二が……。もちろん今回も嫌な奴なところはいかんなく発揮してるんですけど。それでもほんのちょっとの表情とかに、慎二の心の叫びみたいなものが感じられるんです。
士郎と対峙した時のほんのちょっとの間とか、瞳の揺れ方とか。そういうのがすごくすごく丁寧に描かれていて。慎二って、あんなに嫌な奴なのに、とても人気のあるキャラで、その理由も分かるなと思いました。
今回の[HF]では間違いなく話の根幹に関わるキャラクターですし。お気に入りというのは少し違うかもしれないんですけど……。是非慎二に注目してもらいたい、と思いで選びました。
下屋:本当にそうですよね。[HF]の慎二はまた違う描き方をされていますよね。
植田:うんうん。
──ただ性格の悪い奴というキャラクターではないですよね。
下屋:何でそこに至ったのかがすごく分かるように描いてくださっているので、お客さんは、慎二目線でも観ることができるんじゃないかなと思います。
川澄:一言で言っちゃうと、すごい可哀想。
下屋: そう! 兄さんは可哀想なんです。
──では、下屋さん、士郎を推す理由を教えて下さい。
下屋:他のルートでは、それぞれセイバーだったり、凛だったりを士郎は選んで来たので。私個人的には、10数年待って、やっと士郎がこっちを見てくれたっていう気持ちもあります。
まあ10数年っていう時は、桜には関係ないんですけどね(笑)。すごい葛藤もあるし、ハッピーな話ではないんですけど。
士郎が桜に対していろいろと考えてくれたり、行動してくれたりすることをすべて含めて、[HF]でやっと士郎は桜のことだけを見てくれたんだなってことが感じられました。
──植田さんも、アーチャーのお気に入りポイントを教えて下さい。
植田:[HF]シナリオのアーチャーは、他のシナリオよりも士郎に対する感情がかなりマイルドだなと思っていて。
今までのシナリオだとアーチャーは士郎に対して嫌悪感ばかり募っていたと思うんです。
でも、[HF]では、士郎が「正義の味方」にならないからか、若干後押しするような言動も見えて。今までのアーチャーとは少し違うなと思っています。だからこそ、好きですね。
──ありがとうございます。では、最後にこのインタビューを読んでいる皆さんに、メッセージをお願いします。
川澄:第一章を観て下さった皆さんは、内容に関しても、作品のクオリティに関しても衝撃を受けたと思います。ただ本当に第一章は助走で。バトルのシーンもあったのですが「静」の状態でした。
これからどんどん物語が動いていきます。いろんなキャラクターの様々な選択が見られるお話になっていると思うので、ぜひたくさんの方に観ていただきたいです。
ただ、第一章の時以上に、観る方を消耗させる内容になっているとは思います(笑)。映画を見て楽しい気持ちになりたいとか、爽快感を感じたい人には、ちょっと違う内容になってしまうかもしれません……。
『Fate』という作品には、こういう要素もあるのだと皆さんにわかっていただける奥深い作品になっているので、ぜひ心して観に行って欲しいなと思います。
「Ⅱ」と書いてあるので、何も知らずに映画館に来る方は少ないと思うんですけどね(笑)。
下屋:そうですね(笑)。でも、[HF]のストーリーは知らないという方は多いと思うんですよ。第一章を観た方の感想も「桜ちゃん、かわいい~」とかが多かったんです。
だから、第二章はすごく楽しみなんですよ。『FGO』から入ったかたや、[HF]の原作は知らないという方がどういう感想を持つのか、すごく楽しみです。
植田:『衛宮ごはん(衛宮さんちの今日ごはん)』から『Fate』シリーズに入った人がどんな感想を持つのか知りたいですね(笑)。
下屋:『衛宮ごはん』からいきなり[HF]を観る人いるかもね! すごく楽しみです。感想、お待ちしています。
植田:[HF]という作品に関して、我々はいろいろな形で宣伝もさせていただいてるのですが。第一章の時から(笑顔で)「頑張ったので観に来てください!」というのが言い辛い作品なんですよね(笑)。
川澄:観て欲しいんだけどね。「楽しみにしていてください」ってこんなに言いづらい作品ない(笑)。
植田:だから最後の挨拶っていつもすごく困るんです。
川澄:よくある「頭を空っぽにして見に来てください♪」とかは絶対に言えない話(笑)。
植田:言えない、言えない。「大切な人と観に来て下さい」も言えないし(笑)。
下屋:「ご家族で観に来て下さい」も言えない(笑)。
植田: 無理無理!
下屋:「頭を真っ白にして」とか?
川澄:真っ白で良いの? 第一章は観た方が良いよね。
下屋:もちろん! でも、他の前情報とかは全然必要ないと思うので。こんなに取材をしていただいておいてなんですが(笑)。先の情報は知らず、「[HF]で検索」とかもしないで、映画館に来て欲しいですね。
川澄:「第二章 どこまで」とかもしないで(笑)。
植田:そうそう。検索NGで。気になる方は、映画館にぜひ来て下さい(笑)。
[取材・文/丸本大輔 撮影/相澤宏諒]
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作品情報
作品タイトル:劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」Ⅱ.lost butterfly
公開日: 2019年1月12日(土)全国ロードショー
公開館:131館
キャッチコピー
少女の願いは静かに、爛れ、散りゆく――
イントロダクション
それは、手にした者の願いを叶えるという万能の願望機――
「聖杯」をめぐる物語を描いたヴィジュアルノベルゲーム『Fate/stay night』。その最終ルート[Heaven's feel](通称・桜ルート)が全三部作で劇場版アニメ化される。
アニメーション制作は2014年にTVアニメ版[Unlimited Blade Works]を手掛けたufotable。キャラクターデザイン・作画監督として数々のTYPE-MOON作品のアニメ化を手掛けてきた須藤友徳が監督を務める。
2017年に公開された第一章[presage flower]は98万人を動員し、大きな話題に。興行収入も15億円を記録した。
第二章は、三部作の分岐点を描く最重要エピソード。その全三章で贈る[Heaven's feel]の運命の岐路――第二章[lost butterfly]が飛翔する。
ストーリー
俺の戦うべき相手は――まだこの街にいる。
少年は選んだ、自分の信念を。そして、少女を守ることを。
魔術師〈マスター〉と英霊〈サーヴァント〉 が願望機「聖杯」をめぐり戦う――「聖杯戦争」。10年ぶりに冬木市で始まった戦争は、「聖杯戦争」の御三家と言われた間桐家の当主・間桐臓硯の参戦により、歪み、捻じれ、拗れる。臓硯はサーヴァントとして真アサシンを召喚。正体不明の影が町を蠢き、次々とマスターとサーヴァントが倒れていった。
マスターとして戦いに加わっていた衛宮士郎もまた傷つき、サーヴァントのセイバーを失ってしまう。だが、士郎は間桐 桜を守るため、戦いから降りようとしなかった。そんな士郎の身を案じる桜だが、彼女もまた、魔術師の宿命に捕らわれていく……。
「約束する。俺は――」
裏切らないと決めた、彼女だけは。
少年と少女の切なる願いは、黒い影に塗りつぶされる。
メインスタッフ
原作:奈須きのこ/TYPE-MOON
キャラクター原案:武内崇
監督:須藤友徳
キャラクターデザイン:須藤友徳・碇谷敦・田畑壽之
脚本:桧山彬(ufotable)
美術監督:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:松岡美佳
編集:神野学
音楽:梶浦由記
制作プロデューサー:近藤光
アニメーション制作:ufotable
配給:アニプレックス
メインキャスト
衛宮士郎:杉山紀彰
間桐 桜:下屋則子
間桐慎二:神谷浩史
セイバーオルタ:川澄綾子
遠坂 凛:植田佳奈
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン:門脇舞以
藤村大河:伊藤美紀
言峰綺礼:中田譲治
間桐臓硯:津嘉山正種
衛宮切嗣:小山力也
ギルガメッシュ:関智一
ライダー:浅川悠
アーチャー:諏訪部順一
真アサシン: 稲田徹