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沼倉愛美2ndアルバム『アイ』インタビュー

沼倉愛美さん2ndアルバム『アイ』インタビュー|表題曲『アイ』は“歌をうたう私”がテーマ

沼倉愛美の2ndアルバム『アイ』が完成した。「彩 -color-」「Desires」含む全11曲。新曲は、沼倉の表現力はもちろんのこと、サウンド、アレンジ、旋律すべてにおいてハイクオリティで、さらにステージが上がった感じすらする。アルバムのコンセプトがどのように決まっていったのか、そして4月から始まるツアーについてもたっぷり語ってもらった。

自分の持つ何かを切り取ってアルバムにしていくのがいいのかなぁって

──どんな2ndアルバムにしようと思いましたか?

沼倉:まずツアーをやりましょう、そしてそれに合わせてアルバムを作りましょうという話は結構前からしていたので、どういうアルバムにしたらいいのかという妄想は膨らませていました。1stアルバムの『My LIVE』のときと同じように、自分が表題曲の歌詞を書いて、そのタイトルがそのままアルバムタイトルにも、ツアーのタイトルにもなるということだったので、いろいろと考えなければいけないことは多かったんです。でも考えていくと、歌詞を書くなら自分のことを書いたほうが書きやすいというのもあるし、それをもっと細かいところまで決めていくというか、自分の持つ何かを切り取ってアルバムにしていくのがいいのかなぁっていうのが、何となく決まりかけていたんです。

──なるほど。

沼倉:で、そんなのときにフッと、アルバムのジャケットをこういう絵にしたいというのが浮かんだんですよ。それが透け感があるというか部屋着っぽい。家の中で一人でいるときのまっさらな状態の私がぽつんと立っている絵で、こういう絵が撮れたらいいなと思ったときに、やっぱり私を描いた一枚にしよう!と思って、そこから細かいことを決めていった感じでした。


▲初回限定盤ジャケ写


▲通常盤ジャケ写

──だから『アイ』なんですね。曲を聴いてから、アー写を見させていただいたんですけど、アルバムの印象に合っていると思ったんです。だから今の話を聞いて驚きました。ビジュアルから先行してというのもあるんですね。

沼倉:こういう自分って見せたことがないし、より素に近い私って、これまでで一番したことがないことなのかなと思ったんです。

──このビジュアルイメージは、作家陣とも共有していったのですか?

沼倉:今回もWEST GROUNDである西辺誠さんが全部見てくれてはいるんですけど、この曲にはこのクリエイターさんがいいとか、こういう曲調で合っていますか?というすり合わせはディレクターの柴田滋さんがやってくださっていたんです。柴田さんとは全体のテーマはこれで、1曲1曲のテーマをこれにしたいんだという説明をしていたので、それをどこまで作家陣に伝えるのかはお任せしていた感じです。

──ある程度沼倉さんとディレクターさんの間で方向性を決めて、曲を集めていったんですね。

沼倉:私が提出したテーマがあって、そのあとこれでいいですか?っていうのが全部に対してくるので全部チェックしていました。曲調、歌詞などをチェックしてからレコーディングしましょうみたいなことをやっていたんです。

──私を描いたアルバムということだと思いますが、たとえばどういうテーマがあったのですか?

沼倉:「彩 -color-」のシングルを作った時のカップリングって、曲調をR&Bとスカと決めて作ってもらったんですけど、今回は曲調ではなく、テーマを感情とかシチュエーションとか、言葉で全部伝えたので、その言葉がどういう曲になってくるかは、クリエイターさん次第だったんです。

──結構イメージとズレたりもしそうですね。

沼倉:それでいうと「夜と遠心力」は、最初は全然違う、おしゃれな感じの曲だったんです。でも、この曲のテーマが“孤独と憎しみ”だったので、もっとドロドロとした、一番汚い部分をさらけ出す曲にしたいという話をしたところ「だったら作り直したほうがいいですね」という話になり、そこから別のアーティストさんの曲を参考にしながら方向性を決めていったら、デモが4曲くらい届いたんですね。それを西辺さんと柴田さんと私の3人で聴いて決めたんですけど、そんなふうに紆余曲折あった曲もあれば、すんなりできた曲もたくさんありました。

──「夜と遠心力」はものすごくカッコいいですけど、同時に新しさもありますよね。最後のボーカルの荒々しさは、これまでにない感じだと思いました。

沼倉:精神的に不安定な感じがあってもいいかなと思ったので、ノイズもうるさく入れてもらったり、確かにボーカルのアプローチも今までと違う感じがありました。音源って何度も聴かれるものだから、やっぱりきれいに作りたいとエンジニアさんも思うだろうし、レコーディングはそういうものだと思うんですけど、とにかく歌ではないくらい、きちんと感情が出てくる。よりによってテーマが“憎しみ”なので(笑)、それが一番出ていたほうが、曲を並べたときに作品として良くなると思ったので、きれいに歌えているテイクを捨てて、入れ替えてもらったりしました。

ライブは生ものなので、そのときに生まれるエモさを大事にしていきたい

──1曲目の「Benvenuti」と11曲目の「アイ」は、自身で作詞していることもあって、アルバムのキーになる曲だと思ったのですが。

沼倉:「アイ」はアルバムのタイトルにもなるので、タイトルをまず決めて、他の新曲のテーマも出したあとで、これにシングルの「彩 -color-」「Desires」を入れて、私を構成する最後のまとめになる曲にしようと思いました。ただ曲調としてはカッコいい方向でとリクエストして、候補の中から選ばせていただき、歌詞を書いたんですけど、これは“歌をうたう私”というテーマで書いたんです。

──歌詞を見ても、ライブへの想いみたいなのはすごく伝わってきました。でも逆に、ここまで歌に対する想いが自身の中で大きいんだなとも思ったんです。

沼倉:どうなんだろうなぁ……でも、歌う自分をテーマに歌詞を書くというのは、たぶん1~2年前ではやらなかったし、2年前は考えもしなかったと思うので、いろいろなことがあってのこの曲なんだと思います。

すごくライブが好きで、レコーディングよりライブのほうが好きと、よく言うんですけど、いろいろな人と出会って楽しいことを経験するというのは素敵な瞬間で、そうやって頑張ったあとに、ものすごく休みたい、怠けたい、何もしたくないっていう自分が出てくるんですよ(笑)。それはAB型のB型のほうの私なんですけど、そこで「もうちょっと頑張ったら違う楽しさが生まれるかもしれないよ? それを楽しみだと思わないの?」っていうA型の私が現れ、それがせめぎ合っている感じなんです。なので、結構AメロBメロは素の自分が出てるんですけど、表に立つ自分だけではなく、普段の私との心のやり取りみたいなのも曲に入れたので、私の中では等身大感があります。結局ちゃんとしていると思われたいし、見栄もありますから、やるからにはちゃんとやりたいというA型の自分が勝って、楽しく頑張ろうと思うみたいな、超ポジティブな曲になったと思ってます。

──実は10曲目でアルバムとしては締めてもいいのかもと思ったんですけど、ポジティブに終わるのもいいですよね。

沼倉:そうなんですよね。これら全部含めて私です!という曲になるんですけど、それにしては曲調が強いんですよ(笑)。

──かなりロックでしたからね。1曲目の「Benvenuti」のタイトルの意味は?

沼倉:イタリア語で“ようこそ”みたいな意味で、昨年のファンクラブイベントで、タイトル候補を4つ上げて、そこから決めてもらったんです。この言葉を候補にしたのは(愛称の)“ぬー”が入っているからだけなんですけど(笑)。ほかにも「すっぴん」とか、名前をひっくり返して「美愛」とか、少しふざけた中から選んでもらったタイトルで、それに歌詞も自分で書きますと約束をしていたんですけど、それが実現しました。
 “ようこそ”なので、“始まり”というか、ライブの一発目に合うような曲にしたかったので、ライトが明るくなって気持ちが否応なく高まる!みたいなイメージで曲をお願いしました。そこから歌詞をどうしようか考えたんですけど、“ようこそ”だけだと弱いと思ったので、あなたに向けるメッセージの曲を作ろうと思ったんです。これまで自分が書いてきた歌詞って1人称が多かったんですけど、今度は頑張ってる人、夢に向かっている人を励ましたり背中を押したりする曲が書きたいなって。引っ張っていくといより押して上げる曲にしようと思い、「この道で間違えてないよ」と言ってあげられる、自信をもってと励ましてあげられる曲にしようかなと思いました。

──今だからこそ歌える感じがしますね。

沼倉:わりと断定する言葉も使っちゃっているので、それは昔はあまり使わなかった気はしますね。ストリングスも入り、アレンジでエモさが増すなど演出がすごかったので、私は逆に素直な気持ちを歌っていこうと思いました。

──「This Kiss」、おしゃれなポップチューンでしたが、サウンドと音がめちゃめちゃ良かったです。

沼倉:前回の『My LIVE』のときにも私が指名させて書いてもらった「Spiral Flow」(作詞、作曲:AJURIKA)という曲があるんですけど、今回もお友達のTAKU INOUEさんにお願いしました。『アイドルマスター』でお世話になっていた方なんですけど、そうやって私自身のつながりみたいなところで曲が生まれるのも結構喜んでもらえるんだなというのはあり、今回も誰かにお願いできないかなと考えていたんですけど、快諾してくださって。これは“ときめき、妄想、ハッピー”というテーマで曲を書いていただきました。

──「魔法」が、近年のロックという感じで若々しさを感じました。

沼倉:これは“オタクの曲”なんです。最初はそういうつもりはなく“憧れ、ヒーロー、越えられない壁”というテーマの曲にしようと思っていたんですけど、歌詞を見て、もうちょっと何かあったほうがいいなぁと思って考えていたら、これはオタク心だ!と思ったんです。子供の頃から見ていた作品で、大活躍されていた方が今でも現場にいて、その姿を見る度に、打ちひしがれもするんだけど、いつまでもそうあってほしいという気持ちと、いつか追いつきたいという気持ちがあるなと思った時に、自分の中で大っきい曲になりました。

──「グッバイ」は音もかわいくて、ダンスチューンになりますね。

沼倉:“卒業、別れ”をテーマにしたんですけど、ひとつ成長したという意味での卒業なので、バラードにはしないでくださいという話をして作っていただきました。ひとつ先に進んで、今までの自分とサヨナラをして、新しい自分を楽しもうとする曲です。

──「Don't back」も四つ打ちの、ノれる曲で。

沼倉:“情熱、闘志、戦う”というか、負けず嫌いの曲なんです。せっかくなら誰しも1番になりたいじゃないですか。そういう気持ちは誰にでもあるのでないかなと思ったので、静かに燃える闘志みたいなところで曲を作っていただきました。そういう言葉を投げかけたら、何となくガツガツしたバンドサウンドの曲がくるのかなと思ったら、意外と打ち込みが主体の曲で意外でした(笑)。

──「まどろみ」のアコースティックな感じは、アルバムでも際立っていますね。

沼倉:これはそのまま“まどろみ”のテーマで書いていただきました。眠い曲というか、退屈な曲を作りたかったんです。でも、すごくいい曲になっちゃいました(笑)。ジャケットのビジュアルにも近いと思うんですけど、何もせずに部屋の中でう~ってなってる、朝起きる直前という日常のなかで一番幸せな時間のイメージですね。でもそれだけだとあれなので、目が覚めたときに一番最初に思い浮かぶのは誰の顔だろう?みたいなのをちょっとだけ言ったら、それをそのまま歌詞にしてくださりました。アコギが大好きなので、サウンドもぴったりだと思いながら歌いました。

──続く10曲目の「SWAY」も、温かさという意味では「まどろみ」と同じくらい感じたのですが、すごく美しい、いい曲ですね。

沼倉:日常感がある曲ですけど、本当に何でもないこと、毎日当たり前にあること、それがあることの幸せだなぁって。それが続いていくことの温かさみたいなことは、当たり前だけど、きっと当たり前ではない。それを噛みしめる曲として作りました。曲自体に切ないところはあるんですけど、歌詞はより明るくというか。温かさを重視して少し変えてもらったりはしました。恋人と手を繋いで帰るだけの何でもない歌詞なんですけど、それがとてつもなく幸せなことなのだろう、という感じですね。

──作品としても、非常にバラエティに富んだ曲が揃っていると思いますけど、聴いてみていかがでした?

沼倉:本当に100%の自分が詰まっているか、私という人間が詰め込められているのかと言われたら、11曲じゃ足りないなっていうのはもちろんあるんですけど(笑)、でも11曲全部私だなと思える曲ばかりになりました。これは良いことか悪いことかわからないんですけど、ジャケットのビジュアルもそうですけど、飾らずに作れている気がしています。無駄に飾ることなく、これが私ですと言える曲たちになったんじゃないかなって。

──アルバムを引っさげてのツアー『アイ』が4月からスタートします。

沼倉:台湾はだいぶホームな気持ちでいるので、わりと地続きで行けるような気分がしているので、心配はないです。セットリストや演出、振りを付けるかどうかもそうですけど、一番可能性が大きいツアーになると思うんです。そういうことも含めて楽しみだなと思っています。でも何より、その場に来た人たちが楽しいと思えたら大成功なので、それこそあまり飾らずにそのまま飛び込んでいって楽しめるようなライブにできたらいいなと思っています。ライブは生ものと言いますし、そのときに生まれるエモさを大事にしていこうかなって思っています。

[取材・文:塚越淳一]

CD情報

2ndアルバム「アイ」沼倉愛美

2019年2月20日発売

初回限定盤は「彩 –color-」「Desires」「アイ」のMusic VideoをMaking Movieを収録したBlu-ray Disc付き。

【収録内容】
01. Benbenuti  作詞:沼倉愛美 作曲:白戸佑輔 編曲:前口渉
02. This Kiss  作詞 : MCTC  作曲・編曲:TAKU INOUE
03.彩 -color- 作詞:沼倉愛美 作曲:WEST GROUND 編曲:ZAI-ON
04.魔法  作詞:ZAI-ON 作曲・編曲:堀江晶太
05.グッバイ  作詞:小久保祐希 作曲:小久保祐希、Kohei Yokono 編曲:Kohei Yokono
06. Don't back  作詞:松原さらり  作曲:内藤英雅 編曲:中野領太
07. Desires 作詞・作曲:ZAI-ON 編曲:WEST GROUND
08.夜と遠心力 作詞:國土佳音 作曲・編曲:小山寿
09.まどろみ 作詞:Giz'Mo (from Jam9) 作曲:ArmySlick、Giz'Mo (from Jam9) 編曲:ArmySlick
10. SWAY 作詞:Haggy Rock 作曲:原田アツシ
11.アイ 作詞:沼倉愛美 作曲:高橋亮人 編曲:WEST GROUND / 高橋亮人

【Blu-ray Disc収録内容】
「彩 –color-
「Desires」「アイ」Music VideoとMaking Movie

【初回限定盤】VTZL-155 3,500+tax POS:458032327762
【通常盤】VTCL-60482 3,000+tax POS:4580325327779

ツアー情報

4月6日(土)Open/17:00 Start/18:00 会場:大阪・なんばHatch
4月7日(日)Open/17:00 Start/18:00 会場:名古屋・ダイアモンドホール
4月12日(金)Open/17:30 Start/18:30 会場:東京・中野サンプラザホール
4月20日(土)Open/17:00 Start/18:00 会場:台北・CLAPPER STUDIO

沼倉愛美公式HP
公式Twitter(@numakura_manami)
公式Twitter 

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