
渡辺信一郎総監督が自信作と表明! アニメ『キャロル&チューズデイ』制作発表記者会見で島袋美由利さん、市ノ瀬加那さんら出演声優陣が発表に!
『交響詩篇エウレカセブン』『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』『血界戦線』など、数多くの作品を送り出してきたアニメーション制作会社“ボンズ(BONES)”。同社の20周年と、音楽レーベル“フライングドッグ”の10周年を記念したテレビアニメ『キャロル&チューズデイ』が、2019年4月10日(水)よりフジテレビ“+Ultra”で放送されます。
総監督を務めるのは『サムライチャンプルー』や『カウボーイビバップ』といった名作アニメを手掛けた渡辺信一郎氏。この度そんな本作の制作発表記者会見が、フジテレビの三宅正治アナウンサーの司会進行で2月21日(木)に都内某所で行われました。
会見では渡辺総監督に加え、ボンズ代表取締役の南雅彦氏とフライングドッグ代表取締役の佐々木史朗氏が登壇。本作の企画始動についてや、キャラクター原案が窪之内英策氏となった決め手などが明らかに。
加えてふたりの主人公、“キャロル”と“チューズデイ”を始めとしたメインキャラクターの担当声優も発表となりました。
ふたりが合わさることで思いもしないことが起きる、共同制作の面白さを描いた作品
MCによる作品概要の説明があったところで、まずは渡辺総監督と南氏、佐々木氏の3名が登場し、本作の企画が動き出した経緯を話していくことに。
きっかけは4~5年前だそうで、佐々木氏から南氏へ持ち掛けた「ボンズで音楽のアニメを作りたい」という相談だったそう。そこから『スペース☆ダンディ』制作の頃に渡辺総監督と話を詰めていき“ふたりの音楽物”というスタート地点が定まったのだとか。
もちろんこの“音楽物”というチャレンジについても掘り下げられました。佐々木氏は渡辺総監督の作品が世界中で受け入れられていると話すと、本作は初めから世界中の人に見てもらいたい意図があると発表。だからこそ作中で使われる楽曲は英語の音楽にしているそうです。
本作は全世界オーディションを行った主題歌をはじめ、作中の音楽は海外アーティストが多数を占め、ほとんどが英語の楽曲を起用しています。これは「世界のどこへ持って行っても通じる音楽にしたい」からで、日本語の曲だとその時点で壁があると考えていたそう。
ストーリーについてはキャロルとチューズデイ、まったくの素人だったふたりの女の子がミュージシャンを目指し頑張る物語。2クール作品となっていて、第1部でデビューするまでを、第2部からはその後に色々な壁にぶつかりながら成長していく姿を描いていくようです。
なぜ主人公をふたりにしたのかにも触れられると、孤高の天才の物語ではなくふたりが合わさることで思いもしないものができる。そんな共同制作の面白さを描きたかったとのこと。また渡辺総監督はこの話のなかで、アニメも共同制作そのものであり自分たちの仕事に跳ね返ってくるところがあるともコメント。
渡辺総監督作品で女の子を主人公に据えるのは本作が初めてのことだそうですが、これについては一回もやったことがないからこそチャレンジしてみたかったと述べました。
また、自身の過去作のようなものを求められることもあるそうで、そのオファーに理解は示しつつ、ちょっとずつでも新しいものをやって行きたいと仕事への熱意を露わに。
続いてキャラクター原案の窪之内氏の起用理由について。キャラクター原案をお願いする候補者を南氏が何人かピックアップ。その候補者から知らずに選んだのが窪之内氏だったそうで、お会いしたところオファーを快諾してもらえたのだとか。
決め手としては単に絵が上手いだけでなく、「キャラクターが生きている感じがした」「そこに生きている人と伝わってきた」ところだそうです。
出演声優陣が遂に発表! 脇を固めるのは大塚明夫さん、入野自由さんら5名!
この会見で初解禁となったキービジュアルをお披露目したところで、渡辺総監督自ら登場キャラクターを簡単に紹介していく一幕がありました。
▲第2弾キービジュアル
これによってキャロルがキーボード、チューズデイがギターを演奏することや、ガスが音楽業界で有名ミュージシャンを育てた元マネージャーであることなど、7人のキャラクターたちの背景が判明。またここでは作品の世界観についての言及があり、未来の火星を舞台とし、音楽シーンが中心に据えられていることもわかりました。
そんなキャラクターたちを演じる声優陣を決めるポイントについても話していき、キャロルとチューズデイは作中のふたりに重なるような「これからブレイクしていく若手」で考えていたこと、そしてその周りを固める面々については意図して実力ある役者陣を選んだそうです。
すると、ここで既にキャラクターたちの声が入った最新PVを公開! 遂に本作に出演する声優陣が発表となりました。
キャロル役が島袋美由利さん、チューズデイ役が市ノ瀬加那さんとなります。そんなふたりの脇を固めるのは、ガス役・大塚明夫さん、ロディ役・入野自由さん、アンジェラ役・上坂すみれさん、タオ役・神谷浩史さん、アーティガン役・宮野真守さんらとなります。
まずは島袋さんに自身の演じるキャラクターの印象を聞いていくと、サバサバしている、さっぱりとしていると一言。曲がったことが嫌いな性格で、演じる上ではなるべく背伸びをせずできるだけ自然体にしているそうです。
続いて市ノ瀬さんがチューズデイの印象を語っていくと、お嬢様という事で当初は上品な印象があったと述べました。しかしアフレコが始まると、年相応に元気で明るい面が見えてきたのだとか。加えて音楽に対する熱は本物なのだそうで、普段ならしないようなことも音楽が絡むとまっすぐに突き進んでいくとのこと。
ガスについては自然体でだらしのないキャラクターで、渡辺監督の各キャラクター解説では“アル中のおっさん”と言う単語も言葉も飛び出しました。ここで彼を演じる大塚さんは、そんな人物がいかにキャロルとチューズデイに入れ込んで、夢中になって走っていくかを頑張って演じると話しました。
入野さんの演じるロディについてはヲタク気質で内向的、キャロルとチューズデイ、ガスに巻き込まれていく巻き込まれ体質。
また上坂さん演じるアンジェラについてはキャロルとチューズデイのライバル的な立ち位置で、モデルから歌手に転向しようとしていることも判明。そんな彼女の音楽プロデューサー・タオについて神谷さんは、クールでロジカルな役どころで要求されるものは決まっているとコメントすると、そこを繊細に音にしていけたらと述べました。
アーディガンの年齢はなんと42歳。彼を演じる宮野さんは、実年齢より年上のキャラクターを演じることが稀だと語ると、一生懸命頑張りたいと表明しました。キャラクター性は売れっ子DJでテンション高めのパリピなおじさんとのことですが、「世界観を守ってください」と釘を刺されたのだとか。
一度聴いたら引き込まれる主題歌「Kiss Me」
声優陣によるキャラクターについてのトークが終了するとマスコミ向けの質疑応答がありました。これまでの作品から考えると、本作はストレートでポップな印象を受けたという話ではその変化の理由を問われ、渡辺総監督は「今回はド直球を投げたい気持ちがある」と一言。
これまでは少し斜めから物事を見る作品が多かったかもしれないと振り返ると、「いつまでも変化球を投げていないで、いい加減直球で勝負しよう」「自分の伝えたいことをまっすぐ投げ込む作品がやりたい心境が今あった」とも話しました。加えて音楽だけは掛け値なしに素晴らしいとも。
その後は島袋さんと市ノ瀬さんへ、自身の演じるキャラクターの好きなミュージシャンの曲を実際に聴いたりしたのかという質問があったほか、窪之内氏とのやり取りでキャラクターたちが生まれたことなどが明らかに。
一通りのトークが終了したところで、何と主題歌を歌うナイ・ブリックスさんとセレイナ・アンさんが登場! おふたりは作中のキャロルとチューズデイのWキャストとしてボーカルも担当されており、ナイさんがキャロル、セレイナさんがチューズデイを担当されます。
ナイさんは本作に関われたことを喜ぶと、アニメとシンクロしながら歌う体験をエキサイティングだと表現。セレイナさんは、キャロルとチューズデイがシンガーソングライターとして花開いていくところに共感したと話しました。
島袋さんと市ノ瀬さんはおふたりのレコーディングの様子をご覧になったそうで、それぞれ「ふたりが歌っている姿がキャロルとチューズデイのように見えてきた(島袋さん)」「レコーディングを聴いて作品の方向性がわかった(市ノ瀬さん)」とコメント。
今日はここでナイさんとセレイナさんがオープニングテーマ「Kiss Me」を披露するとのことで、ライブへと移りました。この演奏でさらに本作への期待を煽ったところで楽曲を歌った感想やレコーディングについて伺っていくことに。
▲ナイ・ブリックスさん
ナイさんは自分はとてもシャイな性格をしているけれど、レコーディングは周りに助けられて和やかな雰囲気だったと話しました。続いてセレーナさんはどの楽曲も素晴らしいと前置きし、今回のようにナイさんとふたりで歌う機会を貰えて嬉しいと述べました。
▲セレイナ・アンさん
最後に登壇者から一言ずつコメントがありました。市ノ瀬さんは一話ごとにキャラクターの個性が詰まっていて、物語が進むごとに作品が好きになるとしました。続いて島袋さんが10代の女の子ふたりが夢に向かって突き進む、その目線から見ることで懐かしい感情に出会えると語ったところで、渡辺総監督にバトンタッチ。
ここで監督は、本作のストーリーはキャロルとチューズデイが世の中に旋風を巻き起こしていく、波風を立てる物語になっており、この作品自体がそのようになれたらと話しました。そして最後に「滅多にこういう事は言いませんが“自信作”なのでよろしくお願いします!」と結んでイベント終了の時間となりました。
▲渡辺信一郎監督
4月10日(水)よりフジテレビ“+Ultra”で放送となるアニメ『キャロル&チューズデイ』。ふたりの女の子がミュージシャンを目指して駆け出す本作の物語に、ぜひご期待ください。
[取材・文/胃の上心臓]
テレビアニメ『キャロル&チューズデイ』作品情報
放送情報
2019年4月よりフジテレビ「+Ultra」にて放送予定
NETFLIXにて全世界独占配信
ほか各局にて放送予定
関西テレビ/東海テレビ/テレビ西日本/北海道文化放送/BSフジ
あらすじ
人類が新たなフロンティア、火星に移り住んでから50年になろうという時代。
多くのカルチャーはAIによって作られ、人はそれを享楽する側となった時代。
ひとりの女の子がいた。
首都、アルバシティでタフに生き抜く彼女は、働きながらミュージシャンを目指していた。いつも、何かが足りないと感じていた。
彼女の名はキャロル。
ひとりの女の子がいた。
地方都市、ハーシェルシティの裕福な家に生まれ、ミュージシャンになりたいと思っていたが、誰にも理解されずにいた。世界でいちばん孤独だと思っていた。
彼女の名はチューズデイ。
ふたりは、偶然出会った。
歌わずにいられなかった。
音を出さずにいられなかった。
ふたりなら、それができる気がした。
ふたりは、こんな時代にほんのささやかな波風を立てるだろう。そしてそれは、いつしか大きな波へと変わっていく───
メインスタッフ
総監督:渡辺信一郎
監督:堀元宣
キャラクター原案:窪之内英策
キャラクターデザイン:斎藤恒徳
音楽:Mocky
音楽制作:フライングドッグ
アニメーション制作:ボンズ